弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:弁護士会( 92 )

日弁連,秘密保護法施行令(案)等の閣議決定に対する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2014年10月14日,以下のとおり,「秘密保護法施行令(案)等の閣議決定に対する会長声明」を発表しました.

「本日、特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)の施行令(案)及び運用基準(案)等が閣議決定された。

情報保全諮問会議が本年7月に作成した同施行令(素案)及び運用基準(素案)等については、7月24日からパブリックコメントが実施され、難解な内容にもかかわらず、2万3820件の意見が提出された。情報保全諮問会議ではこれを検討し、施行令(案)及び運用基準(案)等を作成し、9月10日に内閣総理大臣に提出した。その内容は、前記の各素案とほとんど変わらないものであった。

他方、国連人権(自由権)規約委員会は7月31日、日本政府に対して、秘密指定には厳格な定義が必要であること、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰の対象から除外されるべきことなどを勧告した。

当連合会は、9月19日付けで「特定秘密保護法の廃止を求める意見書」を公表し、この法律の廃止を改めて求めたところであるが、市民の強い反対の声を押し切って成立した秘密保護法には、依然として、以下のとおり、重大な問題がある。


①秘密保護法の別表及び運用基準を総合しても、秘密指定できる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険性が解消されていない。

②秘密保護法には、違法・不当な秘密指定や政府の腐敗行為、大規模な環境汚染の事実等を秘密指定してはならないことを明記すべきであるのに、このような規定がない。

③特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある。

④政府の恣意的な秘密指定を防ぐためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要であることは国際的な常識であるが、同法が規定している独立公文書管理監等の制度にはこのような権限と独立性が欠けている。

⑤運用基準において通報制度が設けられたが、行政組織内での通報を最優先にしており、通報しようとする者を萎縮させる。通報の方法も要約によることを義務づけることによって特定秘密の漏えいを防ぐ構造にしてあるため、要約に失敗した場合、過失漏えい罪で処罰される危険に晒されている。その上、違法行為の秘密指定の禁止は、運用基準に記されているのみであり、法律上は規定されていないので、実効性のある公益通報制度とは到底、評価できない。

⑥適性評価制度は、情報保全のために必要やむを得ないものとしての検討が十分になされておらず、評価対象者やその家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また、評価対象者の事前同意が一般的抽象的であるために、実際の制度運用では、医療従事者等に守秘義務を侵させ、評価対象者との信頼関係を著しく損なうおそれがある。

⑦刑事裁判において、証拠開示命令がなされれば秘密指定は解除されることが、内閣官房特定秘密保護法施行準備室が作成した逐条解説によって明らかにされたものの、証拠開示が命じられるかどうかは、裁判所の判断に委ねられており、特定秘密を被告人、弁護人に確実に提供する仕組みとなっていない。そもそも秘密保護法違反事件は必要的に公判前整理手続に付されるわけではなく、付されなかった場合には、被告人、弁護人が秘密を知ることなく公判手続が強行される可能性が大きく、適正手続の保障は危殆に瀕する。

⑧ジャーナリストや市民を刑事罰の対象としてはならないことは、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則であるツワネ原則にも明記されており、アメリカやヨーロッパの実務においても、このような保障は実現されているが、国際人権(自由権)規約委員会からも同様の指摘を受けたことは前述したとおりである。

当連合会は、本年8月22日付けで運用基準(案)に対するパブリックコメントを提出し、法令違反の隠蔽を目的として秘密指定してはならないとしている点について、「目的」を要件にすることは不当であり、違法行為そのものの秘密指定を禁じるべきと主張した。これに対して、政府は、運用基準(素案)を修正し、行政機関による違法行為は特定秘密に指定してはならないことを明記した。これは、今後ジャーナリストや市民が違法秘密を暴いて摘発されたときには、無罪を主張する法的根拠となりうるものとして評価できるが、本来、法や政令において定めるべきことである。

また、独立公文書管理監職は一名しかおらず、特定秘密の閲覧や秘密指定解除の是正勧告等の権限を有する者であるから、その独立性及び権限行使の的確さが強く求められるところ、どのような者が担当となるかについて政府は全く明らかにしていない。加えて、①独立公文書管理監を補佐する情報保全監察室のスタッフの秘密指定機関へのリターンを認めないこと、②すべての秘密開示のための権限を認めること、③内部通報を直接受けられるようにすることなど、運用基準(素案)の修正により容易に対応できたが、これらの意見は修正案に採用されなかった。政府は恣意的な秘密指定がなされないような仕組みを真剣に構築しようとしているのか、極めて疑問である。

