弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

カテゴリ:コンプライアンス( 102 )

ノバルティスファーマ,因果関係が否定できない重い副作用両例約2500症例を報告せず,薬事法違反

日本経済新聞「ノバルティス、2500例を放置 重い副作用の報告義務」(2014年8月29日)は,次のとおり報じました.

スイス製薬大手の日本法人ノバルティスファーマは,「白血病治療薬による重い副作用を16症例21件把握しながら国に報告しなかったなどとして、7月に厚労省から改善命令を受けた。この際、販売するすべての薬で同様の報告漏れがなかったかどうか報告するよう指示され、約1万例を調査していた。

 その結果、同社が販売する薬との因果関係が否定できない重い副作用症例は少なくとも2579例あった。白血病治療薬など抗がん剤が多く、患者の副作用は腎障害などで、死亡した事例もあったという。

 これとは別に自社薬との因果関係を調査中の副作用症例は6118例あるといい、薬事法違反の未報告事案はさらに増える可能性がある。厚労省は9月末までに全ての調査結果を報告するよう指示した。

 厚労省によると、製薬会社から報告のある副作用症例は全体で年間およそ4万例。ノバルティスは2013年に複数の症例で約8千件を報告したという。

 ノバルティスを巡っては、高血圧症治療薬ディオバンを巡る臨床データ操作事件で、法人としての同社と元社員が薬事法違反(誇大広告)罪で起訴されており、厚労省はこの件でも行政処分を検討している。

 大量の副作用症例疑いの未報告について、同社は「深く反省し、再発防止に努める」とのコメントを発表した。」

 
製薬会社には,死亡やこれまで知られていない副作用は15日以内,そのほかの重い副作用は30日以内に国に報告するよう義務付けられています.薬事法違反の疑いがあります.
そういえば,今週,ノバルティスファーマの医師への不当な便宜供与が「報じられました.

毎日新聞「ノバルティス:学会で医師71人の旅費510万円肩代わり」(2014年8月27日)は,次のとおり報じました.

「製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が4月に開催された日本内科学会に出席した医師71人の旅費計約510万円を不当に肩代わりしたとして、業界団体「医療用医薬品製造販売業公正取引協議会」が27日、指導した。製薬会社が学会参加者の旅費を肩代わりすることは、医師への不当な便宜供与に当たるとして規約で禁止されている。

 協議会が、学会の旅費肩代わりで指導したのは初めて。

 ノ社と協議会によると、ノ社は4月13日に東京で自社製品に関する全国講演会を開催。これに出席することを条件に、同じころ東京で開催された日本内科学会総会にも参加した医師71人の宿泊費と交通費を負担した。

 ノ社のダーク・コッシャ社長は「深くおわびする。二度と起こすことがないよう、再発防止を徹底したい」とのコメントを発表した。ノ社は、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験を巡る虚偽広告事件で、元社員とともに薬事法違反(虚偽広告)で起訴されている。【河内敏康】」


何れも,法令遵守の姿勢を欠くのは,同社の企業体質なのでしょうか.

【追記】

ノバルティスは,2014年10月1日「副作用症例の社内調査に関する報告について」で「7月31日に、国から改善命令を受けた副作用報告遅延について、薬事法の副作用要件に従い、社内で集められた情報の範囲で重篤かつ因果関係が否定できないとしてPMDAに報告したものは、3,878症例でした。」と発表しました.

谷直樹

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by medical-law | 2014-08-30 13:26 | コンプライアンス

J―ADNI研究の最高顧問が同研究の評価委員だった

朝日新聞「国と研究者、もたれ合い J―ADNIへの補助金審査」(2014年8月20日)によると,J―ADNI研究の最高顧問××××同志社大教授(東大名誉教授)を同研究の評価委員に選考したことについて,厚労省は,「当時の担当者が顧問と認識していなかった」と説明しているとのことです.
J―ADNIの研究計画書の表紙には顧問として××××教授の名前が明記されていましたが,厚労省は当時研究計画書を入手していなかった,とのことです.
しかし,J―ADNIが××××教授が中心になって立ち上げたものであることは,誰もが知っている周知の事実です.厚労省の担当者が知らなかったという言い訳は通用しないでしょう.

