弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:弁護士会( 92 )

第二東京弁護士会の自動販売機,アイスコーヒーは無料

第二東京弁護士会に設置されている自動販売機では,水(湯),煎茶,ほうじ茶は暖かいものも冷たいものも無料です。ところが,コーヒーは,アイスコーヒーが無料で,ホットコーヒーは有料(60円)です.原料コストの違いか,需要の多寡を反映しているのか,理由はわかりません.

なお,当法律事務所は,産科法律相談は無料,一般の医療法律相談は有料としています.
産科事件は,とくに深刻な被害を受け子どもの治療介護費用がかかる一方,若い夫婦で経済的に余裕があるとはいえない依頼者も多いため,産科法律相談は無料にしています.
医療法律相談全てを無料にすると,相談依頼件数が多すぎて相談実施がだいぶ先になってしまいますので.産科以外の医療法律相談は有料にしています.(医療以外の法律相談は行っていません.)

カフェインには利尿作用がありますので,コーヒー等を飲むと,水分を補給しているつもりが,実は脱水をうながしている,ということになりかねません.私は,自動販売機では,コーヒーより相対的にカフェインが少ない煎茶,ほうじ茶を選択しています.
麦茶にはカフェインが含まれていませんので,夏は麦茶があるとさらによいのですが・・・

【追記】

5日後に弁護士会に行ったところ,ホットコーヒーも無料になっていました.


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-19 23:44 | 弁護士会

横浜弁護士会、医師の診察を求めた受刑者を「反抗した」として懲罰を科した横浜刑務所に改善勧告

神奈川新聞「「受刑者の人権侵害」横浜弁護士会が改善勧告」(2013年8月16日)は、次のとおり報じました.

「横浜弁護士会(仁平信哉会長)は15日までに、横浜刑務所の男性受刑者に人権侵害があったとして、同刑務所に改善を勧告した。

 勧告書などによると、男性は2011年2月に刑務所に服役、同年5月からめまいや異常な体のだるさを感じるようになった。同年10月に医師の診察を受けたが、12日後に再び男性が不調を訴えて診察を求めたところ「職員の指示に反抗した」とみなされ、閉居15日の懲罰を科された。

 同弁護士会は「診療の求めに懲罰で臨んだことは、受刑者の健康被害を生じかねないもので、人権が侵害された」と結論付け、適切な診療を受けさせるよう勧告した。

 横浜刑務所の渡辺恒雄所長は「法令に基づき適切な医療措置を講じており、不当はないと認識しているが、今後とも適切な被収容者処遇に努めたい」とコメントした。」


受刑者にも医療をいうける権利はあります.
所長のコメントに、反省の色がうかがわれないのは問題です.


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-18 02:07 | 弁護士会

奈良弁護士会、8月22日、日弁連人権擁護大会プレシンポジウム「今、なぜ改憲か-憲法の原点から語る-」

奈良弁護士会は、8月22日、憲法連続講座・日弁連人権擁護大会プレシンポジウム「今、なぜ改憲か-憲法の原点から語る-」を開催するとのことです.

講師は、伊藤塾塾長、日弁連憲法委員会副委員長の伊藤真先生です.

日時 2013年8月22日(木)午後6時10分開場・6時30分開演
場所 奈良県文化会館小ホール

詳細は、奈良弁護士会のサイト

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-18 01:40 | 弁護士会

岡山弁護士会、8月24日、記念講演会 「機能しなかった司法〜差別・偏見が起こした『菊池事件』」

岡山弁護士会は、ハンセン病被害者サポートセンター設立10周年記念の講演会「機能しなかった司法〜差別・偏見が起こした『菊池事件』」を開くそうです.

講師は、内田博文先生と徳田靖之先生です.

日  時  平成25年8月24日(土)  午後2時〜午後5時
                         (開場 午後1時30分)               
場  所  岡山弁護士会館 2階 大会議室
        (〒700−0807 岡山市北区南方1−8−29)

詳細は、岡山弁護士会のサイト

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-18 01:29 | 弁護士会

日弁連,「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に関する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2013年8月9日,「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に関する会長声明を発表しました.

