弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2016年 01月 23日 ( 1 )

『荒地の恋』

毎週土曜日午後10時から WOWOWで『荒地の恋』が放映されています.
原作はねじめ正一氏の小説『荒地の恋』です.

弁護士高田安之助氏の息子の彫刻家高田博厚氏の娘の和子氏は,詩人田村隆一氏の4番目の妻でした(ちなみに,田村隆一氏は5回結婚し,1番目は詩人・評論家鮎川信夫氏の妹康子氏,2番目は作家福島正実氏の従姉妹信子氏,3番目は詩人谷川俊太郎氏と離婚した詩人岸田衿子氏でした)。

田村和子氏は,「小さな誤解から小さなさざ波になり、やがてそのうねりが大波そして嵐に変化していったのだ。あの頃は太郎さんのお宅、そして我が家も大海原に弄ばれる小さなボートだったのではないだろうか。」と書いています(タローさんとサブロー).

「太郎さん」とは,詩人の北村太郎(本名;松村文雄)氏のことです.
鎌倉の精神病院に入院した田村和子氏を足繁く見舞ったのは,夫田村隆一氏ではなく、北村太郎氏でした.
北村太郎氏と田村和子氏の禁断の恋は有名です.

田村隆一氏,鮎川信夫氏,北村太郎氏らは,昭和22年,詩誌『荒地』を創刊しました.
これが戦後日本の詩の出発点です.
鮎川信夫氏は昭和61年に脳出血で亡くなり,北村太郎氏は多発性骨髄腫を患い平成4年に腎不全で亡くなり,田村隆一氏は平成10年に食道癌で亡くなりました.

北村太郎氏の『雨』の冒頭は次のとおりです.

春はすべての重たい窓に街の影をうつす。
街に雨はふりやまず、
われわれの死のやがてくるあたりも煙っている。


田村隆一氏は,『四千の日と夜』で次のとおりうたいました.

一篇の詩を生むためには、
我々はいとしいものを殺さなければならない
これは死者を甦らせるただひとつの道であり、
我々はその道を行かなければならない


鮎川信夫氏の『繁船ホテルの朝の歌』の冒頭は次のとおりです.

ひどく降りはじめた雨のなかを
おまえはただ遠くへ行こうとしていた
死のガードをもとめて
悲しみの街から遠ざかろうとしていた



ドラマ『荒地の恋』は,三田村和子役を鈴木京香さんが,三田村隆一役を松重豊さんが ,北沢太郎役を豊川悦司さんが,北沢治子役を富田靖子さんが,有川信夫役を田口トモロヲさんがそれぞれ演じています。
いずれも演技派の俳優で,年齢のバランスもよく考えられた布陣です.

レトロな時代背景に,純文学独特の雰囲気があふれており,別世界を覗く非常に怖いドラマになっています.



谷直樹


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by medical-law | 2016-01-23 18:07 | 趣味