弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療( 761 )

青森市民病院の医師が診療画像をユーチューブに投稿し訓告処分

読売新聞「青森市民病院の医師が診療画像 無断投稿」(2016年6月15日)は,次のとおり報じました.

「青森市勝田の青森市民病院で、医師が患者に無断で患者の診療画像などを動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿し、昨年5月に市から訓告の処分を受けていたことがわかった。14日の市議会一般質問で、市議の質問に答える形で市側が認めた。

 質問した共産党の村川みどり市議や市民病院などによると、昨年1月、動画サイトを見た患者の家族から「うちの家族の患部の画像ではないか」などと病院に問い合わせがあり、事実確認をした結果、同病院の医師による投稿だと発覚した。医師は投稿を認め、「学術的な研究のため、より見やすい環境にしたかった」などと話したという。

 画像は、患者個人が特定できるものではないが、患者の了承を取っておらず、すでに医師が患者に謝罪したという。同病院の安保明彦事務局長は「再発防止に努めたい」と話した。」


報道の件は,医師による投稿であって,病院としての利用ではありません.
また,投稿した医師は,病院に投稿についての許可を得ていないものと思われます.
病院が許可した投稿であれば,医師が訓告処分になることはないはずです.

「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日,その他の記述等により特定の個人を識別することができるものとされています.他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含みます.
病院としての利用であった場合でも,病院は,「個人を識別あるいは特定できない状態で利用する場合」等を除き利用目的の範囲を超えて利用することはできず,報道の件は,家族が動画を見て特定できたことから,個人を識別あるいは特定できない状態と言い切れる状態だったか,疑問があります.
また,論文に引用する場合とユーチューブに投稿する場合とでは利用の形態が異なり,それは違法性の判断に影響すると思います.


谷直樹



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by medical-law | 2016-06-16 09:23 | 医療

千葉県がんセンター,診療報酬の不正請求で19億円返還

NHK「千葉県がんセンター 診療報酬19億円返還へ」(2016年6月14日)は,次のとおり報じました.

千葉県がんセンターで、腹くう鏡を使った手術での診療報酬の不正請求が発覚したことを受けて調査を行ったところ、おととしまでの5年間に、診療報酬の不正請求がおよそ1億8000万円、書類の不備などによる不適切な請求が17億円余り明らかになり、全額を返還することになりました。

千葉県がんセンターでは、腹くう鏡を使った手術を受けた患者が相次いで死亡したことをきっかけに、本来は健康保険が適用されない腹くう鏡の手術を、保険が適用されるものとして、診療報酬を不正に請求していたことが、去年、国の監査で明らかになりました。
これを受けて千葉県がんセンターが、おととしまでの5年間を対象に病院全体で調査を進めた結果、腹くう鏡の手術や手術時の麻酔などに関する診療報酬の不正請求が、合わせておよそ3万7000件1億8000万円、書類の不備などによる不適切な請求が、合わせておよそ18万8000件17億2000万円で明らかになったとしています。
このうち不正請求については、医師や職員の確認不足が主な原因で、水増し請求の意図はなかったとしています。
センターは、健康保険組合などに対し全額を自主的に返還することにしていて、病院の経営への影響はないとしています。
千葉県がんセンターの永田松夫病院長は記者会見で、「批判を真摯(しんし)に受け止めたい。改善を進め、信頼回復に努めたい」と述べました。


医科不正分が約1億8千万円(約3万7千件),医科不当分が約17億1千万円(約18万3千件),
歯科不当分が約1千万円(約5千件)とのことです.

医師をはじめ職員の診療報酬請求に関する知識及び意識が不十分であったこと,診療報酬請求業務の委託事業者に対し、診療録や必要書類の確認等、業務範囲を明確に示していなかったなど、各部門の役割認識が明確でなかったこと, 院内における診療報酬請求の点検の仕組みが十分機能していなかったことが原因だそうです.

一事が万事と思われますので,医療行為の内容・質についても不安を感じます.
お金のことがきちんとしていない人は信用できません,


谷直樹



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by medical-law | 2016-06-14 22:29 | 医療

厚労省、病院の耐震改修状況調査の結果順調に推移とのことですが

厚労省は、平成28年4月13日、平成27年の災害拠点病院等の耐震化率は84.8%と、順調に推移している、と発表しました.

