弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:医療事故・医療裁判( 1071 )

滋賀県立成人病センター,4年前に左膝に誤って右膝用の部品を取り付ける医療ミスがあったことを公表

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西日本新聞「滋賀で人工関節、左右取り違える 県立成人病センター」(2017年1月20日)は,次のとおり報じました.

「滋賀県立成人病センター(守山市)で2013年12月、患者の膝の手術で、左膝に誤って右膝用の人工関節を取り付ける医療ミスがあったとして、執刀した50代の男性医師を口頭注意処分にしていたことが20日、病院への取材で分かった。

 センターによると、患者は70代男性。直後に手術が予定されていた別の患者の右膝のエックス線写真を医師が用意し、さらに患者の名前を確認しなかったことなどが重なり、右膝用の人工関節が用意された。

 手術直後に、看護師が取り違えに気付いたが、医師は「左右の違いはわずかなもので、再手術は患者に負担をかけるので様子を見たい」と患者へ説明しなかった。」


時事ドットコム「人工関節の左右間違う=滋賀県成人病センターが手術ミス」(2017年1月20日)は,次のとおり報じました.

「滋賀県立成人病センター(同県守山市)は20日、2013年12月に70代の男性患者の膝に人工関節を付ける手術をした際、左膝に誤って右膝用を付ける医療ミスがあったと発表した。患者の生活に大きな支障はないという。
 同センターによると、50代の男性医師が別の患者のレントゲン写真を基に施術した。術中にミスに気付いたが、取り外すと骨を傷つける恐れがあったため、そのまま縫合したという。
 医師らは手術後、患者に説明し謝罪。昨年6月に100万円を支払うことで示談が成立した。センターは医師を口頭注意処分とした。センターは「患者に不安を与え、おわびする。患者名の復唱など再発防止に努める」としている。」 


これは私が担当した事件ではありません.
違う患者のレントゲン写真を見て手術を行ったのですから,左右取り違え事故というより,患者取り違え事故です.
取り違え事故の原因は,すべて確認の懈怠です.
患者に説明しなかったのはおかしいですし,4年前の医療事故を今まで公表しなかったのも疑問です.


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-21 21:44 | 医療事故・医療裁判

新宿セントラルクリニック院長が逮捕される(報道)

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警視庁捜査二課は,性病にかかっていると虚偽の診断を行って薬代を詐取した容疑で,新宿セントラルクリニック院長のA医師(69歳)を逮捕したとのことです.
院長医師は,血液検査の基準値を0.00と設定したとのことで,被害者は数千人にのぼるものと観られています.
院長医師は,容疑を否認しているとのことです.
院長医師が基準値を0.00と設定するのが正しいと思っているとすれば,故意の立証は難しくなるでしょう.
しかし,およそ医師であれば,そのような誤ったことを正しいと思うはずはないでしょう.
民事裁判では,院長医師はすべて敗訴しています.
本件については,きちんと捜査して,起訴することを期待します.


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-17 21:44 | 医療事故・医療裁判

金沢医科大学病院,ラジオ波焼灼後の右横隔膜の損傷による出血死の事案で提訴される(報道)

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中日新聞「「術後処置遅れ出血死」 遺族、金沢医大を提訴」(2016年12月20日)は,次のとおり報じました.

「肝細胞がんの手術を受けた際に横隔膜を傷つけられ、石川県津幡町の七十代の男性が出血死したとして男性の遺族が十九日、金沢医科大病院(同県内灘町)を運営する金沢医科大に慰謝料など約四千万円を求め、金沢地裁に提訴した。

 訴状などによると、男性は昨年八月に金沢医科大病院で肝細胞がんが発見され、同年十一月十日、体内に差し込んだ針の先から高周波を放って腫瘍を焼く「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」の手術を受けた。

 手術後、男性は吐き気などを訴え、五時間後には血圧も低下。翌十一日午前七時ごろ死亡した。解剖で死因は右横隔膜の損傷による出血死だったことが分かり、遺族側は手術時に傷つけられたことが出血原因と主張している。

