弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 05月 28日 ( 1 )

日本学術会議、「東京都受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言」

日本学術会議健康・生活科学委員会・歯学委員会合同脱タバコ社会の実現分科会は、2015年5月20日、以下のとおり、東京都受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言」を発表しました.

1 作成の背景
平成 32(2020)年に東京でオリンピック・パラリンピックを開催することが決まり、東京都では、公共の場での受動喫煙防止対策について、検討会での審議が始まった。都知事は当初、条例制定への強い意欲を示した。しかし、都議会や関係業界等の反対を受け、都の検討会では条例化は困難という座長のまとめ案が一旦は提出されるに至った。
ところが、最終の検討会(平成 27(2015)年 3 月 30 日)では合意には至らず、条例化を含めた受動喫煙防止のための都市ビジョンやより強いメッセージを求める意見が多数出て、審議が継続されることになった。日本学術会議健康・生活科学委員会・歯学委員会合同脱タバコ社会の実現分科会では、こうした状況を重く見て、背景にある学術的根拠を再検討しつつ、東京都で取られるべき政策について審議し、提言を取りまとめた。

2 現状及び問題点
喫煙のみならず、受動喫煙により多くの致死的な疾患が引き起こされることは、科学的に明白であり、わが国は、現世代と次世代をタバコの使用とタバコ煙への曝露から守る国際条約、「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約」FCTC、たばこ規制枠組条約)を平成 16(2004)年に批准した。FCTC は平成 17(2005)年に発効し、条約の各条項を履行することが締約国の責務となっている。特に、タバコ煙への曝露からすべての人を守るための FCTC 第 8 条に関しては、平成 19(2007)年に履行のためのガイドラインが策定され、職場や公共の場の全面禁煙を法的措置によって実現することを求めている。
国内では、平成 24(2012)年に閣議決定された「第 2 期がん対策推進基本計画」において、10 年後の数値目標として、喫煙率の減少(成人喫煙率 12%、未成年喫煙率 0%)と、受動喫煙曝露機会の減少(行政機関 0%、医療機関 0%、職場 0%、家庭 3%、飲食店 15%)等が定められたが、先般行われた中間評価ではこれらの達成状況が不十分であることが明らかになった。すなわち、わが国では公共の場の利用者や飲食店従業員等のうち多くの人々が、公共の場でやむなく、あるいは業務中にタバコ煙にさらされ続けている。
一方、世界の多くの国や地域が FCTC 第 8 条ガイドラインに沿って、職場や多数の人が出入りする公共の場での喫煙を法律や条例で禁止した。それらの国々では禁止した直後から明確に心疾患・呼吸器疾患の減少が見られている。
さらに、平成 22(2010)年7月には、国際オリンピック委員会(IOC)と WHO は健康的なライフスタイルとタバコのないオリンピックを目指す合意文書にも調印した。近年のすべてのオリンピック開催都市では、罰則付きの条例や受動喫煙防止法が整備され、さらに国レベルの法整備にまで発展している国も多い。従って、もし東京都が、受動喫煙を放置したままで、オリンピック・パラリンピックを開催するならば、健康のために受動喫煙防止を進める世界の潮流を押しとどめ、逆行させるという意味を持つことになる。

3 提言の内容
喫煙のみならず受動喫煙により、がん、心臓疾患、呼吸器疾患などが引き起こされることは多くの報告から明らかで、建物内の喫煙を法律で禁じることによりそれらの疾患が減少したという国際的な経験からも、このことは疑う余地がない。しかしわが国では今なお飲食店従業員をはじめやむなくタバコ煙にさらされている人は多く、受動喫煙を防止するための法制度を早急に作る必要がある。とりわけオリンピック・パラリンピックの開催都市は法律や条例で公共の建物内の喫煙を禁止することが近年では国際的に共通認識となっており、平成 32(2020)年に東京都でそれらを開催するにあたり、この点を最重要事項と考えるべきである。従って、東京都は速やかに公共の場での受動喫煙を防止するための法整備(条例化)を行うよう緊急提言する。


1964年の東京オリンピックのときは私は小学生でしたが、テレビや新聞で、裸足の哲人アベベ・ビキラ(マラソン)、黒い弾丸ボブ・ヘイズ(陸上)、4つの金メダルをとったドン・ショランダー(水泳)、Smokin' Joeジョー・フレージャー(ボクシング)、怪物アントン・ヘーシンク(柔道)、名花ベラ・チャスラフスカ(体操)の活躍を見ていました.もちろん日本選手も応援していましたが、外国人の選手の活躍に見とれていました.
「世界は一つ」が標語でした.

この1964年1月に、米国公衆衛生局長官報告が発表され、喫煙による健康への悪影響が示されました.
2020年の東京オリンピックは、おもてなしのこころですので、是非、受動喫煙防止条例をつくっていただきたいですね.
レストランなどで禁煙にすると客が減るとよく言われますが、臭いタバコの匂いがしたら、美味しいものも美味しく感じられません.せめて公共の場での禁煙くらいは実現したいものです.



谷直樹


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by medical-law | 2015-05-28 00:22 | タバコ