「平成27年調査結果のポイント】
○ 病院の耐震化率は、69.4%(平成26年調査では67.0%)
○ このうち、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院及び救命救急センターの
耐震化率は、84.8%(平成26年調査では82.2%)

国土強靱化アクションプラン2015(平成27年6月16日国土強靱化推進本部決定)において、平成30年度までに災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率を89.0%とする目標を定めています。(平成28年度には耐震化率 87.8%となる見込みです。)」


確かに目標達成に近づいていますので、順調と発表したのでしょう.
この発表の翌日に熊本で地震がおき、熊本市民病院(500床)の天井が落ち、避難することとなったのは周知のとおりです.

毎日新聞によると「市は15年度に12階建て免震病棟を着工する計画だったが、133億円だった建設費の見積もりが資材高騰などで209億円に膨らみ、大西一史市長が昨年1月に着工延期を表明した。」とのことです.
たしかに209億円は多額ですが、着工が遅くなって高くなったから延期するというのでは、さらに高くなり悪循環でしょう.

そもそも、災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率が100%でなくてよい,達成も先でよい,という目標設定が問題でしょう.

政府は、緊急事態条項がないことを問題にしていますが、緊急事態条項がないことで具体的にどのような不都合があったというのでしょうか.
病院の耐震化は、改憲より急ぐべき課題と思います.

熊本や八代には何度も足を運びましたから、熊本や八代の今の状況は大変気がかりです.
報道をみると、車中泊避難者が少なくないようで、 深部静脈血栓症・肺塞栓・エコノミークラス症候群も心配です.

【追記】

読売新聞「4医療施設で建物損壊の危険、7施設で連絡不能」(2016年4月17日)は「熊本市民病院など4施設が建物損壊の危険があり、東熊本病院など30施設が電気、水道、ガスの供給が困難になっている。連絡の取れない施設も7か所ある。」「熊本県内の人工透析94施設のうち、少なくとも27施設で透析ができなくなった。」と報じました.

西日本新聞「熊本地震 市民病院被災周産期医療に打撃 妊婦年100人県外搬送へ」(2016年5月1日 )は、次のとおり報じました.

「熊本地震で熊本市民病院(同市東区)の総合周産期母子医療センターが損壊したため、年間150人近く、高度な医療措置が必要とされる妊婦や新生児の受け入れが困難になり、福岡などへの県外搬送を余儀なくされることが関係者の試算で分かった。同センターは熊本県における周産期医療の中核施設。全国的に産科医や新生児集中治療室(NICU)の不足が慢性化しており、九州全域への影響も懸念される。

 胎児の異常や切迫流産などに24時間対応でき“最後の砦(とりで)”と呼ばれる「総合周産期母子医療センター」が災害で機能不全に陥ったのは全国で初めてという。同病院新生児内科部長の川瀬昭彦医師は「一刻も早く新築するしかないが、数年かかる可能性もある。妊婦受け入れなど九州全体に影響が出かねない。周産期医療に限れば、東日本大震災以上に深刻だ」としている。

 同病院によると、4月16日の「本震」による震度6強の揺れで建物が損傷し、入院患者が退避。同センターも入院診療が不能となり、入院していた新生児38人のうち17人が県内、21人が福岡、佐賀、宮崎、鹿児島各県へ搬送された。

 同病院は低出生体重児や重病の新生児42人が入院でき、熊本県内で唯一、九州でも4カ所しかない新生児心臓手術ができた。昨年はハイリスクの妊婦約200人と先天性心疾患の新生児58人を県内外から受け入れた。

 県内の医療従事者でつくる熊本地震新生児医療連絡会で示された試算では、同病院の被災により、県内の新生児病床は113床から71床に減少。県内で年間100人近くの妊婦と重症新生児50人前後の受け入れが困難となり、福岡県などに搬送される見通しという。

 一方、九州で最も産婦人科施設が多い福岡都市圏でも、重症新生児らの受け入れ要請を断らざるを得ない事例は日常的。福岡県が県内のセンター7施設などを対象に行った調査では、2012年11月から3カ月間、324件の受け入れ要請のうち67件(21%)を断っていた。同県産婦人科医会の長野英嗣常任理事は「九州各県の施設が連携して長期的に支援する必要がある」と話す。

 出産前後の周産期医療の中核として、通常の産婦人科で対応できないハイリスクな母子を主に受け入れる施設。母体胎児集中治療室(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)を備えた大学病院や大規模病院を対象に、都道府県が指定する。厚生労働省によると、2015年4月現在、全国では104施設、九州7県では福岡7▽熊本2▽佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島各1-の計14施設がある。」



