弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療事故・医療裁判( 1170 )

山梨県立中央病院,6月の血液型不適合輸血事故をふまえ再発防止への取り組み公表

地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院は,2017年11月29日,輸血医療事故に関する報告書と 輸血医療事故防止に関する対応を公表しました.

これは,私が担当したものではありません.
事故は,「平成29年6月23日に中央病院に救急搬送された患者に対し、大量輸血等の救命処置を実施したが、同日午前8時51分に亡くなったことが確認された。 その後の輸血バッグ点検認証で、輸血処置において不適合輸血があったことが判明した。」というものです.輸血医療事故と死亡との間には因果関係はないとされています.

報告書は,「今回の ABO 血液型不適合輸血事故は、極めて重篤な多発外傷患者の救急治療(心肺蘇生処置)の過程において発生した。輸血直前のダブルチェックが行われていれば不適合輸血を防ぐことが出来たのは言うまでもないが、事故の背景として、輸血製剤の管理・運用システム、コミュニケーション等のチーム医療体制、緊急輸血実施時のローカルルール、緊急治療時のマンパワー等の問題が認められ、これらが複合的に関与したことが事故の要因と考えられた。」とまとめています.

また,中央病院救急科主任医長が文書訓告に,中央病院院長,中央病院救命救急センター統括部長,中央病院救命救急センターセンター長の3名が厳重注意に,それぞれ処されました.

再発防止策は, (1) 緊急輸血の手順の見直し, (2) 緊急輸血に関するマニュアルの整備, (3) 必要な機器の設置, (4) 安全に緊急輸血が実施できる仕組みづくりの4点があげられています.マニュアル,ルールの整備はもちろんですが,医療者が入れ替わる中で常にそれらを遵守させることが大事だと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-12-01 09:51 | 医療事故・医療裁判

若返り効果を訴える新聞折り込みチラシの美容クリニックの開設者を被害者が訴える(報道)

FNN「『最新治療でマイナス10歳』医師を提訴」(2017年11月30日)は,次のとおり報じました. 

「「最新治療でマイナス10歳」などとうたった広告を見て、美容クリニックを訪れた女性らが、高額な治療費を不当に請求されたと主張し、医師らを相手取って、損害賠償などを求める訴えを起こした。
原告の女性は、「鏡に映る自分を見て、『お前はだましやすい顔をしているのか』と毎日泣いたが、今はただただ、詐欺にあった料金を早く取り戻したい」と話した。
60代と80代の女性は、若返り効果を訴える新聞の折り込み広告を見て訪れた美容クリニックで、「十分な説明がないまま、注射2本でおよそ260万円を請求された」などと主張している。
女性2人はクリニックを開設した医師らを相手取り、およそ1,090万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。
弁護団によると、医師らは少なくとも10のクリニックを開設し、14人が同様の被害を受けているという。」


報道の件は,私が担当しているものではありません.
取り込み詐欺にも似た,計画的,悪質なやり方ですから,集団的に対応する必要があるでしょう.
晴柀雄太先生などの会見する姿が放映されています.

同様の被害に遭った方は,泣き寝入りせずに,医療問題弁護団,電話番号03-6909-7680へ


谷直樹

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by medical-law | 2017-12-01 00:36 | 医療事故・医療裁判

横浜地裁平成29年11月29日判決,県立こども医療センターの麻酔事故で約840万円の賠償

神奈川新聞「麻酔26倍で障害 病院に賠償命令」(2017年11月30日)は,次のとおり報じました. 

「県立こども医療センター(横浜市南区)で出生直後に手術を受けた際に医療ミスで脳障害を負い、自閉症や知的障害の発症原因になったとして、横浜市の男性(15)と両親が同センターを運営する県立病院機構に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、横浜地裁であった。中平健裁判長は、病院側の不適切な医療行為を認め、慰謝料として約840万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2002年、出生から2日後に消化器の外科手術を受けた。その際に当初予定の26倍に当たる麻酔導入剤を誤って投与され、一時心停止に陥った。昏睡(こんすい)状態から1週間ほどで回復したが、現在自閉症や中程度の知的障害の症状がある。

 中平裁判長は判決理由で、過剰投与により男性の脳が低酸素状態に陥りダメージを受けたと認定。「過剰投与がなければ、知的障害がなかった相当程度の可能性はあった」とし、「精神的苦痛への慰謝料を賠償すべき」と結論付けた。

