弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:タバコ( 241 )

名古屋簡裁,2歳の子の口に火を付けたタバコの吸い口を押し当てた父親に暴処法違反で罰金10万円(報道)

中日新聞「2歳息子にたばこの男に罰金10万円 名古屋簡裁」(2015年12月7日)は,次のとおり報じました.
 
「2歳の息子の口にたばこを押し当てたとして、名古屋区検は7日、暴力行為等処罰法違反の罪で、父親の無職×××容疑者(24)=住所不定=を略式起訴し、名古屋簡裁は罰金10万円の略式命令を出した。名古屋地検も同日、同法違反の非行内容で、交際相手の無職少女(16)を名古屋家裁に送致した。

 起訴状などによると、2人は11月11日午後3時ごろ、屋外で長男(2つ)の口に、火を付けたたばこの吸い口を押し当て、暴行を加えたとされる。

 2人は会員制交流サイト「フェイスブック」で、長男に喫煙させている動画を不特定多数の人間が見える状態で公開し、ネット上で問題になった。愛知県警に情報提供があり、11月16日に逮捕された。」


2歳の幼児の口に火を付けたタバコの吸い口を押し当てた行為は,「暴行」にあたります.

暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条は,「団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百八条 、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス 」と定めています.

刑法第208条(暴行罪)は, 「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 」と定めています.

夫婦が共同して行っているので,刑法第208条(暴行罪)より重い暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条を適用したものと考えられます.罰金10万円が重いか軽いか議論はあるでしょうが,無職の者にとっては10万円は大金だと思います.

口に火を付けたタバコの吸い口を押し当てた行為が違法なのはもちろんですが,そもそも児童(十八歳に満たない者)のいるところでタバコを喫煙することは,受動喫煙の被害を生じさせますので,やめてほしいです.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-12-08 20:10 | タバコ

中央社会保険医療協議会,ニコチン依存症の20代も治療を受けやすくすることを検討

朝日新聞「ニコチン依存症、若者の治療も保険適用に? 検討始まる」(2015年11月 2日)は,次のとおり報じました.

「たばこのニコチンが切れるとイライラしてたばこを吸いたくなる「ニコチン依存症」の治療をめぐり、公的医療保険が適用されていない20代の患者も保険の対象に含める検討が始まった。厚生労働省は将来の医療費削減につながるとして、対象に含めることを提案。負担が増える保険の支払い側は反対している。

 ニコチン依存症は「吸うつもりよりずっと多くたばこを吸ってしまったことがあるか」といった10の質問のうち、五つにあてはまると依存症と診断される。

 2006年度から保険で診療を受けられるようになったが、対象は1日の喫煙本数と喫煙年数をかけた指標が200以上の患者に限られている。1日40本吸う人でも5年以上たたないと保険が適用されない計算で、厚労省によると20代の依存症患者の約8割が対象外だという。保険適用なら患者の自己負担は原則3割になる。

 厚労省は10月21日の中央社会保険医療協議会(中医協)=厚労相の諮問機関=で、この指標を緩めてすることを提案。日本医師会の中川俊男副会長も「意志の強くない人もたくさんいる。将来の医療費削減を考えれば、むしろ推奨すべきだ」と後押しした。

 一方、大企業の会社員らが入る健康保険組合代表の委員は「自己責任で禁煙する人もたくさんいる。保険財政が厳しいときに、何でこんなものに保険を使うのか」と反発。医療保険は予防接種や健康診断といった予防行為には原則として適用されない。若年層の依存症治療は予防目的だという主張だ。

 中医協は、診療行為の公定価格である診療報酬の来年度に向けた改定論議の中で協議。来年2月までには結論が出る見込みだ。

 厚労省の11年度の調査では、20代の喫煙率は男性が36・3%、女性が12・7%で、それぞれ全体の32・2%、8・2%より高い。喫煙者の約7割がニコチン依存症という調査もあり、11年時点の総務省の人口推計から試算すると、20代の患者は男性が約176万人、女性が約59万人になる。(小泉浩樹)」


重症化してから治療するより,軽症のうちに治療を開始したほうが治療効果が高いので,要件緩和が実現することを期待します.

谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-11-02 23:44 | タバコ

禁煙の中学校内で校長らが隠れ喫煙し、教員のタバコの火から出火

産経新聞「教員が隠れて喫煙 学校ぼや、校長や教頭も喫煙」(2015 年10月24日)は、次のとおり報じました.

「福岡県久留米市立北野中学校で22日午後8時半ごろ、教員のたばこの不始末が原因で、職員更衣室の壁の一部やごみ箱が焼けるぼやがあった。市教育委員会によると、学校敷地内は禁煙だが、校長や教頭も喫煙していた。

 市教委によると、火災は校内にいた教員が消火器で消し止めた。警察や消防の調査で、出火原因はごみ箱に捨てられていた空き缶内の吸い殻と判明。更衣室で喫煙していた教員のものとみられる。

 市教委は2005年から、市立小、中、高校と特別支援学校を禁煙としていた。しかし市議会の指摘を受けて今月調査したところ、66校のうち、北野中を含む15校で教員が喫煙していた。

 ×××校長(58)は「中心になって禁煙をひっぱっていく立場にもかかわらず喫煙していたことへの痛切な反省から、禁煙を始めた。ヘビースモーカーなのでいらいらするときもあるだろうが、教職員である以上、強い意志でたばこをやめる」と話した。」

 
10年前から禁煙になっているのに、未だに隠れて喫煙していたのですね.
飲酒運転なみの処分がくだってもおかしくありません.
タバコには強い依存性があります.校長ら4人の教員には禁煙外来を受診することをお奨めします.


 谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-10-27 02:17 | タバコ

片山律先生が喫煙18歳引き下げ論について語る

マイナビニュース「飲酒・喫煙「18歳」引き下げ 根強い反対論の背景とは?」(2015年10月25日)で,片山律先生が次のとおり語っています.

「日本禁煙学会の理事を務める片山律弁護士は次のように指摘します。

「まず挙げられるは健康被害です。『喫煙と健康問題に関する実態調査』(平成10年度厚生労働省)には、吸い始める年齢が若いほどニコチン依存度が高い人が増えるとの報告があります。20年後30年後に、禁煙できるかどうかや、がんなどになっているかもしれないと想像して、喫煙を始めるかどうかを決めるのは難しいですよね。18歳で選挙権があるからといって、たばこを吸うか吸わないかの自由もあるだろうというのはナンセンスです。

厚労省によると、喫煙の開始時期を“青少年期”と“成人後”で比べると、青少年期に始めた方が虚血性心疾患やがんなどの危険性が高くなるデータもあります。肺がんでは、20歳未満で喫煙を開始した場合の死亡率は、非喫煙者に比べて5.5倍となっています。

 アルコール依存症に関しても、青年期の飲酒が深く関わっています。同省には、「15歳以下から」と「21歳以上から」で、お酒を飲み始めた場合を比べると、アルコール依存症になる確率が3倍以上に上がるという調査や、未成年のうちから飲酒しているとアルコール依存症のリスクが高まることが報告されています。科学的な根拠として、早期の飲酒喫煙の開始の危険性が認められているのです。

「そのほか現実的に問題があると思われるのは、学校教育の場面ではないでしょうか。校則では禁止されている一方、法律では許可されるというねじれた状況は、教師が困ることになるのは想像できます。生徒は3年生の途中から順番に18歳に達していくので、一律に喫煙を禁止する指導ができません。法律で喫煙が認められていても、校則で喫煙禁止を規定することはできますが、現実問題として生徒にどうして駄目なのかを問われた場合に、『校則だから』としか言えず説得力に欠けます。教育現場の混乱を招くでしょう」(片山弁護士)

