弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 08月 02日 ( 4 )

神戸市立医療センター中央市民病院,旧型の人工関節と新型の骨を用いるミスを業者指摘で再手術(報道)

産経新聞「新旧の人工器具、誤って体内に埋め込む 神戸市立中央市民病院」(2015年7月31日)は,次のとおり報じました.

「神戸市民病院機構は30日、市立医療センター中央市民病院(中央区)で今年1月、右太ももを骨折していた県内の80代の男性患者に、誤って新型の人工骨と旧型の人工関節をつないで体内に埋め込む医療ミスがあったと発表した。

 形や大きさが微妙に異なる新旧の製品を組み合わせてはいけないことになっていた。男性は再手術で新型同士をつないで退院した。放置すれば将来、体内で外れて歩行困難になる恐れもあったという。

 同機構によると、人工の関節(約2センチ)と骨(約10センチ)は金属製。同病院では平成26年9月以降、同じメーカーの旧型を新型に徐々に入れ替えていた。

 医師はサイズの合う人工の関節と骨を確認して手術したが、新型同士かなどをチェックしていなかった。同機構は「新旧を組み合わせてはいけない認識が病院全体になかった」としている。」


毎日新聞「神戸・中央市民病院がミスで再手術」(2015年7月31日)は,次のとおり報じました.
 
「神戸市民病院機構は30日、市立医療センター中央市民病院(同市中央区)で、人工関節を埋め込む手術の際に部品を誤って用いたと発表した。手術後にミスに気付いて再手術し、部品を取り替えた。

 同機構によると、今年1月に80歳代の男性に対し、右足の付け根に人工骨や人工関節を埋め込む手術をした。同じメーカーの人工骨や人工関節を埋め込んだが、新型と旧型のものを合わせて使用。手術後に納入業者から、将来的に不具合が生じる可能性を指摘され、再手術で旧型の人工関節を新型に入れ替えた。

 病院では昨年9月から在庫を新型に移行している途中で、手術中、埋め込んだ人工骨に適する関節を選ぶ際に医師が旧型を選んだという。」


患者としては,手術のやり直しはたまりません.
互換性のない新しい製品には注意が必要です.
切り替え期間は要注意でしょう.

  谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村 」  
by medical-law | 2015-08-02 12:53 | 医療事故・医療裁判

神戸県立尼崎病院,体内の折れたドレーンを主治医が入れ替えたものと思い日直医が放置(報道)

神戸新聞「体内にドレーン放置 尼崎病院、手術で取り除く」(2015年7月29日)は,次のとおり報じました.

 「兵庫県病院局は29日、県立尼崎病院(尼崎市)で5月、80代男性患者の体内に塩化ビニール製のドレーン(管)を放置するミスがあったと発表した。

 同局によると、5月27日、悪性中皮腫を患った男性が緊急入院。翌日にドレーン(長さ35センチ)を胸に挿入し、体内にたまった水を抜く処置を行った。

 31日未明にドレーンが抜けているのを看護師が発見し、主治医に報告。その後、日直医がレントゲンを撮り、折れた一部(同17センチ)が体内に残っているのを見つけたが、主治医が新しく入れ直したものと思い込み放置したという。翌日、主治医が気付いて手術で取り除いた。男性に健康被害はなかったという。」


 医師の思い込みと,医師間の連携の問題が,この事態を招いたように思います.健康被害が生じなかったとはいえ,思い込みによって確認を怠り,医師間の連携がとれないと重大な医療事故が生じる危険がありますので,これを機会に体制の改善がはかられることを期待します.
 
谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-08-02 12:34 | 医療事故・医療裁判

神戸大学医学部附属病院,再使用禁止のカテーテルの一部を再使用していたことを公表

神戸大学医学部附属病院は,2015年7月,ホームページに「単回使用医療材料について」を掲載し,以下のとおり,使用禁止のカテーテルの一部を再使用していたことを公表しました.

「本年4月に、神戸大学医学部附属病院において、「再使用禁止」とされている医療材料(診断用電極カテーテル、治療用アブレーションカテーテル)の一部を初回使用後に滅菌処理し、一部の患者さまに再使用していたという事実が判明いたしました。

この件を確認後、直ちにこのように滅菌処理したカテーテルを回収、関係する診療科等に単回使用医療材料の取扱いの周知徹底及び再使用の中止を命じました。

現在、単回使用医療材料の再使用の実態調査と患者さまの健康被害等の調査を行っております。

現時点における調査結果では、感染症(肝炎ウイルス等)を有する患者さまに使用したカテーテルを再使用したという事実はなく、滅菌処理したカテーテルは1回のみの再使用で、その後すべて廃棄しておりました。また、カテーテルの滅菌処理は、決められた手順に沿って適切に行われており、現在のところ健康被害等の報告はございません。