××××教授は,厚労省から2007年度に200万円をもらい,経産省からは6年間で1億円超をもらっていましたが,厚労省は,他省の補助金についてまで知らない,と言っているそうです.

最高顧問という利害関係者が評価委員になっていたことは,明らかに利益相反です.お手盛りの弊害があります.
J―ADNは,データ改ざん疑惑,倫理指針違反などの疑惑も解明されていません.
信頼性の低い研究に,国から多額の補助金が提供されていたことになります.
このような国と研究者の癒着を防止するシステムが必要と思います.まず,利益相反に対する海外なみの規制と罰則が必要と思います.

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by medical-law | 2014-08-20 23:50 | コンプライアンス

医療法人稲門会事件の大阪高裁平成26年7月18日判決

共同通信「育休で昇給なし」は違法 病院の就業規則、大阪高裁」(2014年7月18日)は,次のとおり報じました.

「育休を3カ月以上取ると翌年度に昇給させない就業規則は無効として、京都市の病院に勤務していた元男性看護師(44)が、運営する医療法人「稲門会」に慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は18日、「規則は育休取得の権利を抑制し、育児休業法に反し無効だ」として、約24万円の支払いを命じた。

 昨年9月の一審京都地裁判決は違法とはいえないと判断。昇給とは別に、病院が昇格試験を受けさせなかったことについてのみ「理由がない」として慰謝料15万円の支払いを命じていた。

 同法は、育休取得を理由に、事業主が解雇など不利益な扱いをしてはならないと定めている。」


育児介護休業法10条は,「事業主は,労働者が育児休業申出をし,又は育児休業をしたことを理由として,当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」と規定しています.この年度に昇給させない就業規則は「その他不利益な取扱い」にあたるという判断です.


谷直樹

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by medical-law | 2014-07-19 08:08 | コンプライアンス

岡山大学病院,筋弛緩剤エスラックス1本を紛失

msn産経「岡山大病院 筋弛緩剤1本を紛失 致死量3人分、誤って焼却か」(2014年7月16日)は。つぎのとおり報じました.

「岡山大病院(岡山市北区)は15日、成人3人分の致死量に相当する筋弛緩(しかん)剤入りのガラス瓶1本(50ミリグラム)を紛失したと発表した。薬事法で毒薬指定されており、院内調査を実施したが、誤って一般廃棄物に紛れて焼却された可能性が高いという。

 病院によると、10日午後4時半ごろ、手術後に看護師が麻酔用筋弛緩剤「ロクロニウム」(商品名エスラックス)の本数を確認したところ、手術トレーに3本配置したはずが2本しかなかったという。14日に岡山西署に相談をし、15日に岡山市保健所の立ち入り調査を受けた。」


エスラックスは,毒薬で,厳重な管理が求められています.
過去にも同種の紛失事故が報道されています.

◆ 過去の報道事例

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本
熊本大学医学部附属病院で平成24年7月に1本
公立南丹病院で平成24年10月に1本
尾道市公立みつぎ総合病院で平成24年10月に4本
社会医療法人将道会総合南東北病院で平成24年11月に2本
伊賀市立上野総合市民病院で平成25年3月に10本
広島大学病院で平成25年4月に5本
独立行政法人国立成育医療研究センターで平成25年4月に4本
半田市立半田病院で平成25年5月に10本
東京都保健医療公社豊島病院で平成25年6月に3本
奈良市立奈良病院で平成25年6月に1本
長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院で平成25年10月に1本
京都民医連中央病院平成26年1月に1本
市立貝塚病院平成26年2月に5本
岡山大学病院平成26年7月に1本

谷直樹

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by medical-law | 2014-07-17 01:03 | コンプライアンス

日本高血圧学会が設置した「臨床試験に関わる第三者委員会」の2委員がノ社から1500万円受領

赤旗「降圧剤不正ノバ社 第三者委員らに1500万円 臨床試験検討 産学なれ合い深刻」は,次のとおり報じました.

