弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

<   2011年 05月 ( 76 )   > この月の画像一覧

ピーコの芽生え

b0206085_17251379.jpg

事務局Hです.
おすぎに比べて芽生えが遅く,
もしかしたら種が腐ってしまったかも・・・と心配していたピーコでしたが,
この度,めでたく芽吹きました.
まいた種の数に比べると,発芽したものは半分程度なのですが,
また一つ,ピーコの成長を見守るという楽しみが増えました.

日々成長していくおすぎとピーコを眺めていると,
ジェノベーゼ・フレッシュバジルの冷製パスタ・ピザ・ミントティー・チョコミントアイスなどなど,
自家製ハーブで作ってみたい料理が浮かんでは消え,浮かんでは消え・・・
まだ幼い彼らなのに,食べることばかり考えてしまう今日この頃です.

谷直樹法律事務所
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-27 17:25 | 趣味

公立学校教職員に君が代斉唱の際に起立・斉唱を強制する大阪府条例案提出に関する日弁連会長声明

b0206085_6374458.jpg公立学校教職員に君が代斉唱の際に起立・斉唱を強制する大阪府条例は,憲法違反である,と考えられます.

日弁連は,平成23年5月26日,「公立学校教職員に君が代斉唱の際に起立・斉唱を強制する大阪府条例案提出に関する会長声明」を発表しました.
以下のとおりです.

橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」府議団は、本年5月25日、大阪府議会議長に対し、政令市を含む府内公立学校の入学式や卒業式などで君が代を斉唱する際、教職員に起立・斉唱を義務づける条例案を提出した。さらに、橋下府知事は、「国旗・国歌を否定するなら公務員を辞めればいい」と述べ、政令指定都市の教職員も含めて、起立・斉唱しない教職員について免職処分の基準を定める条例案を9月の府議会で審議する意向を示している。

地方自治体の首長が当該自治体の教職員に対し、免職を含む処分の制裁を公言して君が代斉唱時の起立・斉唱を求め、これを条例によって強制することはかつてない事態であり、思想・良心の自由等の基本的人権の保障に加え、教育の内容及び方法に対する公権力の介入は抑制的であるべきという憲法上の要請に違反するものとして、看過できない。

個人の内心の精神的活動は、外部に表出される行為と密接に関係しているものであり、自己の思想・良心に従って君が代斉唱時に起立を拒否する外部的行為は、当然、思想・良心の自由の保障対象となる。そして、君が代については、大日本帝国憲法下において天皇主権の象徴として用いられた歴史的経緯に照らし、現在においても君が代斉唱の際に起立すること自体が自らの思想・良心の自由に抵触し、抵抗があると考える国民が少なからず存在しており、こうした考え方も憲法19条の思想・良心に含まれるものとして憲法上の保護を受けるものと解されるから、国や地方自治体が、教職員に対し君が代を斉唱する際に起立・斉唱を強制することは、憲法の思想・良心の自由を侵害するものと言わざるを得ない。なお、地方公務員である教職員は、「全体の奉仕者」ではあるが、そのことが、公務員の職務の性質と無関係に、一律全面的に公務員の憲法上の権利を制限する根拠となるものではないことは言うまでもない。

また、国旗・国歌法制定時には、上記の過去の歴史に配慮して、国旗・国歌の義務づけや尊重規定を設けることは適当でない旨の政府答弁が国会でなされ、同法に国旗・国家の尊重を義務づける規定が盛り込まれなかった経緯がある。こうした立法経緯に照らせば、君が代斉唱時に起立を義務づける条例は、条例制定権を「法律の範囲内」とした憲法94条に反するものである。

さらに、教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じてその個性に応じて行わなければならないという教育の本質的要請に照らし(1976年5月21日旭川学力テスト事件最高裁大法廷判決)、子どもの学習権充足の見地からは、教育の具体的内容及び方法に関して、子どもの個性や成長・発達段階に応じた教師の創意や工夫が認められなければならない。したがって、子どもの学習権に対応するため、教員には、公権力によって特定の意見のみを教授することを強制されないという意味において教育の自由が保障されている。この趣旨は、教育行政の独立を明確に定めた教育基本法16条1項にも現れている。