市民の不安に応え、市民の知る権利と民主主義を危機に陥れかねない特定秘密保護法をまずは廃止し、国際的な水準に沿った情報公開と秘密保全のためのバランスの取れた制度構築のための国民的議論を進めるべきである。」



谷直樹

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by medical-law | 2014-10-16 00:25 | 弁護士会

函館で開催される第57回人権擁護大会・シンポジウム

日弁連の第57回人権擁護大会・シンポジウムは10月2日と3日函館で開催されます.
第1分科会は「北の大地から考える、放射能汚染のない未来へ-原発事故と司法の責任、核のゴミの後始末、そして脱原発後の地域再生へ」で,第2分科会は「障害者権利条約の完全実施を求めて-自分らしく、ともに生きる」です.

日弁連の人権擁護大会・シンポジウムにはできるかぎり参加しようと考えていましたが,今年は残念ですが業務の都合で参加できません.

函館は趣があり良い街です.
「はこだてフィルムコミッション」が,函館で撮影された映画のロケ地マップを載せています.

『スノーフレーク』は,一家心中で遺体が見つからなかった少年が生きているのでは?というサスペンスです.主演の桐谷美玲さんを見る映画です.

『犬と私の10の約束』は,病院に犬を持ち込んだりあり得ないストーリー展開ですが,ゴールデンレトリーバーがかわいいので,犬好きの方は見たほうがよい映画です.少女時代を演じた福田麻由子さんと成人後を演じた田中麗奈さんがよく似ています.お父さんのお医者さん役の豊川悦司さんがよい味をだしています.

『Little DJ〜小さな恋の物語』は,神木隆之介さんと福田麻由子さんが主演です.白血病で入院した病院でDJを行う少年患者の物語です.小林克也さんがラジオ局のDJ役で出演しています.どこか懐かしい映画です.

『星に願いを。』は,看護師役の竹内結子さんが主役です.3日間だけ生き返った青年患者が,自筆証書遺言を書き,思いを伝えようとします.

私が見たことがあるのは上記4つだけですが,それ以外にも,『海炭市叙景』,『ACACIA』,『つむじ風食堂の夜』,『わたし出すわ』,『海猫』,『パコダテ人』,『いつかギラギラする日』,『キッチン』,『居酒屋兆治』,『ギターを持った渡り鳥』など函館でロケした映画があるそうです.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-21 19:42 | 弁護士会

「着手金無料!相談無料!」をうたうサイト

医療過誤・医療事故の分野で,「着手金無料!相談無料!」をうたう,或る弁護士法人のサイトをみました.
ついに,医療事件にも完全報酬制の事務所があらわれたのか,と思い,よく読んでみると,

「相手方との交渉、面談開始時に着手金として10万5000円(消費税込)、訴訟提起時に同額のお支払をお願い申し上げます。」

と書いてありました.

着手金無料ではなかった・・・

また,「弁護士選びはココがポイント!」と題して経験,交渉力,報酬,知識,当事務所(?)の5項目について,他社A,他社Bと比較した五角形の図を掲載していました.

日弁連の「弁護士の業務広告に関する規程」は,

「第三条 弁護士は、次の広告をすることができない。
一 事実に合致していない広告
二 誤導又は誤認のおそれのある広告
三 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
四 困惑させ、又は過度な不安をあおる広告
五 特定の弁護士若しくは外国法事務弁護士又は法律事務所若しくは外国法事務弁護士事務所と比較した広告
六 法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告
七 弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」


と定めています.

弁護士の広告は,正確で分かりやすい情報を提供することに意味があります.

弁護士は,サイトを業者任せにせず,必ず自ら確認点検する必要があるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-17 09:41 | 弁護士会

長野県弁護士会,TPPへの交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念

長野県弁護士会は,平成25年10月12日,「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念する会長声明」を発表しました.