 遺族側は十一日未明に血液検査で血液中のヘモグロビンの急激な低下が確認され、体内の出血が疑われる状態にもかかわらず、当直医が適切な検査や止血などをしなかったとも指摘。さらに、容体が変わった夜間に、医師の間で情報共有がされておらず処置が遅れるなどいくつかの注意義務違反があったと訴えている。

 遺族の代理人などによると、男性の死亡は、診療中の予期せぬ死亡事故を調べる国の「医療事故調査制度」の対象となり、病院と第三者機関が院内を調査。今年六月に出た調査報告書では、医師間の連携が取られなかったために出血の発見が遅れたことが指摘され、遺族にも報告された。

 金沢医科大病院の担当者は取材に「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」と話した。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
右横隔膜の損傷による出血死の原因は,ラジオ波焼灼によるものと考えるのが合理的でしょう.
医師間の連携が取られなかったために出血の発見が遅れたこと以外にも,注意義務違反(過失)は考えられるようです.
審理及び判決に注目したいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-12 23:40 | 医療事故・医療裁判

吹田市の有料老人ホームで准看護師が呼吸器電源入れ忘れ女性死亡(報道)

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朝日新聞「人工呼吸器の電源入れ忘れ、ホーム入居者を死なせた疑い」(2017年1月5日)は,次のとおり報じました.

「大阪府吹田市の有料老人ホーム「メディカル・リハビリホームくらら吹田」で昨年8月20日夜、入所中の重病の女性(68)が付けていた人工呼吸器の電源を入れ忘れて、窒息死させたとして、大阪府警は5日、施設長の女(36)=同府茨木市=と准看護師の女(53)=兵庫県伊丹市=を業務上過失致死の疑いで書類送検し、発表した。共に容疑を認めているという。

 捜査1課によると、准看護師は「たんの吸引の際にアラーム音が鳴るのが煩わしく、普段から電源を切っていた」、施設長は「医療行為は医師や看護師に任せていた」と供述している。

 女性は筋肉が萎縮する重病で、自発呼吸が困難だった。昨年6月にも別の看護師が女性の人工呼吸器の電源を約30分入れ忘れていたが、女性の家族には伝えていなかったという。

 遺族は「入居者の安全という根本的なことが軽視され、企業の都合が優先されたことが残念でならない。二度と同じような事故を起こさないでほしいと強く願う」との談話を出した。」


産経新聞「呼吸器電源入れ忘れ女性死亡、老人ホーム施設長ら2人書類送検…ベネッセ系運営 大阪府警」(2017年1月5日)は,次のとおり報じました.

「大阪府吹田市の介護付き有料老人ホームで昨年8月、人工呼吸器が停止して入所女性(68)が死亡した問題で、大阪府警捜査1課は5日、たんの吸引作業後も呼吸器の電源を入れ忘れたまま放置していたとして、業務上過失致死容疑で女性施設長(36)と女性准看護師(53)を書類送検した。いずれも容疑を認めている。

 府警によると、死亡した女性は寝たきり状態で、昨年6月にも別の看護師が呼吸器の電源を入れ忘れ、約30分間停止する事故が起きていた。施設長は女性の家族や運営会社に事故を知らせず、再発防止策も取っていなかったという。

 書類送検容疑は昨年8月20日午後7時20分ごろ、吹田市朝日が丘町の「メディカル・リハビリホームくらら吹田」で、入所女性のたんを吸引した後、呼吸器の電源を入れ直すのを怠って放置し、女性を窒息死させたなどとしている。

 同課によると、本来は吸引作業中も電源を切ってはならないが、准看護師は「電源を入れたまま吸引作業をするとアラーム音がしてわずらわしく、頻繁に電源を切っていた」と供述している。

施設はベネッセコーポレーションの関連会社「ベネッセスタイルケア」が運営。同社の老松孝晃取締役は「深くお詫びする。責任を痛切に感じている」と話した。一方、女性の遺族は「入居者の安全が軽視され残念。介護事業者には安全管理を徹底してほしい」とのコメントを出した。」


NHK「老人ホーム女性死亡 准看護師が呼吸器電源入れ忘れか」(2017年1月5日)は,次のとおり報じました.