ゆえに教員の思想・良心の自由及び教育の自由に対する強制は特に許されず、教育の内容及び方法に対する公権力の介入も抑制的でなければならない(当連合会2007年2月16日付け「公立の学校現場における『日の丸』・『君が代』の強制問題に関する意見書」、2010年3月18日付け「新しい学習指導要領の問題点に対する意見書」、2011年2月9日付け「『国旗・国歌』を強制する都教委通達を合憲とした東京高裁判決に対する会長声明」)。

当連合会は、上記観点に立って、大阪府議会に対し、提出された条例案が可決されることのないように求めるとともに、大阪府議会及び府知事に対して、府内公立学校の教育現場に介入して、教職員に対し君が代斉唱の際の起立・斉唱を含め国旗・国歌を強制することのないよう強く要請する。


弁護士は,人権を守り,人権のために戦う側にあるべきで,決して人権を侵害することがあってはいけないはずです.

大阪府警の巡査部長が,平成23年5月2日,ウガンダ国籍の男の頭を叩いたり耳を引ぱったりし「自分には叩く権利がある。お前には人権がない」などと述べたという事件が明るみになりました.
大阪高裁は,平成23年5月26日,大阪府警の巡査が,職務質問の際許容限度を超えた違法な行為を行ったことを認め,大阪府に約300万円の賠償を命じました.
このような大阪府警に人権を守らせることこそ,必要なことです.

弁護士である橋下知事が,人権を軽くみていることは,残念です.
ちなみに,橋下知事は,私と同期です.
残念です.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-27 06:38 | 弁護士会

堺市立堺病院,子宮摘出手術事故600万円で示談報道

b0206085_1345794.jpg

平成19年3月,堺市立堺病院で,子宮内膜症による子宮摘出手術の際,医師が,患者の体内に一時的に残すガーゼについて、残す場所を誤り,そのため,人工肛門を一時的に付けたり、別の手術を行いました.
患者は,平成22年6月,病院に損害賠償を請求しました.
平成23年4月,示談が成立し,600万円の賠償金が支払われました.

このような明らかなミスも,患者から請求しないと支払われないわけです.
自治体病院のため議会への報告を機にたまたま報道されましたが,手術ミスは,この病院に限ったことではないでしょうし,報道されない示談も多いと思います.

毎日新聞「手術ミス:子宮摘出手術で 堺市、45歳患者に600万円賠償 /大阪

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-27 01:35 | 医療事故・医療裁判

横浜地裁で証拠調べ

b0206085_9281183.jpg

昨日は,横浜地裁で終日証拠調べ(尋問)でした.
民事裁判は,このように関係者の尋問を一日でまとめて行うのが普通で.医療事件でも変わりません.

前日23時38分に追加の医師陳述書(3)がファクシミリで送られてきて,準備がちょっと大変でした.こちらも月曜の朝に原告本人の追加陳述書を届けていますので,文句は言えませんが.
この医師尋問は成果があったと思います.医師尋問は,やりがいがあります.

お昼に,横浜地裁の向かいの「リナス・サンドウィッチ・カフェ」で,海老とアボガドのサンドウィッチを食べました.美味しかったです.パンがとても美味しかったので,他の具材もいけると思います.
今は,店内はもちろんテラスも禁煙になっていて.テラスで気持ちよく食事ができました.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-26 09:26 | 医療事故・医療裁判

堺市立堺病院、出産事故7000万円で調停成立報道

b0206085_8432522.jpg

平成23年5月25日のスポニチ「帝王切開遅れで7千万賠償「早く切開するべき」」は,以下のとおり報道しています.

 「堺市立堺病院で2007年、帝王切開が遅れ、生まれた女児が脳に重度の障害を負ったとして女児の母親らが損害賠償を求めていた訴訟で、市は25日、母親側に7千万円を支払うことで調停が成立したと明らかにした。支払いは4月28日付。

 病院によると、07年3月30日午前、母親(36)は診察のため来院。胎児心拍監視装置を装着し、経過観察していたが、来院から約5時間後、胎児の心拍が低下したため、午後3時半ごろ帝王切開した。女児は低酸素脳症と診断された。

 病院によると、他の医療機関にデータを見てもらったところ、「もっと早く帝王切開するべきだ」と指摘されたため、賠償を決定。帝王切開の時間と後遺症の因果関係は分からないという。」


提訴後,調停に付され,そこで調停が成立したということなのでしょう.
朝日新聞によると,病院の調査で意見を聞いた外部の産婦人科医10人全員が「監視装置をつけた時点で帝王切開すべきだった」と指摘した,とのことです.