「政府は,環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について,本年7月に開催されたマレーシア交渉から参加を開始したところである。
TPP交渉への参加について,政府は,平成25年7月25日付け甘利明TPP対策本部長名義の「日本のTPP交渉への正式参加について」という文書の中で,「アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは,日本の国益となるだけでなく,世界に繁栄をもたらし,この地域の安定にも貢献するものであり,日本が一旦交渉に参加した以上,重要なプレーヤーとして,新たなルール作りをリードしていく」「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていくことによって,我が国の国益を最大限に実現するよう全力を挙げて交渉にあたる」などと表明している。

しかし,「我が国の国益を最大限に実現する」にあたって,その「国益」の判断が政府ないし官僚機構の独りよがりの判断であってはならない。また,TPPへの参加が真に「国益」に適っているか否かの判断は,TPPに参加した場合の効果等について広く国民に情報提供した上で,国民的議論を踏まえたものでなくてはならない。それにも関わらず,報道に拠れば,TPP交渉への参加国には秘密保持契約の締結が求められ,政府はマレーシア交渉からTPP交渉に参加するにあたり,この秘密保持契約を締結したとされている。その契約によれば,交渉中はもとより,協定発効から4年間は,交渉経過等の開示が禁じられるとされているとのことであり,交渉中に国民に十分な情報発信を行ってTPPに関する国民的議論を行うことが不可能である。更に,外交に対する民主的コントロールを必要とする,条約締結に関する国会の承認権(憲法73条3号但書)の行使にも支障が生じることは明らかである。

TPPは21分野にわたって行われるものであり,食の安全や環境・労働,国民生活に不可欠な各種サービスなど,国民の生活に大きな影響を及ぼす広汎な分野が交渉の対象となっているが,それらの分野に於いては例外規定に該当しない限り完全な自由化が求められるとされる(ネガティブリスト方式の採用)。また,投資分野に於いては,ISDS条項(外国の投資家や企業が,進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合,協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を相手国の司法手続ではなく国際仲介機関によって解決することを選択できるという条項)を入れることが見込まれる。そうなると,国民の生命・身体・健康・財産を保護するために行う国家の規制や,日本固有の司法権のあり方や弁護士制度を含む司法制度等についても大きく改廃を迫られる危険がある。そのように,国民生活に多大な影響が出るTPPへの参加の是非や参加した場合の内容が,十分な情報による国民的議論なしに決められ,国会の承認にすら十分な情報が提供されないことは,およそ国民主権(憲法前文,1条)や国民の知る権利(同21条1項参照),国会の最高機関性(同41条)に反し,到底容認されるものではない。

以上の意味で,国民生活に多大な影響が出るTPP交渉への参加が,国民や国会に対して十分な情報を提供なく進められることは憲法の理念に反するものであり,当会は,このような現状を強く憂う。真に政府が,国益のために「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていく」決意を持っているのであれば,現状の秘密保持契約のもつ問題性を根拠として,国民や国会への十分な情報の提供が可能となるような新たな約定を交わすべく交渉すること,それが不可能であれば,直ちにTPP交渉から脱退することを求める次第である。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-10-26 02:15 | 弁護士会

「○○センター」という名称と日弁連規程

最近,インターネット上に弁護士会が運営する本家本元の「弁護士会の法律相談センター」以外にも,「○○法律相談センター」,「○○弁護士法律相談センター」,「○○無料法律相談センター」というような名称をみかけます.

弁護士あるいは弁護士法人が「○○法律相談センター」,「○○弁護士法律相談センター」,「○○無料法律相談センター」というような名称を使用したサイトを開設することは,日本弁護士連合会(日弁連)の規程上問題ないのでしょうか.

弁護士あるいは弁護士法人が,登録している「○○法律事務所」「弁護士法人○○」という名称以外に,別の名称を使用することは「複数の事務所名称を付すること」となり,許されていません.

日本弁護士連合会の「法律事務所等の名称等に関する規程及び外国法事務弁護士事務所の名称に関する規程の解釈及び運用の指針」(2013年3月14日理事会議決)は,「複数の事務所名称を付することに該当する例」として,「登録されている事務所名称と別に取扱い分野を表示する方法として「○○センター」、「○○相談所」等の表示を用いること。」をあげています.
したがって,弁護士あるいは弁護士法人が,登録されている事務所名称と別に「○○センター」「○○相談所」等別の組織,施設等の名称を用いることは,法律事務所等の名称等に関する規程第6条もしくは第13条又は外国法事務弁護士事務所の名称に関する規程第6条の複数名称の禁止に違反することになります.

