弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:司法( 204 )

有識者検討会で人工知能(AI)を活用した裁判の可能性を探る!?

民事裁判手続きのIT化を推進するための有識者検討会を内閣官房に設置することが報じられています.
メール添付で提出できるようになったり,テレビ電話ですむようになると便利です.記録謄写の手間が省けると助かります.
シンガポールでは,紙の訴状は受け付けず,すべてデジタル処理されていますし,裁判手続きのIT化は世界の趨勢でしょう.


毎日新聞「政府 民事裁判IT化へ検討会 当事者の負担軽減」(2017年10月15日)によれば,「人工知能(AI)など最新のIT技術を活用した裁判の可能性を探る議論も行われるとみられる。」とのことです.

UCLのニコラオス・アレトラス博士らは,AIと欧州人権裁判所の評決の一致率は79%だったと報告しています.

シンプルな事案で裁判官が誰でも同じ判決になる事件については,AIが判決起案を行ってもおそらく同じ結果になるでしょうから,電磁データ化された裁判記録が蓄積されると,将来AIが裁判官にとって代わることもありそうです.

今,将棋の世界では平均的な棋士よりAIのほうが強くなっています.AIに過去の棋譜を入力していた頃は人を超えることはできませんでしたが,発想を変えて勝利の図形出現を覚えさせたことで格段に強くなりました.
人は,有利なときに手堅くと思い慎重になるあまり緩い手を指したり,予想外の手に対し疑心暗鬼になり悪手を指したりします.その点,AIは,感情をもたず,淡々と安定した最善手を指します.
判断が難しい事件ほど,適切にプログラミングされたAIのほうが人より適しているということになるかもしれません.
でも,AIに医療事件の判決を書かれるのは,私は,なんとなくですが,まだ嫌な気がします.

谷直樹

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by medical-law | 2017-10-17 21:21 | 司法

裁判官の兼業

朝日新聞「裁判官の不動産運用、どこまでありか 最高裁で議論中」(2017年10月13日)によれば,「裁判官の不動産運用は、これまで地方赴任中に自宅を貸すケースなどに限り申請のうえで認められてきたが、明文化された基準はないという。」とのことです.
裁判官も一般公務員と同様に兼業は原則禁止で,朝日新聞に掲載された12室を住宅管理会社に貸して年間約1100万円の賃料を得たいという事案は,「自営」にあたり,最高裁判所の許可が必要です.
兼業が原則禁止とされているのは,裁判官の職務遂行の妨げになる場合があるからですが,住宅管理会社に貸す場合,裁判官の職務遂行の妨げになるとは考え難いです.
また,或る種の写真投稿などとは異なり,裁判官の不動産運用が裁判官の品位と裁判所に対する国民の信頼を傷つける行為とは言えないと思います.
裁判官の職務外の行為を合理的理由なく規制することは,裁判官の人権を侵害することになりかねず,望ましくないと思います.裁判官も一般公務員と同様の制限は受けますが,それ以上ではないでしょう.裁判官も職務外ではできるだけ普通の人と同じ日常生活をおくったほうが,バランス感覚が良い常識をもつことができるように思います.
最高裁の検討結果に注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-10-13 22:13 | 司法

裁判官の旧姓使用

最高裁通達により,2017年9月から判決令状等での旧姓使用が認められました.
かつて「三代○三代○」さんというインパクトの強いお名前の裁判官がいました(現在は法科大学院教授)が,旧姓使用が認められていたなら違っていたかもしれません.

銀行口座でも旧姓使用が認められてきています.
旧姓使用は過渡的な対応だった筈ですが,いつのまにか定着し,戸籍姓の意味が減じてきたように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-10-09 10:59 | 司法

最高裁判所裁判官国民審査

衆議院選挙の際に,最高裁判所裁判官国民審査も行われます.
大谷直人氏(1小),
小池裕氏(1小)、
木澤克之氏(1小),
菅野博之氏(2小),
山口厚氏(1小),
戸倉三郎氏(3小),
林景一氏(3小)
の7人が対象です.
罷免を可とされる人はいないでしょうが,この機会に最高裁判所裁判官について知るのもよいのではないでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2017-10-09 10:26 | 司法

小久保孝雄高松高裁長官の後任に田村幸一氏

小久保孝雄高松高裁長官(司法修習33期)が本日定年退官しますが,後任には田村幸一東京家裁所長(司法修習30期)を任命することが報じられています.

