弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 01月 07日 ( 2 )

東京都、たばこで五輪おもてなし?、自民党の反対で受動喫煙防止対策の条例化が見送り

毎日新聞「五輪都市東京:たばこ規制失速 自民異議、条例見送り」(2015年1月6日)は、次のとおり報じました.

「東京都の舛添要一知事は2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、たばこ受動喫煙防止対策の条例化に意欲を見せていたが、当面見送る考えを示した。都議会最大会派の自民党が一律規制に異議を唱え、規制強化をトーンダウンさせた。だが、他の五輪開催都市は、公共施設だけでなく飲食店なども禁煙とする法令を罰則付きで整備しており、識者から「先進国の標準に近づく機会を逃す」との声が上がっている。【武本光政、竹内良和、川口裕之】

 「ハードルが高過ぎる面もある、罰則(付き)になると。条例を完全に捨てているわけではない。しかし、その前に他の施策をもう少しやりながらと思っている」。舛添知事は昨年末の定例記者会見で、飲食店の分煙化工事への補助など条例化以外の施策を優先させる考えを明らかにした。

 知事は、同8月の会見では「本格的に受動喫煙による害を防ぐということは非常に大事。条例制定も十分考え得る一つの選択肢」と強調していた。

 これに対し、与党会派の都議会自民党が同9月、村上英子幹事長名で知事に緊急要望書を提出。「小規模な店舗が多い飲食店等には条例による一律規制ではなく、店内の禁煙・分煙が店頭でわかる自主的な取り組みを促し、利用者が選択できる仕組み作り」を求めた。喫煙者の客足が遠のくことを危惧する飲食店の業界団体の主張に沿った内容で、要望書は「幅広く意見を聞き、対策を推進すること」と注文を付けた。

 これを踏まえ、都は同10月、有識者による「受動喫煙防止対策検討会」を発足。委員12人には日本オリンピック委員会(JOC)役員、法律家、日本医師会役員らのほか、規制強化に慎重な医師も選任された。初会合では、そのうち免疫学者が「免疫学的にはあまりたばこの弊害は見つからない」と指摘。放射線科医も「五輪でたばこを吸わない人だけを歓迎するわけにはいかない。『おもてなし』は吸う人にも吸わない人にも心地よいものでなければならない」と持論を展開した。検討会は年度内に意見をとりまとめるが、都に条例化を求める内容にはなりそうにない。

 五輪開催都市では近年、大会前に受動喫煙防止に関する法令が設けられている。都がソウル大会(1988年)以降の夏季五輪を調べたところ、来年のリオデジャネイロを含め8都市全てで罰則付きの法律や州法、条例を制定していた。」


たばこは、たばこ喫煙により健康を害する危険と依存症に陥る危険が高く、「おもてなし」には到底なりません.
たばこ会社の援助を受けていない中立的な研究では、たばこの受動喫煙規制により飲食店の売り上げが減少するという神話は否定されています.

「免疫学的にはあまりたばこの弊害は見つからない」と言ったのは、JT系の喫煙文化研究会に所属する奥村康氏です.『おもてなし』は吸う人にも吸わない人にも心地よいものでなければならない」と持論を展開した放射線科医は、同じくJT系の喫煙文化研究会に所属する名取春彦氏です.
このように規制の対象となる側の人が委員になっている検討会では、最初から反規制の方向であることは明らかでしょう.

ちなみに、東京都受動喫煙防止対策検討会の委員は、次の方々です.

青木剛氏(公益財団法人日本オリンピック委員会 副会長兼専務理事)
安念潤司氏(中央大学大学院法務研究科教授)
今村聡氏(公益社団法人日本医師会 副会長)
大井田隆氏(日本大学医学部公衆衛生学分野教授)
奥村康氏(順天堂大学大学院医学研究科 アトピー疾患研究センター長)
垣添忠生氏(公益財団法人日本対がん協会 会長)
工藤翔二氏(公益財団法人結核予防会 理事長)
鈴木大地氏(順天堂大学スポーツ健康科学部教授)
名取春彦氏(獨協医科大学付属病院 放射線科医師)
野田哲生氏(公益財団法人がん研究会 代表理事・常務理事 がん研究所所長)
細野助博氏(中央大学総合政策学部 大学院公共政策研究科教授)
村千鶴子氏(東京経済大学現代法学部教授)

都議会自民党と都知事の関係が冷え切っているようですが,たばこについては,党利党略を離れ,健康の視点から科学的な世界に通用する対策が必要と考えます.

谷直樹


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by medical-law | 2015-01-07 02:04 | タバコ

子どもの喘息の8~18%は親の喫煙が原因、親の禁煙が子どもの喘息重症化を防止

朝日新聞「親の禁煙、子のぜんそくに予防効果」大阪の医師ら発表」(2015年1月6日)は、次のとおり報じました.
 
「親が禁煙すれば子どものぜんそくが重症化するのを防げることを、大阪府立成人病センターの田淵貴大医師らの研究グループが明らかにした。4歳半~8歳の間にぜんそくで入院する子を少なくとも2割近く減らせるという。小児ぜんそくと親の喫煙の関係は指摘されていたが、禁煙の予防効果を具体的に示したのは初めて。

 厚生労働省の大規模追跡調査に参加した2001年生まれの子ども4万3千人を対象に、生後半年時点の親の喫煙状況と、8歳までのぜんそく入院の経験を、三つの年齢層で調べた。両親が室内で吸っていた3399人中52人が4歳半~8歳でぜんそくで入院していたが、両親とも吸わない1万4117人では入院したのは112人だった。

 喫煙以外の要因を除いた上で、両親が室内で吸う子がぜんそくで入院する確率は、両親がたばこを吸わない子に比べて、①生後半年~2歳半で1.54倍②2歳半~4歳半で1.43倍③4歳半~8歳で1.72倍になった。

 調査結果を日本全体に当てはめると、両親とも禁煙すれば、少なくとも①の年齢層で8.3%(4970人)②で9.3%(4950人)③で18.2%(1万940人)の入院を減らせるという。田淵さんは「子どものぜんそくの8~18%は親の喫煙が原因といえる」と話す。研究成果は米医学誌電子版に掲載された。(錦光山雅子)」


日本の小児喘息患者は500万人とも言われています.
親の喫煙と小児喘息入院との関連性が1.43倍~1.72倍という数値で示された意義は大きいと思います.

屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所及び適当な場合には他の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護のみならず、家庭内におけるたばこの煙にさらされることからの保護も必要と思います.親自身の健康にも良くありませんので,子どものいる人は,子どもと自分のために禁煙していただきたいと思います.タバコ依存症に陥っている人には,禁煙外来があります.


谷直樹

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by medical-law | 2015-01-07 01:32 | タバコ