「本年5月29日、厚生労働省内の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」は、「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」(以下「本とりまとめ」という。)を公表した。これを受けて、厚生労働省は、今秋の臨時国会において必要な法改正を目指すと報じられている。

医療事故が発生したとき、その原因を調査分析して再発防止に生かすことは、患者の安全な医療を受ける権利の実現のために欠かすことのできない取組である。そのため、当連合会は、2007年3月16日付け「『医療事故無過失補償制度』の創設と基本的な枠組みに関する意見書」及び2008年10月3日付け「安全で質の高い医療を受ける権利の実現に関する宣言」など、かねてより、国に対して、医療事故調査制度を整備することを繰り返し求めてきた。今般、本とりまとめによって、医療事故調査制度の実現に向けた具体的な作業が開始されることは、まずは評価することができる。ただ、本とりまとめには、なお検討すべき問題点がある。その骨子は、次の3点である。

第一に、調査の対象となる医療事故及び第三者機関への届出の範囲は、より広く設定すべきである。本とりまとめは、行った医療又は管理に起因した死亡(そのような死亡が疑われるものを含む。)で事案の発生を予期しなかったものを対象とするが、本来、再発防止のためには、広く医療事故事例を集積して調査分析することが求められる。当面、診療関連死から開始するとしても、本とりまとめのように調査対象を限定するべきではないし、不作為による事故事例も対象とすることを確認すべきである。なお、死亡事例以外は、段階的に拡大していくとしているが、早急に拡大すべきである。また、医療機関は事故発生後直ちに届出を行うよう明示すべきである。さらに、第三者機関に対する事故の届出については、遺族からの届出を受理する仕組みも必要である。

第二に、院内事故調査委員会について、中立性・透明性・公正性・専門性を担保する具体的な仕組みが必須である。本とりまとめは、外部の専門家の支援を受けることができるという記載にとどまるが、具体的には、外部委員を過半数とする、弁護士等医療者以外の外部委員を加える、委員長は外部委員とするなどの原則的な委員構成を明確に定める必要がある。また、支援法人・組織にも、中立性・透明性・公正性・専門性を担保する制度が必要である。

第三に、第三者機関の業務を効果的にするためには、事故調査等情報の収集、院内事故調査に対する指導・監督・検証、独自の事故調査、再発防止勧告、医療安全の啓蒙普及などに関する権限を認め、これを法律で明確に定めなければならない。本とりまとめは、独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する民間組織としての第三者機関を設置するとしている。この点、院内事故調査に任せるのではなく、第三者機関がかかる実質的な機能を果たすことが、市民が信頼するに足る事故調査制度であるためにも必須である。そのためには、これが全国一つの組織ではなく地域単位で支所を設置するなど、必要な役割を果たし得る組織として設置される必要がある。また、第三者機関の維持・運営のために、十分な予算措置を講じること及び事故調査に必要な解剖実施体制の整備が必要である。

医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上は、全ての市民の命と健康、ひいては人生に直結する。国にはこれを保持する責務がある。医療事故調査制度はこの医療の安全と質の向上を実現するために必須の制度であり、この医療事故調査制度を担う要は、独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する第三者機関である。本声明が指摘する問題点を解決し、我が国において、かかる第三者機関が設置され、真に実効性のある医療事故調査制度が創設されることを強く望むものである。」


医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上は,医事事件にかかわる弁護士であれば,医療側を代理する弁護士も患者側を代理する弁護士も,誰もが強く願っていることと思います.そのためには,院内調査のみならず,医療事故調査を行う中立的第三者機関の充実が必要です.調査は,医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上という公の利益のためですから,遺族に費用負担をさせるべきではないでしょう.

医療側を代理する弁護士も患者側を代理する弁護士も所属する日弁連が,会長声明という形で,①調査対象を診療関連死から早急に拡大することが必要,②院内事故調査委員会について外部委員(弁護士等医療者以外の外部委員を加える)を過半数とする,③独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する第三者機関を地域単位設置する,等の意見を発表したことは,今後の議論にための一石となると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-11 20:39 | 弁護士会

元京都弁護士会長彦惣弘弁護士刺傷事件を受け、京都弁護士会対策強化へ

毎日新聞「京都の弁護士刺傷:「社会正義、使命貫く」 京都弁護士会長、事件受け」(2013年08月10日)は、次のとおり報じました.