路上喫煙者が表示が小さくて禁煙地区かわからなったとして争った裁判で,東京高裁平成26年6月26日判決は,「路上禁煙の取り組みは拡大しており,あえてたばこを吸う人は禁煙地区かどうか事前に確認する注意義務がある」として,横浜市の主張を認めましたが,そのときの裁判長です.
喫煙者側に厳しい判決を下した裁判長が高裁長官になるわけです.時代の推移を感じます.


谷直樹

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by medical-law | 2017-08-31 08:38 | 司法

右陪席と左陪席

b0206085_9423527.jpg

医療事件は3人の裁判官の合議体が担当することが常です.
法廷では,裁判長が中央に座り,裁判長の右側に右陪席の裁判官,裁判長の左側に左陪席の裁判官が座ります.
傍聴人からみると,左右が逆ですが,「右陪席」,「左陪席」は,裁判長から見たものなのです。京都の左京区,右京区と同じです.天帝は北辰に座して南面す,という陰陽五行説が流行った頃の中国の影響で,天皇陛下が南を向いて座ったときの視点で,左右が決められました.
東京地裁の「橘会」は,もちろん右近の橘にちなみ,右陪席裁判官の集まりです.

ところで,右陪席裁判官のほうが左陪席裁判官より経験がある先輩です.
つまり,右が上位です.
日本は伝統的に左上位で,今でも円卓では最上位の人の左側が第2順位の人の席,最上位の人の右側が第3順位の人の席となっています.
これに対し,西洋では右上位です.
裁判官の席が右上位なのは,西洋式(国際ルール)なのです.
そのため,日本式で左大臣のほうが右大臣より上位なのに,西洋式で右陪席裁判官のほうが左陪席裁判官より上位という事態が生じているのです.

最高裁では,裁判長が真ん中に座り,着任が古い裁判官が裁判長の右,次に古い裁判官が裁判長の左,その次に古い裁判官が右の右,その次に古い裁判官が左の左・・・というように右上位です.

ちなみに,外科手術では,普通,執刀医が患者の右側に立ち,第1助手が左側に立ち,第2助手が執刀医の横に立ちます.ベテラン医師が執刀医をつとめるとは限らず,助手としてサポートすることもあります.


谷直樹

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by medical-law | 2017-08-27 00:24 | 司法

夏期休廷期間

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裁判所には,3週間程度の夏期休廷期間があります.
交代なので,夏期休廷期間の影響を受けるのは6週間になります.
そのため,裁判期日が偏ります.
とくに夏期休廷明けの9月は裁判期日が集中します.
当然,書面起案の締め切りも重なります.
そこで,前倒しで8月中に或る程度は準備しておかねばなりません.
お盆でも,お墓参りに行く時間はなさそうです.


谷直樹

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by medical-law | 2017-08-15 00:03 | 司法

裁判官の任期満了退官

b0206085_10265693.jpg下級裁判所の裁判官の任期は10年とし,再任されることができる(憲法80条1項)とされています.

下級裁判官指名諮問委員会は,昨年12月,再任願いを撤回した2人を除く184人について審理を行い,182人を指名適当,2人を指名不適当と答申しました.例年2人程度が指名不適当とされます.

4月10日付人事で,49期3人,39期1人が任期満了退官となっていました.
理由はなんとなく推察できるような・・・

裁判官は大変な仕事です.

谷直樹

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by medical-law | 2017-04-22 00:37 | 司法

最判平成29年4月6日,じん肺管理区分決定処分取消等請求事件,福岡高裁金村判決を破棄差戻

b0206085_19331834.jpg
これは,私が担当した事件ではありません.

