弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:コンプライアンス( 102 )

青山雅幸衆院議員は即刻辞任すべきでしょう

青山雅幸衆院議員は週刊文春でセクハラが報じられました.
立憲民主党は,無期限の党員資格停止処分を決めました.

週刊文春掲載のLINEからすると,青山雅幸衆院議員は即刻辞任すべきでしょう.
元秘書のためにも,立憲民主党のためにも,立憲民主党に投票した有権者のためにも,ご本人のためにも.

患者側弁護士として患者側勝訴の判決を引きだした功績もありますが,信用,信頼は崩れました.
医療事故情報センター理事,静岡県医療事故研究会事務局長,静岡医療訴訟協議会幹事,全国B型肝炎訴訟静岡県弁護団団長,カネボウ美白化粧品被害静岡県弁護団団長,富士ハウス被害者対策弁護団静岡事務局長,吉田町個人情報保護審査会会長,吉田町公文書開示審査会会長も辞めて,いったんリセットしたほうがよいと思います.

今日明日の患者側弁護士の集会で会ったら直接言いますが,集会に来られないときのためにブログに書いておきます.

【追記】
青山弁護士は,本日の患者側弁護士の集会で肺塞栓事件の報告を予定していましたが,欠席のため,その報告はなくなり,本日集会は10時30分から始まりました.

谷直樹

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by medical-law | 2017-10-27 10:41 | コンプライアンス

告発を受けた厚労省の担当者が,准教授から告発があったことを金沢大学の当事者に伝えた件で,国が和解

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共同通信「不正告発の漏えい、国が和解金」 (2017年 6月 5日)は,次のとおり報じました.

「金沢大医学系の男性准教授が、大学内の不正を厚生労働省に内部告発したところ、その情報を大学側に漏らされたとして、国などに損害賠償を求めた訴訟は5日、東京地裁(鈴木正紀裁判長)で和解した。准教授の弁護士によると、国が和解金を支払う。金額は非公表。弁護士は「国が支払い義務を負うのは、情報漏えいの非を認めたことと同じであり、実質的な勝訴」と話した。

 訴えによると、准教授は2013年10月、大学病院の臨床試験で死亡事故が発生していると電話で厚労省に告発した。電話を受けた担当者は、准教授から告発があったことをそのまま大学の当事者にメールで伝えた。」


この件は,私が担当したものではありません.
告発を受けた厚労省の担当者が,准教授から告発があったことをそのまま金沢大学の当事者に伝えるなどということは考えられないことです.

谷直樹

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by medical-law | 2017-06-06 06:56 | コンプライアンス

厚労省,イグザレルト錠の副作用症例12例の報告遅延でバイエル薬品株式会社に対し報告命令

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厚生労働省では,5月29日,バイエル薬品株式会社に対し,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律第69条第1項の規定に基づき,報告命令を行いました.

<報告命令の概要>

バイエル薬品株式会社が,イグザレルト錠(一般名リバーロキサバン)において副作用症例12例の報告遅延があったことを5月26日(金)に公表したことを受け,同社の製造販売する全ての医薬品を対象に,医薬品医療機器等法第68条の10第1項に基づく厚生労働大臣への報告が行われていない又は遅延した症例の有無を調査するとともに,遅延した原因等について,7月31日(月)までに報告を求めるものです。


親会社のバイエルホールディング株式会社の常務執行役員・法務・特許・コンプライアンス本部長は日本人の弁護士ですので,このような報告遅延は意外です.

谷直樹

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by medical-law | 2017-05-29 17:37 | コンプライアンス

バイエル薬品,カルテ無断閲覧,接待,論文作成代行,内部告発社員に退職勧奨

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バイエル薬品株式会社は,2017年4月10日,「2012年・2013年の「服薬における患者様の嗜好に関するアンケート調査」に関するご報告とお詫び」を発表しました.

血栓症領域製剤の服薬における患者様の嗜好に関するアンケート調査は「同領域製剤の剤型や服薬の回数などについて、実際に製剤を服薬されている患者様への聞き取り調査により、服薬に関する嗜好を確認する目的で行った調査です。その結果は国内の医学誌に掲載されましたが、本調査にご協力をいただきました患者様のカルテの一部をデータ転記のために特定の弊社社員が不適切に閲覧していたこと、本調査の実施主体が弊社であることについて書面上、明確にされていなかったことなどから、2016年1月に医学誌より取り下げられ、同時に取り下げの事実が同誌誌面において公表されております。なお、本調査は嗜好に関するアンケート調査であり、臨床研究ではありません。」

NHK「 バイエル薬品 新薬発売で患者カルテを無断閲覧」(2017年4月11日)は,次のとおり報じました.

