弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療事故・医療裁判( 1112 )

千葉市立海浜病院,説明義務違反の慰謝料を支払(報道)

千葉日報「2患者遺族に慰謝料 『手術リスク説明不十分』 8人死亡の千葉海浜病院」(2017年6月23日)は,次のとおり報じました.

「千葉市立海浜病院(千葉市美浜区磯辺3、寺井勝院長)の心臓血管外科で2015年に患者8人が手術後相次ぎ死亡した問題で、同病院は22日、2人の遺族へ慰謝料計400万円を支払うことで示談が成立したと発表した。「医療過誤はないが、手術リスクの事前説明が不十分だった」とし、過去の裁判例に基づき決定。ほか3人についても損害賠償の交渉をしている。

 慰謝料の内訳は2件それぞれの手術の緊急性などを考慮し、300万円と100万円。いずれも精神的苦痛に対する慰謝料として、過去の医療訴訟の類似裁判例などに基づいて額を決定した。患者の性別や年齢などは「遺族の心情に配慮する」(寺井院長)として非公表。

 昨年秋ごろから面談などを通じて交渉し始め、3、4月に支払った。現在、同じく手術リスクの事前説明が不十分だったとする3人の遺族と損害賠償を交渉中。残り3人の遺族には「手術の適応やリスク説明に問題なし」として賠償しないことを決めた。

 記者会見した寺井院長は「遺族と誠実に向き合い、できることはする責務がある」と強調した上で、「損害賠償しなかった遺族にはおおむね理解を得られた。交渉中の3件は遺族の事情を尊重して進めたい」と説明した。」


報道の件は私が担当したものではありません。
100~300万円程度の損害の場合,費用の関係で弁護士が入らないことが多いのですが,説明義務違反の慰謝料として100~300万円は相当でしょう.千葉市立海浜病院は概ね誠実に対応していると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-24 17:31 | 医療事故・医療裁判

島田市民病院,糖尿病既往歴がある患者にステロイド薬を投与し急性腎不全で死亡した事案で和解(報道)

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中日新聞「島田市民病院で医療事故 78歳男性死亡」(2017年6月16日)は次のとおり報じました.

「◆眼科に入院

 島田市立島田市民病院(同市野田)で二〇一五年十月、入院中の不適切な対応により、牧之原市の男性患者=当時(78)=が死亡する医療事故が起きていたことが、市民病院への取材で分かった。市民病院は「死亡の原因がはっきりしなかった」として事故を公表していなかった。

 市民病院によると、男性は当時、失明の危険性のある病気のため、二週間ほど眼科に入院していた。糖尿病の既往歴があるにもかかわらず、目の炎症を抑えるため、血糖値に影響を与える恐れのあるステロイド系の薬を投与したという。男性は退院した十月十二日に容体が急変し、市民病院に緊急搬送され、翌十三日に急性腎不全で死亡した。

 男性の死亡を不審に思った遺族が、市に損害賠償を請求。市は当初、医療行為が直接の原因とは考えていなかったが、再調査で「血糖値管理に不適切な対応があった」と認め、今年三月二十八日、遺族側に千九百万円を支払うことで示談した。

 市民病院の村松正幸総務課長は、本紙の取材に「病院としてあってはならない重大な結果で、再発防止に努めたい」としている。」

報道の件は私が担当したものではありません.
ステロイド糖尿病が知られていますが,糖尿病でなくても「ステロイド→高血糖→糖尿病」には注意しなけれなりません.眼科医であっても,眼科の知識だけではなく,処方する以上は薬の副作用を知っていなければなりません.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-16 20:43 | 医療事故・医療裁判

大阪大学医学部附属病院,脳腫瘍の手術ミスで約1億7千万円の和解(報道)

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共同通信「大阪大、脳腫瘍の手術ミスで和解」(2017年 6月 14日)は次のとおり報じました.

