弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2018年 02月 03日 ( 1 )

文科省,法科大学院未修者枠撤廃,1年短縮を提案へ

現在は,多様な人材を編めるという趣旨で,法科大学院の入学者のうち,法学部を卒業していない未修者を3割以上とすることになっています.
しかし,それが法科大学院修了者の司法試験の合格率低下につながっているという見方があります. また,そもそも未修者が法科大学院を志願しなくなっています.
そこで,文科省は,この未修者枠の撤廃を2月5日に開催される中央教育審議会の委員会に提案するそうです.

司法試験受験資格は,予備試験合格者か法科大学院修了者に与えられます.
優秀な学生は予備試験を経由して在学中に司法試験に合格します.予備試験を経由して在学中に合格した優秀な人が,4大法律事務所に就職したり,裁判官になったりします.
法科大学院修了が司法試験受験の本来のルートだったのですが,優秀な学生が予備試験経由で合格する一方で,法科大学院を修了して司法試験に合格した人は,費用と年月をかけて法科大学院で学んだことが評価されればよいのですが,現実には大学に浪人して入ったのと同様に,回り道をしたようにみられてしまうこともあるようです.
現在,法科大学院の既修者(法学部出身者)コースは2年なのですが,文科省は,それを1年に短縮することを2月5日に開催される中央教育審議会の委員会に提案するそうです

毎日新聞「法科大学院 1年短縮 文科省改善案、来年の導入検討」参照

文科省は,かつて,次のように法科大学院構想を打ち上げました.

「今後、国民生活の様々な場面で法曹需要が増大することが予想されていますが、これに対応するためには、その質を維持しつつ、法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題と考えられています。
しかしながら、従来の法曹養成制度では、厳しい受験競争のため受験技術優先の傾向が顕著になっていたこと、大幅な合格者数の増加をその質を維持しながら図ることには大きな困難が伴うこと等の問題点が指摘されていました。
一方、大学における法学教育は、法的素養を備えた人材を社会の多様な分野に送り出すことを主な目的としており、プロフェッションとしての法曹を養成するという役割とは異なる独自の意義と機能を担っています。
また、学生の受験予備校への依存傾向が著しくなって「大学離れ」と言われる状況を招き、法曹となるべき者の資質の確保に重大な影響を及ぼしているとも言われていました。
このような状況の中、司法が21世紀の我が国社会で期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立するためには、司法試験という「点」のみによる選抜ではなく、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度を新たに整備することが不可欠であり、その中核をなすものとして、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクールである法科大学院が構想されました。」


法科大学院の未修者枠撤廃,1年短縮は,法科大学院構想の失敗をあらためて確認するものと言えるでしょう.
文科省が脱ゆとりに転換したことから,ドラマ『ゆとりですがなにか』で,「お前らは文科省が生んだ欠陥商品だ」と言われる場面がありましたが,政策転換によりふりまわされあげくに欠陥商品扱いされるのではたまったものではありません.

谷直樹

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by medical-law | 2018-02-03 23:58