弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:脱原発( 75 )

東電救済スキームとモラルハザード

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政府の東電救済スキームは,預金保険機構で銀行を保護したように,機構を作り,公的資金を注入し,東電を絶対に潰さない,というものです.

負担を求められた融資銀行は,株主責任も問われていないのに,なぜ銀行負担を求めてくるのか理解できない。順番が違う,と述べています(MUFGの永易克典社長など).

外資系証券会社幹部も,つぎのとおり疑問を述べています,

「「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。
別の外資系証券幹部は今回の政府のスキームについて「海外の投資家には理解できないスキームになっている」と指摘する。巨額の賠償債務を抱えることになった東電は、通常ならまず株式が最初にき損することになる。東電の株主資本は約2.5兆円ある一方で、賠償額の総額は現時点で判明していないものの、政府は5兆円のシミュレーションを作成している。少なくとも2.5兆円を超える賠償債務を追った時点で株式は100%減資となり、次に貸出金や社債がき損していく順番をたどるのが、市場原理に基づいた通常の破綻処理のケースだ。」
(ロイター「東電賠償スキーム、事実上株主・社債権者などを免責」ご参照)

株主,社債権者は,リスクを承知で投資しているのですから,債務超過による不利益を負うべきでしょう.
機構を作り,税金を投入して東電が絶対に潰れないシステムを作るのでは,モラルハザードを招くでしょう.
東電は,政治とマスコミに強い影響力をもち,原発推進の立場を変えていないのですから,東電の力を残すことになると,今後のエネルギー政策に歪みが生じるおそれがあります.
実際,東電擁護の発言を繰り返している経団連の米倉弘昌会長は,13日,北京で,「なぜ東電だけが責任を問われるのか」と述べました.

東電は,破綻に直面させる必要があると思います.

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by medical-law | 2011-05-15 11:44 | 脱原発

城南信用金庫の脱原発,「節電プレミアム預金」

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すこし前のニュースですが,あまり知られていないようなので,ご紹介します.

城南信用金庫は,先月,次のとおり

「今回の事故を通じて、原子力エネルギーは、私達に明るい未来を与えてくれるものではなく、一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っていること、さらに、残念ながらそれを管理する政府機関も企業体も、万全の体制をとっていなかったことが明確になりつつあります。」

と述べ,「原発に頼らない安心できる社会へ」をめざし,脱原発を宣言しました.

そして,5月2日から,自ら省電力,省エネルギー化に取組むとともに,節電支援のための新商品・サービスを始めました.

その1つが,「節電プレミアム預金」です.
節電設備に10万円以上かけた人に対し,「節電プレミアム預金」では1年定期が年1%となります(通常は年0.08%ですから大幅アップです).
ただし,預金上限額は1世帯に付き100万円です.

朝日新聞「「太陽光導入で年利1.0% 城南信金が「脱原発」優遇」」ご参照

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by medical-law | 2011-05-10 16:12 | 脱原発

なぜ,東海地震の震源地の上に原発がつくられたのか?

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なぜ,東海地震の震源地の上に原発がつくられたのか?

今は昔の話ですが,1955年に,米国の指示により自由党と日本民主党が合同して,自由民主党(自民党)ができます(保守合同),
その年,原子力基本法ができ,翌年,原子力委員会の委員長に読売新聞の正力松太郎氏が就き,以後,原発推進政策が国是としてすすめられました.

電力会社の中で原発に積極的な会社とそうでない会社の差が目立つようになったので,1960年代に,各電力会社が1つは原発をもつよう,指導されました.
北海道の泊,四国の伊方は,このとき計画されたものです.

中部電力は,1963年に3地区を候補としましたが,漁業組合の強い反対にあい,頓挫しました.
そこで,中部電力は,1967年に新たに浜岡への根回しを行い,1969年に同意を得ることに成功しました.

駿河湾の東海地震が社会問題になったのはその後のことで,大規模地震対策特別措置法ができたのは1978年です.

中部電力は,もともと原発を必要としていなかったのに,国策でつくらされたのです.停止に比較的抵抗が少なかったのは,そのような事情があります.

国が明確にエネルギー政策を変更することが,今こそ必要です.

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by medical-law | 2011-05-09 06:52 | 脱原発

懲りない人たち,「経産省,原発重視の方針堅持」

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5月6日,経済産業省の今後のエネルギー政策に関する内部文書がマスコミに流されました.
菅首相の浜岡原発全面停止要請のニュースを追いかける絶妙のタイミングでした.

「安全宣言」を早期に行うことで,既存の原発を早期に稼働させる,という内容の文書です!

「今後のエネルギーのベストミックス」の一つとして「安全性を最大限追求した原子力」を掲げているとのことです.

