弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 09月 26日 ( 1 )

横浜市立みなと赤十字病院の医療事故報道,病院に責任のある死亡事故

WSJ「止血不十分、70代死亡=市立病院の手術で—横浜」(2015年9月25日)は,次のとおり報じました.

「横浜市立みなと赤十字病院(同市中区)は25日、昨年12月に救急搬送された70代の男性患者が、内視鏡手術後に死亡する事故があったと発表した。手術中の出血への対応が不十分だったという。四宮謙一病院長は記者会見し、「男性が元気で帰った可能性もあり、病院の責任は重い」と陳謝した。

 同病院によると、男性は胆管炎などによる腹痛や吐き気を訴え、昨年12月17日に胆石摘出などの手術を受けた。手術中に出血し、医師が止血したが、18日未明からたびたび下血。出血性ショック状態になった。止血のため再手術を受けたが心肺停止状態になり、2月20日に敗血症で死亡した。

 同病院の医療事故調査委員会は、手術に問題はなかったが、輸血が遅れたなどと指摘。病院長は背景として、当直医と執刀医の間に連絡体制がなかったことを挙げた。

 遺族は「事前に防げた場面が何度もあるだけに悔しい。死が無駄にならないよう、病院は改善をしてほしい」とコメントを出した。[時事通信社]」


神奈川新聞「みなと赤十字病院が「不適切対応」と公表 男性患者死亡事故」(2015年9月25日)は,次のとおり報じました.

「同病院は「(容体の)評価に見誤りがあり,不適切な対応となった病院に責任のある死亡事故」として遺族に謝罪,すでに和解したという。」
「報告書では,最初の内視鏡手術での止血効果について慎重な確認を行うべきだったと指摘,また,下血などの状態から輸血の準備をもっと早くするべきだったとした。2回目の内視鏡手術については,全身の状態を観察するスタッフの役割が明確ではなく,容体悪化の発見が遅れたと結論付けた。患者遺族は弁護士を通じて「事前に防げた場面が何度もあり悔しい,少なくとも父の死が無駄になることのないよう病院はしっかり見直し改善してほしい」とコメントした。」


産経新聞「横浜市立みなと赤十字病院 内視鏡処置で死亡事故「不適切な対応あった」と謝罪」(2015年9月25日)は,次のとおり報じました.

「横浜市立みなと赤十字病院(横浜市中区)は25日、救急搬送された70代の男性患者が内視鏡を用いた処置を受けた後に容体が悪化、その後の対応が遅れたことなどで心肺停止となり、死亡につながったと明らかにした。四宮謙一院長は「患者管理に不適切な対応があった。心からおわび申し上げる」と謝罪した。

 同院によると、男性は昨年12月17日に腹痛などを訴えて緊急搬送され、総胆管結石による胆管炎と診断された。同日、内視鏡を用いた切開処置を受けたが、処置後の18日朝に失血性ショックとなり、切開箇所の止血を行う再処置中に一時心肺が停止。昏睡(こんすい)状態となって今年2月20日に敗血症・多臓器不全で死亡した。

四宮院長は25日の記者会見で、「手技(技術的)に問題はなかった」としたが、下血時に緊急輸血をせず、再処置中に男性の血液中の酸素濃度が低下する状態悪化にも気付かないなど、対応が遅れたとした。

 外部有識者などからなる事故調査委員会を立ち上げた同病院は8月31日、事故経緯について同委員会から報告を受け、遺族に謝罪。今月17日に遺族との間で和解が成立したという。」


TBS「内視鏡手術後に男性死亡、横浜の病院が謝罪」(2015年9月25日)は,次のとおり報じました.

「去年12月、横浜市の病院で内視鏡手術を受けた男性が、術後に出血が止まらず、死亡していたことがわかりました。病院は「より慎重な対応が必要だった」と謝罪しました。」
 「みなと赤十字病院は、「より慎重に患者の状態を観察をすれば防げた事故であり、今後は再発防止に努めたい」とコメントしています。」



東京新聞「横浜・みなと赤十字病院 内視鏡手術で患者死亡」(2015年9月26日)は,次のとおり報じました.