片山弁護士は、そもそも立法の趣旨が公職選挙法や民法の成人年齢とは違うとも指摘します。

「法律の立法趣旨からも賛成できません。未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法の第1条は、『満20年に至らざる者は…』と規定されており、『“成年”に至らざるもの』としていません。選挙権や成年の年齢引き下げと、飲酒喫煙の年齢を引き下げる話はその立法趣旨が異なるので一緒に検討すべきものではないのです。『早いうちから政治に関心を持つ』という趣旨での引き下げはわかるが、『若者の健康を守る』という趣旨からすると、こちらはスライドする必要はなく、むしろ引き上げたっていいとも思います」」

「片山弁護士は「事実、今規定されている法律がすべて正しいわけではありません」と指摘し、現在の世界各国の基準に合わせるべきではないとしています。飲酒喫煙に関する世界の潮流の変化や健康被害に関するデータも揃ってきましたので、解禁年齢の引き下げは慎重に進める必要があるでしょう。(ライター・重野真)」


年齢引き下げ論は,選挙権とのバランス,18歳から喫煙飲酒を許している国もある,というだけの理由にすぎません.片山律先生が指摘するとおり,健康被害が科学的に明らかになっていること,海外でもニューヨークなど年齢引き上げの動きがあることを考えると,年齢引き下げ論は暴論というべきでしょう.
とくに喫煙については,生年による規制を考えるべきでしょう.例えば,2000年1月1月以降に生まれた者は喫煙してはならない,2000年1月1月以降に生まれた者が喫煙したときは50万円以下の罰金に処する,という法律を2020年1月1日から施行すれば,いずれタバコを吸う人はいなくなるでしょう.


 谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-10-26 18:39 | タバコ

日本衛生学会理事会,タバコ資金で行われた研究の論文投稿や学会発表の禁止を提案

日本衛生学会理事会の提案内容は,次のとおりです.

提案:国内外のタバコ企業と関連団体(喫煙科学研究財団など)から助成を受けてなされた研究については、日本衛生学会の学術総会での発表および学術誌(日本衛生学会誌、Environmental Health and Preventive Medicine)への論文の投稿は受理しない。
学術総会については、次回2016年の第86回学術総会から、学術誌は、2016年1月1日以降に投稿される論文から適用する。

その理由は,次の3点です.

1.タバコ会社の利益は人の健康を損ね、命を奪うことによって生み出されている。
2.たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO-FCTC)はタバコ会社の後援活動を禁じている。
3.タバコ会社は資金援助を通じてタバコの健康影響に関する科学研究を歪曲する。


次回11月の理事会で最終決定を行いたいとのことです.

全くそのとおりです.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-09-10 07:55 | タバコ

タバコ喫煙年齢の引き下げではなく,タバコフリー・ジェネレイション法を!

喫煙開始年齢が早いほど,タバコ依存症に陥りやすく,健康被害のリスクも高いことが知られています.
タバコ喫煙が健康に与える悪影響を考えれば,年齢引き下げはあり得ないことです.

海外では喫煙制限が18歳未満となっている国があることがあげられていますが,年齢引き下が行われた国はきいたことがありません.
ニューヨーク市がタバコを購入できる年齢を「18歳以上」から「21歳以上」に引き上げたように,世界はむしろ年齢引き上げの方向にあります.

タバコの無い社会を実現するには,現行の未成年者喫煙防止法を「新しい喫煙防止法」(タバコフリー・ジェネレイション法)に改め,同法施行時に20歳未満であった者の喫煙を禁止することがよいと考えます.
同法施行後80年もすれば,喫煙者は100歳以上の者だけになるでしょう.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-09-04 06:02 | タバコ

「保健医療2035提言書」と「たばこフリー」社会の実現

厚労省は,2015年6月9日,「保健医療2035提言書」を公表しました.その提言書には,以下のとおり「たばこフリー」社会の実現が記載されています.