「2009年7月に大阪大病院(大阪府吹田市)で脳腫瘍の手術を受けた大阪市の男性(50)が、直後から意思疎通のできない状態になったのは医療ミスだとして、大阪大に計約4億2千万円の損害賠償を求めた訴訟で、大学側が男性と家族に計約1億7千万円を支払うことなどを条件に大阪地裁(山地修裁判長)で和解したことが14日、分かった。7日付。
 和解条項では、男性が系列病院で入院を継続できるよう調整に努めるとの内容も盛り込まれた。」

この件は,私が担当したものではありません.
この和解金額からすると,裁判所は,過失・因果関係があるとの心証をとったことが明らかです.
和解まで事故からほぼ8年かかっていることからすると,原告・被告の主張に対立があった事案と思います.
脳腫瘍の手術ミスは,他院でも起きていますが,解決まで時間がかかっているものが多いようです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-15 09:36 | 医療事故・医療裁判

京田辺市のふるき産婦人科,医療過誤訴訟が3件!(報道)

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朝日新聞「帝王切開で重度障害「ミスが原因」 京都の夫婦も提訴」(2017年6月14日)は,次のとおり報じました.

 「訴状によると、母親(35)は2011年4月に長女を出産した。出産までの検診では何の異常もなかったが、医院側は出産時に分娩監視装置を装着せず、無痛分娩をするために「硬膜外麻酔」を行い、子宮収縮剤を投与した。結局、帝王切開で出産したが仮死状態で生まれ、脳性まひなどと診断された。その後、長女は14年12月に3歳で死亡した。

 夫婦側は、産婦人科診療ガイドラインは、子宮収縮剤を使う際には分娩監視装置の着用を定めていると指摘。「医院はこれを怠り、低酸素脳症を発症させた」と主張。一方、ふるき産婦人科は「取材には応じられない」としている。

 この医院をめぐっては、無痛分娩や帝王切開のため硬膜外麻酔をした後に呼吸などが出来なくなり、母子が重い障害を負ったなどとして、京都府内の2家族が京都地裁に提訴している。(安倍龍太郎)」


テレビ朝日「京都の産婦人科で無痛分娩“事故” 訴訟3件目」(2017年6月14日)は,次のとおり報じました.

「京都の産婦人科で「無痛分娩(ぶんべん)」の際の医療ミスが相次いでいる問題で、2011年に出産した別の夫婦の子どもも脳に重い障害を負い、損害賠償を求めて提訴していることが分かりました。

 訴状などによりますと、京都府京田辺市内に住む女性は2011年4月、「ふるき産婦人科」で無痛分娩によって子どもを出産しました。その際、病院側が子どもの状態を確認する「分娩監視装置」を設置しないまま麻酔処置をし、陣痛促進剤を注入したため、女性の血圧が低下。子どもは仮死状態で生まれました。子どもは脳に重い障害を負い、2014年に3歳で死亡しました。夫婦は「病院が適切な処置をしなかったことが原因」と主張。2013年に病院を相手取り、慰謝料など約1億円の損害賠償を求めて提訴しました。ふるき産婦人科は無痛分娩などの麻酔ミスで、他に2件の訴訟を京都地裁に起こされています。」


私は,無痛分娩事故を(複数)取り扱った経験がありますが,さすがに1クリニック・1院長医師が3件の医療過誤訴訟を抱えるのは異常な事態と言えるでしょう.最初の事故が報道されていれば,最初の事故後適切に対応していれば,2件目,3件目の事故はなかったかもしれません.

谷直樹法律事務所では,「無痛分娩事故調査」を調査手数料10万円+消費税と実費預り金10万円(余剰金は返金します)で行っています.日本産科麻酔科学会の産科医師1名にカルテ・分娩監視装置の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます。調査依頼から調査報告まで原則60日以内です.
全国対応いたします.

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by medical-law | 2017-06-14 13:51 | 医療事故・医療裁判

滋賀県立成人病センター,医師が器具を使う場所を誤り患者の脊髄を損傷した事案で和解(報道)

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読売新聞「滋賀県立成人病センターで手術ミス、県が賠償へ」(2017年6月13日)は,次のとおり報じました.

