弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 08月 18日 ( 2 )

デイリー新潮,あくまで、体制が整っていない病院での無痛分娩が危険であるという話

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デイリー新潮「無痛分娩は本当に高リスク? フランスで出産した女性「無痛分娩は、“産まれてからの日々のスタート”のためにある」」(2017年8月18日)は,「長い痛みに苦しまず出産した母親は、すぐに子供を笑顔で抱きしめる余力を持てる。無痛分娩は、“産まれてからの日々のスタート”のためにあるのです」というフランスの医師の言葉を,高崎順子さんの『フランスはどう少子化を克服したか』から引用しています.

「海外では既に無痛分娩が主流でさえあり、米国で6割、フランスでは8割の人が無痛分娩を選択するという。」

「実は無痛分娩自体はリスクが高いわけではない。あくまで、体制が整っていない病院での無痛分娩が危険であるという話である。」


今朝のNHK「おはよう日本」でも無痛分娩についての放送があったそうです

無痛分娩は素晴らしい医療技術です.産科医療体制を整えて,日本でも無痛分娩を増やすことが望まれると思います.
産科医療事故を減らすためにも,この機会に,日本の産科医療は医師一人の医院でよいのか,議論していただきたいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-08-18 16:10 | 無痛分娩事故

平成28年の医事関係訴訟,提訴は878件,審理期間は23,2月,認容率(患者側勝訴率)は17.6%

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裁判所の集計によると,平成28年の医事関係訴訟(新受)は878件(前年より52件増加)でした.平成20年の水準に戻ったと言えます.
医療ADRなど裁判外の紛争解決手段が充実してきたにもかかわらず,平成28年に提訴された医事関係訴訟が878件もあったということは,(1)医療過誤の疑いのあるケースが表面化することが増えてきたためと(2)医療過誤の疑いをもった場合に弁護士に相談する事例が増えてきたためではないか,と思います.

平均審理期間は23,2月です.
平成25年以降,審理期間は2年を切っています.
ただ,あくまで平均であって,被告側(医療側)が徹底抗戦の姿勢で争ってくれば,2年以上の時間がかかります.

平成28年の地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率(原告=患者側が勝訴した率)は,17.6%と著しく低率です.
20%を切ったのは,平成11年以降はじめてです.
通常訴訟の認容率が80%を超えているのに比べると,医事訴訟の認容率の低さが際立ちます.
医療においては,原告(患者側)が過失・因果関係を立証するのは難しいことが分かります.
ただ,それにしても,17.6%は低すぎます.
医事裁判では原告側(患者側)の主張立証の巧拙が結果に影響することも多々ありますので,弁護士が増え従前医療過誤事件を取り扱わなかった人たちが取り扱うようになったために患者側代理人の力量が低下してきたのでしょうか.また,高裁で逆転判決の報道もいくつかみられることから,地裁裁判官の力量不足によるものなのでしょうか.どこかで,医事敗訴判決の研究を行っていただけると,大変有意義だと思います.

判決で終了するのは34.1%,和解で終わるのは51.1%です.
和解内容は,判決以上に担当弁護士の力量を反映します.原告側(患者側),被告側(医療側)双方に力量のある弁護士がつくと,先が見えるので,和解で終わることが多いように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-08-18 14:46 | 医療事故・医療裁判