「横浜市立みなと赤十字病院(中区新山下)は二十五日、昨年十二月に救急搬送された七十代男性患者が内視鏡手術の後、止血や術後の経過観察が不十分だったことが一因で、今年二月に死亡する事故があったと発表した。外部有識者を含めた事故調査委員会で原因と再発防止策をまとめ、遺族に報告。既に和解が成立したという。

 男性は昨年十二月十七日に腹痛で搬送され、総胆管結石による胆管炎と膵炎(すいえん)と診断。すぐに、総胆管の出口を広げて結石の排出を促す内視鏡手術をした。

 手術から十四時間半後に容体が急変。輸血と、止血のため二回目の内視鏡手術をしたが、直後に心肺停止に。一命は取り留めたが植物状態になり、二月二十日に敗血症と多臓器不全で死亡した。

 二回の手術には計四人の消化器内科医が関わった。うち二人は指導的立場にあり、内視鏡手術には慣れていたという。

 調査委は内視鏡手術を採用した判断は妥当で、止血処置にミスはなかったとしたが、止血できたかどうか「慎重な確認を行う方が望ましかった」と指摘。二度目の手術後の対応では、「状態悪化の発見が遅れたことが問題」と結論づけた。

 今月、病院は遺族に謝罪し、再発防止策を報告。重症患者の手術の際、内視鏡を操作する医師以外に、患者の状態を把握する別の医師を配置するなどの対策を採るという。遺族の長男らは弁護士を通じ、「父の死が無駄になることのないよう、病院はしっかり見直し改善していただきたい」とコメントした。」




以上の報道は概ね正しいのですが,NHK「市立病院で不適切処置で死亡か」(2015年9月25日)だけはややミスリーディングのきらいがあります.「横浜市と病院は「医療ミスとは言えないが、止血や輸血への対応は慎重に行う必要があり、不適切な対応だった」としています。」と報じています。しかし,止血や輸血への対応が心肺停止の直接的な原因かが不明であるという意味でその点が結果と因果関係のある医療ミスとは言えないという趣旨の発言があったとしても,その後の2回目の内視鏡処置の際の患者モニタリングの懈怠が蘇生後脳症・死亡という結果に直接結びつく過失ですから,市・病院は本件事故が医療ミスではないとはしていない(医療ミスと認めている)はずです.
神奈川新聞が報じるとおり,本件は病院が「病院に責任のある死亡事故」として遺族に謝罪し和解した事案です.

【追記】

朝日新聞「手術の対応ミス、70代男性が死亡 横浜市立みなと赤十字病院」(2015年9月26日)は,次のとおり報じました.
 
 「横浜市立みなと赤十字病院は25日、昨年12月に救急搬送された70代男性の内視鏡手術で、対応にミスがありその後死亡する医療事故があったと発表した。病院側は責任を認め謝罪した。再発防止のため、重症患者の内視鏡手術では状態を観察する要員を配置するなどの改善策を取ったという。

 同院や市医療局によると、男性は昨年12月17日、胆管炎などで救急搬送され、内視鏡手術を受けた。しかし翌日の未明から出血がおさまらず、再手術後に一時心肺停止となり、今年2月20日、意識が戻らないまま死亡したという。

 病院が設置した外部委員を加えた事故調査委員会は報告書で、最初の手術の止血では慎重な確認を行うべきだった▽2度目の手術の際には、容体の悪化に早く気づくべきだった――などと指摘した。市医療局の加藤利彦病院経営部長は「それぞれの段階で判断がきちんとできていれば防げたのではないか」と述べた。

 男性の遺族は弁護士を通じ、「病院の管理体制や教育の部分に不安を感じる。父の死が無駄になることのないよう、改善してほしい」とするコメントを出した。」





谷直樹


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by medical-law | 2015-09-26 02:52 | 医療事故・医療裁判