「滋賀県立成人病センター(滋賀県守山市)で2014年12月、県内の男性患者(67)に行われた首の手術で、脊髄を損傷するミスがあったことがわかった。男性は右半身まひなどの後遺症で身体障害2級の認定を受け、県は2000万円の損害賠償を行うことで合意。近く関連議案を県議会に提案する。

 男性や同センターによると、男性は右手指のしびれを訴え、同年10月に受診。脊髄を圧迫していた骨を取り除く手術を受けた。骨を削る際、男性医師が器具を使う場所を誤り、脊髄を損傷。男性は箸が持てないなど右半身の運動障害や左半身の知覚障害が起こり、約4か月間、入院した。退院後も障害が残り、別の病院でリハビリ治療を続けている。

 男性は16年12月、県に6568万円の損害賠償を求める民事調停を大津簡裁に申し立てたが、今月に和解することで合意した。」


京都新聞「頸椎手術で事故、障害残り賠償へ 滋賀成人病センター」(2013年6月13日)は,次のとおり報じました.

「男性は右手指のしびれを訴え、整形外科の男性医師が2014年12月に首を切開して脊髄への圧迫を取り除く「頸椎椎弓(ついきゅう)形成術」を行った。手術後まひが起こり、調査の結果、脊髄を守る骨「椎弓」が手術中に折れ、首の骨と筋肉をはがす器具が脊髄を損傷させた可能性が高いと判断した。
 男性は現在、歩けるものの右半身がまひで不自由な状態になり、左半身にも温度や痛みに対する知覚障害が残ったという。県は男性らに謝罪し、民事調停を通じて2千万円の支払いに合意することを決めた。20日に始まる6月定例会議に関連議案を提案する。
 同センターは会見で同様の手術は別の手法で行うなど再発防止策を説明。医師は手術を行わない部署に異動したという。」


報道の件は私が担当したものではありません.
右手指のしびれは,頚椎症性神経根症でしょうか.頚椎症性神経根症だとすれば,姿勢,老化に伴う一般的な疾患で,多少の症状では手術をしないことも多いのですが.
報道によれば,除圧の過程で,椎弓が手術中に折れ脊髄を損傷したということですが.それなら,注意義務違反(過失)は明らかでしょう.
なお,医療過誤について,東京では簡裁の調停は使いませんが(弁護士会の医療ADRのほうが使い勝手がよいので),東京以外の地域ではこのように簡裁の調停を用いることもあるようです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-13 18:19 | 医療事故・医療裁判

京田辺市の「ふるき産婦人科」の産科麻酔過誤訴訟が2件!(報道)

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朝日新聞「無痛分娩の麻酔で母子に障害 京都の医院、別件でも訴訟」(2017年6月12日)は,次のとおり報じました.

「医院は京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」。女性と家族は昨年12月、医院に損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状などによると、ロシア国籍で大学准教授だった女性(40)は無痛分娩のため、背中に細い管を差し込んで麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」をした後、意識を失い、心肺停止になった。別の病院へ運ばれたものの今も女性は寝たきりの状態。搬送先の病院で緊急帝王切開で生まれた女児は重い脳性まひとなった。女性側は医師が麻酔の針を本来と違う部分に過って入れたことで、呼吸などが出来なくなる「全脊椎(せきつい)麻酔」になったと主張。麻酔薬の過剰投与もあったとしている。

 出産時に赤ちゃんが重い脳性まひになった場合に一時金などを払う産科医療補償制度の原因分析報告書も「硬膜外麻酔に起因する全脊椎麻酔によるものである可能性が最も高い」と指摘している。医師は産婦人科医の院長1人だった。医院は「取材に応じられない」としている。

 ロシアの医師である女性の母親(62)は「ただ一人の産婦人科医しか働いていないような個人病院で出産することの危険性を警告したい。出産は複数の医師がいる体制のあるところですべきだ」などとする文書を代理人を通じて出した。