「世界最高レベルの安全性に支えられた原子力」
「緊急安全対策の徹底(安全宣言)」
「太陽光発電のコストは原子力の約7倍」
などと述べているそうです.

東京新聞「経産省、原発重視の方針堅持へ 安全宣言で電力確保目指す」ご参照

これは,原発推進派の従来の主張と何ら変わるところはありません.
今までも,「安全性を最大限追求した原子力」だったはずでしょう.

原子力のコストを安く見積もっているのも従来と同じです.使用済み核燃料の処理費用,ほぼ無限にコストのかかる安全対策費用(それでも安全は確保されない)を計算していません.
電力不足キャンペーンも従来どおりです.あの計画停電のときと同様,計算の前提が恣意的です.

経産省の官僚は,原発震災後も,まだ国民を騙せると思っているようです.
原発を推進する人たちは,原発事故が起きても,賠償金は電力料金に転嫁すればすみ,自分たちは安泰だと思っていますから,こういうことが平気で言えるのでしょう.

電力会社と癒着した官僚たち(原発推進派)をそのポストから外し,政策転換を宣言する必要があります.
それをしない限り,原発事故は繰り返されます.

日弁連は,2011年5月6日付けで「エネルギー政策の抜本的な転換に向けた意見書」をとりまとめました。

ちなみに,安全性を軽んじる企業と官僚が一体となって被害を作りだしてきた構造は,「薬害」と全く同じです.

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by medical-law | 2011-05-07 07:57 | 脱原発

菅首相,浜岡原発停止要請

b0206085_20202850.jpg菅首相は,5月6日、中部電力に対し、(最も危険と言われていた)浜岡原子力発電所のすべての原子炉を停止するよう緊急要請した,と報じられています。

菅首相は,「浜岡原子力発電所が所在する地域を震源とする想定される東海地震が、この30年以内にマグニチュード8程度で発生する、そういう可能性が87%と、文科省関係機関から示されております。そういう、この浜岡原発にとって、特有といいますか、その事情を勘案をして、国民の安全安心を考えた結果の判断、決断であります。」と述べました.

東海地震という特殊事情が理由の1つとなっていますが,国民の安全を考える以上は,他の原発もすみやかに停止へもっていってもらいたいと思います.

日本弁護士連合会は,平成23年3月25日に「国、電力会社その他原子力関係機関は、二度とこのような原子力発電所事故を繰り返さないために、原子力発電所の新増設を停止し、既存の原子力発電所については、電力需給を勘案しつつ、危険性の高いものから段階的に停止すること。 」という会長声明をだしています.(東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に関する会長声明

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by medical-law | 2011-05-06 20:24 | 脱原発

東京電力は水棺をめざして注入量を毎時8トンに増やしたが,これは危険ではないか?

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東京電力は,5月6日,1号機の原子炉圧力容器への注水量を毎時6トンから8トンに増やしました.20日間程度で「水棺」状態になる見通と発表しました.
時事通信「1号機の注水量増加=「水棺」到達に20日間―福島第1原発」ご参照

しかし,この水棺は,小出裕章氏が繰り返し指摘しているとおり,疑問です.
まず,水素爆発の危険性があります.
格納容器が水圧に耐えられるか,という問題もあります.
さらに,容器が破損していて水が漏れている可能性もあります,

東京電力から,これらの点について,具体的な説明はありません.

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by medical-law | 2011-05-06 13:26 | 脱原発

日本政府の放射線量基準は安全ではない,米国「社会的責任のための医師の会」

b0206085_23371441.jpg明日5月5日は,子どもの日です。

4月20日のブログ「文部科学省の基準で子どもを守れると思いますか?」の続きを書きます.

◆ 米国の「社会的責任のための医師の会」

日本政府が子どもの屋外活動制限の放射線量基準を年間20ミリシーベルトを目安として設定したことを,小佐古敏荘氏ですら批判し,参与を辞任しましたが.その後も,日本政府は,考えを変えていません,

米国の「社会的責任のための医師の会(PSR:Physicians for Social Responsibility)」は,4月29日(日本時間5月1日),「There is no way that this level of exposure can be considered "safe" for children.」(年間20ミリシーベルトを安全と考えることは到底できない),とする声明を発表しました.

this dose for children exposes them to a 1 in 200 risk of getting cancer. And if they are exposed to this dose for two years, the risk is 1 in 100.」(この被曝量(年間20ミリシーベルト)は、子どもの発がんリスクを200人に1人増加させ,この被曝量が2年続くと,子どもの発がんリスクは100人に1人となる)

と指摘しています.

PSRは1985年にノーベル平和賞を受賞しています.