谷直樹


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by medical-law | 2016-04-17 01:31 | 医療

薬害オンブズパースン会議,厚労大臣にプラザキサの販売一時停止・回収の緊急命令発動を求める

薬害オンブズパースン会議は,2016年3月2日,厚生労働大臣に対し、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社が製造販売するプラザキサの販売の一時停止及び回収を内容とする緊急命令を発動することを求めました.
①血液抗凝固能モニタリングなしの使用は危険で死亡につながる危険性が高いこと,②臨床試験結果の信頼性に疑義があり有効性・安全性が実証されていないこと,③中和剤が承認販売されていないこと,④現に我が国においても死亡例が相次ぎブルーレターが発出されその後も死亡例や重篤な出血の報告が続いていることを指摘しています.
詳細は,薬害オンブズパースン会議のサイトの「プラザキサ(ダビガトラン)に関する意見書」ご参照.

また,薬害オンブズパースン会議は,2016年3月2日,「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」の利益相反問題に関する公開質問を,新規経口抗凝固剤(NOAC)を製造・販売する企業5社(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社,バイエル薬品株式会社,ブリストル・マイヤーズ株式会社,ファイザー株式会社,第一三共株式会社)と関係3学会(一般社団法人日本循環器学会,一般社団法人日本心臓病学会,一般社団法人日本不整脈心電学会)に送付しました.
NOACを製造・販売する企業5社が,「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」を作成した3学会の合同研究班の班長,班員,協力員計11名に対し,講演料、原稿料、コンサルティング料名目で多額の金銭を支払っていたこと,その金額は2014年度1年間で1億1,400万円余に上ることから,同ガイドランの公正さに疑義を生じせる利益相反を指摘しています.
詳細は,薬害オンブズパースン会議のサイトの,「「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」の利益相反問題に関する公開質問」ご参照.


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-06 06:09 | 医療

日本医師会総合政策研究機構、「診療補助行為に関する法的整理」

日本医師会総合政策研究機構は、2016年2月29日,「診療補助行為に関する法的整理」を公表しました.そのポイントは次のとおりです.

「◆診療補助行為は、看護師・准看護師がすべての行為ができると認められ(保助 看法31条、32条)、また、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、臨床検査 技師、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、言語聴覚士の9職種においては、それぞれの専門領域で、診療補助行為ができる。
◆調剤行為は薬剤師法19条においてのみ規律される、という見解もあるが、特別刑法の見地からは必ずしも一般的な解釈ではなく、むしろ、「薬剤の調剤・投与は、治療の一方法であるが、調剤は医師とともに、資格のある薬剤師にも認められている」と解するのが通説的な理解である。なお、大審院(最高裁)判例も通説と同様の立論で、薬剤師が患者の容態を聞いて調剤・供与した行為を、調剤行為まで含めて医師法違反と判示している。すなわち、判例理論も通説と同様の立場を取っている。
◆現行薬剤師法19条の起源である、1955年の「医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律」は議員立法かつ衆議院で修正されたため、医師法17条との関係性は、必ずしも明確にされていない。同条を「医薬分業を規定したもの」と解釈する向きもあるが、立法経緯をみる限り、単純にそのようには断定できない(参考資料2参照)。
◆医師の不足する領域や医師の勤務環境の改善を図るため、米国のPA制度を我が国にも導入しようとする向きもあるが、同制度は我が国の文化にはなじまないものと思われる。我が国の医療現場の実態からすると、「代替」ではなく「補完」が重要になる。その際には、まず、「既存資格の活用」という視点が重要である。」


PA(Physician Assistant)は。ベトナム戦争帰りの衛生兵の活用に端を発し,医師に准じて医師の監督の下に広範囲に医療業務を分担できる者です.米国では,PAの8割(マルチアンサー)は外来診療に従事し,4割は病棟における入院患者の治療管理と夜間休日のオンコールに従事し、2割は手術における第一助手として働いているとのことです.
TPPに基づき医師が医療行為を独占するのは非関税障壁だと言われると困りますが,日本では法制度上も医療に質と安全を求める国民の意識からもPAは無理でしょう.


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-05 03:57 | 医療

2013年度から5年間の計画で始まり約3億円が投じられたJ−HARPが2015年度で中止となりました.