また,平成24年3月15日の日本弁護士連合会の理事会決議による広告指針でも,「○○交通事故相談センター」「○○遺言相続センター」等別の組織、施設等の名称を用い、法律事務所等の名称等に関する規程第6条もしくは第13条又は外国法事務弁護士事務所の名称に関する規程第6条の複数名称の禁止に違反する広告」が,日本弁護士連合会の「弁護士の業務広告に関する規程」(平成十二年三月二十四日会規第四十四号)」に違反することが確認されています.

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-19 08:41 | 弁護士会

日弁連、特定秘密保護法案に反対する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は、2013年10月3日、特定秘密保護法案に反対する会長声明を発表しました.

「政府は、9月26日、特定秘密保護法案(以下「本件法案」という。)の内容を明らかにした。この時期の公表は、秋の臨時国会への提出及び成立を目指したものである。

当連合会では、民主党政権下において情報公開法の改正と併せて秘密保護法制に関する検討が始められた当初から、秘密保護法制の立法化に対しては疑問を呈し、法案の国会提出に強く反対してきた。そして、同月3日から始まった特定秘密保護法案概要に関するパブリックコメントにも、同月12日に当連合会として法案概要の問題点を詳細に指摘した意見書を提出した。

本件法案には、手続面及び内容面において重大な問題がある。

本件法案の内容は、統治機構の在り方、国民主権及び国民の諸権利に重大な影響を与えるものであるにもかかわらず、政府は、この問題について国民に秘したまま7年以上にわたり水面下で検討しながら、ようやく1か月前に突如法案の概要を示し、更にまたパブリックコメントの期間を僅か2週間しか設けないという国民不在の手続を強行した。国民主権の否定につながるこのような手法は断じて許されるべきではない。

それにもかかわらず、パブリックコメントには、約9万件の意見が寄せられ、しかも、約8割が法案概要に反対するものであったとのことである。政府としては、パブリックコメントに寄せられた意見を分析し、法案の内容を再検討し、さらには法案の提出の断念をも検討すべきであった。ところが、パブリックコメント終了後わずか12日目に本件法案を公表した。寄せられた国民の意見を検討できるはずもなく、またこれを子細に検討し法案に反映させようとの姿勢は全く窺えない。

そして、本件法案の内容をみても、当連合会が指摘した問題点がそのまま残されている。すなわち、特定秘密の範囲が広範かつ不明確で、違法秘密や疑似秘密(政府当局者の自己保身のための秘密)の危険性もそのままであり、適性評価におけるプライバシー侵害の問題や、重罰化、共謀・独立教唆の処罰による取材活動の萎縮や知る権利の制約の問題も解消されていない。

また、行政機関の長が特定秘密情報を提供することができる要件について、国会の議院等(以下「国会等」という。)に対しては、行政機関の長の幅広い裁量権が規定されているのに対して、外国の政府や国際機関に提供する場合については、国会等への提供の場合よりも明らかに緩やかなものになっている。そのうえ、国会等に特定秘密を提供した場合に、議員がその情報を議員活動でどのように利用できるかについても不明確なままであり、これでは、国会が国権の最高機関であることを無視するものというほかない。全国民を代表する国会議員によって構成される国会が行政を監視するのではなく、逆に行政によって国会が支配されかねない構造となっており、わが憲法下の統治機構の在り方を根底から蝕むものである。

また、警察庁長官が、都道府県警察が保有する特定秘密の提供を求めることができるものとしている。これは、警察組織の更なる中央集権化を推し進める役割を果たし、戦後の警察組織の民主化を大きく後退させることにつながりかねない。

一方、法案の第20条に「報道の自由」に配慮する旨の規定が盛り込まれたが、「報道の自由」は判例上確立しているから、その文言を改めて規定する意味は特にないのであって、幅広い処罰規定を設け、過失犯まで処罰するという本件法案の重罰化がもたらす憲法の保障する自由権に対する深刻な萎縮効果は何ら拭えないのである。

このような法案は、今国会に提出されるべきではない。その前に、重要な公的情報を適正に保管するための公文書管理法の改正、及び国民の知る権利を充実させるための情報公開法の改正こそが行われるべきである」


谷直樹

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by medical-law | 2013-10-04 01:49 | 弁護士会

札幌弁護士会法律相談センター,10月1日から相談料を無料化

札幌弁護士会法律相談センターは,2013年10月1日から,相談料を無料にするとのことです.相談料は札幌弁護士会が負担し,相談担当弁護士には相談料が支払われます.
一部の相談が無料なのはありますが,全ての相談が無料なのは,全国の弁護士会ではじめてのことです.