「ノバルティスファーマ社の高血圧治療薬ディオバンの臨床試験のねつ造データによる論文不正が刑事事件となっています。こうしたなか、製薬企業のカネと臨床研究や試験のあり方を考えるために日本高血圧学会が設置した「第三者委員会」の委員ら2人が、委員会が設置された直後にノバルティス社から計1500万円の寄付を受けていたことが8日、本紙の調べでわかりました。製薬企業と研究者との関係を議論する当事者への寄付は、産学のなれ合いの深刻さを示しています。(矢野昌弘)

 高血圧学会が2013年4月に設置した「臨床試験に関わる第三者委員会」は、京都府立医科大学のディオバン論文不正の発覚を受けたもの。第1回会合が同月26日に行われ、5月13日に報告書をまとめています。

 本紙が情報公開で入手した資料によると、委員とオブザーバー計7人のうち、委員の××××大阪大学大学院教授(高血圧学会理事)が第1回会合直後の4月30日にノバ社から1000万円の奨学寄付を研究室あてに受けています。12月には、さらに300万円。

 オブザーバーで参加した高血圧学会の△△△△理事長(愛媛大学大学院教授)は、同年8月に200万円の寄付をノバ社から受け取りました。

 寄付の時期は、ディオバンの臨床試験を行った5大学にノバ社が計11億円余の寄付をしたことが判明し、研究の公平性に疑念があがった時期です。

 第三者委員会がまとめた報告書は、「寄付者が企業である場合には、なんらかの見返りやアカデミアとのコネクションの構築に利用される可能性があり」としつつも、企業から奨学寄付金を受けることは「問題がない」と結論づけています。

 情報公開資料によると、これらを含めて△△理事長は07年度から13年度で計3700万円、××教授は09年度から13年度に2700万円の寄付をノバ社から受けています。

 △△、××の両氏は、医学情報誌にたびたび登場し、ディオバンを高く評価していました。

 本紙の取材に対して「ノバルティス社に関して、現在、世間をにぎわせている状況であり、関連するであろう事案についてコメントすることは差し控えたい」(大阪大学)などとして、両氏から回答を得られませんでした。

■ディオバンをめぐる動き

【2013年】

3月   京都府立医大の試験にノバルティス社社員が関与し、1億円を寄付の報道

4月26日 第三者委員会が第1回会合

4月30日 ××教授の研究室にノバ社が寄付1000万円

5月13日 第三者委員会が報告書

7月   府立医大がデータ操作認める

8月9日 5大学へ11億円余のノバ社の寄付が判明

8月12日 ノバ社が△△理事長に寄付200万円

11月   薬害オンブズパースンが東京地検にノバ社を告発

12月   ノバ社が××教授の研究室に寄付300万円

 高血圧治療薬のデータ操作事件 他の薬より脳卒中や狭心症を防ぐ効果が優れていると誇大に宣伝したとして、薬事法違反の容疑でノバルティス社の元社員が6月、東京地検特捜部に逮捕された事件。逮捕された元社員がデータ解析を担当した京都府立医大など5大学の論文は、データ操作の疑いが浮上し、4大学が論文を撤回しました。」


研究者と製薬企業の関係は,自浄作用が期待できないところまできているようです.
法的な規制が必要なのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2014-07-10 07:59 | コンプライアンス

ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンの臨床研究データ改竄

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産経新聞 「脳卒中 既存薬発生数、倍に水増し ノ社元社員 ディオバン優位性捏造」(2014年6月14日)は、次のとおりじました

「製薬会社ノバルティスファーマが販売する降圧剤「ディオバン」の臨床研究データ操作事件で、ノ社元社員、××××容疑者(63)=薬事法違反(誇大広告)容疑で逮捕=が、京都府立医大の臨床研究で、ディオバン以外の既存薬を投与した患者グループの脳卒中発生数を約20人水増しし、ディオバンの約2倍になるよう改竄(かいざん)した疑いのあることが13日、関係者への取材で分かった。