 同機構は「判決文を精査して今後の対応を検討したい」とした。」



報道の件は,私が担当したものではありません.
民法709条の損害賠償請求は,①義務違反(「故意又は過失」),②因果関係(「よって」),③損害,の3つの要件をすべて原告側(請求する側)で,主張立証することが必要とされています。医療過誤に基づく場合も同じです.過失があるが,過失と損害との間に因果関係がないと,要件を充たさないので,請求は棄却されます.裁判の立証は,「高度の蓋然性」の程度まで要求されますが,その程度にはいたらないが「相当程度の可能性」が立証された場合は, 損害の一部が賠償されることが,(条文には書いていませんが)判例によって認められています.
そこで,本判決も過失と損害との間の「高度の蓋然性」が立証されていないが,相当程度の可能性」が立証されたとして,約840万円の賠償を命じたのだと思います.一時心停止に陥り1週間昏睡状態だったのですから,脳に不可逆的なダメージを受けていたとしても不思議はありません.ただ,そのことの直接的な証拠を得るのは難しいと思います.過失が大きく,そのためにまれな事態が引き起こされた事案で,直接的な証拠がないことから相当程度の可能性を認定するにとどめるのは,果たして損害賠償法の公平の理念に合致するものか,疑問なしとしません.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-30 23:53 | 医療事故・医療裁判

彦根市立病院,脳動脈瘤を脳下垂体腫瘍と誤診し患者が死亡した事案で2700万円賠償へ

京都新聞「誤診原因で手術女性死亡 滋賀・彦根市立病院」(2017年11月27日)は,次のとおり報じました.

「滋賀県の彦根市立病院(同市八坂町)は27日、昨年10月に脳神経外科で下垂体腫瘍の手術を受けた市内に住む70代後半の女性が、出血性ショックで死亡したと発表した。脳動脈瘤(りゅう)を下垂体腫瘍と誤診したことが原因で、遺族に対し2700万円の慰謝料を支払う。市が12月議会に提案する。
 同病院によると、女性はめまいやふらつきを訴えて市内の別の病院を受診し、市立病院へ転院。コンピューター断層撮影(CT)などの画像から、外部を含めた脳神経外科の専門医4人が下垂体腫瘍と診断し、切除のための手術を行った。手術中に動脈瘤が破裂して出血、翌日に死亡したという。医療事故調査・支援センターから「放射線科医師による画像診断を受けていれば脳動脈瘤と分かり、事故が回避できた」との指摘を受けたという。
 金子隆昭院長は「患者が死亡したことを重く受け止め、深くおわびする。職員一丸で医療の質向上に取り組む」と謝罪した。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
画像を見ていないので断定はできませんが,放射線科医師でなくても,標準的なレベルの脳外科医であれば下垂体腫瘍と脳腫瘍の鑑別はできるでしょう.そもそも,CT検査しか行っていないんどということはないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-30 23:06 | 医療事故・医療裁判

市立豊橋市民病院,ワイヤを患者の体内に残すミスがあり5日後に急性心筋梗塞で死亡した事案で調停成立

共同通信「手術で体内にワイヤ、愛知・豊橋 5日後死亡、遺族に賠償へ」(2017年11月27日)は,次のとおり報じました.

「愛知県豊橋市は27日、市立豊橋市民病院で2011年12月、狭心症の手術で誤って切断したワイヤ(太さ0.35ミリ)を男性患者=当時(65)=の体内に残すミスがあり、男性は手術5日後に急性心筋梗塞で死亡したと発表した。市は、医療ミスが死亡に影響した可能性があるとして、遺族に賠償金約913万円を支払う議案を12月議会に提出する。

 市によると、ミスがあったのは冠動脈内の石灰化した部分をドリルで削るカテーテル手術。

 男性の遺族が今年7月、名古屋簡裁に損害賠償を求めて調停を申し立てた。遺族側と病院側の弁護士が協議して決めた。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
狭心症の手術で切断したワイヤ(太さ0.35ミリ)を体内に残したことは,注意義務違反(過失)にあたります.
この注意義務違反(過失)と5日後の心筋梗塞による死亡とに因果関係があるか否かが問題ですが,双方が歩み寄って中間的解決に至った事案と考えられます.
注意義務違反(過失)が明らかで,争点が因果関係のみの事案は,中間的解決にになじむ事案だと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-29 13:00 | 医療事故・医療裁判

小牧市民病院,胸部CT検査で肺がんも疑われたが告知せず,呼吸器内科への紹介を失念

毎日新聞「小牧市民病院 告知忘れ 300万円賠償 肺がん治療遅らせ」(2017年11月25日)は,次のとおり報じました. 