「本件は,建物の設備管理等の作業に従事する労働者であったAが,福岡労働局長に対し,じん肺法15条1項に基づいてじん肺管理区分の決定の申請をしたところ,管理1に該当する旨の決定(以下「本件決定」という。)を受けたため,じん肺健康診断の結果によれば管理4に該当するとして,被上告人を相手に,その取消し等を求めて提起した訴訟である。Aが本件訴訟の第1審口頭弁論終結後に死亡したことから,原審において,同人の妻及び子である上告人らが相続により本件訴訟におけるAの地位を承継したと主張して訴訟承継の申立てをし,その成否が争点となっている。」事案について,最判平成29年4月6日は,原判決(福岡高裁金村判決)を破棄し差戻しました.

主文は以下のとおりです.

「原判決中上告人らに関する部分を破棄する。
前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。」


理由の3以下は次のとおりです.

「3 原審は,上記事実関係等の下で,本件決定等の取消しによって回復すべき法律上の利益は,管理2以上のじん肺管理区分の決定を受ける地位であるところ,じん肺法上,じん肺管理区分の決定を受けるという労働者等の地位は,当該労働者等に固有のものであり,一身専属的なものであると解されるから,上告人らがAの相続人としてこれを承継することはできず,本件訴訟はAの死亡により当然に終了すると判断し,第1審判決(ただし,国家賠償請求に関する部分を除く。)を取り消し,訴訟終了宣言をした。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

(1)ア 都道府県労働局長のじん肺管理区分の決定は,粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働者であった者を対象とし,じん肺健康診断の結果を基礎として,じん肺に関し相当の学識経験を有する医師である地方じん肺診査医の審査等に基づき,じん肺の所見の有無及びその進展の程度を確認し,じん肺に関する健康管理その他必要な措置を適切に講じ得るよう,じん肺の所見がないと認められる者を管理1に,当該所見があると認められる者をその進展の程度に応じて管理2から管理4までに区分するもの(じん肺法4条2項)である。
そして,同法23条は,管理4と決定された者については,療養を要するものとしているところ,これは,労災保険給付の対象となる業務上の疾病として,「粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症」が定められ,療養補償給付等の対象とされていることに対応する規定であり,都道府県労働局長が上記のようなじん肺健康診断の結果を基礎とする専門医の判断に基づいて管理4と決定した者については,上記の業務上の疾病に当たるものとして労災保険給付が円滑かつ簡便に支給されるようにしたものと解される。そうすると,同条は,管理4に該当するじん肺にかかった労働者等が,その旨のじん肺管理区分決定を受けた場合に上記の業務上の疾病に当たるか否かについての実質的審査を再度経ることなく当該労災保険給付の支給を受けられることとしたものと解するのが相当である。

イ 他方,本件通達によれば,じん肺に係る労災保険給付に関する事務を行うに当たっては,管理4と決定された者に係るじん肺を業務上の疾病として取り扱うものとする一方,管理4以外の者からじん肺に係る労災保険給付の請求があった場合は,原則として,随時申請を行うべきことを指導し,当該申請によるじん肺管理区分の決定を待って,その結論に応じて所定の事務を行うこととされている。これは,上記のようなじん肺法23条及び労災保険法等の規定を踏まえて,じん肺に係る労災保険給付に関する事務において,管理4に該当する旨の決定がある場合に上記アの業務上の疾病に当たるとの判断が行われることとしているものということができ,管理1に該当する旨の決定を受けた労働者等が労災保険給付の請求をした場合には,当該業務上の疾病に当たるとは認められないとして当該労災保険給付の不支給処分を受けることが確実であるということができる。