 実際は既存薬との発生数の差はほとんどなかったが、データ加工でディオバンの優位性を捏造(ねつぞう)していた格好だ。東京地検特捜部は悪質性が高いとみており、改竄の動機を調べている。

 関係者によると、京都府立医大の研究には31病院が参加し、平成16年1月に始まった。ディオバンと既存薬をそれぞれ約1500人ずつ、計約3千人の高血圧患者に投与し、降圧効果とともに脳卒中や急性心筋梗塞など合併症の発症率を比べた。各病院は患者データを学外のデータセンターに登録。センターに集まった段階では、脳卒中の発生数はディオバングループと既存薬グループでほぼ変わらずそれぞれ約25人だった。

 だが、××容疑者は元同僚でもあったデータセンターの管理者に依頼してメールで患者データを受け取ると、既存薬グループの発生数を操作し46人に水増ししたという。

 この解析結果などを基にして、京都府立医大は21年8月、ディオバンで「高血圧が関わる脳卒中などのリスクが45%低下した」とする主要論文を欧州心臓病学会誌に発表した。23年には、主要論文を補足した論文を英医療誌に掲載。ここでも脳卒中の発生数は「46人」で、主要論文で用いられた改竄データがそのまま転用されていた。この補足論文での虚偽の記載が××容疑者の逮捕容疑となった。

 一方、××容疑者はデータセンターの管理者に対して「自分はデータを受け取っていないことにしてほしい」などと要請。厚生労働省などの調査に自身の関与を話さないよう口止めしていた。」


刑事事件は、犯罪を行った個人の責任を問う手続きです.
しかし、本件は××容疑者個人の問題として一件落着させるのでは何にもなりません.
本質的に企業ぐるみの問題です.
本件を契機に、データ捏造がまかりとおってしまう構造・体質を変革することができて、はじめて日本の臨床研究の信頼性を回復することができるのではないでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-14 10:11 | コンプライアンス

東京女子医大,火災警報機を鳴らない設定にしていた

朝日新聞「東京女子医大、鳴らぬ火災警報機放置 3年前まで28年」(2014年6月1日)は,次のとおり報じました.

「東京女子医大(東京都新宿区)で28年間、火災警報装置が鳴らない状態になっていたことが医大関係者への取材でわかった。火災でないのに誤って鳴るトラブルをきっかけに、歴代の防災担当者が鳴らない設定にしていたという。3年前に火災が起きて発覚するまで医大は放置していた。

「医大が調査したところ、他の校舎や入院患者がいる病棟など約30棟の全施設で、施設ごとに鳴る仕組みの警報がいずれも鳴らない状態だったことが判明。医大病院側から「たびたび誤って鳴り、うるさい」と苦情が出て、1983年4月、防災担当職員が鳴らない設定にし、その後も歴代の担当者が「申し送り」で引き継いでいたという。」


担当者が在籍していれば処分を検討してもよいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-02 08:28 | コンプライアンス

J―ADNI疑惑調査中にデータ書き換え

朝日新聞「製薬社員、証拠の書き換え指示 J―ADNI疑惑」(2014年5月26日)は,次のとおり報じました.

「国が旗を振るアルツハイマー病研究のデータ改ざん疑惑を東大が調査している最中に、証拠となるデータ自体が調査対象側の手で書き換えられていた。日本の先端医療研究への信頼がどんどん崩れていく。

【認知症研究を巡る取材を続けます。特別報道部にメール(tokuhoubu@asahi.com)で情報をお寄せ下さい。】

     ◇

■職員「データ、次々持ってきた」

 関係者によると、データセンターの室長格であるエーザイ社員が、改ざん疑惑が1月に発覚した後に採用された非正規職員2人にデータの書き換えをさせていた。その1人は「エーザイ社員が書き換えるデータを選んで次々に持ってきた。私たちは指示通りにしただけ」と話しているという。