ウココロ「札幌弁護士会法律相談センター相談料全面無料化10月1日スタートのご案内」によれば,「昨年から無料出張相談の企画も行ったところ、法律相談の需要がこんなにあるのかということも感じましたし、その中で、相談をして頂ければもっと早くに問題が解決できたのにという件も多かったこともありました。 多重債務の相談など一部は無料化していたのですが、それではまだ不十分ということで、相談料を全面無料化することに決めたのです。」(花形満先生談)とのことです.

相談料無料化で法律相談の件数が大きく変わるのであれば,他の弁護士会も法律相談無料化を検討することになるでしょう.
札幌弁護士会の法律相談の件数の推移に注目したいと思います.

なお,当事務所では,産科医療法律相談は無料としています.産科事故はとくに深刻な被害をもたらし,脳性麻痺の子どもの治療介護費用がかかり,依頼者が若い夫婦で経済的に余裕があるとは言えない場合も多いためです.
産科以外の一般の医療法律相談は,相談件数がこれ以上増えると日常業務に支障をきたしかねませんので,有料としています.


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-30 07:30 | 弁護士会

日弁連「震災関連死の審査に関する意見書」、とくに因果関係の認定について

日本弁護士連合会(日弁連)は、2013年9月18日、「震災関連死の審査に関する意見書」を復興大臣、内閣府特命担当大臣(防災)、厚生労働大臣宛てに提出しました.

同意見書は、以下のとおり指摘しています.

「平成25年5月10日に復興庁が公表した資料によれば,平成25年3月31日現在における東日本大震災における震災関連死の死者数(災害弔慰金の支給対象となった人数)は,全国で2,688人である。これは,平成25年7月10日に警察庁が公表した東日本大震災における全国の死者・行方不明者数18,550人(死者数15,883人及び行方不明者数2,667人の合計)の約14.4パーセントに過ぎない。これまでの災害と比較して,東日本大震災の被害状況の規模や深刻さを考慮すると,震災関連死の死者数は,明らかに少ないと言わざるをえない。」

「因果関係について,既往症があった場合など,震災により明らかに死期を早めたと医学的に判断できない場合には認められないとしている自治体もある。しかし,因果関係については,大阪高裁平成10年4月28日判決において,病気によりいつ死亡してもおかしくない状況にあった者につき,「震災がなければ死亡という結果が生じていなかったことが必要であるが,これが認められる以上は,死期が迫っていたか否かは右相当因果関係の存否の認定を左右するものではない」とし,「少なくともその時期には未だ死亡という結果が生じていなかったと認められる以上は,右相当因果関係の存在を肯定するのが相当」として,災害弔慰金不支給決定を取り消した例がある。この判例や当連合会の意見を踏まえて,因果関係についても緩やかに判断し,できる限り広く支給を認めるべきと言えよう。」

「震災関連死の認定において問題となり,審査会の審査の対象となる因果関係は,法律上の相当因果関係の有無であって,医学上の因果関係の有無ではない。」

「審査委員として医師が複数選任されている審査会が多くみられるところ,審査対象が法律上の因果関係の有無であるにもかかわらず,医師の意見により,医学的・科学的知見に偏り過ぎた医学上の因果関係の有無の判断に近い審査が行われ,災害弔慰金の趣旨に沿った認定が十分に行われていない傾向にあるとも言われており,この点が認定率にも影響を与えている恐れがあるとの声もある。」



災害がなければその時期に死亡することはなかった場合や,一定の事情により体調を崩したり病状が悪化したりしてから災害前と同程度まで体調回復せず死亡した場合には,災害弔慰金の趣旨を踏まえて,因果関係を厳密に捉えることなく,広く支給されるべきでしょう.


同意見書の趣旨は、以下のとおりです.

