弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 01月 29日 ( 1 )

名地判平成29年1月27日,バリウムを腟に注入した事案で春日井市民病院と医師に約547万円の賠償命令

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朝日新聞「バリウムを誤注入 病院側に賠償命令 愛知・春日井」(2017年1月28日)は,次のとおり報じました.

「春日井市民病院(愛知県春日井市)に入院中、X線検査用のバリウムを誤って膣内などに注入され、腹痛などの後遺症が残ったなどとして、入院患者だった女性(79)が市と担当医師に損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、名古屋地裁であった。朝日貴浩裁判長は腹痛はミスによる後遺症と認め、市と医師に計約547万円の支払いを命じた。」

これは,私が担当したものではありません.
報道によると,実際に注入したのは看護師ですが,指導した医師の賠償責任が認められています.
食道と気管支を間違えるのと同様に,肛門と腟を間違えるのは,注意義務違反(過失)です.注意義務違反(過失)は前方視的判断ですが,間違えてはならないものを間違えるのは,そのこと自体で注意義務違反(過失)が推認され,特段の事情の立証(その立証は実際上考えられませんが)がない限り,注意義務違反(過失)が認められます.
判決は,腹痛との因果関係を認めた点と損害の評価の点で意義があります.今後同種事案があるとはあまり考え難いですが,あった場合はこの判決が参考になります


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-29 06:39 | 医療事故・医療裁判