弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 05月 23日 ( 4 )

ストライキを禁止する仮処分を裁判所に申し立てた鈴鹿さくら病院が最高裁でも敗訴(報道)

中日新聞「鈴鹿の病院が争議権を侵害 最高裁で判決確定」(2015年5月23日)は、次のとおり報じました.

 「三重県鈴鹿市の鈴鹿さくら病院の労働組合が、ストライキを禁止する仮処分を裁判所に申し立てたのは争議権の侵害だとして、院長らに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)は、病院側の上告を退ける決定をした。19日付。247万円の支払いを命じた二審名古屋高裁の判決が確定した。

 二審判決などによると、労組は2012年8月、「非組合員のみに不透明な手当の上乗せがある」と主張して病院側に時限ストを通告。これに対し、病院側が申し立てたスト禁止の仮処分を津地裁が認めた。

 この訴訟で、病院側は申し立て理由を「入院患者の安全保全のため」と主張したが、高裁はこれを退けストの正当性を認定した。

 原告団の代表で三重一般労働組合(ユニオンみえ)の塩田至執行委員長(65)は、津市役所で記者会見し「経営側が訴訟を用いて組合活動を制限しようとする例が増えている。判決は安易な仮処分申し立てをさせない意味で大きな意義がある」と強調した。」


 本件は私が担当した事件ではありませんが,医療労働者の権利と患者の安全を考えるうえで参考になる判決です.病院が「患者の安全」を主張しても,患者の安全が害されることが立証できない以上労働者の権利であるストを止めることは適法とは言えず,賠償責任を負うことがある,と言えるでしょう.
 
谷直樹


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by medical-law | 2015-05-23 01:39 | 医療事故・医療裁判

医師間の連絡ミスにより食道がんを放置した新潟中央病院が患者に謝罪(報道)

新潟タウンジャーナル「食道がん治療2年5か月放置 県立中央病院で医療事故」(2015年5月22日)は、次のとおり報じました.

「新潟県立中央病院(上越市新南)は2015年5月22日、同市の80代男性が同病院で食道がんと診断されたにもかかわらず、約2年5か月間治療が行われていなかったと発表した。食道がんは進行し、男性はこの医療事故が判明した今年3月から入院している。

 同病院によると、男性は2012年10月、喉の痛みなどを訴え受診し、下咽頭がんと診断され、耳鼻咽喉科に入院した。その際、胃や食道などへの併発を調べるため内科で内視鏡検査を実施した結果、食道がんが併発していることが判明した。

 しかし、内科医は主治医である耳鼻科医に検査の結果食道がんが見付かったとは伝えず、さらに電子カルテの誤入力により、通常行われる複数の内科医による検査結果の最終確認も行われなかった。

 食道がんの治療が行われないまま、下咽頭がんの治療を経て男性は2か月後に退院。今年3月になって、下咽頭がんの経過観察のためにCT検査を受けた際、食道がんの治療が行われていないことが判明した。

 男性の下咽頭がんは再発の恐れが低い状態となったが、食道がんは進行し、近くのリンパ節への転移もみられるといい、入院治療が続けられている。

 病院は今年4月に男性とその家族に謝罪した。記者会見した矢澤正知院長は「深くお詫びする。今後一層事故防止対策を強化し信頼を回復すべく努力する」と頭を下げ、電子カルテ誤入力防止のためのシステム改修などの再発防止策を説明した。」


本件は、私が担当した事案ではありませんが、明らかな確認ミス=医療過誤です.
今私が担当している2件の肺癌の見落としも明らかな確認ミス=医療過誤です.
がんの見落とし事件は,検査記録の医学的評価を誤ったケースより,そもそも医師が検査記録を見なかった,検査報告書を主治医が見なかったというケースが多いように思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-05-23 01:24 | 医療事故・医療裁判

医師らの連絡ミスで膵臓がんを放置した大垣市民病院が患者の遺族と550万円で和解(報道)

中日新聞「検査後の連携ミスで死亡 大垣市民病院、和解金支払いへ」(2015年5月22日 )は、次のとおり報じました.
 
「岐阜県大垣市は22日、大垣市民病院に入院し、昨年8月に死亡した市内の女性=当時(76)=への膵臓(すいぞう)のエコー検査で、腫瘍が見つかったのに医師の連携ミスで治療が遅れたとして、遺族に550万円を支払うことで和解したと発表した。6月1日開会の市議会に議案を提出する。

 病院によると、女性は2012年10月にめまいを訴えて入院。糖尿病の持病があったため糖尿病・腎臓内科を受診した。同科の医師は、食欲低下の原因を探るため消化器内科を紹介するとともに、腹部をエコー検査した。画像に腫瘍があったが、この医師は検査結果を見ておらず、消化器内科の医師にも結果が伝わっていなかった。

 女性は一度退院したが、昨年4月に腹部全体の痛みを訴え、同病院で超音波検査。膵臓の腫瘍が大きくなっており、末期の膵臓がんと診断され、12年の見落としが判明した。

 藤本佳則副院長は記者会見し、「医師による検査結果確認の徹底と共有に努める」と話した。」


 この件は,報道によれば過失に争いがない事案ですので、550万円は膵臓がんの予後を考慮した金額でしょう.
 私が担当した事案ではありませんが、膵臓がんの見落とし事案などで参考になる和解事例と思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-05-23 01:06 | 医療事故・医療裁判

嚢胞を良性と判断した国立病院機構大阪南医療センターが患者の遺族と4000万円で訴訟上の和解(報道)

産経新聞「悪性なのに良性と誤診 がん性腹膜炎で死亡 患者側と国立病院機構が4千万円で和解」(2015年5月22日)は、次の報じました.


「国立病院機構大阪南医療センター(大阪府河内長野市)に入通院し、平成22年にがん性腹膜炎で死亡した当時50代の府内の女性の遺族らが「担当医の誤診で死亡した」として、機構と担当医に計4千万円の損害賠償を求めた訴訟があり、機構と担当医が請求額と同額の解決金4千万円を支払う内容で大阪地裁(野田恵司裁判長)で和解が成立したことが21日、分かった。4月20日付。

 訴状などによると、女性は17年7~8月、センターで検査を受け、膵臓(すいぞう)にできた嚢胞(のうほう)(液体がたまる袋)について、担当医から良性の「膵仮性(すいかせい)嚢胞」と診断された。女性は経過観察のため、その後も数カ月ごとに血液検査などを繰り返したが、22年3月の検査でがんであることが判明した。

 しかし、女性が摘出手術を決意した直後に嚢胞が破裂し、腹部にがんが拡散。同年4月に府内の別の病院で手術を受けたものの、余命半年と宣告され、10月に死亡した。

 訴訟で遺族側は、17年当時の検査結果から、嚢胞を良性と判断したのは担当医の誤診だったと主張。漫然と経過観察するのでなく、悪性の可能性を考慮して嚢胞を切除するなどの適切な医療行為をしていれば、死亡は回避できたと訴えていた。

 一方、機構側は「当時の医学的知見からすれば担当医の診断は妥当だった」と反論。誤診を否定し、争う姿勢を示していた。」


 私が担当した事案ではありませんが、4000万円で訴訟上の和解をしたということは、過失を認めたものと考えられます.

谷直樹


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by medical-law | 2015-05-23 00:57 | 医療事故・医療裁判