弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 07月 28日 ( 1 )

有料老人ホーム職員の介助で19種類の薬を過剰に飲み免疫機能が低下し90代女性が死亡(報道)

産経新聞「過剰に薬飲んだ女性、敗血症で死亡 宮崎の老人ホーム、職員の連絡不足・思い込みで」(2015年7月25日)は,次のとおり報じました.

「宮崎県は23日、県内の有料老人ホームで6月、職員が90代の女性入所者に過剰な量の薬を渡し、敗血症で死亡したと発表した。職員間の連絡不足や、思い込みが原因。施設代表の女性(63)は取材に「職員の連携が取れていなかった。何重にもチェックするなど改善策に取り組みたい」と話した。

 施設は、国富町の有料老人ホーム「なずな」。県によると、女性は高血圧やリウマチなどの持病があり、職員の介助で計19種類の薬を飲んでいた。うち2種類は6月6日から新たに追加され、本来は週1日なのに、誤って毎日渡していた。

 女性は6月12日から発熱や顔の腫れといった症状が現れ、服用を中止。入院後の6月25日に死亡した。過剰に服用したことで、免疫機能が低下したとみられる。」


計19種類の薬は本当に必要だったのでしょうか.
これだけ多いと服薬管理は大変ですし,副作用の心配もあります.
また,老人福祉施設等における服薬介助にはつねに危険があります.
平成26 年10 月1 日の厚労省通知「老人福祉施設等における医薬品の使用の介助について(老人福祉施設等への注意喚起及び周知徹底依頼)」は,以下のとおり注意喚起していました.

「今般、有料老人ホームにおいて、厳格な安全管理方策が必要なサリドマイド製剤(販売名:サレドカプセル100)について、サリドマイド製剤を服薬する患者である入居者とは別の入居者に対して使用の介助を行った事例が判明いたしました。
老人福祉施設等での医薬品の使用の介助については、適正な管理が求められることから、下記について、貴管下老人福祉施設等への周知徹底及び指導方お願いします。

                記

1.老人福祉施設等を利用しようとする者に対しては、医薬品の使用の有無及び当該医薬品を処方した医療機関からの留意点等の説明の有無について、本人又は家族に確認するとともに、必要に応じて当該処方医療機関にも留意点等の確認を行うこと。また、医師、歯科医師又は看護職員の配置がある場合には、使用している医薬品に関して確認された内容について当該職員等は把握のうえ必要な対応を行うこと。

2.利用者に対して老人福祉施設等の職員が医薬品の使用を介助することになった場合には、その使用目的、取り違えその他の誤使用を防止する方策、適正に使用する方法等について、従業者に対し、改めて周知徹底すること。また、看護職員の配置がある場合には、医薬品の使用の介助については看護職員によって実施されることが望ましく、また、その配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきであること。

3.医薬品の使用の介助に当たっては、「医師法第17 条、歯科医師法第17 条及び保健師助産師看護師法第31 条の解釈について(平成17 年7月26 日付け・医政発0726005 号)」(別添1)や、また特別養護老人ホームについては平成24 年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金による「特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン」(別添2)を参考にすること。特に、医薬品の取り違えについては、利用者の入れ替わりや職員の入れ替わりなどで起きる可能性が高まることを踏まえて、日頃から職員の声かけなどにより、本人確認の徹底を行うこと。

4.老人福祉施設等において医薬品の誤使用が発生した際には、以下の対応を行うこと。
① 速やかに医療機関に連絡して、必要な対応について相談すること。
② 医薬品の誤使用が発生した原因を分析し、その再発を防止する観点から、当該老人福祉施設等の内部における情報の共有・注意喚起等必要な安全管理対策を講じること。

5.本通知でいう「老人福祉施設等」については、老人福祉法又は介護保険法に規定されている施設等であって、当該施設等の職員が利用者に対して医薬品の使用の介助を行うものが該当する。

6.また、居宅において医薬品の使用の介助を行う場合についても、本通知の趣旨を踏まえて、上記1~5を参考にすること。」



谷直樹


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by medical-law | 2015-07-28 03:47 | 医療