 この医院では昨年5月に別の女性(38)が帝王切開の手術の際、硬膜外麻酔の後に呼吸などが出来なくなり、母子ともに重い障害を負ったとして、家族らが医院を相手に京都地裁に提訴。訴状によると、この件でも麻酔の針が本来と違う部分に入ったことが原因と主張している。医院側は争う姿勢を示している。(合田禄)」


私は産科麻酔事故を担当したことが複数回ありますが,報道の件は,私が担当したものではありません.
同じ医師で産科麻酔の裁判は2件というのは,そうあるものではありません.
このような事案で,医師が争っているというのは,どういうことなのでしょうか.

谷直樹法律事務所では,「無痛分娩事故調査」を調査手数料10万円+消費税と実費預り金10万円(余剰金は返金します)で行っています.日本産科麻酔科学会の産科医師1名にカルテ・分娩監視装置の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます。調査依頼から調査報告まで原則60日以内です.
全国対応いたします.

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by medical-law | 2017-06-13 11:43 | 医療事故・医療裁判

虎の門病院の医療事故(胸部食道癌手術時の大動脈出血)の遺族(妻・娘)のコメント

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院の医療事故(胸部食道癌手術時の大動脈出血)の患者(東京都在住・61歳男性)の遺族のコメントは,下記のとおりです.

「第三者委員を加えた事故調査が行われたことに、感謝いたします。
私たちは、事故調査の結果の説明を受け、本当にいろいろなことが分かりました。

ただ、どうしても、虎の門病院の先生が、胸腔鏡で、胸腔内を見て、腫瘍が大動脈に固着していると分かりながら、独断で手術を続行されたことが残念でなりません。

大動脈に固着した腫瘍を剥離するために、大動脈の外膜も削ってしまい、血管が薄くなり、動脈圧に耐えられず大動脈から出血した、という説明を事故後に受けました。この説明を聞いて、大動脈の血管の一部を削ってまで腫瘍を取るのは危険すぎる、と思いました。


腫瘍が大動脈に固着している、つまり腫瘍が食道以外への臓器に浸潤しているので、T4です。虎の門病院の先生からは、事前にT4と分かっていた場合、手術ではなく化学療法を行ったというお話がありました。手術を始めてしまっても、T4とわかったときに中止してほしかったと思います。

手術の同意書にサインしましたが、T3という前提が変わったのですから、せめて、私たちに、大動脈に固着している腫瘍を危険を侵して取るかどうかを聞いてほしかったと思います。インフォームドコンセントというのは、きちんとした説明があることだと思います。
腫瘍が大動脈に固着している、T4だから本来化学療法になる、どうするか、と聞かれたら、私たちは手術の中止をお願いしたはずです。T4ですから長く生きられなくても、安らかな最期を迎えさせてあげたかったからです。訳も分からず突然亡くなってしまうなんて可哀相です。

今後は、インフォームドコンセントを徹底し、再発防止をはかっていただき、患者が安心で安全な医療を納得して受けられる病院にしていただきたく思います。

  2017年6月10日」


以下は,私のコメントです。

本件は,「予期されない死亡」にあたり,医療事故調査が行われました。
医療事故調査は,事故の原因を分析し,再発予防に役立てるものです。
責任の有無を判断するものではありません。したがって,事故調査報告書には,注意義務違反が明記されていませんし,病院が責任についてどのように考えるのかは,分かりません。
しかし,T4まで進行した癌については胸腔鏡下手術を行わないのが一般的ですし,大動脈に固着した腫瘍を剥離することの危険性のレベルは,T3について胸腔鏡下手術を行うものとは格段に異なります。にもかかわらず,敢えて手術を続行するという判断には疑問があります(判断ミス)。
また,少なくとも家族への説明が必要だったと考えます。
損害賠償については,今後,病院との話し合いで早期に解決できるよう努めたいと思います。