「平成24年に脳や肺などの血管が詰まりやすくなる「血栓症」の治療薬「イグザレルト」を発売する際、ほかの製薬会社の薬がどれくらい使われているかを事前に把握するため、複数の社員が宮崎県内の開業医に依頼して、無断で患者のカルテを閲覧していたということです。」


TBS「カルテ無断閲覧させた医師、クラブ・料亭での接待の実態」(2017年4月12日)は,次のとおり報じました.

「接待で築いた関係のもとで得られたカルテのデータを使って何が行われていたのか。これはバイエル薬品の血栓症治療薬「イグザレルト」の広告です。そこには問題の開業医の名前が記されています。広告には開業医の名前で書かれ、医学誌に掲載された論文が使われていました。しかし、実際には、この論文を書いたのは開業医ではなくバイエル薬品側だったというのです。これは、バイエル側が書いたという論文の元原稿。開業医は、赤い文字でわずかに2か所、添削しただけでした。」

 「『製薬会社が(調査を)実施して研究の中身の論文も書いて、だけど医師の名前を借りて非常に悪質なケース。製薬企業と医師との不健全な経済的な関係は社会問題化している』(薬害オンブズパースン会議 水口真寿美 弁護士)」

TBS「バイエル薬品“カルテ”無断閲覧、内部告発社員に「退社」勧める」(2017年4月13日)は,次のとおり報じました.
 
「大手製薬会社「バイエル薬品」が患者に無断でカルテを閲覧していた問題で、社内で内部告発した社員に対し、上司が「会社に法的責任はない」と話したうえで、会社を辞めるよう勧めていたことがわかりました。」

連日報道されているバイエル問題ですが,やってはいけないことばかりです.
バイエルは,医薬品,医療機器業界の法令順法意識調査では17位とされていました.
親会社のバイエルホールディング株式会社の常務執行役員・法務・特許・コンプライアンス本部長は日本人の弁護士ですので,このような実態は意外です.


谷直樹

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by medical-law | 2017-04-13 17:29 | コンプライアンス

学校法人加計学園が第2の森友学園に

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学校法人加計学園の第2の森友学園疑惑が報道されています.
医科系学部の新設、37億円相当の公有地の無償譲渡、96億円の補助金が市議会で可決された背景には、強い政治力があったのでしょうか?

加計孝太郎理事長は安倍晋三総理の旧友と報じられています.
昭恵夫人が学校法人加計学園の運営する認可外保育施設で講演した際に政府職員2人が同行していたとのことです
千葉科学技術大学と安倍晋三総理系人脈のつながりも報道されています.

なお,森友学園問題・PKO日誌問題で渦中の防衛大臣ですが,弁護士としては非常に少ないタイプの方です.



谷直樹

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by medical-law | 2017-03-24 03:01 | コンプライアンス

東京大学分子細胞生物学研究所元教授グループによる論文不正問題で元教授ら5人処分

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東京大学は,3月3日,東京大分子細胞生物学研究所元教授のグループによる論文不正問題で,元教授ら5人の処分を発表しました.多数の論文に捏造,改竄があった件で,隠蔽工作を図った元教授,元助教授,元准教授,元特任講師が懲戒解雇相当,元助教が諭旨解雇相当とされました.

「東京大学は、「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告(第一次)」(平成26年8月1日公表)および「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告(最終)」(平成26年12月26日公表)の裁定に関連し、当該関係者が本学在職中に行った不正行為について、仮に在職者であったとする場合に懲戒事由に該当する不正行為であったのかを調査した結果、東京大学教職員就業規則(平成16年4月1日東大規則第11号)第39条に規定する懲戒処分に相当するものと判断し、2月17日付けで、下記の通り懲戒処分相当を決定し通知した。」


論文不正は広く深い問題です.他の研究室についてもそのようなことがないよう願いたいものです.


