弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 09月 06日 ( 2 )

2015年度新聞協会賞(編集部門)

2015年度新聞協会賞(編集部門)は,「群馬大学病院での腹腔鏡手術をめぐる一連の特報」で読売新聞東京本社群馬大手術死問題取材班が受賞しました.

「閉鎖的な医療現場の壁を丹念な取材で突き崩し、先端医療をめぐる問題を明らかにした調査報道であり、社会に大きな影響を与えたスクープとして高く評価され、新聞協会賞に値する。」とのことです.

新聞協会賞は,斯界で最も権威ある賞です.
県内唯一の大学病院の白い巨塔に迫った一連の記事により,問題点が浮き彫りになり,改善の緒につくことができました.
受賞異議なしでしょう.
医療過誤に取り組む者として,私は,悪者叩きではなく,真にシステムの核心問題を衝き,改善・再発防止へつなげるものでなければならない,と思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-09-06 09:34 | 医療事故・医療裁判

福岡地裁久留米支部平成27年9月4日判決,絞扼性イレウスの治療の遅れによる死亡で4500万円賠償(報道)

朝日新聞「病院側の過失認め4500万円賠償を命令 福岡地裁久留米支部」(2015年9月 5日)は,次のとおり報じました.

「久留米市の新古賀病院に入院した女性(当時63)が死亡したのは医療過誤により早期の開腹手術を怠ったためだとして、夫(67)らが約6880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、地裁久留米支部であった。太田雅也裁判長は病院側の過失を認め、病院を運営する医療法人天神会と医師2人に対して計約4500万円を支払うよう命じた。

 判決によると、女性は2009年4月6日に入院。当初は急性胃腸炎と診断されたが、4月18日、絞扼(こうやく)性イレウス(腸閉塞〈へいそく〉)による敗血症で死亡した。

 判決は、主治医らは6日に実施したCT撮影などの検査結果や症状から、その日の午後には絞扼性イレウスである疑いが強いことが認識できたと判断。「これを看過した過失がある」と結論づけた。」


私は,今,絞扼性イレウスについて2件の訴訟を担当していますが,上記報道の件は私が担当したものではありません.
絞扼性イレウスは,突然発症しますが,壊死が進む前に開腹治療を行えば腸管を保存できますし,救命できます.消化器の医師には,症状(腹痛)と検査結果(CT,造影CT,血液検査の結果)から,絞扼性イレウスの確定診断前の強い疑いの段階で開腹手術にふみきらねばなりません.絞扼性イレウスは,まれな疾患ではありませんし,症状と検査結果から確定診断までは難しい場合でも強い疑いをもつことができるものです.絞扼性イレウスの見逃しは,医療過誤として責任が問われます.
この判決が,医療現場に対し,「絞扼性イレウスの治療遅れ」の警鐘となることを期待します.

谷直樹


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by medical-law | 2015-09-06 08:11 | 医療事故・医療裁判