【追記】
テレビ朝日「虎の門病院で医療事故 大量出血で男性患者死亡」(2017年6月12日 )は次のとおり報じました。
「東京・港区の虎の門病院で食道がんの手術中に大量出血し、男性患者が亡くなっていたことが分かりました。

 虎の門病院が公表した医療事故調査報告書などによりますと、去年10月、61歳の男性患者に対して食道がんの摘出手術を行った際、がんは事前の診断より進行し、大動脈に張り付いた状態でした。執刀医ががんを剥がそうと大動脈の血管の一部を削ったところ、大量に出血し、男性は翌日に死亡しました。遺族は「手術中にがんが予想より進行していると分かれば中止を求めた」と「医師の独断で手術を続行したのは残念」とコメントしています。病院側は遺族の意見を取り入れたうえで、「予想と異なる事態が起きた場合には手術を中断し、家族と相談して同意を得ることが重要」などの再発防止策をまとめました。」

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-10 16:16 | 医療事故・医療裁判

国家公務員共済組合連合会虎の門病院,医療法上の医療事故調査制度における院内事故調査事例公表

国家公務員共済組合連合会虎の門病院は,2017年6月9日,医療法上の医療事故調査制度における院内事故調査事例(胸部食道癌手術時の大動脈出血)を公表しました.
報告書はコチラ


谷直樹

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by medical-law | 2017-06-09 23:02 | 医療事故・医療裁判

山形県立新庄病院,内視鏡事故後死亡した事案について仙台地裁で和解(報道)

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河北新報「膵炎患者死亡訴訟 山形県と遺族が和解」(2017年6月9日)は次のとおり報じました.

「新庄市の男性=当時(83)=が急性膵炎(すいえん)となり2014年2月に死亡したのは、山形県立新庄病院(新庄市)が内視鏡検査でミスをしたことなどが原因だとして、遺族3人が山形県に2500万円の損害賠償を求めた訴訟は8日、仙台地裁で和解が成立した。
 遺族側の代理人や県によると、県が遺族に解決金200万円を支払う。
 遺族側の代理人は「年齢や既往症を考慮した和解案で、遺族もおおむね納得している」と語った。県の加藤亮県立病院課長は「亡くなった患者のご冥福を祈り、安全安心な医療の提供に努めていく」と述べた。
 訴えによると、男性は13年11月、総胆管結石の治療のため入院。内視鏡検査の際、担当医が誤って検査器具で膵臓(すいぞう)の管を傷付けるなどしたため重症化し、多臓器不全で死亡した。」


報道の件は私が担当したものではありません.
担当医が誤って検査器具で膵臓の管を傷付けるなどしたため重症化し多臓器不全で死亡した事案であれば,過失は明らかで,山形県はもっと早く訴訟前に示談可決することはできなかったのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-09 20:56 | 医療事故・医療裁判

京田辺市の産婦人科医院の硬膜外麻酔で母児ともに重度の障害を負った事案が裁判へ(報道)

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朝日新聞「帝王切開の麻酔で母子に重い障害 京都、医師1人で対応」(2017年6月6日)は,次のとおり報じました.

「京都の産婦人科医院で昨年5月、帝王切開でお産するときの麻酔で母子が重い障害を負っていたことがわかった。家族らは医院の医師らを相手取り、損害賠償を求めて京都地裁に提訴。産婦人科医らでつくる日本産婦人科医会はこの事例について調査を始めた。

 医院は京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」。同市の女性(38)の代理人弁護士によると、女性は帝王切開の手術を受ける際、背中に細い管を差し込んで麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」の後、昏睡(こんすい)状態になった。医師は1人だった。別の病院へ搬送中に心臓が止まり、蘇生されたが、いまも寝たきりの状態という。また、搬送先の病院で帝王切開によって女児が生まれたが重度の脳性まひという。

 訴状では、麻酔の針が本来とは違う部分に入り、呼吸などが出来なくなったが、気道の確保が遅れて低酸素脳症になったと主張している。5月にあった第1回口頭弁論で医院側は争う姿勢を示した。院長は取材に「その件は裁判になっているので一切コメントは控える」と話した。