「去年8月、大阪・吹田市の介護付き有料老人ホームで、入居者の女性が死亡しているのが見つかり、警察は、女性に着けられていた人工呼吸器の電源を准看護師が切ったあと入れ忘れたとして、この准看護師など2人を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

去年8月、大阪・吹田市朝日が丘町の介護付き有料老人ホーム「メディカル・リハビリホームくらら吹田」で、入居していた68歳の女性が死亡しているのが見つかりました。
警察が調べたところ、この女性は病気のため自分で呼吸できず人工呼吸器を着けていましたが、担当の53歳の准看護師がたんを吸引する際、呼吸器の電源を切ったあと入れ忘れたと見られることがわかったということです。
警察は、安全管理が不十分だったとして、准看護師と36歳の施設長の2人を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

警察によりますと、この施設では去年6月にも、同じ入居者に着けられた人工呼吸器の電源を、別の看護師が一時、入れ忘れましたが、施設長は具体的な再発防止策を取っていなかったということです。

警察によりますと、2人は容疑を認め、准看護師は「電源をつけたままだとアラーム音が鳴るので、切って作業していた」と話し、施設長は「医者や看護師に任せきりになっていた」などと話しているということです。

遺族「企業の利益優先 安全管理徹底を

死亡した女性の長女と次女は、代理人の弁護士を通じてコメントを出し、「看護職員のほとんどが人工呼吸器の適切な使い方を知らず、過去にあった同様の事故についても対策や報告が行われていなかった。入居者の安全が軽視され企業の都合や利益が優先されていたことが残念でならない。安全管理を徹底し、二度と同じような事故を起こさないでほしい」と指摘しています。

一方、施設を運営する「ベネッセスタイルケア」の老松孝晃取締役は「あってはならないミスで人命が失われ、大変重く受け止めています。亡くなった入居者とご遺族に深くおわび申し上げます。全国の事業所に急いで再発防止策を示していきたい」と話しています。」



人工呼吸器の電源入れ忘れ事故は,病院などでも以前から結構起きています.
スイッチの入れ忘れによる事故について,以下の裁判例があります.

○看護師3名がアイセル病の患者を入浴させた後,人工呼吸器のアラームのスイッチをオンにするのを忘れ,その後人工呼吸器の接続部がはずれて患者Aが呼吸困難の状態に陥ったがアラームが鳴らなかったために気付くのが遅れ,患者が死亡した事案
「人工呼吸器がAの体からはずれると同人の生命自体が脅かされる状況にあったのであるから,担当看護師が負っていた人工呼吸器のアラームのスイッチを入れておくべき注意義務は,きわめて重大かつ基本的義務であるとともに,わずかの注意さえ払えばこれを履行することができる初歩的な義務であるということができる。この注意義務を怠ったこと自体,重大な過失であるし,さらに,以前にも同様の事故があり,病院側も本件のような事故が生じる可能性を十分に認識し得たにもかかわらず,再び本件事故を惹起したのであるから,その責任は重大である。」と判示されました.
(神戸地判平成5年12月24日 判タ868・231)。

○准看護師が,清拭後人工呼吸器のメインスイッチをオンに戻さず患者を死亡させた事案
「人工呼吸器のメインスイッチをオンの状態にするのはもとより,そのフロントパネルの表示を目視し,同女の胸郭を観察するなどして,清拭後も右人工呼吸器が正常に作動して同女への空気の供給が正常に為されていることを確認し,事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務」が認められました.
准看護師は罰金50万円
(松江簡略式命令平成13年1月9日,飯田英男ら『刑事医療過誤Ⅱ増補版』561頁)

