弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 02月 18日 ( 3 )

C型肝炎治療薬テラプレビルの「使用上の注意」の改訂

厚生労働省は,2015年2月17日,C型肝炎治療薬テラプレビル(商品名テラビック錠250mg,田辺三菱製薬株式会社)の添付文書改訂を指示しました.

「改訂の概要
用法・用量に関連する使用上の注意」の項に、本剤による腎機能障害の発現リスクが高くなるおそれのある患者においては、本剤の開始用量の減量を考慮する旨を追記する。

改訂の理由及び調査の結果
本剤の使用成績調査の中間解析において、初回投与量の減量なし、年齢の増加、投与前クレアチニンの増加、糖尿病合併有、高血圧合併有が本剤投与時の重篤な腎機能障害の発現に対するリスク因子であることが示唆されたことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。」

テラビックは,重篤な副作用が報告されています.慎重に使用すべき薬です.

なお,2月21日土曜日14時から15時,「C型肝炎とたたかう〜どう選ぶ?最新治療」がNHK Eテレで放映されるそうです.


  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-18 22:17 | 医療

広島地裁平成27年2月17日判決,受刑者に花粉症治療を受けさせなかった刑務所(国)に7万円賠償(報道)

毎日新聞「広島刑務所:元受刑者の花粉症症状悪化 国が一部敗訴」(2015年2月17日)は,次のとおり報じました.
 
「花粉症の治療を受けられず症状が悪化し精神的苦痛を受けたとして、広島刑務所(広島市中区)の元受刑者の男性が国に慰謝料50万円を求めた訴訟の判決が17日、広島地裁であり、梅本圭一郎裁判長は「治療させなかった刑務所長の判断は裁量権を逸脱している」として国に7万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2012年1月から服役。14年3月以降、4回にわたり花粉症の症状を訴えた。しかし、医師は「すぐに治療をする必要性はない」などとして診察せず、4月10日に治療を受けるまで目のかゆみや鼻水に悩まされた。
  
 梅本裁判長は「花粉症は初期療法が有効」と指摘し、「医師が早く診察や治療をしていれば、症状の軽減や悪化を防ぐことができた」と結論付けた。」


 私には,花粉症のつらさはたいへんよく分かります.
 この医師は,花粉症のつらさが分からなかったのかもしれませんが,診察せず放置していたのはさすがにひどいと思います.
 賠償金は7万円ですが,今後,受刑者が花粉症を訴えたとき,医師が放置することはできなくなりますから,大きな意義のある判決です.


  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-18 03:11 | 医療事故・医療裁判

横浜地裁平成27年2月17日判決,健診通知遅れと死亡との相当程度の因果関係を認め330万円賠償(報道)

横浜地裁平成27年2月17日判決,健診通知遅れと死亡との相当程度の因果関係を認め330万円賠償(報道)

産経新聞「健診通知遅れ、精神的苦痛 死亡女性遺族に賠償認める」(2015年年2月17日)は,次のとおり報じました.

「神奈川県鎌倉市の老人ホームに勤務していた女性が平成22年5月に肺がんで死亡したのは健康診断の結果が速やかに通知されず、がんが進行したことが原因として、同市の遺族がホームを運営する一般財団法人「友愛会」に計約5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は17日、精神的苦痛に対する慰謝料など計約330万円の支払いを命じた。

 田中寿生裁判長は、女性は健診3カ月後に結果を知ったと認め、「治療開始時期を遅らせ、死亡時点でなお生存していた相当程度の可能性を失わせた」と判断。通知遅れと死亡との因果関係は認めなかった。

 判決によると、女性は非常勤職員として調理場の業務を担当していた20年2月に健診を受け、右肺に3センチの腫瘍が見つかった。同6月、別の病院の精密検査で4・3センチに拡大。さらに別の病院の医師は、この間にがんが進行したため手術ができないとして、抗がん剤などの治療を選んだ。女性は60歳で死亡した。」


原発性肺がんのおおよそ5分の4は非小細胞肺癌です.非小細胞肺癌のⅠ期,Ⅱ期は手術適応になります.Ⅲ期は,一部が適応となります。腫瘍の最大径が2cmを超えて3cm以下はT1b,腫瘍の最大径が3cmを超えて5cm以下はT2aです.
Ⅲ期で手術を受けないで抗がん剤と放射線治療のみの場合の5年生存率は(統計により異なりますが)約20%で,Ⅲ期で手術を受けた場合の5年生存率は(統計により異なりますが)約40%です.裁判所は,生存率の差(20%)に注目して相当程度の可能性と認定したのかもしれませんが,比率にすれば通知遅れによって生存率はおおよそ半分に激減していますので,患者は現実には平成20年2月から平成22年5月まで2年3か月生存したことを考えると,5年生存率が半減しなければ平成22年5月を超えて生きられた高度の蓋然性があったと認定できるかもしれません.
医事訴訟における不作為の因果関係における「相当程度の可能性」と「高度の蓋然性」の認定は微妙です.
また,5年生存率減少に伴う精神的苦痛だけでも,400万円から500万円の慰謝料が認められてしかるべきではないでしょうか(当職が患者側を担当した東京地裁平成18年4月26日判決ご参照).
新聞報道では事案がよくわかりませんので,断定的なことは言えませんが...


  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-18 02:34 | 医療事故・医療裁判