谷直樹

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by medical-law | 2017-03-04 05:11 | コンプライアンス

厚生労働省,一般財団法人化学及血清療法研究所に対し日本脳炎ワクチンについて報告命令等

厚生労働省は、9月6日及び7日に一般財団法人化学及血清療法研究所に無通告で立入検査を行い、その結果を精査した結果、エンセバック皮下注用(一般的名称:乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)について、製造販売承認書の記載と一部異なる製造を行っていたことが確認されたため、10月4日、般財団法人化学及血清療法研究所に対し、報告命令等を行いました

「(1)医薬品医療機器法第69条第1項の規定に基づき、別紙1及び別紙2のとおり報告を命じました。
(2)医薬品医療機器法第72条第2項の規定に基づき、改善命令を行うため、行政手続法第13条第1項第2号の規定に基づき、別紙3のとおり弁明の機会の付与として弁明通知書を発出しました。
(3)遺伝子組換え生物の不適切な取扱いについて、別紙4のとおり指導を行いました。 1)医薬品医療機器法第69条第1項の規定に基づき、報告を命じました。」

別紙1の報告事項は次のとおりです.
「貴所が製造販売しているエンセバック皮下注用(一般的名称:乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン。以下「本件製品」という。)について、次の事項について調査し、結果を報告すること。
1. セル・バンク及びウイルス・バンクの作製において、製造販売承認書に記載された一部の病原体不活化処理工程を経ていない原材料を用いた製造(以下「本件行為」という。)行われた経緯について、本件製品の開発の時点まで遡って調査し、その結果を報告すること。
2. 貴所内において本件行為が発覚又は認識されるに至った経緯及び認識後の貴所の対応に関して、文書、電子メール等の客観的証拠とともに時系列に沿った形で整理して報告すること。特に以下の各項目については当該報告の中で明らかにすること。
(1) 本件行為に関し、昨年9月(昨年9月1日付けで報告命令を発出し報告を求めた後同9月18 日に立入検査を行った)以降製造販売承認事項の一部変更承認(本年2月26 日)までの間、
(ア)本件行為に関し、担当者及び担当部署が認識して以降、どのような経緯を経て貴所として組織的に本件行為を認識するに至ったのか。
(イ)貴所として組織的に本件行為を認識して以降、製造販売承認事項の一部変更承認申請が必要でないと誰がどの時点で判断したのか。
(2) 本件行為に関し、本年2月26 日以降これまでの間、
(ア)担当者及び担当部署がいつ再認識し、その後、どのような経緯を経て貴所として組織的に本件行為を認識するに至ったのか。
(イ)貴所として組織的に本件行為を認識して以降、製造販売承認事項の一部変更承認申請が必要であることを誰がどの時点で認識したのか。
(ウ)上記(1)の後、貴所内において組織的にどのような経緯をたどり、当該製造販売承認事項の一部変更承認申請について厚生労働省に相談するに至ったのか。
3. 本件行為についての、上記2.(1)及び(2)のそれぞれについて、役員(現役員に限らず本件製品の開発以降の全ての役員)の関与等を網羅的に調査し、報告すること(具体的には以下の各項目)。
(1) 各役員はいつ知ったのか。
(2) どの役員がいつどのような報告を受けたのか。
(3) どの役員がいつどのような責任においてどのような判断をしたのか。
(4) どの役員がいつどのような指示をしたのか。
(5) 各役員について貴所のコンプライアンス規定に反する行為はなかったのか。

以上の報告にあたっては、特に証拠の添付を求めている事項以外の事項についても、その報告の根拠となる資料を添付すること。

なお、貴所においては、長期にわたり組織的欺罔及び隠蔽を図っており、本来であるならば医薬品製造販売業許可の取消処分が相当との判断であったが、貴所が製造している血液製剤及びワクチンの中には、国民の健康確保や医療に不可欠なものが含まれていたこと、貴所自ら事業譲渡の交渉を行い、合意を目指すと意思表明していたこと等を総合的に勘案し、平成28 年1月8日付け業務停止命令により、同年1月18 日から同年5月6日までの過去最長の110 日間にわたり第一種医薬品製造販売業の許可等に係る業務を停止するよう命じた。以上のような経緯にもかかわらず、今般法違反行為が依然として行われていることが明らかとなったことは由々しき事態である。貴所において、本報告命令を踏まえ、また過去の経緯も踏まえた迅速かつ誠実な対応がとられず、このような事態が続く場合には、医薬品製造販売業許可の取消処分に進展する可能性があること。」