○准看護師が人工呼吸器の加温加湿装置の給水後に人工呼吸器を作動させず患者を死亡させた事案
「給水作業後は,人工呼吸器を作動させ,その気道内圧計及び同人の胸郭の観察等を行い,同人への酸素の供給が正常になされていることを確認し,事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務」が認められました.准看護師は禁錮8月,執行猶予2年に処せられました.(盛岡地一関支判平成15年11月28日(飯田英男ら『刑事医療過誤Ⅱ増補版』594頁)
仙台高裁平成16年10月14日判決は控訴棄却,さらに上告棄却で確定しました.

○看護師が平成14年1月人工呼吸器の加湿器の蒸留水を交換した際,一時的に切った電源を入れ忘れ,患者が死亡した事案
札幌地判平成19年4月25日は,看護師の過失を認めました。
看護師は,平成17年,小樽簡裁で罰金50万円の略式命令を受けました(毎日新聞2007年4月26日).

○国立H病院母子医療センターの看護師Xが三方活栓の空気抜き後にシリンジポンプの輸液流量の設定値を0に戻さず,かつその流路を三方活栓で遮断せず,看護師Yが当該シリンジポンプを起動させる際,輸液量の設定値の確認を怠りイノバン希釈液を過量投与し患者を死亡させた事案
看護師Xについて,「三方活栓内の空気を抜いた後は,同設定値を0に戻し,医師の指示に基づき同液の投与を開始するまでは,その流路を三方活栓で遮断して,同液の過量投与を防止すべき業務上の注意義務」に違反したとして,看護師Yについて,「同シリンジポンプの輸液流量の設定値を確認して同液の過量投与を防止すべき業務上の注意義務」が認められました.
看護師Xは罰金30万円,看護師Yは罰金50万円に処せられました.
(弘前簡略式命令平成15年1月31日,飯田英男ら『刑事医療過誤Ⅱ増補版』578頁)


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-09 02:12 | 医療事故・医療裁判

今津赤十字病院の看護助手にトイレで2時間放置された見守りが必要な難病患者が心肺停止となり死亡(報道)

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朝日新聞「トイレに難病患者2時間放置、1カ月後死亡 福岡の病院」(2017年1月1日)は,次のとおり報じました.
 
「福岡市西区の今津赤十字病院(藤井弘二院長)で昨年、難病で入院していた福岡県糸島市の女性(当時68)がトイレで約2時間放置されて心肺停止になり、約1カ月後に死亡していたことが、同病院への取材でわかった。

 病院によると、女性は脳の神経細胞の変異から筋肉のこわばりを起こす指定難病「多系統萎縮症」の患者で、昨年8月8日に入院。左半身にまひがあるため車いすを使い、会話も難しかったという。院内では、移動時に付き添いが必要との申し送りがされていた。

 8月12日午前10時ごろ、女性看護助手に付き添われてトイレに行き、正午過ぎ、心肺停止になっているのを別の職員が見つけた。放置されている間に血圧が低下し、心肺停止になったという。女性は9月9日に亡くなった。

 この看護助手は別の業務のためその場を離れ、女性には「終わったらナースコールで呼ぶように」と伝えていたという。

 看護助手は当初、病院に「5~10分おきに様子を見に行った」と説明し、病院も家族にそう伝えた。だが数日後、実際には約2時間離れていたと看護助手が説明を翻したため、病院は8月18日に再度家族へ説明し、謝罪したという。

 この看護助手は11月に依願退職した。同病院の武田義夫事務部長は「深くおわび申し上げます」と話した。再発防止として、見守りの必要な患者の移動時には、ベッドに行き先を書いた札を置く措置を講じたという。(鈴木峻)」

産経新聞「難病女性をトイレに放置、死亡 福岡の病院「5~10分おきに様子見ていた」虚偽説明」(2016年1月3日)は次のとおり報じました.