 朝日新聞が入手した内部文書には、本来は病院がつくるはずの書類をデータセンターが事後的に不正に作成した記録が残っている。

 奈良県立医大で臨床研究の検査を3年間受けた60代男性は、脳卒中を予防する薬を2年目から服用し始めた。この薬はアルツハイマー病の臨床研究の検査に影響を及ぼす可能性があるため、そのまま検査対象にするには奈良県立医大がJ―ADNI研究者でつくる臨床判定委員会に例外申請書を提出して承認を得なければならない。しかし、データセンターが申請は不要と指示したため、申請書は提出されていなかった。

 データセンター職員は3月24日、エーザイ社員から指示され、「依頼ミスにより、追加コメントにてご対応を頂きました」として「併用禁止薬服用? 他院治療により1日2錠の抗凝固薬を開始」と記した例外申請書を作成した。関係者によると、検査前に使ってはならない薬を服用した被験者を例外的に認めるよう申請する内容だという。

 本来、申請書をつくる立場である奈良県立医大の担当医師は取材に「データセンターから連絡はなく、当方は把握していない」と答えた。(青木美希)」


J-ADNは,「物忘れを初期症状として、徐々に脳の機能が衰えていくアルツハイマー病は、高齢化社会を迎えた日本においても、その患者さんの数が増加の一途を辿っており、治療薬開発に大きな期待が寄せられています。J-ADNI 臨床研究ではアルツハイマー病の治療薬開発に欠かせない病気の進行過程を忠実に示す客観的な評価法の確立を目指しています。客観的評価法が定まれば、将来、アルツハイマー病の早期診断、予防、そして治療薬のスムーズな開発に繋がる非常に意義のある臨床研究です。」(J-ADNホームページ)とされていました.
このようなことがあると,多額の費用がかかっているJ-ADNですが,その結果は信頼できないことになるでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2014-05-26 13:30 | コンプライアンス

東京医科歯科大学医学部附属病院、患者の個人情報が含まれたUSBメモリを紛失

東京医科歯科大学は,平成26年5月9日,「個人情報が含まれたUSBメモリの紛失について」をサイトに掲載しました.

「本学医学部附属病院の医師が、患者さん225名の個人情報が含まれている可能性のあるUSBメモリを紛失しました。
 本学においては、個人情報の取扱いに関する規程の遵守及び個人情報の適切な管理に努めて参りましたが、このような事態を招き、患者さんをはじめ関係する皆様方に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
 なお、この発表では、個人情報保護に配慮した発表とさせていただきますので、ご理解のほどお願いいたします。

1.経緯
 平成26年4月26日(土)午前9時頃、本院の医師が、JR武蔵野線の車内に、自身のカバンを置き忘れ、そのカバンの中に患者情報が入ったUSBメモリが2つ入っていました。直ちにJR及び警察に遺失物の届出を行い、カバンは発見されましたが、USBメモリは現在まだ見つかっていません。

2.紛失した個人情報の内容
 (1)患者の手術症例リスト(215名分)
   ID、患者氏名、年齢、性別等、パスワードで保護されたデータ
 (2)患者の画像データ等(16名分)
   ID、患者氏名(カナ・漢字)、画像データ、生年月日、所見等、パスワードで保護されていないデータ
 (1)、(2)で重複している患者が6名いるため、実人数は225名。

 いずれのデータにも患者さんの住所、電話番号は入っておりません。
 なお、現時点においては、紛失した個人情報の転載や流用の事実は報告されておりません。

3.該当する患者さんへの対応
 関係の皆様には、平成26年5月7日付け文書により謝罪を行いました。

4.再発防止に向けた今後の取り組み
 今回の事態を真摯に受け止め、学生、職員等に対して個人情報保護の重要性を再度徹底し、USBメモリ等のパスワード設定の徹底化を図り、再発防止に努めて参ります。」


2013年3月に,東京医科歯科大学歯学部附属病院で紛失事故がおきています.
全国的にも,病院の個人情報流出事故が続いています.根本的な再発防止対策が必要と思います.

