弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2016年 04月 17日 ( 1 )

厚労省、病院の耐震改修状況調査の結果順調に推移とのことですが

厚労省は、平成28年4月13日、平成27年の災害拠点病院等の耐震化率は84.8%と、順調に推移している、と発表しました.

「平成27年調査結果のポイント】
○ 病院の耐震化率は、69.4%(平成26年調査では67.0%)
○ このうち、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院及び救命救急センターの
耐震化率は、84.8%(平成26年調査では82.2%)

国土強靱化アクションプラン2015(平成27年6月16日国土強靱化推進本部決定)において、平成30年度までに災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率を89.0%とする目標を定めています。(平成28年度には耐震化率 87.8%となる見込みです。)」


確かに目標達成に近づいていますので、順調と発表したのでしょう.
この発表の翌日に熊本で地震がおき、熊本市民病院(500床)の天井が落ち、避難することとなったのは周知のとおりです.

毎日新聞によると「市は15年度に12階建て免震病棟を着工する計画だったが、133億円だった建設費の見積もりが資材高騰などで209億円に膨らみ、大西一史市長が昨年1月に着工延期を表明した。」とのことです.
たしかに209億円は多額ですが、着工が遅くなって高くなったから延期するというのでは、さらに高くなり悪循環でしょう.

そもそも、災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率が100%でなくてよい,達成も先でよい,という目標設定が問題でしょう.

政府は、緊急事態条項がないことを問題にしていますが、緊急事態条項がないことで具体的にどのような不都合があったというのでしょうか.
病院の耐震化は、改憲より急ぐべき課題と思います.

熊本や八代には何度も足を運びましたから、熊本や八代の今の状況は大変気がかりです.
報道をみると、車中泊避難者が少なくないようで、 深部静脈血栓症・肺塞栓・エコノミークラス症候群も心配です.

【追記】

読売新聞「4医療施設で建物損壊の危険、7施設で連絡不能」(2016年4月17日)は「熊本市民病院など4施設が建物損壊の危険があり、東熊本病院など30施設が電気、水道、ガスの供給が困難になっている。連絡の取れない施設も7か所ある。」「熊本県内の人工透析94施設のうち、少なくとも27施設で透析ができなくなった。」と報じました.

西日本新聞「熊本地震 市民病院被災周産期医療に打撃 妊婦年100人県外搬送へ」(2016年5月1日 )は、次のとおり報じました.

「熊本地震で熊本市民病院(同市東区)の総合周産期母子医療センターが損壊したため、年間150人近く、高度な医療措置が必要とされる妊婦や新生児の受け入れが困難になり、福岡などへの県外搬送を余儀なくされることが関係者の試算で分かった。同センターは熊本県における周産期医療の中核施設。全国的に産科医や新生児集中治療室(NICU)の不足が慢性化しており、九州全域への影響も懸念される。

 胎児の異常や切迫流産などに24時間対応でき“最後の砦(とりで)”と呼ばれる「総合周産期母子医療センター」が災害で機能不全に陥ったのは全国で初めてという。同病院新生児内科部長の川瀬昭彦医師は「一刻も早く新築するしかないが、数年かかる可能性もある。妊婦受け入れなど九州全体に影響が出かねない。周産期医療に限れば、東日本大震災以上に深刻だ」としている。

 同病院によると、4月16日の「本震」による震度6強の揺れで建物が損傷し、入院患者が退避。同センターも入院診療が不能となり、入院していた新生児38人のうち17人が県内、21人が福岡、佐賀、宮崎、鹿児島各県へ搬送された。

 同病院は低出生体重児や重病の新生児42人が入院でき、熊本県内で唯一、九州でも4カ所しかない新生児心臓手術ができた。昨年はハイリスクの妊婦約200人と先天性心疾患の新生児58人を県内外から受け入れた。

 県内の医療従事者でつくる熊本地震新生児医療連絡会で示された試算では、同病院の被災により、県内の新生児病床は113床から71床に減少。県内で年間100人近くの妊婦と重症新生児50人前後の受け入れが困難となり、福岡県などに搬送される見通しという。

 一方、九州で最も産婦人科施設が多い福岡都市圏でも、重症新生児らの受け入れ要請を断らざるを得ない事例は日常的。福岡県が県内のセンター7施設などを対象に行った調査では、2012年11月から3カ月間、324件の受け入れ要請のうち67件(21%)を断っていた。同県産婦人科医会の長野英嗣常任理事は「九州各県の施設が連携して長期的に支援する必要がある」と話す。

 出産前後の周産期医療の中核として、通常の産婦人科で対応できないハイリスクな母子を主に受け入れる施設。母体胎児集中治療室(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)を備えた大学病院や大規模病院を対象に、都道府県が指定する。厚生労働省によると、2015年4月現在、全国では104施設、九州7県では福岡7▽熊本2▽佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島各1-の計14施設がある。」



谷直樹


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by medical-law | 2016-04-17 01:31 | 医療