弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 07月 29日 ( 2 )

新潟大学医歯学総合病院,左右の眼内レンズ発注を取り違え,確認を怠り,白内障手術実施

新潟大学医歯学総合病院は,平成27年7月24日,下記の通り医療事故を公表しました.

「本院において、両眼の白内障手術を行った際に、度数が異なる左右の眼内レンズを取り違えて挿入してしまい、再手術を必要としたという事故が発生しました。

1 患者さまは、本県在住の80歳代の女性で、両眼の白内障手術を左右それぞれ別の日に施行しました。左眼は術後経過が良好だったため、左右の取り違えに気付きませんでしたが、続いて行った右眼の術後に患者さまから見え方が悪いとの訴えがあり、左右の取り違えが発覚しました。右眼のみ再手術を行い、患者さまはすでに退院され、外来で経過観察を行っています。

2 本院においてすみやかに医療事例審議委員会を開催し、原因の究明を行い、対策を検討しました。調査検討の結果、度数が異なる左右の眼内レンズを一緒に発注する際に、コミュニケーションエラーから、左右が間違って業者に伝わっていたことがわかりました。また、2回の手術とも、挿入を計画していた眼内レンズと、実際に準備した眼内レンズの照合確認が不十分だったことも判明しました。

3 これらの内容につきましては、患者さまご家族に説明するとともに謝罪しました。

4 今後は、挿入を予定している眼内レンズの種別等が正しく業者に伝わったことを業者からの返信で確認するとともに、手術の際にはカルテの情報に基づいて、挿入を予定していた眼内レンズと、実際に準備した眼内レンズの照合確認を徹底することで、再発防止に取り組んでまいります。」


昨年5月にも,神戸市立医療センター中央市民病院で70代の白内障患者に右目と左目のレンズの度数を逆にして眼球内に取り付ける医療事故が起きています.このときは,眼科医が手術前の検査結果を電子カルテに記入する際、レンズの度数を左右逆に記載した単純ミスによるものでした.
左右の取り違えを防止するためには,確認を徹底することが必要です.

谷直樹


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by medical-law | 2015-07-29 20:03 | 医療事故・医療裁判

高松高裁平成27年7月24日判決,MRI検査等不実施・誤診の病院に330万円賠償命令(報道)

高知市の近森病院の医師が,2007年に搬送された香美市の女性(当時89歳)に脳梗塞を疑うべき症状がありながらMRI検査などを実施せずてんかんと誤診した事案で,高知地方裁判所は請求棄却の判決を下しましたが,控訴審の高松高裁(吉田肇裁判長)は,平成27年7月24日,社会医療法人近森会に対し慰謝料30万円と弁護士費用30万円の損害賠償の支払いを命じたことが報道されています.
私が担当した事件ではありませんので,詳細は不明ですが,「医師がMRI検査などを実施していれば、脳梗塞の発症を回避するか、後遺障害が残らない、あるいは軽減された可能性が相当程度ある」(NHK)という報道もあり因果関係について相当程度の可能性を認めたかのようにもとれますが,過失を認め因果関係を否定し期待権侵害で300万円の慰謝料と30万円の弁護士費用を認めたもののようです.

最高裁平成23年2月25日判決(民集第236号183頁)は,「当該医療行為が著しく不適切なものである事案」について,「医師が,患者に対し,適切な医療行為を受ける期待権の侵害を理由とする不法行責任を負うことがある」ことを認めています.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-29 01:29 | 医療事故・医療裁判