弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 08月 11日 ( 1 )

大阪府和泉市のクリニックの医師が無痛分娩事故で業務上過失致死で書類送検(報道)

毎日放送「無痛分娩相次ぐ事故 背景に産科医療の根本的問題?」(2008年8月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医院で31歳の女性が無痛分娩で出産した後死亡した問題で、警察は院長の男性医師を書類送検する方針を固めました。「無痛分娩」をめぐっては妊婦が死亡するケースが相次いで発覚していますが、その背景には日本の産科医療の根本的な問題がありそうです。

 今年1月、大阪府和泉市の「老木レディスクリニック」で、31歳の女性が麻酔で陣痛を和らげる「無痛分娩」で出産中に意識を失いました。子どもは帝王切開により無事に生まれましたが、女性は10日後に死亡しました。女性は当時、局所麻酔の影響で呼吸ができない状態に陥っていました。

 捜査関係者によりますとその際に、担当した院長の男性医師(59)は気道を確保するために挿管チューブを通すなど適切な処置を怠った疑いがあるということで、警察は男性医師を業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。

 Q.毎日放送ですが無痛分娩の件でお話を伺いたいんですが
 「・・・」

 MBSの取材に対し医師は無言で立ち去りましたが、代理人を通じて「必要な措置は取り続けた」と話しています。

 無痛分娩をめぐっては、京都や神戸などでも妊婦が死亡したり重い障害を負う事故が相次いで発覚しています。妊婦からは不安の声があがっています。

 「事故のニュースとか見たりして何が起こるかわからないなと。それだったら痛い思いをして産んだ方がいいなって思います」(妊婦・妊娠8か月)

 しかし、お産の専門家は無痛分娩そのものが危険なのではないといいます。課題は、日本の医療機関の態勢にあると話します。

 「一般に無痛分娩が非常にリスクの高い医療行為かというと、普通の医療行為の一つ。あらゆる医療行為に低いながらも大きな事故が起こるリスクはありますので、そのリスクが起こったあとにどのようなことができるかが問題」(大阪大学大学院医学系研究科 木村正教授)

 欧米では大きな病院で出産するケースが多く、麻酔科医や産婦人科医、新生児科医らがユニットを組んで複数の親子のお産やその後のケアにあたります。一方、日本では小さな診療所でのお産が多いために、麻酔からその後のケアまで少ない人数で対応しているのが現状で、非常時の対応力が不足しているというのです。

 実際、妊婦が死亡した「老木レディスクリニック」でも、担当医師は院長1人だけでした。

 「誰に何が起きるかわからないので、それだけの人数(多人数)が常に病院内にいるようにしましょうというのが、多くの国の考え方です」(大阪大学大学院 木村正教授)

 全体の6割が診療所で行われているという無痛分娩。医師による適切な処置はもとより、態勢の抜本的な見直しも求められています。」


この大阪府和泉市のクリニックの件は,私が担当したものではありません.
仮に蘇生の処置に問題があったとしても,医師個人の刑事責任を問うだけでは,事故の再発は防止できないと思います.
無痛分娩を安全に実施するためにはそれ相応の医療体制が必要です.
無痛分娩事故の再発防止のためには産科医療体制の充実を実現しなければならない,と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-08-11 09:44 | 無痛分娩事故