「京都市上京区の路上で8日、彦惣(ひこそう)弘弁護士(66)が男にアイスピックで刺された傷害事件で、京都弁護士会の藤井正大会長が9日、京都市中京区で記者会見した。「いかなる理由があっても暴力を正当化できない」との見解を表明し、弁護士の安全確保のため京都弁護士会として対策を強化する方針を示した。今後、日弁連も抗議声明を出す予定。

 事件は8日午後6時半ごろ、上京区駒之町の路上で発生。男(60)がアイスピックで彦惣弁護士の脇腹などを刺し、上京署は男を傷害容疑で現行犯逮捕した。同署によると、弁護士業務に関連して男と彦惣弁護士との間にトラブルがあったという。

 藤井会長は、弁護士業務について「一部の当事者から反感や恨みを持たれる可能性が常にある」とした上で、「弁護士の使命である社会正義を実現するため、暴力に屈してはいけない」と強調した。彦惣弁護士は1975年に弁護士登録し2004年度には京都弁護士会長を務めた。【松井豊】」


京都新聞「元京都弁護士会長刺される 上京の路上、容疑男逮捕」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

(被疑者は)「調べに対し「刺したのは間違いない。弁護人が来ないと話せない」と供述しているという。

 上京署の説明では、凶器は長さ23センチのアイスピックのような刃物で、腹を2カ所刺したとみられる。同署は、彦惣弁護士との間でトラブルがなかったか調べている。

 近くに住む女性(64)は「騒ぎを聞いて駆けつけると、男が『相手が謝らないからこんなことになる』としゃべっていた」と話した。



 この被疑者も、自分の弁護人となる弁護士は信頼しているようです.
 京都弁護士会は,具体的にどのような対策をとるのでしょうか.

【ご参考】

京都弁護士会「会員が襲われた件について(会長談話)」(2013年8月9日)

昨日当会会員の彦惣弘弁護士が男に襲われ負傷するという痛ましい事件が発生しました。
暴力はそれ自体人間の尊厳を踏みにじる許しがたい行為であり、いかなる理由があろうとも正当化できるものではありません。

弁護士は、その職業柄、他人間の紛争の渦中に身を置かねばなりません。
その中にあって弁護士の使命を果たそうとすれば、常に毅然とした対応をしていかなければなりません。そのため、ともそれば、一部の当事者や関係者から反感をかったり、逆恨みや業務妨害を受けるおそれは常にあるといわざるをえません。しかしながら、弁護士としての使命を貫くためにはそれらに屈することはできません。弁護士は、司法の一翼を担う重大な役割を国民から負託を受け、弁護士法により基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を帯びているからです。そのために、弁護士自治が確立し、それぞれ独立した立場にあります。しかしながら、その重大な使命を背負う生身の身体は、誰かが守ってくれる訳ではありません。その立場上、一人ひとりが自らの責任でセキュリティをはかっていくほかありません。それがゆえに、今回の事件には、京都弁護士会としても激しい憤りとともに深い悲しみを禁じえません。

今後、かようなことが起きないように、会全体としても、弁護士のセキュリティ問題に対して、取り組みを一層強化していきたいと考えております。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 23:37 | 弁護士会

日弁連,国連拷問禁止委員会の総括所見に関する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2013年6月4日,「国連拷問禁止委員会の総括所見に関する会長声明」を発表しました

「国連の拷問禁止委員会は、拷問等禁止条約の実施状況に関する第2回日本政府報告について2013年5月21日、22日に審査をし、同月31日に総括所見を発表した。我が国は、同条約の批准国として、勧告された内容につき改善に向けて努力する義務を負う。今回の総括所見では、前回審査における勧告の多くを繰り返すのみならず、前回を上回る厳しい勧告がなされた。特に重視すべき内容は、以下の7点である。

1 代用監獄制度については、(a)捜査と拘禁の機能の分離を実質的に確保するための立法その他の措置をとること、(b)警察留置場拘禁期間に上限を設けること、(c)全被疑者に取調べの全期間を通じた弁護人との秘密のアクセス、逮捕時点からの法律扶助、事件に関する全記録へのアクセス、独立した医療を受ける等の権利の保障を勧告し、さらに、代用監獄制度廃止の検討を求めた(10項)。

