弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 05月 24日 ( 2 )

高知市の医療法人西武クリニックの偽医師事件で2人逮捕(報道)

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FNN「100人超に整形手術 偽医師逮捕」(2017年5日23日)は,次のとおり報じました

「医師免許を持っていないのに美容整形手術をしたとして、61歳の偽医師と、クリニックのオーナーが逮捕された事件で、偽医師の男は、容疑を認めていることがわかった。
医師法違反の疑いで逮捕されたのは、高知市の医療法人「西武クリニック」の職員●●容疑者(61)と、オーナーの△△△△容疑者(71)。
警察によると、2人は共謀し、2016年2月、高知市の女性に対し、医師免許がないのに麻酔注射を打ち、二重まぶたの整形手術を行った疑いが持たれている。
●容疑者は逮捕前、FNNのカメラの前で、「(医師免許が必要な手術をした?)しました。(何人に?)100人以上。(整形手術の技術はどこで?)見よう見まねで覚えた」と語っていた。
森容疑者は、事務員として働いていた愛知・名古屋市の病院での経験を基に、高知市のクリニックで、10年間で100人以上に美容整形手術をしたと語った。
調べに対し、●容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、△△容疑者は「全く知りません」と否認している。 (高知さんさんテレビ)」


これは私は担当した事件ではありました.
偽医師が10年も発覚なかったのは驚きです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-05-24 12:42 | 医療事故・医療裁判

名古屋大学医学部附属病院,10年前に作成した頚部手術後管理ガイドラインが共有されず患者が死亡(報道)

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朝日新聞「甲状腺の手術後に患者窒息死 術後の対応ミス 名大病院」(2017年5月24日)は,次のとおり報じました.

「名古屋大学病院(名古屋市昭和区)は23日、甲状腺がんの手術翌日に患者が死亡する医療事故があったと発表した。過去にあった同様の死亡事故を受け、手術後の対応を定めた院内ガイドラインがあったが、徹底されていなかった。石黒直樹病院長は「組織として教訓が生かされていないのは全く情けなく、本当に申し訳ない」と陳謝した。

 名大病院によると、患者は三重県在住の20代男性。2015年7月に甲状腺を摘出し、右の頸部(けいぶ)リンパ節を取り除く手術を受けた。

 手術翌日の午前7時ごろ、患者の首に腫れがあると看護師から連絡を受け、執刀医とは別の専門医が診察。聴診や触診などで術後の浮腫と判断し、経過観察とした。その際、ガイドラインで挙げている超音波検査や、手術の傷口を一部開けて出血状態を確認するなどの対応をしなかった。

 患者はその約1時間50分後に呼吸困難を訴え、心肺停止。蘇生措置が行われたが死亡した。術後に首の内側で起こった出血で血腫ができ、気道が塞がれたことによる窒息が死因だった。出血部位は分からなかったという。

 名大病院では1983年と06年にも、首の手術後にできた血腫を見落とし患者が死亡。07年にガイドラインをまとめ、関連部署に閲覧を指示していた。しかし、担当科の医師の多くが専門外の医師向けのものと誤解し、読んでいなかったという。名大病院は、手術には問題なかったが、ガイドライン通りに対応していれば防げたとして、医療事故と結論づけた。」


読売新聞 「名大病院 手術翌日 男性死亡」(2017年5月24日)は,次のとおり報じました.

「発表によると、患者は同病院で15年7月、甲状腺乳頭がんを切除する手術を受けた。手術翌日の午前6時頃、首がはれているのがわかったが、乳腺・内分泌外科の当直医は炎症と判断して経過観察とした。患者はその後、呼吸困難を訴え、内出血による窒息状態で死亡した。同病院の調査委員会は手術自体に問題はなかったとする一方、マニュアルでは、はれが見つかった場合は縫合した傷口を開き、血腫の有無などを確認するよう求めていたとして、当直医の対応を不適切と認定した。当直医は手術には加わっていなかったという。

 マニュアルは、同種の医療ミスが1983年と2006年にあったことを重く見て07年、乳腺・内分泌外科主導で作成されていた。調査委の聞き取りに対し、当直医ら同科の医師は「自分たちは専門家なので、精読の必要はないと思っていた」と話したという。」


これは私が担当した事件ではありません.
頚部手術管理ガイドラインが策定されていた名大病院で頚部手術後の管理にあたる医師は,同病院の頚部手術管理ガイドラインをよく読む注意義務があります.
医療事故をふまえて10年前に乳腺・内分泌外科主導でガイドラインが作成されていたのですが,1現在の乳腺・内分泌外科の医師はそれをよく読んでいなかったとのことですので,注意義務違反にあたるでしょう.
同ガイドラインを読んでそのとおり行っていれば,患者の死亡は防止できたのですから,注意義務違反と患者の死亡との間に因果関係があります.
院内で策定されたガイドライン,マニュアルが守られず,そのために医療事故が起きることがしなしばあります.ガイドライン,マニュアルを周知徹底することが必要です.
ちなみに,仮に同ガイドラインがなかったら責任を問われない,というわけではありません.同種の医療事故があったことは予見可能性があったことを意味し,それに対する防止対策(ガイドライン,マニュウアル作成など)をとらなかったとすれば,その不作為で責任を問われる可能性があります.報道では具体的事実の詳細がわかりませんが,術後出血を疑って検査する義務がなかったとは言い切れません.
なお,名大病院が事故調査結果を公表し,謝罪したことは,評価できます.

谷直樹

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by medical-law | 2017-05-24 07:49 | 医療事故・医療裁判