◆ 2011年6月以降報じられた病院での個人電磁情報の紛失事故は以下のとおりです.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院
公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

2013年12月
筑波大学附属病院
岐阜大学医学部附属病院(その後発見)
JR東京総合病院

2014年1月
医療法人鉄蕉会亀田総合病院(その後発見)
兵庫医科大学附属病院
湘南藤沢徳洲会病院

2014年3月
公益財団法人がん研究会有明病院
鳥取大学医学部付属病院
大阪大学医学部附属病院

2014年4月
鳥取県立厚生病院
東京医科大学病院
東京医科歯科大学医学部附属病院


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-20 06:46 | コンプライアンス

札幌東徳洲会病院、「臨床研究に関する倫理指針」に反する重大な違反行為、調査委員会設置へ(報道)

医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院(院長清水洋三氏)は、2014年5月16日、「倫理指針」に違反した臨床研究が行われていたことについてのお詫びとご報告」を発表しました.

「当院の腎臓内科 部長が行っていた臨床研究につきまして、厚生労働省が定める「臨床研究に関する倫理指針」に反する重大な違反行為を行っていたことが判明致しましたので、ご報告いたします。
 私たちはこのような事態を招く結果となったことを深く反省し、多くの患者様をはじめ、臨床研究にご協力いただいた皆様のご厚意や信頼を損なう事態を招きましたこと、そして当院が社会的な信頼を大きく損ねてしまいましたことを厳粛に受け止め、ここに改めて謹んで深くお詫び申し上げます。  
 今後は、研究者倫理のより一層の徹底を図り、再発の防止と公正な研究活動の確保に努めていく所存でございます。」


毎日新聞「貧血薬臨床試験:販売元に個人情報提供…病院、陳謝 札幌」2(014年5月17日)は、次のとおり報じました.

「貧血治療薬の臨床試験を巡り、札幌東徳洲会病院(札幌市)で腎臓内科部長の医師=諭旨退職処分=による国の指針違反があった問題で、この医師は販売元の協和発酵キリン(東京)の社員に患者の個人情報を渡していた。病院が発表した。個人情報保護法違反の可能性がある。社員は試験の関連書類の作成やデータ解析などで不適切に関与していた。

 臨床試験は薬の投与による血液中のホルモンの変動を調べる目的で、2012年から13年にかけて行われた。

 16日の病院の記者会見によると、13年6月に試験計画の変更の申請があったことを機に経緯を調べたところ、医師は病院の倫理審査委員会が承認する2週間以上前から試験を始めていたことが発覚。当初予定の2倍にあたる30人の患者を対象にしていた上、患者の氏名などの個人情報を社員に提供していた。

 試験の実施計画書では社員が関与するとの記載は無かったが、複数の社員が試験の実施計画書や患者の同意説明文書の作成、データの解析を行っていた。また、同社から50万円の奨学寄付金を受けていた。清水洋三院長は記者会見で「社会的な信頼を大きく損ねたことを厳粛に受け止め、深くおわびする」と陳謝した。

 一方、協和発酵キリンも東京都内で記者会見。試験への社員の関与を営業部門が13年9月に確認しながら、今年4月までコンプライアンス(法令順守)の担当役員に届け出ていなかったことを明かした。社員の関与は、社内や業界団体の規則に違反する可能性があるとの認識を示し、「不適切な臨床研究への関与が発覚したことは申し訳無い」と謝罪した。弁護士による社外調査委員会を設置し、問題点の解明や再発防止策を検討する。

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑を受け、日本製薬工業協会は4月、自社製品を対象にした臨床試験への奨学寄付金の提供やデータ解析などへの社員の関与を禁止すると加盟72社に通知した。【八田浩輔、江連能弘】」


北海道新聞「倫理委承認前に臨床研究 札幌東徳洲会病院 協和発酵キリンの薬 関与の医師処分」(2014年5月16日)は、 16次のとおり報じました.