「1 災害弔慰金の支給に関する審査会においては、震災からの時間の経過により一律に判断するのではなく、災害により死亡した者の遺族に対する見舞い及び生活再建の支援という災害弔慰金の趣旨を十分に踏まえて、震災による避難等により体調を崩したり、病状が悪化したりしてから震災前と同程度まで体調を回復させることなく亡くなった場合などを含め、できる限り広く支給される方向で認定されるべきである。

2 被災地の市町村は、災害弔慰金の支給に関する審査会を自ら設置すべきであり、県への審査の委託はできる限り避けるべきである。

3 災害弔慰金の支給に関する審査会の構成員は、審査の対象が法律上の相当因果関係の有無であることから、医師の他、法律実務に精通した専門家を、少なくとも複数置くべきである。また、審査会の構成員の人数は、申請件数に応じて柔軟に増やすべきである。

4 審査の方法に関しては、必要な資料を収集した上で、十分に議論を尽くして行われるべきである。特に支給しない方向で決定する場合は、審査会の結論が遺族に与える影響の大きさを考慮し、慎重に、時間をかけて行われるべきである。

5 国は、今後災害が発生した場合、災害弔慰金の趣旨を踏まえできる限り広く支給されるために、審査基準につき、被災地の市町村に一任することなく、災害発生後速やかに一定の基準を示すべきである。その際、被災地により被災の状況が異なることから、一義的な基準の明示が困難な場合でも、少なくとも過去の判例を類型的に整理し、過去における支給例等の参考事例を具体的に示すべきである。

6 国は、今後災害が発生した場合、災害直後から、災害弔慰金の存在及び審査会への申立方法を含めて、広く周知すべきである。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-09-25 01:13 | 弁護士会

特定秘密保護法案と弁護士会主催のシンポジウム

◆ 千葉県弁護士会

東京新聞「秘密保護法案を考える 千葉で21日」(2013年9月19日)は、次のとおり報じました.

「国の機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化する「特定秘密保護法案」について考えるシンポジウム「秘密保全法と知る権利」が二十一日、千葉市中央区の県弁護士会館で開かれる。主催する県弁護士会は「国政の重要な情報が隠される危険性をしっかり考えたい」と来場を呼び掛けている。同法案が国民の表現の自由やプライバシーを侵害する恐れがあるとして、同会は昨年七月にプロジェクトチームを立ち上げて検証してきた。政府が法案概要を公表したことを受け、シンポジウムの開催に至った。

 シンポジウムでは、東京弁護士会所属の弁護士が法案の問題点や情勢について講演。その後、元北海道新聞記者の高田昌幸さんを招き、パネルディスカッションを行う。

 二十一日午後一時半開演。入場無料。問い合わせは、県弁護士会=電043(227)8431=へ。」


◆ 福岡県弁護士会

福岡弁護士会は、2013年10月26日(土)14時~16時、福岡県弁護士会館 3階ホールで、シンポジウム「秘密保護法で社会はどう変わるのか?ー外交・防衛の決定権限のゆくえー」を開きます.近藤恭典弁護士による基調報告と沖縄国際大学前泊博盛教授による講演があります.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-20 01:39 | 弁護士会

藤原紀香さんのブログと日弁連の「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書

特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集は,2013年9月3日から同年同月17日(明日)までです.

NHK「日弁連 秘密保全法案 意見募集延長を」(2013年9月13日)は,次のとおり報じました.


「安全保障に関する情報を厳重に保護するための「秘密保全法案」について、政府は概要を公表し一般から意見を募集していますが、日弁連=日本弁護士連合会は、重要な問題であり、意見の募集期間を今の15日間から2か月間に延長すべきだとする意見書をまとめ、政府に送りました。

政府は安全保障に関する情報を厳重に保護するため、特に秘匿が必要な「特定秘密」に指定された情報を漏えいした公務員らに対し、最高で10年の懲役刑を科すなどとした「秘密保全法案」の概要を公表し、今月3日から17日までの15日間、インターネットなどを通じ、一般から意見を募集しています。
この法案に反対する日弁連=日本弁護士連合会は12日、意見の募集期間を2か月間に延長すべきだとする意見書をまとめ、この法案を担当する内閣情報調査室に送りました。
意見書では、法案の内容が国民主権など憲法の原理に抵触する可能性がある一方で、国会に提出されることをほとんどの国民がこれまで知らなかったとしています。
そのうえで、内容を理解するための期間と、理解したうえで意見を作成する期間を合わせ、2か月間が必要だとしています。
日弁連の清水勉弁護士は「憲法が保障する知る権利や表現の自由に関わる重要な問題だが、国民的な議論は進んでいない。政府は意見の募集期間を延長し、幅広い国民の声を聞くべきだ」と話しています。
.