別紙2の報告事項は次のとおりです.
「貴所が製造販売及び製造している下記の各製品(以下「本件各製品」という。)について、
次の事項について調査し、結果を報告すること。
1.平成28 年10 月4日時点において、製造販売承認書の内容とは異なる製造を行っている事実(以下「承認書と製造実態の齟齬」という。)の有無について本件各製品を網羅的に調査し、調査の結果を報告すること。なお、調査における調査手法及び調査体制についても、併せて報告すること。
2.1.において承認書と製造実態の齟齬が確認された場合、それぞれの製品ごとにその根本的な原因を分析し、報告すること。
以上の報告に当たっては、その報告の根拠となる資料を添付すること。
なお、貴所においては、長期にわたり組織的欺罔及び隠蔽を図っており、本来であるならば医薬品製造販売業許可の取消処分が相当との判断であったが、貴所が製造している血液製剤及びワクチンの中には、国民の健康確保や医療に不可欠なものが含まれていたこと、貴所自ら事業譲渡の交渉を行い、合意を目指すと意思表明していたこと等を総合的に勘案し、平成28 年1月8日付け業務停止命令により、同年1月18 日から同年5月6日までの過去最長の110 日間にわたり第一種医薬品製造販売業の許可等に係る業務を停止するよう命じた。以上のような経緯にもかかわらず、今般法違反行為が依然として行われていることが明らかとなったことは由々しき事態である。貴所において、本報告命令を踏まえ、また過去の経緯も踏まえた迅速かつ誠実な対応がとられず、このような事態が続く場合には、医薬品製造販売業許可の取消処分に進展する可能性があること。

乾燥濃縮人活性化プロテインC
乾燥スルホ化人免疫グロブリン
乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅸ因子
乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ
人免疫グロブリン
生体組織接着剤
ヒスタミン加人免疫グロブリン(乾燥)
トロンビン
人血清アルブミン
抗HBs 人免疫グロブリン(抗HBs 抗体)
抗破傷風人免疫グロブリン(破傷風抗毒素)
インフルエンザHAワクチン
沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(セービン株)混合ワクチン
組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)
乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン
乾燥組織培養不活化A型肝炎ワクチン
乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン
乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(H5N1株)
乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)
沈降インフルエンザワクチン(H5N1株)
乾燥細胞培養痘そうワクチン
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン
沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド
沈降破傷風トキソイド
乾燥はぶ抗毒素
乾燥まむし抗毒素
乾燥ガスえそウマ抗毒素
乾燥ジフテリアウマ抗毒素
乾燥ボツリヌスウマ抗毒素
乾燥ボツリヌスウマ抗毒素(E型)
ペントスタチン
メカセルミン(遺伝子組換え)」


別紙3の違反事実等は次のとおりです.
「2.違反事実
エンセバック皮下注用(一般的名称:乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)について、セル・バンク及びウイルス・バンクの作製において、製造販売承認書に記載された一部の病原体不活化処理工程を経ていない原材料を使用し、かつ、これにより生物由来原料基準に適合しないおそれのある製品を製造したこと。(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35 年法律第145 号。以下「法」という。)第56 条第3号及び第68条の20 違反)

3.予定される処分の内容
別添3参照(第一種医薬品製造販売業及び医薬品製造業の許可に係る製造販売業務及び製造業務に対する改善命令(法第72 条第2項))
4.その他
「3.予定される処分の内容」を踏まえ、同(1)から(3)までについての是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定して、本命令発出後1か月以内に、厚生労働省に提出すること。また、同(1)については、本命令発出後2週間以内に、承認書と製造実態の齟齬を解消するための製造販売承認事項の一部変更に係る承認申請を行い、その対応状況を含めた是正措置の内容を改善計画に盛り込むこと。
なお、策定した改善計画に則り、所要の組織体制及び運営体制の構築を進めるに際しては、厚生労働省と十分な連絡・相談を行うこと。
おって、本命令に基づく業務改善計画については、公表する可能性があることを申し添える。
また、貴所においては、長期にわたり組織的欺罔及び隠蔽を図っており、本来であるならば医薬品製造販売業許可の取消処分が相当との判断であったが、貴所が製造している血液製剤及びワクチンの中には、国民の健康確保や医療に不可欠なものが含まれていたこと、貴所自ら事業譲渡の交渉を行い、合意を目指すと意思表明していたこと等を総合的に勘案し、平成28 年1月8日付け業務停止命令により、同年1月18 日から同年5月6日までの過去最長の110 日間にわたり第一種医薬品製造販売業の許可等に係る業務を停止するよう命じた。以上のような経緯にもかかわらず、今般法違反行為が依然として行われていることが明らかとなったことは由々しき事態である。貴所において、本改善命令を踏まえ、また過去の経緯も踏まえた迅速かつ誠実な対応がとられず、このような事態が続く場合には、医薬品製造販売業許可の取消処分に進展する可能性があること。」