「「たばこフリー」社会の実現
・ 喫煙予防への介入は、疾病や死亡のリスクの減少や介入の費用対効果に関する科学的根拠が確立している。WHO は、2040 年までに「たばこのない世界」の実現を掲げているが、我が国は、その前倒しを図り、2020 年の東京オリンピック開催までに、受動喫煙のない「たばこフリー」オリンピックを実現することを目指す。このため、東京都と連携し、そのための法律的整理を速やかに行う。また、2035 年までの早期に喫煙者自体をゼロに近づけるため、たばこ税増税、たばこの広告・パッケージ規制、喫煙者に対する禁煙指導・治療、子ども防煙教育のさらなる促進などのあらゆる手段を講ずる。」


たばこ規制法まで視野にいれていただきたかったですが,それでも,喫煙者自体をゼロに近づけることが入ったのはよかったと思います.2020 年までに受動喫煙のない世界を実現したいですね.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-06-10 08:41 | タバコ

東京都の検討会 罰則付き禁煙条例の制定提案に至らず

「東京都受動喫煙防止対策検討会」(座長・安念潤司教授)は2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて,飲食店などでの禁煙を義務付ける罰則付きの条例を制定すべきかどうかについて意見の一致が得られなかったとして判断が示されませんでした.
医師らの委員は規制に賛成していましたが,法律系の委員が一部の飲食店などの反対を考慮し,意見が対立していました.
委員は,次のとおりです.

1 青木剛氏  公益財団法人日本オリンピック委員会 副会長兼専務理事
2 安念潤司氏 中央大学大学院法務研究科教授
3 今村聡氏   公益社団法人日本医師会 副会長
4 大井田隆氏 日本大学医学部公衆衛生学分野教授
5 奥村康氏   順天堂大学大学院医学研究科 アトピー疾患研究センター長
6 垣添忠生氏 公益財団法人日本対がん協会 会長
7 工藤翔二氏 公益財団法人結核予防会 理事長
8 鈴木大地氏 順天堂大学スポーツ健康科学部教授
9 名取春彦氏 獨協医科大学付属病院 放射線科医師
10 野田哲生氏 公益財団法人がん研究会 代表理事・常務理事 がん研究所所長
11 細野助博氏 中央大学総合政策学部 大学院公共政策研究科教授
12 村千鶴子氏 東京経済大学現代法学部教授

「愛煙家通信」に「たばこは有害であるという根拠は怪しい」を寄稿している名取春彦氏が委員にはいっていました.愛煙家通信に「「不良」長寿のすすめ」を寄稿している奥村康氏も委員に入っていました.他方,法律系の委員のなかに,たばこ対策に詳しい専門家は入っていませんでした.このような偏った人選が問題でしょう.

受動喫煙防止のため,公共の場,閉鎖空間での喫煙を許すべきではありません.
東京都が何も規制しないというのは,およそあり得ないことですが,東京都が国に規制を預けた形になった以上,国会で受動喫煙防止法を制定すべきでしょう.

今年の禁煙週間のテーマは, 「2020年、スモークフリーの国を目指して ~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」です.
その趣旨は,次のとおりです. 

「たばこが健康に悪影響を与えることは明らかであり、禁煙はがん、循環器病等の生活習慣病を予防する上で重要である。
 「健康日本21(第二次)」やがん対策基本計画の目標でもある「未成年者の喫煙をなくす」ためには、喫煙による健康影響を認識させることが重要である。また、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に基づく第2回締約国会議において、「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」が採択され、我が国においても、平成22年2月に、基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙であるべき等を記した通知を発出し、平成24年度においては、受動喫煙防止対策の徹底について通知を発出したところである。
 今年度は、たばこを減らすことで命を守ることを目的として、「2020年、スモークフリーの国を目指して ~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」を禁煙週間のテーマとし、禁煙及び受動喫煙防止の普及啓発を積極的に行うものである。」
厚生労働省のサイト

WHOのサイトには,以下のとおり記載されています.

