弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 01月 29日 ( 4 )

東京地裁平成27年1月27日判決,国立病院機構災害医療センターのベッド転落事故で看護師の過失肯定(報道)

共同通信「床に転落、看護師に過失 病院機構に10万賠償命」(2015年1月28日)は,次のとおり報じました.

「国立病院機構災害医療センター(東京都立川市)に入院していた全盲の女性=当時(80)=がベッドから落ちて負傷したのは病院側のミスが原因だとして、家族が病院側に計170万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁は27日、看護師の過失を認めて10万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性はてんかんの発作のため個室に入院していた。2009年7月、昼食時に看護師がベッドの上半身側を起こして横の柵を下げ、病室を離れた際、女性が床に転落して頭などにけがをした。

 小海隆則(こかい・たかのり)裁判長は「全盲の女性が体を動かして転落する可能性はあり、柵を上げて元に戻しておけば事故は防げた」と指摘。看護師に注意義務違反があったと認めた。」

看護事故だからでしょうか,医療集中部ではない民事12部が担当するの珍しいように思います.看護師がベッドの柵を下げたまま離れている間に患者が転落するという事故は結構よくあります.看護師に予見可能性と回避義務が認められることが多いように思います.

これまでも,看護師が,入院中の3歳5ヶ月の患者のベッドの転落防止用安全柵を中段まで引き上げ病室を出たところ,間もなく安全柵が落下し,患者が転落して意識不明となって死亡した事案で責任が認められています(宇都宮地判平成6年9月28日,判時1536・93).


谷直樹

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by medical-law | 2015-01-29 19:17 | 医療事故・医療裁判

福岡高裁平成27年1月29日判決,病院がHIV陽性の看護師に退職を余儀なくさせたのは違法,但し賠償金減額

HIV検査で陽性と診断された看護師が,勤務先の病院から退職を余儀なくされた事案で,福岡高裁平成27年1月29日判決(一志泰滋裁判長)は,病院に約115万円の支払いを命じた福岡地裁久留米支部判決を変更し,約61万円の支払いを命じました.報道によると,勤務先病院が検査結果を職員間で共有することについての事後承諾が看護師にあったと認定し,慰藉料を減額したとのことです.

一審判決については,九州合同法律事務所のブログ「HIV感染:勤務先病院に「就労制限で不当」と賠償命令」ご参照

平成22年4月30日の「「職場におけるエイズ問題に関するガイドラインについて」の一部改正について」(基発0430第2号/職発0430第7号)は,「医療機関等においては、ガイドラインに定める労働者の雇用管理等についての基本的な考え方を踏まえた対応は必要ないとの誤解を生ずるおそれがある。そこで、今般、ガイドラインを下記のとおり改正することとしたので、貴職におかれては、このことについて様々な機会を捉えて周知に努めるとともに、適切な対応が図られるよう指導していただきたい。」とし,「なお、労働者が通常の勤務において業務上HIVを含む血液等に接触する危険性が高い医療機関等の職場においては、感染の防止について、別途配慮が必要であるところ、医療機関等における院内感染対策等については、「医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)」等が作成されていることから、これらを参考にして適切に対応することが望ましい。」と改められました.

控訴審判決については,九州合同法律事務所のブログ「HIV検査:「結果の労務管理利用は目的外」2審も認める」ご参照

 谷直樹

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by medical-law | 2015-01-29 16:30 | 医療事故・医療裁判

市立岡谷病院,右手関節腱鞘炎を手根管症候群と誤診し手術した事案で提訴される(報道)

中日新聞「市立岡谷病院の手術ミスで提訴 40代女性損賠求める」(2015年1月28日) は,次のとおり報じました.

「長野県岡谷市の市立岡谷病院で2012年9月に整形外科手術を受けた都内の40代女性が、医師の疾病誤認により必要のない部位を切開される医療ミスがあり、女性側が市病院事業に約316万円の損害賠償を求める訴訟を地裁諏訪支部に起こしていたことが分かった。

 市病院事業によると医師は女性の疾病を手根管(しゅこんかん)症候群と診断し、手術をした。執刀中に患部に疾病の症状がなく、右手関節けんしょう炎だったことが分かり、切開した部位を縫合、正しい手術をした。

 病院側はミスを認め、医師や職員らが本人や家族に謝罪、補償などについて話し合いを進めてきたが、折り合わなかった。提訴は昨年12月24日付。病院担当者は「裁判でも誠意を持って対応したい」と話した。」


これは,右手関節腱鞘炎を手根管症候群と誤診し手術したことに過失があることは争いがなく,賠償金額の算定に争いがある事案のようです.


谷直樹

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by medical-law | 2015-01-29 14:15 | 医療事故・医療裁判

倉敷中央病院,人工心肺の操作ミスで動脈に空気が混入し脳梗塞となったとして提訴される(報道)

山陽新聞「医療ミス訴訟で被告側は争う姿勢 倉敷中央病院は請求棄却求める」(2015年01月28日)は,次のとおり報じました.
 
「倉敷中央病院(倉敷市美和)が行った心臓カテーテルの手術後、意識不明になった愛媛県在住の患者男性(62)と妻(58)らが「手術にミスがあった」として、病院を運営する大原記念倉敷中央医療機構(同所)に、慰謝料など約1億2400万円と月24万円の介護費を求める訴訟の第1回口頭弁論が岡山地裁(古田孝夫裁判長)であった。病院側は請求の棄却を求めた。

 訴状では、男性は昨年3月、倉敷中央病院で狭心症の心臓カテーテル手術を受けた翌日、ショック状態を起こして心肺停止になった。その後、意識は回復せず、多発性脳梗塞などで大脳機能が全廃。回復の見込みはないという。

 原告代理人の弁護士によると、病院側はミスを一部認めて賠償に応じる意向を示したが、「経緯の説明が不十分で金額にも隔たりがある」として訴訟に踏み切ったという。」


上記新聞報道では,心臓カテーテル手術を受けた翌日にショック状態を起こした原因が書かれていませんし,手術のどこにミスがあったのか何が具体的に過失なのかも述べられていません.提訴記事は,最小限,機序と過失の主張を紹介してほしいと思いました.

NHK「医療ミスで病院に損害賠償請求」(2015年01月28日)は,次のとおり報じました.

「倉敷市の倉敷中央病院で心臓カテーテルの手術を受けた62歳の男性が、手術中の人工心肺の使用方法の誤りで重度の脳梗塞に陥り、寝たきりの状態になったとして、病院を相手取り、1億2000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは愛媛県西条市の62歳の男性と家族です。
代理人の弁護士によりますと、男性は去年3月、狭心症の治療のため、倉敷市の倉敷中央病院で心臓カテーテルの手術を受けましたが、その後、心肺停止となり緊急の手術を受けたということです。
その際、手術スタッフのミスで人工心肺の栓が開いていたため、動脈に空気が混入して重度の脳梗塞を引き起こし、男性は寝たきりで会話もできない状態になったということです。
男性と家族は、明らかなミスがあったにも関わらず、病院側から十分な説明がなかったなどとして、慰謝料など1億2000万円余りの損害賠償を求めています。
男性の58歳の妻は「2度と同じようなミスが繰り返されないよう訴訟を起こした」と話しています。
いっぽう、病院側の代理人弁護士は請求の棄却を求めて争うとしています。」


患者側の主張は,「手術スタッフのミスで人工心肺の栓が開いていたため、動脈に空気が混入して重度の脳梗塞を引き起こし、男性は寝たきりで会話もできない状態になった」というものです.これならわかります.


谷直樹

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by medical-law | 2015-01-29 14:00 | 医療事故・医療裁判