意見募集の期間 平均は27日間

政府がインターネットなどを通じて一般から意見を募集するパブリックコメント制度は、国会で審議されることのない「政令」や「省令」などを対象にしたものです。
秘密保全法案のような「法律」は、国会で民意が反映されるとして、本来、制度の対象にはなっていません。
この制度を利用して現在、意見を募集しているのは、秘密保全法案の概要も含めて合わせて32件ありますが、募集期間は平均で27日間となっていて、15日間は、そのおよそ半分です。
現在、20日間を下回るのは、秘密保全法案の概要のほかに、▽防衛省市ヶ谷地区などの施設管理業務に関わる民間競争入札の実施要項案と、▽農林漁業成長産業化支援機構の認可申請ついての意見募集の、合わせて4件となっています。
また、原発事故の被災者支援を定めた「子ども・被災者生活支援法」の基本方針案については、当初15日間でしたが、被災者の意見を十分反映させるべきだという意見が出たため、政府は11日、25日間に延長しました。
このほか「政令」と「省令」は、法律で、意見の募集期間を原則として30日以上とするよう定められています。
秘密保全法案を担当する内閣情報調査室は「幅広い議論をいただいて丁寧な意見集約を図る必要があると考え、法律で義務づけられたものではないが、パブリックコメント制度を活用することにした。15日間という期間は、ほかの省庁の事例を参考に決めたもので、現時点で見直しは考えていない」と話しています。」


◆ 日弁連の意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は,平成25年9月12日,「日弁連の「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書」を発表しました.
意見の趣旨は。
「1 意見募集期間を2か月に延長すべきである。
2 当連合会は,日本国憲法の基本原理を尊重する立場から,「特定秘密の保護に
関する法律案」(以下「本件法案」という)に強く反対する。」

というものです.

「有識者会議報告書は,ボガチョンコフ事件を秘密保全法制の立法事実としている。
しかし,事案に即した対策としては,秘匿性の高い文書について複写できる者を制限し,複写をした者や日時を記録し,日々,不正な複写の有無をチェックする運用を実行すればよい。
また,同事件については,④で述べたとおり,事案防止のためにさまざまな方策がとられており,その後同様の事件は再発していない。そうであれば,既に必要な対策はとられているのであり,新たに秘密保全法制を制定する必要性はない。
防衛省は,「個人的弱点を抱える職員は諜報工作の対象として狙われやすいところ,上司による職員の身上把握が不十分」との点が秘密漏えいの原因だとしている。
しかし,一般的に考えるならば,個人的弱点のない人など存在せず,誰もが何らかの「弱点」を持っている。「弱点」を探し出して,特定の者について「弱点がある」と評価しても何の意味もない。「個人的弱点」の有無を重視する考え方は誤りである。
H3佐の「個人的弱点」とは何だったのか。ボガチョンコフ事件では,確かに難病の子どもを抱えている親が秘密漏えいを起こしたが,H3佐に難病の子どもがいなければ情報漏えいはなかったのであろうか。見舞金の授受は難病の子どもがいなくてもなされうる。金を渡す口実は無数にある。
ボガチョンコフ事件では「個人的弱点」が情報漏えいの1つの原因になっていたかもしれないが,難病の子どもがいるという「個人的弱点」を事前につかんでいれば情報漏えいを回避できたという展開にはなったとは到底考えられない。ボガチョンコフ事件を教訓としても,職員の身上把握の不十分さが漏えいに結びついたとはいえない。」


難病の子どもがいることが弱点だというなら,家族がいる者は多かれ少なかれすべて弱点をかかえているとも言えるでしょう.ローン,病歴も弱点になるでしょう.弱点のない人はいるのでしょうか.立法事実そのものが疑問です.

また,この法案が成立すれば,政府は重要な情報を「特定秘密」として隠ぺいすることを可能となります.
しかも,特定秘密を取り扱う人の範囲は,公務員だけにとどまりません.報道機関の取も制限される懸念があります.

