弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2017年 10月 12日 ( 1 )

東京弁護士会が弁護士法人アディーレ法律事務所を業務停止2月,元代表社員を業務停止3月の懲戒処分

東京弁護士会は,1か月限定無料・値引きキャンペーンを約5年間繰り返した件等で,弁護士法人アディーレ法律事務所を業務停止2月,元代表社員を業務停止3月の懲戒処分にしたと発表しました.
弁護士法人アディーレ法律事務所は所属弁護士が200名近くいます,これは,5大法律事務所(西村あさひ法律事務所,アンダーソン・毛利・友常法律事務,TMI総合法律事務所,長島・大野・常松法律事務所,森・濱田松本法律事務所)に次ぐ人数です.弁護士就職難時代の救世主的役割を果たしていたようです.

黎明期のクレサラ訴訟を担当した弁護士は判例を一歩一歩前進させていく地道な苦労を重ねていました.過払い金請求訴訟の判例が確立すると,定型的な処理が可能となりました.そして,定型的に処理できる弁護士業務のみを取り扱うビジネスモデルの法律事務所が登場しました.
弁護士法人アディーレ法律事務所は過払い金請求訴訟が確立した後に急成長した法律事務所で,今では過払い金返還以外も取り扱い,マスコミへの露出も多く,広告を見たことのある方も多いと思います.広告費と人件費以上に収益をあげるために,経験の少ない弁護士でも容易にできる仕事を大量に集める必要があったことは分かりますが,誤解を与えてまで顧客を誘引することに躊躇はなかったのでしょうか.法律の専門家である弁護士で構成される弁護士法人ですから,不当景品類及び不当表示防止法第4条第1項第2号の有利誤認表示にあたることは分かっていたでしょうが,業務停止2月の処分がなされるとの認識はなかったでしょう..
業務停止2月が弁護士法人の経営に与える影響は大きいと思います.元代表社員は,「ムネンアトヲタノム」(セガ「侍」より)という感じでしょうか.

東京弁護士会によると処分理由は次のとおりです.

被懲戒者××××(以下「被懲戒者××」という。)は,被懲戒者弁護士法人アディーレ法律事務所(以下「被懲戒者法人」という。)の元代表社員である。
被懲戒者法人は,被懲戒者××の指示を受けて,被懲戒者法人ウェブサイトにおいて,債務整理,過払金返還請求について,それぞれ,約1か月ごとの期間を限定して,
(1)平成22年10月6日から同25年7月31日まで,過払金返還請求の着手金を無料又は値引きする,
(2)平成25年8月1日から同26年11月3日まで,借入金の返済中は過払金診断を無料とする,過払金返還請求の着手金を無料又は値引きする,
(3)平成26年11月4日から同27年8月12日まで,契約から90日以内に契約の解除をした場合に着手金全額を返還する,借入金の返済中は過払金診断を無料とする,過払金返還請求の着手金を無料又は値引きする,
との広告を継続して行い,改正前不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)第4条第1項第2号の有利誤認表示をした。
これは,景表法,日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規程等に違反するものであり,弁護士法第56条第1項の品位を失う非行に該当する。 」


東京弁護士会は,業務停止処分の影響力の大きさについても十分検討した筈です. 当然,会長選の因縁・報復説等も含め,東京弁護士会への反発,非難も十分考えた筈です.弁護士法人アディーレ法律事務所対東京弁護士会の裁判は必発です.それでもなお業務停止処分を選択したことに弁護士会としての相当の覚悟を感じます.

東京弁護士会長の渕上玲子先生は,次のとおり述べています.

「同弁護士法人の広告表示は、債務整理・過払金返還請求に係る役務を一般消費者に提供するにあたり、実際の取引条件よりも有利であると一般消費者を誤認させ、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある極めて悪質な行為であり、しかも、長期間にわたって多数回反復継続されている組織的な非行と言わざるを得ません。
当会は、このような事態が生じたことを重く受け止め、今後も、市民の弁護士会に対する信頼を確保するために、弁護士や弁護士法人の非行の防止に努めるとともに、非行に対しては厳正に対処して参ります。」


弁護士法第56条第1項は,次のとおり定めています.
 
「弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。」

弁護士は,謂わば依頼されて正義のための戦いを行なう現代のサムライでしょう.サムライは,武士道に生きてこそサムライです.
このような時代ですが,弁護士としての品位,品格は大事にしたいと思います.

【追記】
今日打ち合わせのため当事務所に来た或る東京弁護士会の弁護士が,弁護士会のアディーレ相談電話が大変なことになっている,と言っていました.


谷直樹

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by medical-law | 2017-10-12 23:59 | 弁護士会