別紙4の厳重注意内容等は次のとおりです.
「2.厳重注意内容遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97 号。以下「カルタヘナ法」という。)に基づく遺伝子組換え生物等の使用等において、不適切な対応があったため、ここに厳重に注意する。
今後、貴所より平成28 年9月5日付けで提出された文書に記載された再発防止策を徹底し、再びこのようなことが生じることのないよう、十分に注意されたい。
3.厳重注意を行う理由
遺伝子組換え大腸菌及び酵母(以下「組換え体」という。)を使用する施設の配管について、厚生労働省への確認申請資料と異なる配管材質を使用していたこと、組換え体が付着している可能性のある部品の洗浄水の配管が、不活化設備を経由しない移送タンクにつながっていたことが確認された。これらはカルタヘナ法の遵守の観点から不適切であるため、貴所に対して、再発防止のための措置を徹底するよう文書による厳重注意
行う。」


厚生労働省は,長期にわたり組織的欺罔及び隠蔽を図っており、本来であるならば医薬品製造販売業許可の取消処分が相当との判断であったが,特別に業務停止ですませたにもかかわらず,今般法違反行為が依然として行われていることが明らかとなったことは由々しき事態である。と指摘しています.
これは化学及血清療法研究所の体質なのでしょうか.

【追記】

厚生労働省は,10月7日,「一般財団法人化学及血清療法研究所による10月4日付のプレスリリースについて」を発表しました.

「厚生労働省では、10月4日に一般財団法人化学及血清療法研究所に対し、エンセバック皮下注用について製造販売承認書の記載と一部異なる製造を行っていた事実に係る報告命令の行政処分を行ったほか、業務改善命令に係る弁明の機会の付与を行いました。
  これを受けて、同日付で一般財団法人化学及血清療法研究所が同所ホームページ上に掲載したプレスリリースにおいては、厚生労働省の事実認識が誤っているかの如き印象を与える表現がありますが、厚生労働省の認識とは大きく異なるものでありますのでお知らせいたします。」





谷直樹


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by medical-law | 2016-10-05 11:49 | コンプライアンス

厚生労働省,医師歯科医師30人を行政処分

毎日新聞「厚労省:タレント女医は医業停止3年 30人を行政処分」(2016年9月30日)は, 次のとおり報じました.

「厚生労働省は30日、医師と歯科医師計30人の行政処分を発表した。免許取り消しは1人で、女性従業員に健康診断を装い、わいせつな行為をした準強制わいせつで有罪判決を受けた×××眼科・歯科(東京都千代田区)の××××医師(69)。また、「タレント女医」として知られ、診療報酬を不正受給した詐欺で有罪判決を受けた××クリニック(東京都目黒区)の×××××医師(37)は、医業停止3年とされた。14日に発効する。【山田泰蔵】

 医業停止1年以上の処分者は次の通り。(当時の所属医療機関の所在地、医療機関名、氏名、年齢、処分理由。敬称・呼称略)

 <免許取り消し>
東京都千代田区、×××眼科・歯科、××××(69)準強制わいせつ

<医業停止3年>
東京都世田谷区、×××××病院など、××××(35)麻薬取締法違反など
▽大阪府吹田市、××大病院、××××(35)麻薬取締法違反
▽東京都目黒区、××クリニックなど、××××(37)詐欺
▽前橋市、××大病院、××××(42)器物損壊など
▽勤務先なし、×××(63)詐欺

<医業停止2年>
札幌市、×××皮膚科クリニック、××××(61)医師法違反
▽岡山市、×××××病院、×××(40)岡山県迷惑行為防止条例違反
▽名古屋市、××××××××××××××病院、××××(42)収賄