 女性の夫(37)は取材に「こんなことが起こるとは考えられなかった。事故が起こったときのリスクが高すぎる。麻酔を使った高度なお産は1人の医師でやってはいけないのではないか」と話した。医会は大阪府や兵庫県であった無痛分娩(ぶんべん)での妊産婦の死亡例とともに、この件について安全体制に問題がなかったか診療記録などを調査し、必要があれば直接指導するという。(合田禄)」




京都新聞「麻酔ミス」母子に重度障害 京都、産婦人科を提訴」(2017年6月6日)は,次のとおり報じました.

「帝王切開の麻酔のミスで昨年5月、妊婦の女性(38)と長女(1)が重度の障害を負ったとして、女性の夫(37)と両親らが、京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」を相手取り、計約3億3千万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こしたことが、6日までに分かった。女性は首から下が動かず意思疎通も困難な重度障害となり、長女は現在も意識不明で、脳性まひなどを負ったという。」
「日本産婦人科医会によると、同会には会員の医師から重大事故を年ごとに報告してもらう制度がある。同事故に関しては昨年の発生だが、報告はなかった。同会として事故があったことは先週までに把握しており今後、対応を検討するという。」


読売新聞「帝王切開時の麻酔で母子に重度障害…報告せず」(2017年6月6日)は,次のとおり報じました.

「出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩をした妊産婦に相次ぎ死亡例が判明する中、京都府の産婦人科診療所が昨年、帝王切開で同じ方法の麻酔をして母子が重度障害を負う例があったにもかかわらず、日本産婦人科医会に報告していなかったことがわかった。

 同医会はこの診療所に報告を求めて調査するとともに、無痛分娩に限らず、産科麻酔の安全体制についても実態を調べることにしている。

 母子が重度障害を負ったのは、京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」。昨年5月、同市内の女性(38)が、予定していた帝王切開の前に、背中に細い管をさし込んで麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けた。これは無痛分娩と同じ方法で、女性はその後、急変し、他の病院に搬送されたが寝たきりの重い障害が残った。赤ちゃんも重い脳性まひという。

 この事例は今年1月、家族が診療所を相手取り、損害賠償を求め京都地裁に提訴し、係争中。訴状によると、硬膜外麻酔の針が誤って脊髄の周囲にある「くも膜下」まで達し、呼吸筋まひを引き起こしたが対応が遅れ、母子ともに低酸素脳症を来したという。

 同医会には、重大事故事例を報告する制度があるが、この事例について、診療所から報告はなかった。同医会は、大阪府や兵庫県で相次いだ無痛分娩を巡る妊産婦死亡例と同様、麻酔をはじめ診療経過や体制に問題がなかったか調べている。

 障害を負った女性の夫(37)は読売新聞の取材に応じ、「院長から『分娩時にもう一人、医師がいれば結果は違ったかもしれない』と言われた。麻酔のリスクについて事前に十分な説明はなかった。事故が起きた時に対応できない体制のまま、こうした医療を続けさせていいのか」と話している。

 診療所は「取材にはお答えできない」としている。」



私は産科麻酔事故を担当したことが複数回ありますが,報道の件は,私が担当したものではありません.
報道からすると,硬膜外麻酔で高位麻酔になったようにみえますが,病院は麻酔のショック症状として争うようです.
医院のサイトをみると,院長医師は,救命救急センターにて麻酔研修し,無痛分娩など産科麻酔に自信をもっているようですが.
今後の推移に注目したいと思います.

谷直樹法律事務所では,「無痛分娩事故調査」を調査手数料10万円+消費税と実費預り金10万円(余剰金は返金します)で行っています.日本産科麻酔科学会の産科医師1名にカルテ・分娩監視装置の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます。調査依頼から調査報告まで原則60日以内です.
全国対応いたします.



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by medical-law | 2017-06-06 20:18 | 医療事故・医療裁判