弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2016年 01月 15日 ( 1 )

宮崎地裁平成28年1月13日判決,小林市立病院の超速効型インスリン製剤投与後低血糖死で賠償命じる(報道)

読売新聞「低血糖による意識障害で患者死亡、病院過失認め賠償命令」(2016年1月14日)は,次のとおり報じました.

「宮崎県の小林市立病院に入院した同市の男性(当時60歳)が低血糖による意識障害で死亡したのは医師が血糖値管理を怠ったためとして、遺族が市に約3890万円の損害賠償を求めた訴訟で、宮崎地裁(末吉幹和裁判長)は13日、病院側の過失を認め、市に約2480万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、男性は2005年7月22日に受診。血糖値が高かったため、医師から超速効型のインスリン製剤を投与され、入院した。午後9時の計測では血糖値が低下していたため、医師は血糖値の次の測定は23日朝でよいと看護師に指示。しかし、男性は同日早朝、昏睡状態に陥り、06年11月24日に死亡した。」


本件は私が担当したものではありませんので具体的な製剤,投与量と投与時刻,午後9時の血糖値などが分かりませんが,上記報道で知る限り,超速効型のインスリン製剤を投与後の血糖値検査の判断を誤った事案ではないかと考えられます.
超速効型インスリン投与の場合は1800 ルール,すなわち,1単位の注射で3時間30 分後に1800÷TDD(1日必要総インスリン)血糖が下がるとされていますが,同じ超速効型のインスリン製剤でも,メーカーにより発表されている作用発現時間,最大作用時間は若干異なりますし(最大作用時間は,ヒューマログとアピドラでは0.5~1.5時間ですが,ノボラピッドでは1~3時間です.),インスリンの吸収速度に影響する要因はいろいろとあり,実際の効きには個人差がありますので,インスリンが急速に吸収されると低血糖症状が発現しやすくなることから,症状の観察と血糖値の計測が必要です,眠っている患者の症状は観察しにくいので(眠っている患者はめまい等を訴えませんし,睡眠と昏睡は見分けにくい),起こして血糖値を計測すべきだったのでしょう.


谷直樹


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by medical-law | 2016-01-15 01:28 | 医療事故・医療裁判