2 取調べと自白について、日本の刑事司法制度が実務上、自白に強く依存していること等に深刻な懸念を表明し、(a)取調べ時間の制限及び違反に対する制裁規定を設けること、(b)自白中心主義の実務をやめること、(c)取調べの全過程の電子的記録と同記録の法廷での利用等を求めた(11項)。審査では、同委員会委員から「日本は自白に頼りすぎではないか。これは『中世』の名残である。」という批判さえ受けた。

3 難民認定制度と入管収容施設については、(a)収容・送還に関する法令及び実務を条約第3条(拷問の行われる恐れのある国への送還禁止)に適合させる努力、(b)難民申請者の収容は、最後の手段として必要最小限のみ用いること及び収容期間に上限を設けること、(c)収容代替措置をより活用すること、(d)入国者収容所等視察委員会の独立性・権限・効果の強化等を勧告した(9項)。

4 刑事施設及び留置施設の被収容者からの不服申立については、専門の独立かつ効果的な機関の設置を考慮するよう求め、虐待等の訴えについて迅速・公平かつ安心な調査に加え、重大事案における公務員の訴追と処罰を的確にすること等を勧告した(12項)。

5 拘禁処遇については、拘禁代替措置の活用等による刑事施設の過剰収容緩和や心身疾患に適切な医療を提供することを勧告しているほか、第二種手錠の使用に対する厳格な監視に加え、拘束具の廃止の検討を求めた。さらに、受刑者の独居(単独室)処遇は、他に手段がない場合に厳しい監督の下で最小限の期間、司法審査が可能な状況でのみ許容されるべく、明確な要件を確立すること、同処遇期間中の専門医による監視制度の構築、医療記録の開示等を勧告した(13、14項)

6 死刑制度と死刑確定者の処遇については、(a)死刑確定者及びその家族へ死刑執行日時の事前告知、(b)単独室収容の原則を改めること、(c)死刑確定者が全手続段階で弁護人による効果的な援助をうけること及び弁護人との面会の秘密性確保、(d)恩赦、減刑、執行の猶予が実際に利用可能とされること、(e)死刑事件の義務的上訴制度導入、(f)独立した審査により、精神疾患者に死刑が執行されないようにすること等を勧告した。さらに、死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告した(15項)。

7 その他、戦時性奴隷制(いわゆる日本軍「慰安婦」)について、政府関係者その他の公的立場にある人物による被害事実を否定する動きに反駁することや、史実の教育を含め、被害者を中心に据えた解決策を見出すための法律上及び行政上の措置を取るよう求めた。また、いまだに国内人権機関が設置されていない状況に対して、パリ原則に合致した国内人権機関の早期設置を求めた(16項)。

当連合会は、同委員会による指摘を日本政府が重く受け止め、誠意を持ってその解決に向け努力することを強く求めると同時に、勧告の実現に向け政府との対話を継続し、これらの課題の解決のために努力する所存であることを表明するものである。」


拷問等禁止条約(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約)の批准国における実効的実施状況を監視する目的のもと,同条約に基づき設置されたのが,拷問禁止委員会です.
同条約は,締約国に対し,条約加入後1年以内および以後4年ごとに,条約遵守のためにとった措置について国連の拷問禁止条約委員会に定期的に報告書を提出する義務を課しています。この政府報告書は,公開され,委員会によって検討され,検討の結果が発表されます.

拷問禁止委員会の見解は,いわゆる従軍慰安婦の問題に注目する報道がなされましたが,刑事司法手続きについても重要な指摘がなされています.

谷直樹

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by medical-law | 2013-06-05 23:39 | 弁護士会

日弁連,生殖医療技術の利用に関する法整備を求める会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は。2013年3月13日,「生殖医療技術の利用に関する法整備を求める会長声明」を発表しました.