脳卒中や虚血性心疾患の患者の半数以上は発症前に医療機関を受療しておらず,健診時に指摘された未治療重症高血圧者の約4割も健診後に医療機関を受療していないことから,重症化ハイリスク者でかつ健診受診時に受療していなかった者を対象として,受療行動促進モデルを用いた保健指導の有効性を検証する目的でした.
研究対象者に対して,介入自治体(介入群)では,受療行動促進モデルによる保健指導を行ない,対照自治体(対照群)では、一般的な保健指導を行うデザインで始まりました.
ところが,①本戦略研究は家庭訪問を中心とした保健指導介入の効果検証であったが家庭訪問を含む対面保健指導の実施率が80%を超える自治体もあれば20%に満たない自治体もあり自治体における保健指導の実施状況にばらつきがあった,②研究データ管理体制についてデータ提出状況の把握及び提出されたデータの疑義照会が適切な時期に行われておらずデータ収集に遅れが生じていた,③戦略研究の円滑な実施を支援するため外部有識者からなる運営委員会の設置が当該研究班に求められていたが当初予定より設置が遅れ運営委員会にて保健指導の実施状況について確認され上記の状況が明らかになり信頼性のあるデータが収集できていないことや地方自治体の保健指導の実施率や実施形態について今後改善できる可能性は低いことから,中止となりました.

このように研究データ管理体制に問題があった以上,研究の信頼性に影響しますので,中止はやむなしと思います.
そもそも対面保健指導と脳卒中や心不全,糖尿病などによる死亡や入院の減少tpの関連を証明するのは難しいのではないか,と思います.
なぜなら,脳卒中や心不全,糖尿病などによる死亡や入院に至る人は,健診を受ける人より受けない人に多く,ハイリスクとされて受診する人より受診しない人に多く,対面保健指導を受けて受診する人より受診しない人に多いとすれば,対面保健指導により受診率を向上しても死亡率・入院率減少にはつながらないからです.
特定健診に期待をかけるより,死亡率・入院率減少に確実につながる喫煙率の減少のための施策に費用をかけるのが効果的と思います.


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-03 09:01 | 医療

救急功労者表彰(総務大臣表彰)を受けはった院長の病院の手術室が物干し場としても使われていた!

京都新聞「手術室は物干し、名ばかり救急外科 京都市から補助金」(2016年2月20日)は,次のとおり報じました.

「外科を標ぼうし、入院治療を担う二次救急医療の輪番制に加わっている京都市下京区の京都四条病院が、手術室を衣服干しなど別用途に使い、手術のできない状態が続いていたことが19日、病院への取材で分かった。輪番制に加わる病院に補助金を支出する市は「別の用途の使用は不適切。事実であれば行政指導の対象となる」とし、近く病院に事実確認する方針。病院は「認識がまずかったのかもしれないが、手術が必要な救急患者は引き受けていなかった」としている。

 二次救急医療を統括する京都府や市による施設の運用状況などのチェックが十分ではなく、地域の救急医療体制のあり方が問われそうだ。

 同病院によると、過去には全身麻酔下の手術をしていたが常勤麻酔科医が退職し、段階的にしなくなった。「手術室」と表示する部屋はあるが、衣服を干したり入院患者の着替え場所に使ったりしていたという。

 同病院の説明では、少なくとも20年以上前から京都市と乙訓地域の病院でつくる輪番制に加わっている。同病院は2012~14年度に年間22~26日の当番日があった。市は計276万4千円を交付してきたが、「病院の善意を信じる」(医務衛生課)として、手術室の確認はしてこなかった。

 ××××院長(58)は「手術室の不適切な利用があったのは事実。取材を受けて消毒し、現在は手術できる体制になっている」と話している。

 京都四条病院は1962年に設立。60床で、外科や脳神経外科など8科を標ぼうする。医療法の施行規則によると、外科や脳神経外科の標ぼうには手術室を備える必要がある。

 <輪番制病院>救急医療を実施できる病院同士が輪番制で当番を分担し、休日や夜間に重症の救急患者を受け入れる仕組み。当番日は病床や医師数を確保していなければならない。京都府内では「京都・乙訓医療圏」と「山城北医療圏」で輪番制を組んでいる。」



京都新聞「手術室の目的外使用「4~5年」 京都四条病院、輪番制脱退へ」(2016年2月20日)は,次のとおり報じました.

