弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2016年 08月 04日 ( 2 )

井上弘通氏が大阪高裁長官に

大阪高裁長官の菅野博之氏が最高裁判事に任命されたため,後任の大阪高裁長官には,東京高裁部総括判事の井上弘通氏(司法修習29期)があてられることになりました.発令は9月5日です.最高裁刑事局が長く,最高裁上席調査官を経ていますので,順当な人事でしょう.九州大学卒の長官は珍しいですが.
なお,後任の東京高裁部総括判事には,現前橋地裁所長の合田悦三氏が,後任の前橋地裁所長には,現東京地裁部総括判事の八木一洋氏が,それぞれあてられます.
合田悦三氏も,最高裁刑事局が長い判事です.
八木一洋氏は,東京地裁交通部,東京地裁行政部,内閣法制局参事官,司法試験考査委員などを歴任しています.

これで高裁長官の異動はこれで一段落し,次のとおりとなりました(高裁格順).

東京高裁長官 戸倉三郎氏(34期)
大阪高裁長官 井上弘通氏(29期)
名古屋高裁長官 原優氏(31期)
広島高裁長官 川合昌幸氏(29期)
福岡高裁長官 荒井勉氏(29期)
仙台高裁長官 河合健司氏(32期)
札幌高裁長官 綿引万里子氏(32期)
高松高裁長官 小久保孝雄氏(33期)


谷直樹


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by medical-law | 2016-08-04 12:10 | 司法

広島地裁福山支部平成28年8月3日判決,陣痛促進剤過量投与帝王切開遅れを認定し賠償命じる(報道)

山陽新聞「院長の陣痛促進剤過剰投与は過失 地裁福山、1.4億円賠償命令」(2016年8月4日)は次のとおり報じました.

 
「福山市新涯町の産婦人科医院「よしだレディースクリニック」で2008年に出産した際、陣痛促進剤の過剰投与により、長男(8)が障害を負ったとして、福山市の両親と長男が同クリニックの吉田壮一院長に約1億5200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁福山支部は3日、「慎重に投与する義務を怠った」などと吉田院長の過失を認め、約1億4200万円の支払いを命じた。

 判決理由で古賀輝郎裁判長は、使用上の注意事項を守らずに一度に多くの量を投与したと認定。薬の増量後に胎児の心拍数が低下したのに適切な処置を施さず、それにより長男は少なくとも約3時間半、低酸素状態が続き、仮死状態で生まれて脳性まひによる障害が残ったと判断した。

 「順調に分娩(ぶんべん)を進行するため」として、請求棄却を求めていたクリニック側の主張は「合理的理由があるとは認められない」と退けた。

 判決によると、吉田院長は08年6月、陣痛促進剤の注意事項に可能な限り少量から始めるなどとあったにもかかわらず、最初から用量を超えて投与。長男は脳性まひによる体幹機能障害を負った。

 父親(37)は「ほぼ主張が認められ良かった。私たち家族と同じような事例が無くなればうれしい」。同クリニックは「判決内容を確認していないのでコメントできない」としている。


朝日新聞「「出産時の過失で脳性まひ」医師に1億4千万円賠償命令」(2016年8月4日)は次のとおり報じました.

「分娩(ぶんべん)時に適切な対応を取らなかったため、脳性まひになったとして、広島県福山市に住む30代の両親と長男(8)が、市内の産婦人科クリニックの医師に損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、広島地裁福山支部であった。古賀輝郎裁判長は医師の過失を認め、計約1億4200万円の支払いを命じた。

 長男は2008年、新生児仮死の状態で生まれ、蘇生後に低酸素脳症に陥り、脳性まひと診断された。訴訟では分娩時に投与された陣痛促進剤の量が適切だったかや、緊急帝王切開などの処置を取るべきだったかが争われた。

 判決は、陣痛促進剤の過量投与は胎児仮死が起こる恐れがあるのに、医師は理由なく使用上の注意事項に反するなど慎重に投与すべき義務を怠ったと判断。さらに心拍数を示す波形が悪化したのに帝王切開などをしなかったとし、注意義務違反と脳性まひに因果関係があるとした。

 判決を受け、父親は「今後このような事例がなくなってほしい」と述べ、クリニックの担当者は「判決内容を確認していないのでコメントできない」としている。」


この件は,私が担当したものではありません.
2008年の出生ですから,産科医療補償制度の適用のない事案ですから.産科医療補償の3000万円が損益相殺されません.そのため約1億4000万円の賠償が命じられたわけです.
判決が確定し,判例雑誌等に掲載されたら,是非,判決文を読んでみたいと思います.


 谷直樹


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by medical-law | 2016-08-04 07:14 | 医療事故・医療裁判