ウ 以上によれば,都道府県労働局長から所定の手続を経て管理1に該当する旨の決定を受けた労働者等は,これを不服として,当該決定の取消しを求める法律上の利益を有するところ,労災保険法11条1項所定の遺族は,死亡した労働者等が有していたじん肺に係る労災保険給付の請求権を承継的に取得するものと理解することができること(同項及び同条2項)を考慮すると,このような法律上の利益は,当該労働者等が死亡したとしても,当該労働者等のじん肺に係る未支給の労災保険給付を請求することができる上記遺族が存する限り,失われるものではないと解すべきである。このように解することは,本件のように,管理1に該当する旨の決定を受けた当該労働者等がその取消訴訟を提起した後に死亡した場合に,上記遺族に訴訟承継を認めないときは,当該遺族は当該労働者等のじん肺に係る労災保険給付を請求したとしても,管理1に該当する旨の決定が存する以上,当該労災保険給付の不支給処分を受けることが確実であり,改めてこれに対する取消訴訟を提起することを余儀なくされることに照らしても,合理性を有するということができる。

エ したがって,管理1に該当する旨の決定を受けた労働者等が当該決定の取消しを求める訴訟の係属中に死亡した場合には,当該訴訟は,当該労働者等の死亡によって当然に終了するものではなく,当該労働者等のじん肺に係る未支給の労災保険給付を請求することができる労災保険法11条1項所定の遺族においてこれを承継すべきものと解するのが相当である。そして,当該決定に係る審査請求を棄却する旨の裁決の取消しを求める訴訟についても同様に解される。

(2) これを本件についてみると,管理1に該当する旨の本件決定を受けたAは,管理4に該当するとして,本件決定等の取消しを求める本件訴訟を提起したところ,その係属中に死亡し,その妻及び子である上告人らにおいて訴訟承継の申立てをしたというのであるから,本件訴訟は,Aの死亡によって当然に終了するものではなく,上告人らがAの死亡の当時同人と生計を同じくしていたのであれば労災保険法11条1項所定の遺族に該当するものとしてこれを承継することになる。

5 以上と異なる原審の前記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は以上と同旨をいうものとして理由があり,原判決中上告人らに関する部分は破棄を免れない。そして,上告人らが労災保険法11条1項所定の遺族に該当するか否か等について,更に審理を尽くさせるため,上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官池上政幸 裁判官大谷直人 裁判官小池裕 裁判官木澤克之)」


要するに,福岡高裁判決(裁判長金村敏彦)は,じん肺管理区分の決定を受けるという労働者等の地位は,労働者の健康管理が目的であるから,当該労働者等に固有のものであり,一身専属的なものであるという形式的ないささか粗い論理で,訴訟終了宣言をしたのに対し,最高裁判決は,「労災保険法11条1項所定の遺族は,死亡した労働者等が有していたじん肺に係る労災保険給付の請求権を承継的に取得するものと理解することができること(同項及び同条2項)を考慮すると,このような法律上の利益は,当該労働者等が死亡したとしても,当該労働者等のじん肺に係る未支給の労災保険給付を請求することができる上記遺族が存する限り,失われるものではないと解すべきである。」として,訴訟承継を認めたのです.
もちろん,最高裁判決のほうが適切な法解釈です.

谷直樹

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by medical-law | 2017-04-07 01:21 | 司法

4月は君の異動

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4月1日付で裁判官と検察官の大規模な異動が発表になりました.
詳細は、下記サイトをご参照ください.

http://www.e-hoki.com/affairs/

http://www.westlawjapan.com/p_affairs/

裁判官は2年か3年で異動しますので、どうしても審理期間が長くなる医事訴訟では、裁判官の異動を1、2回経験することになります.

私は、裁判の途中で前の弁護士から引き継ぐことがありますが、前の弁護士の訴訟活動の意図が分からないことがあり苦労します.
まして、裁判官は、担当事件の件数が多いのでとても大変と思います.
記録を丹念に読まれるのでしょうが、それでも全件把握には5月の連休頃までかかるのではないでしょうか.最終的には、期日で当事者または代理人弁護士の顔を見て言い分を聞いて、イメージができあがるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2017-04-04 18:18 | 司法