<医業停止1年>
札幌市、×××大病院××××、(33)不正アクセス禁止法違反など
▽愛知県豊川市、××歯科医院、××××(46)大麻取締法違反
▽名古屋市、×××歯科、××××(54)同」


詐欺は,診療報酬請求事件です.タレント医師のオフィシャルブログをみると,今はカープ女子のようです.(広島カープの選手はイケメン若手が多いからでしょう).
器物損壊は,元愛人の車に塗装剥離剤をかけた事件です.
医師法違反は,アートメークの関係です.
収賄は,勤務先で担当した透析が必要な患者を他院に転院させ金銭を受け取りバンド活動にあてたものです.医師としては優秀だったと報じられていました.
不正アクセス禁止法違反は,ヤフーメールに女性研修医のIDとパスワードを入力しなりすましメールを男性医師におくり下半身の画像で男性医師の名誉を毀損しようとした事件です.

行政処分を受けるのは,このように刑事処罰が行われた事案に限られています.
刑事処分の多くは,医師としての能力自体とは直接的な関係はありませんが,医業停止以上の処分をみるかぎり,医師としてそのまま仕事を続けさせるのはどうか,という事案と思われます.
他方,民事裁判で医療過誤が認定されたなかに,医師としての能力自体に疑問が示唆されるケースもあるでしょうが,行政処分は行われません.民事の過失は損害の適正な分配のための要件であって,刑事の過失のような非難可能性とは別ですので,刑事で業務上過失致死罪で処罰されない限り,行政処分を検討する必要はないのでしょう.



谷直樹


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by medical-law | 2016-10-01 04:20 | コンプライアンス

厚労省,医師と歯科医師19人を行政処分

毎日新聞「厚労省 医師や歯科医師19人処分 医業停止3年〜3カ月」(2016年3月11日)は,次のとおり報じました.

「厚生労働省は11日、医師や歯科医師計19人を、刑事事件で有罪が確定したなどの理由で医業停止3年〜3カ月とする行政処分を発表した。免許の取り消しはなかった。処分は25日に発効する。【古関俊樹】

処分者は次の通り。(当時の所属医療機関の所在地、医療機関名、氏名、処分理由。敬称・呼称略)

<医業停止3年>
勤務先なし、A(44)覚せい剤取締法違反など
▽大阪市、a診療所、B(61)詐欺
▽長崎県佐世保市、bクリニック、C(59)同
▽神奈川県大和市、c歯科クリニック、D(42)同
▽埼玉県富士見市、d歯科、E(63)強要未遂

<医業停止2年>
大阪市、e内科クリニック、F(56)覚せい剤取締法違反
▽東京都調布市、f病院、G(30)同
▽勤務先なし、H(58)同

<医業停止8カ月>
愛媛県西条市、g歯科診療所、I(60)道路交通法違反

<医業停止4カ月>
北九州市、h医科大学i病院、J(31)道路交通法違反
▽茨城県境町、j医療センター病院、K(32)同
▽長崎県諫早市、医療法人k会l病院、L(38)同

<医業停止3カ月>
愛知県安城市、社会医療法人財団m会n病院、M(36)迷惑行為防止条例違反
▽東京都江東区、公益財団法人o会p病院、N(38)同
▽札幌市、医療法人社団q会r歯科、O(47)診療報酬不正請求
▽北海道帯広市、s歯科クリニック、P(55)同
▽仙台市、t歯科医院、Q(64)同
▽岡山県倉敷市、医療法人u会v病院、R(93)同
▽仙台市、w整形外科、S(57)」


詐欺は,診療報酬関係の詐欺です.
強要は,裸写真を合成しての退職強要です.
業務上過失致死等の医療過誤がらみの処分は「ありません.


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-21 08:45 | コンプライアンス

国立大学法人滋賀医科大学医学部看護学科教授が論文の盗用・改ざんで懲戒解雇

国立大学法人滋賀医科大学は,平成28年3月9日,医学部看護学科教授が発表した原著論文に研究活動における不正行為である「盗用」及び「改ざん」が行われたものと認定し平成28年1月28日に懲戒解雇処分にしたことを公表しました.