病院によると、女性は脳の神経細胞が変性して筋肉のこわばりを起こす指定難病「多系統萎縮症」で昨年8月8日に入院。同月12日、看護助手に付き添われてトイレに行った後一人で残され、約2時間後に心肺停止の状態で発見された。低血圧で意識を失ったとみられ、9月9日に死亡した。女性は以前もトイレで意識を失ったことがあり、見守りが必要と院内で申し送りをしていたが、十分伝わっていなかった。

 病院側は家族に対し、看護助手への聞き取りを基に断続的に見守っていたと説明していたが後日、誤りがあることが判明して謝罪した。看護助手は11月に依願退職した。

 事故調査委員会を設置し、詳しい事故原因を調べている。同院は「深くおわびする。信頼回復のため、再発防止に一層の対策を講じたい」としている。」


この件は私が担当したものではありません.

平成 24 年度社会保険診療報酬改定により,看護職員の業務を補助する職員の配置に対してより手厚い評価がなされました.その後,看護補助者(看護助手)を増員する病院が増えています.
しかし,看護補助者の研修,情報共有,業務の適正な分担については,問題もあるようです.
看護補助者の資質,経験,研修の程度に応じて,本来,任せられる業務の範囲,任せ方が異なるはずです.

報道の件は,この患者が以前もトイレで意識を失ったことがあり見守りが必要なことが当該看護補助者には十分伝わっていなかったことがそもそもの問題です.
病室で看護師の見ているところで看護補助者が業務にあたるときは看護師の目がとどきますが,それ以外の場合,トイレ,浴室のような場所で看護補助者が単独で業務にあたる場合には,病院は事故が起きないように,リスクを十分に認識し適切に対応できる体制にしておく必要があります.
報道の件は,当該看護補助者がその患者をトイレに運んでいく業務のリスクを十分認識していなかった原因を検討する必要があるでしょう.
また,当該看護補助者が虚偽の説明を述べた背景事情も検討すべきでしょう.
事故調査委員会の報告はホームページで公表していただきたく思います.

看護補助者(看護助手)は平成24年以降増えていますが,病院の看護補助者(看護助手)に対する研修,管理の体制が不十分であると事故が起きるリスクがあります.そのリスクは,この病院だけの問題ではないのではないかと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-06 08:17 | 医療事故・医療裁判

京都大学医学部附属病院,胸腺腫の手術で左横隔神経を切断した件で提訴される(報道)

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産経新聞「医療ミスで肺機能低下 「切る必要ないところを切った」…67歳自営業男性、京大病院提訴」(2016年12月27日)は次のとおり報じました.

「京都大病院(京都市左京区)で平成21年7月、胸腺の摘出手術を受けた際、誤って神経を切断されて左肺の半分が機能しなくなったとして、大津市の自営業の男性(67)が26日、同病院に約1730万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。

 訴状などによると、男性は同年6月、同病院呼吸器外科で検査を受け、胸腺腫と診断された。7月に胸腺摘出手術を受け、同科の男性医師が執刀したが、胸腺を切除する際に左横隔神経を切断。病院側は8月、男性に説明を行い、執刀医は「切る必要がないところを切った」としたという。

 男性は9月末に退院したが、神経が切断されたことで左横隔膜が押し上げられて左肺が圧迫され、左肺の呼吸機能は手術前の半分となったといい、「執刀医らが神経の確認作業などを怠ったため機能が低下し、多少の歩行や重たい荷物を持つと息切れし、階段の上り下りも困難になるなど、日常生活に不便が生じた」と主張している。