「二次救急医療の輪番制に加わる京都四条病院が、手術室を衣服干しなどに使って手術できない状態を続けていた問題で、××××院長(58)が20日、京都市下京区の同病院で記者会見し、「不適切な行為だった」として輪番制から外れる方針を示した。手術室の別用途利用は少なくとも4~5年前には行われていたことも明らかにした。

 ××院長によると、週1~2回は洗濯物を干し、週2~4回は患者の着替えに使っていた。別用途に使っていた時期でも、部屋を消毒後、月1~2回程度、局所麻酔下で、できものなどの切除を実施していたという。「手術室以外でできる内容だが、衛生面などで手術室が適すると判断した」と説明した。別用途利用のきっかけとなった常勤麻酔科医の退職は約15年前という。

 手術室については「取材を受け、半日かけて改善した」と強調。しかし医師確保の点で、全身麻酔下での手術ができる見込みは立っていないという。

 会見では「大変反省している」としながらも、「対応できる救急患者は受け入れており、京都の救急医療の一端を担ってきた」と訴え、謝罪はしなかった。輪番制病院として交付を受けていた補助金については「市民感情として受け入れられないのであれば、返すことも検討する」と話した。」


外科医の院長(副理事長)は,京都府推薦で,長年にわたる京都府の救急医療体制拡充への貢献に対し,平成27年度総務省の救急功労者表彰(総務大臣表彰)を受けました.ちなみに,理事長は脳神経外科医です.
この病院は,内科・消化器内科・消化器外科・外科・整形外科・脳神経外科・神経内科・麻酔科を標榜し,手術以外の患者には2次救急の輪番制病院として,対応してきたそうです.

洗濯物の干し場になっていても,「手術室」という名前の部屋があることは,嘘ではなかったのですが,釈然としません.
医療法施行規則20条2号は,「手術室は、診療科名中に外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、産科、婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科の一を有する病院又は歯科医業についての診療科名のみを診療科名とする病院においてはこれを有しなければならない。」と定めています.
同3号は「手術室は、なるべく準備室を附設しじんあいの入らないようにし、その内壁全部を不浸透質のもので覆い、適当な暖房及び照明の設備を有し、清潔な手洗いの設備を附属して有しなければならない。」としています.
規則には,手術室を洗濯物の干し場にしてはならないと書いてはいませんが,規則の趣旨からすると,手術室を洗濯物の干し場として別途利用するのは,(消毒するとはいえ)不適切と考えられます.

脳神経外科医である理事長,外科医である副理事長は,手術室を洗濯物の干し場として別途利用することについてどのように考えていたのでしょうか.

また,常勤麻酔科医の退職後,体制を充実して,名実ともに2次救急医療の一角を担うという前向きの方向にすすむことはできなかったのでしょうか.


谷直樹


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by medical-law | 2016-02-21 11:23 | 医療

都内のインフルエンザ「流行警報」

東京都福祉保健局は,平成28年2月12日,都内のインフルエンザ患者報告数は、第5週(2月1日から2月7日まで)において急速に増加し「流行警報基準」を超えた,と発表しました.

東京都のサイトによると,
インフルエンザ対策のポイント

    こまめな手洗い
    休養・栄養・水分補給
    咳エチケット
    適度な室内加湿・換気
    予防接種(かかりつけ医と相談)


とのことです.

 多くの人が予防のためにマスクをしていますが,外出をできるだけ控えるのがよいと思います.

学校は早めに休校にしてほしいですね.

 そういえば,インフルエンザに罹患した弁護士もいました.
 多忙で休養がとれなかったためかもしれませんが,インフルエンザで書面が書けなかったということは裁判所に通用しませんので,忙しい弁護士ほど健康管理が重要です. 


 谷直樹


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by medical-law | 2016-02-12 22:40 | 医療

日付なしの死亡診断書を用意した医師と日付けを記入した看護師らを医師法違反容疑で書類送検(報道)

NHK「日付なしの死亡診断書用意 医師法違反容疑で書類送検」(2016年2月5日)は,次のとおり報じました.

「三重県名張市の特別養護老人ホームの嘱託の医師が、日付を入れていない死亡診断書をあらかじめ作って施設側に渡し、死亡確認をせずに遺族に交付したとして、警察はこの医師など3人を医師法違反の疑いで書類送検しました。
書類送検されたのは名張市の特別養護老人ホーム「名張もみじ山荘」に嘱託で勤務するA医師(73)と、施設の職員で36歳と48歳の看護師2人の合わせて3人です。
警察によりますと、3人は去年、入居していた90代の女性と80代の男性が亡くなった際、死亡確認をせずに死亡診断書を交付したなどとして、医師法違反の疑いがもたれています。日付を入れていない死亡診断書を、医師があらかじめ作って施設側に渡し、亡くなったあとに看護師が日付を記入していたということです。去年11月に三重県が刑事告発したのを受けて警察が捜査していました。
調べに対し、医師は「夜間に往診をしたくなかったし、遺族に早く遺体を引き渡してあげたかった」と、容疑を認める供述をしているということです。警察によりますと、5年前の施設の開設以降、書類送検された分を含めて合わせて19人の死亡診断書について同じような不正が確認されたということです。」