本院といたしましては、改めて職員への注意喚起及び周知徹底を行うと共に、さらなる医療の質向上に向けて取り組んでまいります。」


 そもそも再使用禁止の認識がなかったのか,認識はあったけれども滅菌すればよいと思ったのか,原因,背景事情が明らかにされることを期待します.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-08-02 12:23 | 医療

松阪市民病院,肝臓ラジオ波焼灼術(RFA)施行後の死亡事故を公表

松阪市民病院は,2015年7月31日,ホームページで,「肝臓ラジオ波焼灼術(RFA)施行後の死亡事故」を次のとおり公表しました.

「事故発生場所:三重県松阪市殿町1550番地 松阪市民病院 病室
医療事故レベル5
患者:80歳代 男性
基礎疾患:心筋梗塞、糖尿病、末期腎不全
事故発生までの経過:上記治療のため入院中に肝細胞癌と診断された。
事故発生日時:平成27年3月

概要
RFA実施後血圧が低下したため抜針する。その後血圧が上昇したため検査室を退室した。心臓の動きに変化はなく、腹部超音波検査も施行し、腹水貯溜を認めるが出血ではないと判断した。帰室後約1時間経過時血圧低下、SPO2低下あり昇圧剤の使用、BiPAPによる呼吸サポートを開始した。血液検査Hb6.8mg/dl、再検査Hb8.0mg/dlであり出血は考えなかった。その後心肺停止となりRFA施行約11時間後に死亡された。

事故後の対応および再発防止策
死亡後病理解剖を施行した。腹腔内に約700mlの濃血性腹水が確認された。
医療安全管理委員会の開催および、「松阪市民病院医療事故判定委員会設置要綱」第1条に基づき、外部委員を指名し医療事故判定委員会を開催し事故について検証を行った。
その結果、坑血小板剤の服用が継続されていたこと、出血を腹水と判断したこと、早期に出血の可能性の診断が出来ていれば救命の可能性があったと思われる。

再発防止策としては、
1)RFA施行に関しては未だ統一されたガイドラインが存在しないが、プラビックス、コンプラビンなどの坑血小板剤使用時にはTAE(TACE)は行うがRFAを施行しないなどの手順を決める。
2)RFA施行時のトラブルに関して、あらかじめ検査などの手順を決めておく。
3)同意書に施行手技に基づく重大事故での死亡率なども記入する。
4)侵襲のある処置、検査などの場合は転科をすることで、より主体的に医師が関与していく。」



読売新聞「医療ミス遺族に1500万円支払い松阪市民病院」(2015年7月31日)は,次のとおり報じました.

「三重県松阪市は30日、市民病院で肝臓がんの手術を受けた県内の男性(当時82歳)が死亡する医療ミスがあり、遺族に1500万円を支払うことで22日に示談が成立した、と発表した。

 市によると、男性は今年1月、狭心症などで市民病院に緊急入院。肝臓がんが見つかったため、消化器内科の40歳代の男性医師が3月4日、がんを焼き切る手術をした。その後、焼き切った部分から約700ミリ・リットルの出血があったが、医師は腹水と判断。男性は容体が急変し、翌5日未明に死亡した。死因は腹腔内出血による出血性ショック。男性は狭心症の治療で、血液を固まりにくくする抗血小板薬を服用していたという。

 小倉嘉文院長は遺族に謝罪した上で、「病院側の判断ミスで申し訳ない。再発防止策を徹底し、市民の信頼に応えられるように努力したい」とした。」


朝日新聞「肝臓がん手術後、医療ミスで三重県内の男性死亡 松阪市民病院」(2015年7月31日)は,次のとおり報じました.

 「3月4日にがん細胞をラジオ波の電流で死滅させる手術後、心肺停止して翌5日に死亡し、いったんは心不全が死因と診断した。
 ところが解剖の結果、腹部内に約700ミリリットルの出血が確認され、死因をラジオ波手術による出血性ショック死と変更した。」



 私は,関東地方の或る大学病院におけるRFAの際の出血による死亡事故を担当していますが,報道の件は私が担当したものではありません.
 松坂市民病院の事案は,解剖の結果腹部内に約700ミリリットルの出血が確認され,死因が心不全から出血性ショックに変更され,医療事故を認識されました.解剖の重要性を痛感します.
 また外部委員を含む医療事故判定委員会で事案の解明につとめたことが,原因究明,再発防止,比較的早期の示談解決につながったと思います.

谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-08-02 11:48 | 医療事故・医療裁判