「Every year, on 31 May, WHO and partners mark World No Tobacco Day (WNTD), highlighting the health risks associated with tobacco use and advocating for effective policies to reduce tobacco consumption.」
(WHOおよびそのパートナーは、毎年5月31日を世界禁煙デーと定め、世界各地において、たばこがもたらす健康リスクを強調するとともに、たばこの消費削減に向けた効果的な政策への提言を行っています。)


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-05-30 09:24 | タバコ

日本学術会議、「東京都受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言」

日本学術会議健康・生活科学委員会・歯学委員会合同脱タバコ社会の実現分科会は、2015年5月20日、以下のとおり、東京都受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言」を発表しました.

1 作成の背景
平成 32(2020)年に東京でオリンピック・パラリンピックを開催することが決まり、東京都では、公共の場での受動喫煙防止対策について、検討会での審議が始まった。都知事は当初、条例制定への強い意欲を示した。しかし、都議会や関係業界等の反対を受け、都の検討会では条例化は困難という座長のまとめ案が一旦は提出されるに至った。
ところが、最終の検討会(平成 27(2015)年 3 月 30 日)では合意には至らず、条例化を含めた受動喫煙防止のための都市ビジョンやより強いメッセージを求める意見が多数出て、審議が継続されることになった。日本学術会議健康・生活科学委員会・歯学委員会合同脱タバコ社会の実現分科会では、こうした状況を重く見て、背景にある学術的根拠を再検討しつつ、東京都で取られるべき政策について審議し、提言を取りまとめた。

2 現状及び問題点
喫煙のみならず、受動喫煙により多くの致死的な疾患が引き起こされることは、科学的に明白であり、わが国は、現世代と次世代をタバコの使用とタバコ煙への曝露から守る国際条約、「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約」FCTC、たばこ規制枠組条約)を平成 16(2004)年に批准した。FCTC は平成 17(2005)年に発効し、条約の各条項を履行することが締約国の責務となっている。特に、タバコ煙への曝露からすべての人を守るための FCTC 第 8 条に関しては、平成 19(2007)年に履行のためのガイドラインが策定され、職場や公共の場の全面禁煙を法的措置によって実現することを求めている。
国内では、平成 24(2012)年に閣議決定された「第 2 期がん対策推進基本計画」において、10 年後の数値目標として、喫煙率の減少(成人喫煙率 12%、未成年喫煙率 0%)と、受動喫煙曝露機会の減少(行政機関 0%、医療機関 0%、職場 0%、家庭 3%、飲食店 15%)等が定められたが、先般行われた中間評価ではこれらの達成状況が不十分であることが明らかになった。すなわち、わが国では公共の場の利用者や飲食店従業員等のうち多くの人々が、公共の場でやむなく、あるいは業務中にタバコ煙にさらされ続けている。
一方、世界の多くの国や地域が FCTC 第 8 条ガイドラインに沿って、職場や多数の人が出入りする公共の場での喫煙を法律や条例で禁止した。それらの国々では禁止した直後から明確に心疾患・呼吸器疾患の減少が見られている。
さらに、平成 22(2010)年7月には、国際オリンピック委員会(IOC)と WHO は健康的なライフスタイルとタバコのないオリンピックを目指す合意文書にも調印した。近年のすべてのオリンピック開催都市では、罰則付きの条例や受動喫煙防止法が整備され、さらに国レベルの法整備にまで発展している国も多い。従って、もし東京都が、受動喫煙を放置したままで、オリンピック・パラリンピックを開催するならば、健康のために受動喫煙防止を進める世界の潮流を押しとどめ、逆行させるという意味を持つことになる。

