弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 03月 24日 ( 1 )

関西電力,裁判官忌避却下の抗告期限末日に即時抗告

産経新聞「裁判官忌避却下で関電が即時抗告 高浜原発差し止め仮処分めぐり」(2015年3月20日)は次のとおり報じました.

「関西電力高浜原発3,4号機(福井県高浜町)などの再稼働差し止めを求めて周辺の住民らが申し立てた仮処分をめぐり,関電は20日,樋口英明裁判長ら担当裁判官3人の交代を求めた忌避申し立てが福井地裁で却下されたことを不服とし,名古屋高裁金沢支部に即時抗告した。」

この件は報道で知っただけなのですが,関電の強引な引き延ばし作戦だと思います.

民訴法第24条は,「裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情があるときは,当事者は,その裁判官を忌避することができる。」と定めています.
「裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情」はよほどのことです.大飯原発3,4号機の運転差し止めを命じた裁判官が高浜原発3,4号機についても同様の判断を下すだろうとみるのは,理解できます.ただ,同種事件の判断は忌避事由にあたりません.表向きは別の理由をあげるのでしょうが,忌避が簡単に却下されていることからも,関電の忌避は明らかに濫用と考えられます.

民訴法第26条本文は「除斥又は忌避の申立てがあったときは,その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならない。」と定めています.
樋口英明裁判長は,福井地裁に来て4月1日で3年になります.裁判官は3年程度で異動になることが多いので,また即時抗告が抗告期限末日の3月20日に行われたことからも,関電は,3月いっぱい引き延ばそうとしているものと思われます.
高裁のすみやかな審理を期待します.

【追記】

朝日新聞「高浜原発再稼働を差し止め 福井地裁が仮処分決定」(2015年4月14日)は,次のとおり報じました.

「関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町、定期検査中)について、福井地裁の樋口英明裁判長は14日、再稼働を差し止める仮処分決定を出した。原発の運転をただちに禁じる司法判断は初めて。2基の原発は当面動かせず、関電がめざす11月の再稼働も難しくなる可能性がある。

「新基準は合理性欠く」仮処分決定要旨

 仮処分を申し立てたのは福井、京都、大阪、兵庫4府県の住民9人。

 住民側は、高浜原発の使用済み核燃料プールは原子炉のように堅固な施設に囲われていないなどとして、その安全性は「確たる根拠がない脆弱(ぜいじゃく)なものだ」と主張。「重大事故が起きれば、生存権を基礎とする住民らの人格権が侵害される」と訴えていた。

 一方、関電側は、津波の被害を受けても原子炉の冷却ができるよう発電装置を準備していることなどを挙げ、安全性を強調。「具体的な危険はない」と申し立ての却下を求めていた。

 樋口裁判長は昨年5月、関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転をめぐる訴訟で差し止めを命じる判決を出した。だが、関電が控訴して判決は確定せず、原子力規制委員会が新規制基準にすべて適合すると判断すれば再稼働できる状態にある。

 このため住民らは昨年12月、より法的な即効力がある仮処分の手続きをとり、大飯、高浜両原発の再稼働差し止めを求めて訴えた。樋口裁判長は、再稼働に向けた規制委の審査に今年2月に合格した高浜原発についての判断を先行させる考えを表明。慎重な検討を求める関電側の主張を退け、3月に審理を打ち切っていた。(室矢英樹、太田航)」


 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-24 02:25 | 脱原発