弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 03月 20日 ( 3 )

名古屋地裁平成29年3月17日判決,てんかん治療薬投与の適応を認め,説明義務版を認める(報道)

b0206085_573174.jpg中日新聞「てんかん薬後遺症、病院側に賠償命令 名古屋地裁「説明不十分」」 (2017年3月17日)は,次のとおり報じました.

「めまいの治療に依存性の高いてんかん治療薬を使用され、重い後遺症に苦しんだなどとして、名古屋市緑区の会社員多田雅史さん(59)が、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)に約1億6千万円の賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は17日、副作用のリスクなどの「説明義務違反があった」として約117万円を支払うよう命じた。

 判決理由で朝日貴浩裁判長は「投薬の有効性や長期服用による依存の可能性を十分に説明したとはいえない」と指摘。てんかん治療薬の投与については「医学的に相応の合理性があった」として、センター側の注意義務違反を認めなかった。

 判決によると、多田さんは2004年、めまいを訴え同センターを受診。てんかん治療薬の服用を1年以上続けたが、めまいは完全にはなくならず、別の病院で薬物依存症と診断された。

 多田さんは「投与についてセンターの責任を認めなかった不当な判決」と述べ、控訴する方針。同センターは「主張が一部認められず遺憾。判決内容を検討し、今後の方針を決めたい」とコメントした。」


これは,私が担当した事件ではありません.

適応義務違反は,一般に,裁判所がなかなか認めない,ハードルの高い過失ですが,控訴審裁判所(名古屋高裁)の判断に注目したいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-03-20 04:59 | 医療事故・医療裁判

中津市民病院,首の腫瘍を取り除く手術の際肩の神経の一部を切断し後遺症が残った事案で560万円賠償

b0206085_4272046.jpg大分放送「中津市民病院の患者に損害賠償支払いへ」(2017年3月17日)は,次のとおり報じました.

「中津市は市民病院で医療ミスがあったとして、患者に560万円の損害賠償を支払う追加議案を17日市議会に提出しました。中津市によりますと、2015年9月中津市民病院で患者の首の腫瘍を取り除く手術を行った際、肩の神経の一部を切断しました。病院側は、事前に手術の影響でしびれや痛みなどが起きる可能性を説明しましたが、腕に想定以上の機能障害が発生しました。患者はリハビリ後も左肩にしびれなどの後遺症が残ったままということです。市は「患者に肉体的精神的苦痛を与えた」として、560万円の損害賠償を支払う方針を示し、17日の市議会で追加議案を上程しました。」

報道の件は,私が担当したものではありません.

手術により痛み,しびれが起きること自体は回避できませんので,「合併症」という言い方がされることがあります.具体的な痛み,しびれの部位,程度によっては,それが回避できない合併症の範疇に入るか否かは検討の余地があります.



谷直樹

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by medical-law | 2017-03-20 04:28 | 医療事故・医療裁判

東京慈恵会医科大学附属病院が画像診断書を確認せず患者が死亡した件で遺族らが再発防止を要望

b0206085_3532194.jpg日本経済新聞「画像診断見落とし患者死亡、国に再発防止を要請 遺族ら」(2017年3月17日)は,次のとおり報じました.

「東京慈恵会医大病院で肺がんの疑いがあると指摘された男性(2月に死亡)の画像診断書が約1年間放置された問題で、医療事故の遺族らでつくる市民団体「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」が17日、厚生労働省に再発防止に取り組むよう要請した。

 男性は2015年10月に受けたコンピューター断層撮影装置(CT)検査で肺がんの疑いがあるとされた。だが、主治医は画像診断書を十分に確認せず肺がんの疑いがある事実を見落とした。昨年10月の再入院で肺がんと判明するまで治療がなされず、男性は2月に亡くなった。同病院もミスを認めている。

 要請後に記者会見した連絡協議会の宮脇正和さん(67)は「医療従事者は、見落としなどのケアレスミスが重大事故につながるということを肝に銘じ、医療安全に対する意識を高めて共有してほしい」と強調した。

 男性の長男(30)も会見に同席し、「遺族を社会的に支援する枠組みも必要」と主張。男性は05年に別の病院で点滴用カテーテルの誤挿入後に妻を亡くしており、長男は「両親の犠牲を無駄にしないためにも、単純な医療ミスをなくすための取り組みを強化してもらいたい」と語った。」


報道の件は,被害者は知人ですが,私が担当しているものではありません.

がんの疑いがあるという画像診断はそれほど多いものではありません.
そのような画像診断があった場合,自動的に患者に要精密検査の通知が送られるようにする,直接主治医に伝えるようにするなどの対策が必要でしょう.
がんの疑いがあるという画像診断とがんの疑いがないという画像診断が同じ扱いであるのは誤っていると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-03-20 03:57 | 医療事故・医療裁判