「本年1月14日、民間団体「OD-NET卵子提供登録支援団体」が、卵子を提供してくれる女性を募集する事業を開始すると発表した。第三者の関わる生殖医療技術の倫理的な是非や生まれてきた子どもの権利保障などの国民的議論がなされず、法的整備もないまま、さらに生殖医療技術利用の事実のみが先行する状況が生じている。

また、近時、AID(非配偶者間人工授精)で出生した当事者が、生殖医療技術に疑問の声を発し始めている。当連合会が、2012年6月29日に開催した「生殖医療技術で生まれた当事者の声を聴く―非配偶者間人工授精で生まれてきた方の気持ち!―」と題するシンポジウムでも、AIDで出生した三人の方が、異口同音に、人生の土台を築いた後に出生の秘密を知り、人生の土台がガラガラと崩れ落ちるような衝撃を受けた、自分の生を肯定できない、仮に子どもの頃に出自を知っていたとしても「人工的に作られた」自分の生を肯定できないと思う、ということを訴えられた(詳しくは、「自由と正義」2012年10月号80頁以下参照。)。さらに、AIDに関する精子提供者の情報が、カルテの保存期間の経過及び医療機関の閉鎖等により、破棄されている例が約3割に上るという報道がある(2012年7月13日読売新聞)。この現状では、仮に将来、子どもの出自を知る権利を保障する法整備がなされたとしても、出自をたどる記録が残されていない状態に陥る例が頻出しかねない。

当連合会は、生殖医療技術の法的規制の在り方について、2000年3月1日「生殖医療技術の利用に対する法的規制に関する提言」を公表し、生殖医療法の制定の必要性を指摘した。2007年1月19日には、「『生殖医療技術の利用に対する法的規制に関する提言』についての補充提言―死後懐胎と代理懐胎(代理母・借り腹)について―」を公表し、改めて法整備の必要性を指摘した。しかし、いまだに立法的解決の目処が立たず、何らの法的規制のないままに、次々と新しい生殖医療技術が生まれ、利用されている現状には、懸念を表明せざるを得ない。

以上の現状から、当連合会は、上記の各提言を踏まえ、国に対して、改めて、生殖医療技術利用についての是非を含めた国民的議論を深め、人間の尊厳を守り、生殖医療技術の乱用を防いで、生まれてくる子どもと利用者の人権を保障するために、公的機関による生殖医療技術の管理などを含めた法的規制を一刻も早く実現すること、及び、現に実施されている第三者の関与する生殖医療に関して、将来、子の出自を知る権利を保障することができるよう、提供者に関する情報や生殖医療技術利用者のカルテ等について保管期間の延長や公的機関における管理を行うなど、情報を保存するための方策を直ちに実施することを強く求める。」


生殖医療技術の進展に,人権(人間の尊厳)の観点からのコントロールが遅れています.
早急に法的整備が必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-13 23:50 | 弁護士会

道路交通法改正試案が患者・医師の信頼関係を損なうことになるおそれが...

「道路交通法改正試案」は,いろいろと問題の多い案ですが,日本弁護士連合会(日弁連)は,2013年3月6日,「「道路交通法改正試案」に対する意見」を発表しました.
その中でとくに注目したいのは,一定の病気等に該当する者を診断した医師による任意の届出制度です.

免許の拒否事由等とされている一定の病気等に該当する者を的確に把握するための規定の整備」における「イ 一定の病気等に該当する者を診断した医師による任意の届出制度」の項目について,日弁連は,次のとおり,意見を述べています.

改正試案では「一定の病気等に該当する者を診断した医師は,その者が免許を受けていることを知ったときは,公安委員会にその診断の結果を任意に届け出ることができる」こととしているが,この改正には,以下のとおり,重大な問題があると言わざるを得ない。

① 病気に罹患し,医師の治療を受けようとする者は,厳しい守秘義務を課された医師であるからこそ,自らの症状や既往症などを正直に告げ,その医師を信頼して治療に専念できるのである。
しかし,もしも,任意とはいえ,医師により,自らの病気が公安委員会へ通報される可能性があるとすれば,一定の病気に罹患した人が,心身の不調を自覚しながらも医師の診察を受けなかったり,診察を受けても自己の症状を正直に申告しないなどの行動につながる可能性が生じる。その結果,医師は十分な治療行為ができなくなるとともに,一定の病気等に罹患している人が医療から遠ざかり,これらの人がかえって潜在化してしまい,ひいては国民の健康を害する結果となる恐れがある。