PSR Statement on the Increase of Allowable Dose of Ionizing Radiationto Children in Fukushima Prefecture」ご参照
西日本新聞「学校放射線基準は「安全でない」 ノーベル賞受賞の米医師団」ご参照

◆ 日本の医師団体

日本では,「核戦争に反対する医師の会(PANW)」が,3月16 日,「看過できないことは、テレビをはじめとする報道機関が、原発の放射能汚染の危険をレントゲン撮影の放射線量と比較するキャンペーンをしていることです。ウラン、プルトニウム、セシウム、ヨードなどの放射性同位元素による原発汚染の危険性を無視することは容認できません。」とし,政府と東京電力に以下の「福島原発事故についての声明」を出しています.

1、福島原発事故に関わる正確な情報を迅速に収集し速やかに公表すること。
2、事故処理に全力を傾け事態の拡大を防止すること
3、国内備蓄のヨウ素剤の活用など、住民の被曝拡大防止と被曝者にたいする適切な治療を迅速におこなうこと。


日本医師会,医学会等の団体は,東京電力と政府の対応について,「安全」とは言えないと.積極的に発言すべきだと思います.

◆ 阿武隈(原発30km圏内生活)裏日記

福島県川内村在住の作家鐸木能光さんは,4月30日,「今になっての年間20ミリシーベルト論争が非常に空しく聞こえる」と阿武隈(原発30km圏内生活)裏日記に書いています.

「原発作業員でさえ年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトを超えないと決められているのですから、子供の被曝量が年間20ミリシーベルトでもよいという今回の見解が批判を受けるのは当然です。

しかし、実際に今、福島原発周辺ではどうなっているのかといえば、子供も大人もとっくにその規模の線量を被曝しているのです。」

「こうした現実を前にして、今になっての年間20ミリシーベルト論争が非常に空しく聞こえるのは私だけではないでしょう。」


「SPEEDI」のデータで,甲状腺に溜まったヨウ素による内部被曝のみをシミュレートしただけで,ひと月ちょっとで,すでに20ミリシーベルトなどという数値はとっくに超えているので,いまさら何を言うか,ということなのです.

鐸木能光さんは,次の通り書いています.
「最初の段階で飯舘村、浪江町、葛尾村、南相馬市、川俣町に避難命令を出していれば、どれだけの人が被曝から逃れられただろうと思うと、返す返す残念でなりません。北西方面の人たちが被曝することを分かっていながら、国や県はなんの警告も発しなかったのです。これは未必の故意による殺人に等しい犯罪行為です。」

「政府にできることは、とにかく正直になること。
すべて正直に告白し、報告した上で、「数値上ではこんなに大変なことになっていますが、私たちはこの現実を受け入れた上で、具体的にどうしていくのがいちばんいいことなのかを考えていかなければなりません」と声明すべきです。」


阿武隈(原発30km圏内生活)裏日記 ■ 20ミリシーベルト論争の虚しさ 」ご参照

政府は,安全であると嘘をつき問題を回避するのではなく,安全でないことを認めて,ではどうするか,と問題を解決しなければならないのです.

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by medical-law | 2011-05-04 23:43 | 脱原発

「放出量予測システム(ERSS)も使えず」 

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「原発事故を遠隔地から分析し、放射性物質がどのぐらい放出されるかを予測する国の「緊急時対策支援システム(ERSS)」が、福島第1原発事故の発生直後から使えない状態になっていたことが2日、分かった。」と報じられました.(共同通信「放出量予測システムも使えず 想定の甘さ浮き彫り」ご参照)

しかし,これはERSSを運用する原子力安全基盤機構と政府には,事故直後から分かっていたことです.
5月2日になって(マスコミに)分かったと初めて報じられるのは,どうしてでしょうか.
ERSSが使えなかったから,後手後手になったのもやむをえなかった,とでも言いたいのでしょうか.

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-02 10:28 | 脱原発

『原子力のこれまでとこれからを問う』小出裕章氏ほか

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ビデオニュース・ドットコムの『04/30 5金スペシャル・原子力のこれまでとこれからを問う』で,

一貫して原発に反対してきた,小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)

自民党において原発推進は単なる利権漁りに過ぎなかったと述べる,河野太郎氏(衆議院議員)

事故直後の意思決定のあり方,政府と原子力安全・保安院と東京電力の関係,賠償スキームについて述べる,細野豪志氏(衆議院議員、首相補佐官、福島原発事故対策統合本部事務局長)

の話が聴けます.

まずは,小出裕章氏のパート(66分)だけでも見たらよいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-02 02:06 | 脱原発

Fukushima: Nuclear Blast at Reactor 3?

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Fukushima: Nuclear Blast at Reactor 3?のビデオが話題になっています.
こちら,または,「福島原発事故を追う」などでみることができます.
解説はこちら(日本語字幕あり)です.
映像からは,3号機のプールで核爆発が起きたとしかみえません.

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-01 23:59 | 脱原発