◆ 盗用
「① 対象研究者が平成24年12月20日に単著で学会誌へ投稿した原著論文(調査対象論文)とその論文の基になったとされる修士論文を比較検証した結果、調査対象論文の論述や数値データが修士論文のものとほぼ同一(約95%)であり、修士論文から31ヵ所373行、及び対象研究者に提出された修士論文草稿から2ヵ所3行にわたって流用されている。
② 対象研究者は、単著の原著論文とした理由について、「修士論文作成者と連絡が取れなかったため、共同研究者としての立場で判断し、単著で投稿した」と説明しているが、対象研究者及び修士論文作成者からの意見聴取の結果、修士論文作成者が修士論文作成に当たって一人でデータの収集や解析を行ったと認められ、論文作成に必要な情報の共有はできていなかった。当該研究に実質的な関与がないにも関わらず、単著の原著論文として投稿している。
③ 対象研究者は、修士論文作成者に連絡が取れなかったと説明しているが、対象研究者及び修士論文作成者からの意見聴取の結果、修士論文作成者への連絡及び承諾を得る努力をしたとは認められず、修士論文を安易に無断使用している。」


◆ 改ざん
「調査対象論文は、修士論文作成者が収集した調査データをそのまま用いて作成されたにも関わらず、当該論文の調査期間に示されている年月と実際のデータ収集期間が食い違っており、対象研究者への意見聴取の結果、この調査期間に実際にデータ収集が行われた事実はなく、調査期間の年月を真正でないものに変更している。」

◆ 重大な懸念事項
「① 調査対象論文と修士論文は研究協力施設から収集した同じデータを解析した結果から導き出されたものであり、二つの論文に示されている結論もほぼ同じである。しかし、調査対象論文と修士論文に記載されている統計解析図には顕著な相違がみられる。対象研究者への意見聴取の結果、調査対象論文の統計解析図は、修士論文の最も重要となる回帰分析の結果を本文中から削除し、相関関係の解析結果に基づいた図が作成され、本来の重回帰分析の結果を踏まえた結論との間に齟齬が生じたものと認められた。図が不適切に変更されたことは、科学論文として非常に問題である。
② 対象研究者の本件行為は、修士論文作成者の努力に敬意を払うことなく、研究成果を公表する上でのオーサーシップ・ルールを無視し、かつ、研究成果公表の公益性を理由として教え子の論文を盗用し自らの原著として発表している。対象研究者の本件行為は、研究倫理規範を逸脱する不適切なものであっただけでなく、大学院生の研究指導にあたる教育者として、信義にもとる倫理違反があったものと認められた。」


論文は研究者の業績です.これらのことは,研究者として最も行っていけないことです.この教授は,本件以外にも,後輩・若手研究者の研究を自分のものとして発表していたことはなかったのでしょうか.

◆ 再発防止策
再発防止策については,次のとおり述べています.
「本学では、本事が起きる前から研究活動の不正行為に対する対応方針を定めて取組を行ってきたが、対象研究者は、指導教員でありながら指導学生の著作権に関する認識を欠いていたばかりでなく、研究活動の不正行為に関する学内規程をはじめ、研究活動上の基本的なルールを理解していたとは言えず、コンプライアンス意識が低かったと言うほかない。
本件を受けて、平成27年度から、修士論文を院生の希望により、機関リポジトリにおいて全文公開や第三者への文献複写も可能とし、広く社会に向け研究論文として公開することとしている。
また、現在、新たに策定された「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日、文部科学大臣決定)を踏まえ、研究活動の不正行為を防止するための全学的な統括組織を構築し、研究不正防止計画を策定して、着実に対応を進めており、本年度は、従前から実施している定期的な研究倫理教育研修会に加えて、研究者全員に文部科学省が指定した研究倫理教材「科学の健全な発展のために」の通読を義務化し、併せて通読レポートの提出を課した。今後、本教材の通読レポート(①通読しての評価、②所属の専攻にとっての過不足または改定案、③本学のオリジナルな研究倫理教材・教育として必要なこと)から得られた意見や要望を不正防止計画に反映させ、研究倫理教育の更なる充実と改善を図ることとしている。」


研究活動における不正行為の事案が後を絶ちません.ガイドラインは,研究者個人のモラルに委ねるのではなく,大学等の研究機関が責任を持って不正行為の防止に関わることを求めています.


谷直樹


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by medical-law | 2016-03-11 06:54 | コンプライアンス