「小牧市民病院は24日、心臓病で救急搬送された春日井市の80代男性がCT(コンピューター断層撮影)検査で肺がんも疑われたのに、心臓の治療だけで退院させ、肺がん治療の開始を遅らせたと発表した。市は、男性に賠償金300万円を支払う議案を12月の定例市議会に提出する。

 病院によると、男性は3月1日に搬送され、胸部CT検査で心筋梗塞(こうそく)と診断された。左肺に白い影があり肺がんも疑われたが、循環器内科の男性医師は心臓治療を優先した。患者は肺がんの説明を受けないまま18日に退院した。

 その後、近くの医院で撮影したX線写真で肺がんの疑いを指摘され、小牧市民病院を再受診したところ腫瘍が見つかり5月23日から治療を開始した。現在、ステージ4で別の病院に入院中という。

 当初のCT検査について、循環器内科の医師は「心筋梗塞の治療を優先し、退院時も呼吸器内科への紹介を忘れてしまった」と話しているという。

 谷口健次院長は「心からおわびする。安心して治療を受けられるよう再発防止に努める」とコメントした。【花井武人】」



報道の件は,私が担当したものではありません.
X線写真で肺がんの早期発見は無理ですが,胸部CT検査では肺がんではないものも拾い上げてしまいますが,肺がんの早期発見が可能です.
左肺に白い影があり肺がんが疑われた以上,,患者に伝え,呼吸器内科を紹介する義務があると思います
医師は,自分の専門の疾患の診断,治療のみならず,自分専門外の疾患が疑われる場合,その専門医師の診療につなげることも大事な仕事です.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-29 09:49 | 医療事故・医療裁判

平塚市民病院,急性大動脈解離の患者に入院2日後の手術を計画し,入院翌日に死亡した事案で和解

毎日新聞「平塚市民病院 死亡患者遺族と和解 5700万円を支払い」(2017年11月23日)は,次のとおり報じました. 

「平塚市民病院で2011年、急性大動脈解離で死亡した20歳代の男性患者の遺族が、緊急手術をする義務を怠ったなどとして同市に約7166万円の損害賠償を求めた訴訟で、同市は22日、遺族に5700万円を支払うとする横浜地裁小田原支部が出した和解案が成立したと発表した。

 同病院によると、男性患者は同年10月18日夜に他の医療機関からの紹介で入院したが、19日午後8時前に死亡した。同病院は入院時、男性患者が急変しないと判断。「準緊急手術」として20日午前に手術する計画をしていた。遺族側は、緊急手術が必要なのに行わなかった「緊急手術義務違反」や、適切な治療ができない場合に他の医療機関に移す「転医義務違反」があったとして14年11月、同支部に損害賠償を求めて提訴していた。

 同病院の担当者は「死亡診断書に急性大動脈解離とあり、裁判所が『急性』を重く判断したと推察している。遺族に説明不足はあったが、病院に過失があったとは認めていない」と話した。金井歳雄病院長は「万全を期してベストの選択をしてきたが、病状説明や診断書記載上の不備も指摘され、総合的に判断して和解を受け入れた」とのコメントを出した。【渡辺明博】」


これは私が担当した事案ではありません.

平塚市民病院の2008年3月の医療事故も手術をせずに鎮痛剤を投与して様子をみていて死亡させたもので,共通性を感じます.
急性大動脈解離は時間経過にしたがい裂け目が広がっていきますので,2日後の手術を計画したことは注意義務違反(過失)にあたると思います.

平塚市民病院は,2013年4月1日に心臓大血管センターを,2017年4月1日に救急救命センターをそれぞれ開設しました.このような事故が起こさないことを願います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-24 22:08 | 医療事故・医療裁判

埼玉県立がんセンターで患者体内にスポンジ置き忘れ3件

読売新聞「肺がん手術、患者3人の体内にスポンジ置き忘れ」(2017年11月22日)は,次のとおり報じました.

