弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 02月 14日 ( 1 )

ギリアド・サイエンシズ,海外の111死亡例を含む計735例の副作用情報報告の遅れで業務改善命令

ギリアド・サイエンシズ インク(Gilead Sciences, Inc)は,抗ウイルス剤開発で知られる世界第2のバイオ製薬会社です.最近は,驚異的な治癒率と高額なことで有名な肝炎治療薬ハーボニ(ソフォスブビルとレディパスビルの合剤,日本未承認) 等で注目されています.そのギリアド・サイエンシズ インクが,厚労省から業務改善命令を受けました.

朝日新聞「米製薬会社に業務改善命令 肝炎治療薬の副作用報告怠る」(2015年2月13日)は,次のとおり報じました.

「米製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」が国内で治験中の肝炎治療薬などについて、海外で起きた重篤な副作用の報告を怠ったとして、厚生労働省は13日、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、同社に業務改善の指示を出した。厚労省によると、報告の遅れで治験に参加した患者に被害は出ていないという。

 厚労省や同社によると、報告が遅れたのは、C型肝炎や白血病などの治療薬3品目。いずれも2013年12月以降に米国などで承認を得て販売を開始。海外で死亡した111例を含む計735例の副作用情報について、国への報告が遅れたという。

 国内で治験中の薬について、海外でも死亡など重篤な副作用が疑われる事例があれば、7~15日以内に国に報告する義務がある。同社は「報告義務について認識不足だった。二度とこのような事態にならないように努める」としている。 」


ギリアド・サイエンシズは,そのサイトで「今回発生した報告の遅延は、日本国外における市販後安全性情報の日本国内関係機関への報告義務に対する弊社の認識不足及び弊社の日本法人との連携不足に原因があることが社内調査及び第三者機関の検証により判明しました。」と,報告遅延の原因を説明しています.
 要するに日本の報告義務についてよく知らなかったという説明なのです.
 製薬会社が報告義務について知らない筈はないと思いますが...

業務改善命令の内容は,つぎのとおりです.

治験の依頼をした者に対する業務改善指示
(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第80 の2第9項)
① 国内及び国外で発生した被験薬に関する副作用等の情報について、速やかに把握し、直ちに必要な対応を行うとともに、定められた期限内に確実に報告するように、体制の構築、手順書の整備、教育訓練等、必要な措置を講じること。
② 治験国内管理人であるパレクセル・インターナショナル株式会社及びシミック株式会社とともに、国内及び国外で発生した副作用等の情報など、治験の適切な実施に当たって必要な情報を収集し、直ちに共有できるように、必要な措置を講じること。
③ 治験の依頼等に際して、日本の法令に係る正確な情報を把握できるように、必要な措置を講じること。
④ ①から③までの業務の改善に当たっては、改善指示発出後1か月以内に、是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定して、厚生労働省に提出すること。



  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-14 19:32 | コンプライアンス