3 提言の内容
喫煙のみならず受動喫煙により、がん、心臓疾患、呼吸器疾患などが引き起こされることは多くの報告から明らかで、建物内の喫煙を法律で禁じることによりそれらの疾患が減少したという国際的な経験からも、このことは疑う余地がない。しかしわが国では今なお飲食店従業員をはじめやむなくタバコ煙にさらされている人は多く、受動喫煙を防止するための法制度を早急に作る必要がある。とりわけオリンピック・パラリンピックの開催都市は法律や条例で公共の建物内の喫煙を禁止することが近年では国際的に共通認識となっており、平成 32(2020)年に東京都でそれらを開催するにあたり、この点を最重要事項と考えるべきである。従って、東京都は速やかに公共の場での受動喫煙を防止するための法整備(条例化)を行うよう緊急提言する。


1964年の東京オリンピックのときは私は小学生でしたが、テレビや新聞で、裸足の哲人アベベ・ビキラ(マラソン)、黒い弾丸ボブ・ヘイズ(陸上)、4つの金メダルをとったドン・ショランダー(水泳)、Smokin' Joeジョー・フレージャー(ボクシング)、怪物アントン・ヘーシンク(柔道)、名花ベラ・チャスラフスカ(体操)の活躍を見ていました.もちろん日本選手も応援していましたが、外国人の選手の活躍に見とれていました.
「世界は一つ」が標語でした.

この1964年1月に、米国公衆衛生局長官報告が発表され、喫煙による健康への悪影響が示されました.
2020年の東京オリンピックは、おもてなしのこころですので、是非、受動喫煙防止条例をつくっていただきたいですね.
レストランなどで禁煙にすると客が減るとよく言われますが、臭いタバコの匂いがしたら、美味しいものも美味しく感じられません.せめて公共の場での禁煙くらいは実現したいものです.



谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-05-28 00:22 | タバコ

がん死亡者数と喫煙率の目標達成できず、新たな喫煙規制が必要

国は、2007年のがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画で、75歳未満のがん死亡者数(人口10万人当たり)を05年の92・4人から2015年に73・9人とするがんによる死亡者数を20%減らす目標を定めていました.
国立がん研究センターは,2015年5月20日,この国の目標について,達成困難との見通しを明らかにしました.
目標達成には喫煙率を24・2%から半減させることが必要とされていましたが,2013年の段階で喫煙率は19・3%と12%をはるかに上回っています.

m3.com「全面禁煙、がん死亡者減に不可欠」)(2015年5月21日)は,厚生労働省のがん対策推進協議会での発言を,次のとおり伝えました.

中川恵一氏(東京大学医学部附属病院放射線科准教授)は,「報告書の受動喫煙に関する項目に言及し、受動喫煙よりも喫煙率を下げる対策が基本計画の目標達成に不可欠だと指摘。「全面禁煙を進めないと喫煙率は下がらない」と述べ、同協議会でも、全面禁煙の推進について言及すべきだとした。」

堀田知光氏(国立研究開発法人国立がん研究センター理事長)は,「「法規制がないと、これ以上は無理ではないか」として、日本学術会議が同日、東京都に2020年東京五輪開催に向けて受動喫煙防止条例制定を求める提言書を提出したことに触れ、さらなる規制を求めた。」

永山悦子氏(毎日新聞社科学環境部副部長兼医療情報室次長)は「「たばこ税の導入など、新たな対策が必要」と指摘したほか、がん検診の受診率が低いままになっていることに関して、受診率を上げるようなインセンティブの導入を検討するべきだと提案した。」

会長の門田氏守人氏(公益財団法人がん研究会有明病院院長)は,「中川氏や永山氏の指摘に対し「一番重要な問題」と述べ、「協議会として今以上に強調すべきではないか」と意見を述べた。」

タバコ対策は,実効的な法的規制が必要な段階にきていると思います.
なお,5月31日は世界禁煙デーです.各地にイベントにご参加ください.

谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-05-25 06:38 | タバコ