「埼玉県は22日、県立がんセンター(伊奈町)で肺がんの内視鏡手術を受けた患者3人の体内に、止血用の楕円形スポンジ(縦5センチ、横3センチ、厚さ1・5センチ)を置き忘れるミスがあったと発表した。

 患者は79~84歳の男女で、いずれも健康状態に問題はないという。

 発表によると、今月上旬、女性患者(84)の手術を行ったが、翌日のレントゲン撮影で胸腔内の異物を発見。再手術して取り出した。

 今月中旬には、7月に手術を受けた男性患者(81)の経過診察の際に置き忘れが発覚した。そのため肺がん手術を受けたすべての患者のレントゲン画像を調査し、2月に手術を受けた女性患者(79)でも置き忘れが判明した。

 同センターでは、術後にガーゼなどを台の上に並べて目視で個数を確認するようマニュアルに定めているが、医師や看護師が確認を怠っていたという。記者会見した坂本裕彦・病院長は「監督不行き届きで大変申し訳ない」と謝罪した。」


再手術は患者に負担をかけますので,再発防止を徹底する必要があるでしょう.
先日,或る大学のリスクマネジメントの講義で,マニュアルを策定することで終わるのではなく,人がいれかわるので常に研修を繰り返し徹底するが必要,との話をしました.人はマニュアル守らずてを抜く動物だと認識しておいたほうがよいでしょう.置き忘れ事故がなくならないのは,マニュアルの遵守が徹底されていないからでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-22 23:39 | 医療事故・医療裁判

原因分析報告書要約版(事例番号290397~290403)公表

公益財団法人日本医療機能評価機構は,産科医療補償制度の原因分析報告書要約版(事例番号290397~290403)を公表 しました.
以下のとおり問題点を指摘しています.

事例番号:290398は蘇生(胸骨圧迫)の遅れの問題,事例番号:290402は急速遂娩決定時期の問題を指摘しています.事例番号:290401は,子宮収縮薬使用に関する説明と同意,キシトシン注射液の投与の開始時投与量と増量量,回旋異常(後方後頭位)に子宮底圧迫法を併用した吸引分娩を実施したこと等の問題点を指摘しています.当然記載すべき重要な事項について記載がないことも指摘されています.

要約版の重要な指摘を抜粋します.

事例番号:290403
□ 学会・職能団体に対して
原因不明の脳性麻痺の事例集積を行い、その病態についての研究を推進することが望まれる。

事例番号:290402
〇 妊娠 39 週 0 日 9 時 27 分以降、胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数基線頻脈、基線細変動減少、変動一過性徐脈および高度遅発一過性徐脈を認める状況で急速遂娩を実行せずに経過観察としたことは一般的ではない。

事例番号:290401
〇 分娩誘発に関する妊産婦への説明と同意について、「原因分析にかかる質問事項および回答書」によると口頭で行ったが診療録に記載しなかったとされており、メトロイリンテルの使用については基準内であるが、子宮収縮薬使用に関する説明と同意については一般的ではない。
〇 ジノプロスト注射液の投与量について診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 オキシトシン注射液の投与の開始時投与量(5%ブドウ糖注射液 500mL+オキシトシン注射液 5 単位を溶解し 30mL/時間で投与開始)、増量法(15mL/30-48 分で増量)は基準から逸脱している。
〇 回旋異常(後方後頭位)のため、子宮底圧迫法を併用した吸引分娩を実施したことは一般的ではない。
〇 分娩誘発の適応、吸引分娩の要約と実施時刻について、診療録の記載がないことは一般的ではない。
〇 出生後の新生児の処置は一般的であるが、9時に頻脈(心拍数170回/分)と多呼吸(102回/分)を認め、9時50分に筋緊張低下を認めており13時35分に高次医療機関NICUに新生児搬送したことは賛否両論がある。
〇 吸引分娩で出生し、頻脈、多呼吸を認める新生児の状況とその判断について診療録に医師の記載が乏しいことは一般的ではない。