「札幌東徳洲会病院は16日、同病院の60代の男性腎臓内科部長が、製薬会社「協和発酵キリン」(東京)の貧血改善薬の臨床研究を、院内倫理委員会の承認前に開始するなど、厚生労働省の倫理指針への重大な違反があったと発表した。健康被害はなかったという。同病院は3月末付でこの医師を諭旨退職処分としている。

 同病院などによると、医師は同社の貧血治療薬「ネスプ注射液」について、効果などに関する論文を作成するため、臨床研究を計画。厚労省の倫理指針に反し、院内倫理委員会で研究についての審議が行われた2012年12月18日以前に研究に着手した。

 倫理委員会には予定症例を15人としていたが、実際には30人を調査。患者の氏名などの個人情報も同社に流していた。医師は研究に関し同社から受けた50万円の寄付金をデータ測定の費用などに充てたとされる。

 院内倫理委員会によると、医師は聴取に対し「倫理指針への理解が足りなかった」と説明。同委は患者数を増やしたことについて、当初の計画では十分なデータを得られなかったため、人数を増やしデータの価値を高める意図があったとみている。データの捏造(ねつぞう)は確認されていないという。

 13年6月に研究計画の変更申請があり、院内で実施状況を確認したことをきっかけに違反が発覚。同病院は患者本人や遺族に対する経緯説明、謝罪を始めている。」


NHK「徳洲会病院の医師 届け出と異なる臨床研究」(2014年5月16日 は、次のとおり報じました.

「札幌市の札幌東徳洲会病院で腎臓内科部長だった医師が事前の届け出と異なる内容の臨床研究を行ったほか、研究費用の寄付を受けた製薬会社側に患者の個人情報を無断で提供していたことが分かりました。
病院側は厚生労働省の倫理指針に違反しているとして、この医師を諭旨退職の処分にしました。

札幌東徳洲会病院によりますと、腎臓内科部長だった63歳の医師は、おととし透析患者の貧血を改善する薬剤の効果を調べるため臨床研究を行うとした計画書を病院の倫理委員会に提出しました。
しかし、実際には委員会の承認前に研究を始めたほか、計画の倍の30人に薬剤を投与するなど、事前の届け出と内容が異なっていたということです。
さらに研究には、東京に本社のある製薬会社、「協和発酵キリン」が寄付した50万円が使われていましたが、この会社の社員が研究の計画書や患者に同意を求める説明書の作成に関与していたほか、医師が製薬会社側に患者の個人情報を無断で提供していたことが分かったということです。
患者に健康被害はないということですが、病院側はこれらの行為は厚生労働省の倫理指針に違反しているとして、ことし3月、この医師を諭旨退職の処分にしました。
札幌東徳洲会病院の清水洋三院長は記者会見し、「不適切な関係が疑われ、常識ではありえないこと。信頼を大きく損なう事態を招いたことを深くおわびします」と述べ、謝罪しました。

社外調査委員会を設置

協和発酵キリンは東京都内で記者会見し、当時、札幌支店で営業や研究の担当をしていた2人の社員がこの問題に直接関与していたことを明らかにしました。
そのうえで、2人が製薬会社の社員として研究に関わっていたことや、患者の個人情報を受け取って保管していたことが、社内や日本製薬工業協会などの規程に違反する疑いがあるとしています。
このため協和発酵キリンは、3人の弁護士で作る社外調査委員会を設置して、来月下旬をめどに詳細な調査結果を公表することにしています。
協和発酵キリンコーポレートコミュニケーション部の諸富滋部長は記者会見で、「社員が臨床研究に不適切に関与した疑いがあることについて大変申し訳なく思います。調査の結果を踏まえて関係する社員の処分を行うとともに、再発防止策を策定したい」と述べました。
一方、50万円を寄付していたことについては「病院側に『奨学金』として提供したもので、手続き上、問題ない」としていますが、社内や業界団体の規程に違反しないかどうか、社外調査委員会で調査するとしています。」

これは、氷山の一角なのかもしれません.
もし、日本では臨床研究が製薬会社と癒着して実施して行われている例が少なくないとすると、日本の臨床研究結果全体の信用性が揺らぐことになります.すべての臨床研究で指針の徹底をはかる必要があるでしょう.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-17 01:05 | コンプライアンス