◆ 藤原紀香さんのブログ

藤原紀香さんは,平成25年9月13日,ブログに「秘密保全法案って?」を書きました.

「みなさん、「秘密保全法」 って知っていましたか? 知らない人が多いので、今日はダイアリーに書いてみます♪」

「実は、日経や朝日など各新聞の社説でも、これがこのまま通ると大変なことになると書かれており、もしその可能性があるとしたら、国民の一人としていかがなものかと心配しています

秘密保全法案を、各所で読んでみたらその適用範囲が曖昧なので、
そのようなスパイ行為にあたるものだけでなく、国が‘この案件は国家機密である’と決めたことに関しては、国民には全く知らされないことになり、

放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう。。。なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です(>_<)

もちろん、日本を陥れるべくスパイ行為を働いた輩には罰を与えるべきだと思うし、そのようなスパイ行為が起きないよう なんらかの法案が必要となるとは思います。
が、原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。」

「ちなみに、「秘密保全法」ってなに?という方は、こちらのサイトをご覧ください。

日本弁護士連合会「秘密保全法とは?」
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html

このまま施行されてしまうと、「日本の国土がどれくらい汚染されたのか明らかにしたい」ということさえ、タブーになってしまう可能性があるとのこと。

国が、これらを「特定秘密」に指定すれば、反対の声を挙げている人たちや、真実を知ろうとして民間で調査している人やマスコミ関係者などが逮捕されてしまう可能性があるって。。。日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな(T_T)

私も自分の意見、パブコメに送らせていただきました。国民の一人として。」



【追記】

TBS「秘密保護法案で知る権利は? 政府の意見公募8割が反対論」(2013年9月26日)は、次のとおり報じました.


 「特定秘密保護法案」。これは機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化するものですが、その原案が政府から自民党に示されました。法案をめぐっては「知る権利が守られるのか」といった懸念の声が各所であがっていますが、国民から政府に寄せられた意見のうちおよそ8割が法案に反対する内容だったことも明らかになりました。

 「特定秘密保護法案」は外交や防衛に関する重要情報を「特定秘密」として指定し、これを漏らした公務員らに最高で懲役10年の罰則が科せられるというものです。

 26日、政府が自民党に示した原案では、法律の適用にあたって「報道の自由に十分配慮する」、「基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」という条文も盛り込まれています。ただ、この法案に対しては各所から懸念の声があがっています。

 「我々の活動に大きな制約になる。それを超えて民主主義を後退させるものである」(全国市民オンブズマン連絡会議・新海聡事務局長、今月8日)

 行政の監視を続けている市民オンブズマンの会議では、法案が成立した場合、全国の自治体などに情報公開を一斉に請求するような手法も罰則の対象になる可能性が指摘されたほか、日本ペンクラブや日本弁護士連合会などの団体も「国民の知る権利が侵害される」などとして、反対しています。

 そして・・・、「日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな」。女優の藤原紀香さんもブログで懸念を表明し、政府が国民から意見を募集する「パブリックコメント」に投稿した、と掲載。そして26日、政府はそのパブリックコメントに寄せられた意見のうち、およそ8割が法案に反対する内容だったことを明らかにしました。

 「国民の知る権利だとか取材の自由、これを十分に尊重しながら論定整理を行っているということでありまして。早期に国会に提出して成立させたい。これが政府の姿勢です」(菅官房長官)

 政府が秘密を管理する法案はこれまでも検討されてきました。

 民主党政権でも、尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船と中国の漁船の衝突を記録したビデオが、インターネット上に流出した事件をきっかけに議論され、法律の必要性が訴えられました。当時、党内の意見集約の責任者だった大野元裕参議院議員も、秘密保護法は必要だという考えですが、今回の政府案には危うさを感じているといいます。

 「政府が何が秘密であるかを決定し、政府がその公開の是非というものを決定し、秘密でなくなった時には秘密指定を解除するわけですけど、すべて政府が行います。すると、担保するものが全くないんですね」(民主党・大野元裕参議院議員)

 大野氏は、情報公開に関するルールを明確にすることや、政府による秘密の指定を国会議員が監視する仕組みを作ることなど、さらなる対応が不可欠だと話します。

 異論が噴出している特定秘密保護法案。政府自民党は条文の調整を続ける方針です。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-09-16 12:04 | 弁護士会