事例番号:290400
□ 学会・職能団体に対して
妊娠後半期における異常な腹痛は、常位胎盤早期剥離や(切迫)子宮破裂などの際に起こるため、異常な腹痛を感じた際の医療機関への連絡等の対応について、妊産婦に周知することが望まれる。
□ 常位胎盤早期剥離は、最近の周産期管理においても予知が極めて困難であるため、周産期死亡や妊産婦死亡に密接に関与する。常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:290399
□ 学会・職能団体に対して
胎児心拍数陣痛図の劣化に関する対応についての指針を検討することが望まれる。
※ 本事例では、胎児心拍数陣痛図の劣化に伴い波形が読みにくかった。胎児心拍数陣痛図は、原因分析にあたりきわめて重要な資料であるため、劣化に関する対応についての指針を検討することが望まれる。

事例番号:290398
〇 生後 5 分にアプガースコア 3 点となってからの新生児蘇生(バッグ・マスクによる人工呼吸、気管挿管)は概ね一般的であるが、生後 10 分に心拍数 40 回/分であったが、生後 20 分に胸骨圧迫を開始したことは一般的ではない。


谷直樹

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by medical-law | 2017-11-21 23:52 | 医療事故・医療裁判

中津市民病院が新生児の低血糖を見逃した事案で賠償へ(報道)

大分放送「中津市民病院が医療ミスで賠償へ」(2017年11月11日)は次のとおり報じました.

「中津市民病院で、医療ミスが原因で生まれた子どもが脳性まひになっていたことがわかり、市が母親側に約1億4,000万円の賠償金を支払う方針を決めました。関係者によりますと、2011年、中津市民病院で女性が出産した際、生まれた子どもが低血糖の状態が続き脳性まひになりました。女性から医療ミスを指摘され病院が調査した結果、医師が低血糖を見過ごしていたことがわかりました。病院側は適切な検査や処置をしていれば子どもに障害は残らなかったとして女性におよそ1億4,000万円を支払うことで和解したということです。市は12月の定例市議会で関連議案を提案する方針です。」

上記報道の件は私が担当したものではありません.
低血糖を見過ごすミスは,報道の件以外にも起きています.
例えば,広島地裁平成27年5月12日判決は記憶に新しいものです.,  
各病院はこれを他山の石として再発防止につとめていただきたく思います.

なお,中津市は大分県北西部に位置する人口約8万3千人の市で,生体腎移植を受けた演歌歌手の松原のぶえさんの出身地として知られています.
もし2011年市民病院で生まれ脳性麻痺になった子ども,というだけで特定が容易であれば,プライバシーが守られていないと受け取られこともあるかもしれません.
再発防止に役立つ情報はできるだけ具体的に,個人の特定につながる情報はできるだけ抽象的に,というのが発表の基本原則でしょう.


【追記】
NHK「 新生児に処置せず障害残る 市民病院 1億円余の賠償金」(11月13日)は次のとおり報じました.

「生まれたばかりの赤ちゃんの血糖値が低かったのに適切な処置をせず重い障害が残ったとして、大分県中津市が運営する市民病院は1億4000万円の賠償金を支払うことを決めました。
大分県中津市の中津市民病院によりますと、6年前に生まれた男の赤ちゃんは、出産直後の検査で血糖値が低いことがわかりましたが、心拍数や呼吸数などは正常の範囲だとして適切な処置を行わなかったということです。
赤ちゃんは生後12時間余りがたっておう吐やショック症状を起こし、改めて検査した結果、低酸素脳症が原因と見られる脳性まひと診断され、その後、手足のまひなどの重い障害が残ったということです。
両親はおととし、病院に損害賠償を求め、病院は「適切な管理を行わなかったことが脳性まひを引き起こした」として1億4000万円の賠償金を支払うことを決めました。
市は関連する議案を市議会に提案することにしています。
是永大輔院長は、「患者や家族の皆様に心よりおわび申し上げます。今回の事例を教訓に適切な診療を行っていきたい」と話しています。
一方、両親は、「一般の産院でもありえない対応により、生まれたばかりの子どもが重度の障害を被り、医療的な対応や療養を中心とした生活を送らざるを得なくなりました。市民病院には今後ともこのようなミスを起こさないとともに、公正適切な医療の提供を望みます」とするコメントを出しました。」


谷直樹

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by medical-law | 2017-11-11 20:25 | 医療事故・医療裁判