 原告側によると、京大病院側はその後、「執刀医らの確認作業が不十分で、神経に対する注意が低くなっていた」などとする内容の報告をとりまとめたという。

 提訴について京大病院は「訴状が届いていないためコメントできない」としている。」


これは私が担当した事件ではありません.
上記報道からは「胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級)か,「胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」(9級)か,後遺障害の程度まではわかりませんし,自営業の逸失利益の金額評価が難しいのかもしれませんが,胸腺腫の手術で左横隔神経を切断したことに医師の過失があることが明らかですから,医療過誤であることは明らかです.このように事案は,病院側が誠意ある対応をすれば,本来示談で解決できるものです.
それが提訴にまで至ったのは,病院側の対応に問題があったのではないでしょうか。
井上章一さんの『京都ぎらい』(朝日新書)が,「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に選ばれ,売れているようです.私は地域やジェンダーや年齢を一括りにして論じるのは好きではないのですが,このようなことがあると,いろいろ言う人もいるのではないしょうか.



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by medical-law | 2016-12-30 08:33 | 医療事故・医療裁判

愛知県がんセンター中央病院,術後3日目に発熱や腹痛を訴え4日目に死亡した件で和解(報道)

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中日新聞「愛知がんセンター、遺族に1300万円賠償 医療事故で和解」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)は27日、2012年5月に女性患者が死亡する医療事故があり、遺族に1300万円を支払うことで和解が成立したと発表した。

 病院によると、卵巣がん手術をした40代女性が3日後に発熱や腹痛を訴え、翌日、十二指腸潰瘍による出血性ショックで死亡した。病院が設置した医療事故調査委員会は、手術のストレスや鎮静剤の影響で十二指腸潰瘍となり、容体が急変したと断定した。

 遺族側は14年、急変後にすぐコンピューター断層撮影(CT)検査をして治療をしていれば、救命の可能性があったとして、病院側に7500万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴。病院側は一部反論していたが、地裁が今年11月に示した和解案を全面的に受け入れた。県庁で会見した丹羽康正院長は「事故後、患者の異変をいち早く察知し医師や看護師が一体的に対応するシステムを導入した。遺族が強く望む再発防止に取り組みたい」と述べた。」


読売新聞「がん手術後に女性死亡、愛知県が和解金1300万円」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)で卵巣がんの手術後に死亡した40歳代の女性(同市)の遺族が、「早期の検査で死亡は回避できた」として、県に約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が東京地裁で成立した。和解金1300万円を支払うとの内容で、県が27日、発表した。和解は26日付。

 発表によると、女性は2012年5月28日に手術を受けた後、発熱や腹痛などを発症。同年6月1日、さらに状態が悪化し、CT(コンピューター断層撮影法)検査を行ったところ、消化管出血による出血性ショックと診断され、間もなく死亡した。病理解剖で十二指腸の潰瘍と、それに伴ってできた穴が見つかった。

 遺族は14年10月、「医師の継続監視が不十分で、CT検査を早く行えば手術もでき、死亡は避けられた」として提訴。県側は「CT検査をしても、潰瘍や穴の診断は難しかった可能性が高い」などと主張してきたが、「早期に検査をしなかったことなど改善すべき点はあった」として、地裁の和解勧告に従ったという。」


日本テレビ「手術後に死亡の医療事故、病院と遺族が和解(愛知県)」(2016年12月28日)は次のとおり報じました.

「愛知県がんセンター中央病院で手術を受けた女性が手術後に死亡した医療事故で、病院が女性の遺族と和解した。名古屋市在住だった女性は4年前、卵巣がんの手術を受けた4日後に出血性ショックにより死亡した。女性の遺族は、病院と当時40代の主治医に対し「早い段階でCT検査を行うべきだった」などとして、約7500万円の損害賠償を求める裁判を起こしていた。愛知県がんセンター中央病院によると「女性の死因は手術のストレスなどによる十二指腸潰瘍が原因で、救命は困難だった」としているが「CT検査を早い段階で行わなかったことは不適切だった」と認め、26日、遺族に1300万円を支払うことで和解が成立したという。」

これは私が担当した事件ではありません.
術後の出血性ショックによる死亡症例の相談が少なくありません.
1件1件経過が異なりますが,検査義務と因果関係を検討するうえで参考になる例です.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-29 20:54 | 医療事故・医療裁判

名古屋大学病院,肺がん見落としで謝罪(報道)

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朝日新聞「肺がん見落とし 3年後に末期診断、死亡 名古屋大病院」(2016年12月26日)は,次のとおり報じました.