死亡診断書(死体検案書)は,人の死亡に関する厳粛な医学的・法律的証明であり,死亡者本人の死亡に至るまでの過程を可能な限り詳細に論理的に表すものとされています.
医師法第20 条は,「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら
出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」と定めています.なお,通知で「医師法第20条ただし書は、診療中の患者が診察後24時間以内に当該診療に関連した傷病で死亡した場合には、改めて診察をすることなく死亡診断書を交付し得ることを認めるものである。このため、医師が死亡の際に立ち会っておらず、生前の診察後24時間を経過した場合であっても、死亡後改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関連する死亡であると判定できる場合には、死亡診断書を交付することができる」とされています.

この医師は,生きているうちに,死因などを記入し,死亡日時を空欄にした死亡診断書を特別養護老人ホーム「名張もみじ山荘」側に渡していたというのですから,医師法違反にあたります.


谷直樹


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by medical-law | 2016-02-05 23:51 | 医療

東京有明メディカルクリニックの暴力団組員のNPO法人代表と歯科医師らを末期がん患者に医療行為で逮捕

産経新聞「歯科医が末期がん治療、自作の薬剤投与 無資格行為で逮捕」(2016年1月25日)は,次のとおり報じました.

「医師免許を持たずに末期がん患者に注射などの医療行為を行ったとして、警視庁生活環境課などは25日、医師法違反容疑で、東京都調布市の医療法人「秀真会」理事長で歯科医師、甲容疑者(58)=府中市宮町=と、指定暴力団Y組系組員でNPO法人代表、乙容疑者(42)=港区芝=ら男女3人を逮捕した。

 同課によると、3人は平成26年3月までに患者16人に医療行為を行い、患者1人につき平均157万円、計2500万円以上の収益があったという。

 逮捕容疑は、25年9月~翌26年3月まで、江東区有明にあった診療所で、30代~60代のがん患者ら男女6人に対し、医師免許がないのに計37回にわたり、未承認薬の点滴注射を行ったとしている。

 同課によると、3人はがん遺伝子治療と称して「AJS2010」という自作の薬剤を投与していた。投与された6人は、インターネット上の広告や公人容疑者が集めた末期がん患者で、一部に悪寒やじんましんなどの健康被害が出ているという。

 同課に26年3月、「医師ではない者ががん遺伝子治療と称して治療している」と情報提供があった。甲容疑者は歯科医師の免許しか持っておらず、任意の調べに「口(こう)腔(くう)がん予防のためにやった」と説明していた。他にも関与した者がいるとみて調べている。」



読売新聞「がん無資格治療で逮捕の歯科医、勤務実態ない医師を保健所に届け出」(2016年1月26日)は,次のとおり報じました.

「東京都江東区の「東京有明メディカルクリニック」(閉院)による医師法違反事件で、逮捕された医療法人社団「秀真会」(調布市)理事長で歯科医の甲容疑者(58)らが、勤務実態のない男性医師(40)を同クリニックの管理医師として保健所に届け出ていたことが、捜査関係者らへの取材でわかった。

 医療法で禁止されている「名義借り」の疑いがあり、警視庁は同法違反容疑でも捜査している。

 捜査関係者らによると、同クリニックでは2013年春頃までに医師全員が退職。そこで甲容疑者は同10月、NPO法人「先端医療支援機構」代表の乙容疑者(42)(医師法違反容疑で逮捕)から紹介された男性医師を管理医師に就任させていたという。

 男性医師は当時、別の病院に勤め、同クリニックでの勤務実態はなかったが、月数十万円の報酬を受け取っていた。同庁は甲容疑者らがこの頃から「がん遺伝子治療」と称し、医師資格のない看護師のC容疑者(42)(同)に未承認薬をがん患者に点滴するなどの医療行為をさせていたとみている。

 調べに対し、甲容疑者は「歯科医師免許の範囲内だ」、乙容疑者は「医療行為はしていない」、丙容疑者は「違反ではないと思った」といずれも容疑を否認している。」


全容解明を期待します.


谷直樹


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by medical-law | 2016-01-30 06:25 | 医療