② また,医師の職責上,患者との信頼関係は最も重要である。しかし,改正試案にあるような医師による任意の届出制度を定めたとすれば医師は任意」といっても事故が起きた場合に責任を追及される可能性を考慮せざるを得ず,事実上,医師としての守秘義務の放棄を迫られることになり,ひいては患者との信頼関係を構築できない事態が生じかねない。
よって,医師が,任意に患者の情報を通報できる制度を創設することは,一定の病気の影響により引き起こされる交通事故を未然に防止するという理念に沿うどころか,かえって逆行するおそれがあると言わざるを得ない。」


道路交通法改正試案は,患者と医師の信頼関係を損ない,患者が病院に行かず治療が行われなくなる,というマイナス面のほうが大きいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-09 11:56 | 弁護士会

熊本県弁護士会,「菊池事件」について検察官による再審請求を求める会長声明

熊本県弁護士会は,2013年3月6日,「「菊池事件」について検察官による再審請求を求める会長声明」を発表しました.

「平成24(2012)年11月7日、いわゆる「菊池事件」について、ハンセン病元患者3団体から、検察官が再審請求することを求める旨の検事総長宛の要請書が、熊本地方検察庁に提出された。

 同事件は、ハンセン病患者とされた藤本松夫氏(被告人)が、自分の病気を熊本県衛生課に通報した村役場職員を逆恨みして殺害した等として、昭和28(1953)年8月29日に死刑判決の宣告を受け、同37(1962)年9月14日に死刑執行された事件である。

 同事件の訴訟手続は、「らい予防法」により一般社会とは隔離されていた国立療養所菊池恵楓園、あるいは、ハンセン病患者のみの受刑者が収容される菊池医療刑務支所に仮設された「特別法廷」において非公開で行われており、かつ、この「特別法廷」内においては、裁判官、検察官、弁護人がいずれも予防衣と呼ばれる白衣を着用し、記録や証拠物等を手袋をした上で火箸等で扱うなど、ハンセン病に対する差別、偏見に満ちた取り扱いがなされた。
さらには、被告人が殺人の公訴事実を一貫して否認しているにもかかわらず、第一審の弁護人は、罪状認否において「現段階では別段申し上げることはない」として争わず、また、検察官提出証拠に全て同意するなど、実質的に「弁護不在」の審理がなされている。

 このような同事件の訴訟手続が、裁判の公開(憲法第82条)、平等・公平な裁判(憲法第37条1項)、適正な刑事手続(憲法第31条)、弁護人による弁護(憲法第34条)を保障した憲法の規定に反し、被告人の裁判を受ける権利等を侵害するものであることは明らかであり、同事件は、本来人権を守るべき責務を負っている裁判官、検察官及び弁護人という法曹三者が、ハンセン病に対する差別・偏見により、自ら取り返しのつかない人権侵害を犯したものと言わざるを得ない。
また、実体的にも、確定判決における証拠関係には多数の重大な問題点が存在し、とりわけ凶器とされた短刀による被害者の創傷形成可能性については重大な疑問があるため、これに関する鑑定等が実施されることにより(新証拠)、実体的再審事由(刑事訴訟法第435条6号)も存在すると認められる。

 憲法違反の訴訟手続によって判決がなされて確定した場合、これを是正すべきは国家の責務であり、かかる観点から刑事訴訟法439条1項は検察官を再審請求者の筆頭に挙げている。
すなわち検察官には、公益の代表者として訴訟手続の過ちを正すことが期待されているのであって、今なお残るハンセン病に対する差別・偏見等から、被告人の遺族による再審請求が困難な同事件においてはなおさらである。

 当会は、同事件の裁判が行われた地の弁護士会として、法曹の責任を痛感するとともに、検察官が同事件について再審請求を行うことにより、憲法違反の手続による裁判を是正すべき責務を果たされることを強く求めるものである。」


全国ハンセン病療養所入所者協議会は,2012 年11月に,検察官による再審請求を求める要請書を熊本地検に提出しましたが,未だに動きがありません.
法律家の責任において,再審が行われ,偏見と差別による不当な判決が正されることを期待いたします.


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-08 08:52 | 弁護士会