「名古屋大学病院は、医師が画像診断の結果を見落とし、患者が約4年後に肺がんで死亡する医療事故があったと26日、発表した。名大病院は9月にも検査結果の確認不足で肺がん患者の治療が遅れ、死亡した事故を公表。石黒直樹病院長は「このようなことをくり返すことについて慚愧(ざんき)に堪えない。ご遺族におわび申し上げたい」と陳謝した。

 名大病院によると、2011年2月、名古屋市の80代女性を耳のがんと診断した。転移を調べるため、全身のPET(陽電子放射断層撮影)検査も実施。診断した放射線科医が「肺に2カ所の影があり、肺がんの可能性を否定できない」として精査するよう報告書に記載した。だが、主治医は見落とし、女性は11年4月に耳のがんの手術だけを受けて退院した。

 3年後の14年3月、女性が名大病院で経過観察のため胸のCTを撮影すると、末期の肺がんが見つかった。3年前に疑いが指摘された時点では初期段階だったという。名大病院は「正確な情報を共有したうえで治療すべきだった」として、不適切な診療行為があったと結論づけた。

 名大病院では手術前のカンファレンス(症例検討会)で情報を共有するが、女性の主治医は別の手術で参加できなかった。このため耳鼻咽喉(いんこう)科内で別の医師らが検査結果などをチェックする機会を逸したという。主治医と担当医でダブルチェックするなど、情報共有の仕組みを強化しているという。(月舘彩子)」



谷直樹

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by medical-law | 2016-12-27 05:25 | 医療事故・医療裁判

日本医療機能評価機構医療安全情報No.121経鼻栄養チューブの誤挿入

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公益財団法人日本医療機能評価機構は,2016年12月15日,医療安全情報No.121「経鼻栄養チューブの誤挿入」を発表しました.

「事 例 1
医師は、気管切開している患者に経鼻栄養チューブを挿入後、気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。その後、看護師が栄養剤の注入を開始したところ、患者は咳き込み、呼吸苦を訴えた。医師は気管孔から気管支鏡を行い、気管内に経鼻栄養チューブが挿入されていることが分かった。
事 例 2
看護師は経鼻栄養チューブを挿入後、胃内容物を吸引できなかったが、他の看護師と2名で気泡音を聴取し、チューブが胃内に入ったと判断した。看護師は、内服薬を注入する前に、再度、他の看護師と気泡音を聴取した。内服薬を溶かした白湯を注入したところ、咳嗽が出現しSpO2が80%前後に低下した。胸部エックス線撮影を行い、右気管支に経鼻栄養チューブが挿入されていることが分かった。」


経鼻栄養チューブの挿入後胃内容物を確認することが推奨されています.
気泡音の聴取という旧態依然の不確かな方法をとっている施設が未だにあることは問題でしょう.

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by medical-law | 2016-12-17 12:54 | 医療事故・医療裁判

HPVワクチン薬害訴訟,第2次全国一斉提訴~原告は119名に

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HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団によると,2016年12月14日,国とグラクソ・スミスクライン社、MSD社を被告に,57名の追加提訴を行い,全国の原告は119名になったとのことです.

第2次全国一斉提訴~原告は119名に」ご参照

提訴行動の写真には,私が知っている信頼できる先生も何人か写っていました.

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団の連絡先は,
〒102-0084 東京都千代田区二番町12番地13セブネスビル3階
樫の木総合法律事務所内
TEL:03-6268-9550
です.


私自身は,このような集団訴訟に参加する余力はありませんが,応援はしていきたいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2016-12-15 08:23 | 医療事故・医療裁判