弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 04月 20日 ( 2 )

静岡市立清水病院,医療事故による患者の体力低下を認め,3か月後の死亡との因果関係を認める(報道)

b0206085_1542623.jpg朝日新聞「医療ミスで死亡、高齢患者遺族に賠償 静岡市立清水病院」(2017年4月20日)は,次のとおり報じました.

「静岡市は19日、市立清水病院(清水区宮加三)で医療ミスがあり、亡くなった患者の遺族に賠償金2200万円を支払うことで合意したと発表した。

 昨年3月、清水区に住む膀胱(ぼうこう)結石の男性患者(当時91)を手術した際、尿道を広げる金属製器具で過って大腸を傷つけた。このため、開腹手術し、人工肛門(こうもん)を設けた。患者は血圧の低下など一時危険な状態になったが回復し、一般病棟に入院中の6月に肺炎で死亡した。

 病院側は「医療ミスにより、患者の体力低下を招いた」として、死亡との因果関係を認めて遺族に謝罪、賠償金の交渉をしていた。26日に開かれる臨時議会に賠償金を盛り込んだ補正予算案を提案する。

 藤井浩治病院長は「ご遺族に深くおわびする。事前検査や装置を活用した手術中の確認などでより安全な手術方法を選択し、再発防止に努める」とのコメントを出した。「


これは,私が担当した事件ではありません.
91歳男性患者について医療事故と事故後3か月後の死亡との因果関係を認めた例として参考になります.


谷直樹

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by medical-law | 2017-04-20 15:31 | 医療事故・医療裁判

WHO,投薬ミスによる損害が年間420億ドル,医療費の1%

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世界保健機関(WHO)は,先月,薬の処方や服用のミスによる損害が年間420億ドル(約4兆7千億円)で,医療費の1%に当たるという試算を公表し,投薬ミスによる損害を半減させる取り組みを開始したとのことです.

日本経済新聞「投薬ミスで年4兆円超損害 WHO、半減目指す」(2017年3月30日)は,次のとおり報じました.

「ミスは医療従事者の疲労やスタッフ不足、訓練の不十分、さらに患者の知識不足などが原因で、いずれも防止可能と強調した。

 特に誤って使用した場合、害となる危険性の高い薬の取り扱いや、さまざまな疾患で複数の投薬を受けている患者の扱いが鍵になるとして各国に早期の対策を求めた。」


薬についての医療事故,医療過誤は多く,私は,つねに複数の投薬ミス事件を担当してきました..
例えば,
①公立病院で,腸閉塞の疑いのある患者に大腸検査前処置用下剤を投与した後,診察することなく,経口腸管洗浄剤を投与した事件(投与後死亡),
②個人病院で,無痛分娩のための麻酔薬投与後の患者観察を怠った事件(投与後遷延性意識障害),
③総合病院で,添付文書に反した方法で過大な量の硫酸マグネシウム製剤を投与した事件(投与後遷延性意識障害),
④大学病院で,別の患者のために用意された薬を投与した事件(投与後死亡),
⑤入院設備のない個人医院で,日帰り手術を実施し高齢者に呼吸抑制作用のあるペンタゾシンとミダゾラムを投与した事件(投与後死亡)
⑥総合病院で,医師がリバーロキサバン再開指示を忘れ,患者が脳梗塞を発症した事件

などがあります.
投薬による医療過誤の事件は,示談で解決することも少なくありません(上記②・④・⑥は解決済み)が,過失は明らかでも,死亡または遷延性意識障害との因果関係が不明であるという理由で賠償義務を否定され,裁判になることもあります(上記①はこれから提訴,上記③・⑤は係争中).

私は,医療過誤事件について,賠償を求めるのみならず,事故の公表を求め,再発防止の策定を促すことを意識的に追求してきました.
とくに,投薬による医療過誤については,その気になって再発防止に努めれば,有効な再発防止が可能分野の一つだと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-04-20 08:56 | 医療事故・医療裁判