10人も聞かなければ責任を認めないことに疑問も感じますが,本件の帝王切開の遅れが容易に認定できる事案であることは明らかです.
帝王切開の遅れは,医師の注意義務違反(過失)となります,
科学的に厳密な因果関係が完全に立証されなくても,「帝王切開の遅れ」・「低酸素脳症」・「重度の障害」が立証されれば,法的には因果関係があるものとして賠償責任を認めるのが通常で,適切です.本件は,因果関係の程度を考慮し,7000万になったものと考えられます.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-25 23:57 | 医療事故・医療裁判

小田原市民病院、5720万円で和解(肺血栓塞栓死亡事故)報道

b0206085_8391099.jpg

平成22年8月に,小田原市民病院で子宮全部摘出手術を受けた40代の女性患者が,術後肺血栓塞栓症を発症し,当直医が適切な措置を講じることが遅れたため死亡しました.
この医療事故について,小田原市は,責任を認め,遺族に対して5720万円を支払うことで和解し,6月補正予算案に計上しました.

手術後の肺血栓塞栓症は当然警戒しなければならないもので,適切な措置が遅れたことは医師の注意義務違反になります.
事故から比較的早期に適切な解決に至ったことは,評価できます.早期に適切な解決をすることは,病院側,患者側双方にとって,良いことです.

なお,「和解」と報道されていますが,「裁判上の和解」ではなく,裁判外の「示談」かもしれません.

神奈川新聞「術後の合併症で女性患者死亡、市立病院の医療事故で和解/小田原市」ご参照

【追記】
毎日新聞「医療事故:遺族に慰謝料払い和解 小田原市が5720万円 /神奈川」によれば,

 「手術後に酸素飽和度の低下などの症状が見られ、酸素投与などをしながら経過観察していたが、翌朝に心肺停止となり、死亡した。死因は下肢の静脈などで生じた血栓が心臓を経由、肺の血管をふさぐ「肺血栓塞栓(そくせん)症」と分かった。
 病院側は「血栓予防の措置はしていた。手術が長かったことも一要因とみられるが、死因を予見することは不可能だった」と医療ミスではないとしながら、「結果的に十分な対応ができず、亡くなった責任の一端はあり、和解することにした」と話している。」

とのことです.

読売新聞「手術後死亡5720万円で和解…小田原市立病院  40代女性の遺族と 肺血栓と気づかず」によれば,

 「女性は子宮腺筋症で、手術は昨年8月中旬に行われた。午後2時15分に手術が終わり、女性は病室に戻ったが、深夜に「息苦しい」と訴え、血液中の酸素の濃度が低下する症状がみられた。酸素を投与しながら経過観察したが、翌午前8時30分頃、容体が急変し、2時間後に死亡した。
 病理解剖の結果、死因は肺血栓塞栓症とわかった。
 記者会見した安野憲一副院長は「痛みなどは術後にみられる症状と判断し、肺血栓塞栓症に思い至らなかったようだ」と説明。「深夜の段階では、血栓が出ていたとしても小さいもので、急変した時に大きい血栓が肺に飛んだと考えられる」と述べた。
 中島麓院長は「十分な対応が取れず、重大な結果となり、心からおわびする」としたうえで、「医療ミスではない」と強調した。肺血栓塞栓症は、突然発症して短時間で重大な結果になることがあるためという。」

とのことです.

つまり,医師・患者の感覚は,法的な責任要件を充たした場合にだけ損害賠償すればよい,というものではありません.昨今の裁判所の厳格な判断は,当事者の感覚(社会常識)から乖離しているように思います.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-25 23:31 | 医療事故・医療裁判

裁判所調査,平成22年の患者側勝訴率は20.6%(速報値)

b0206085_2236211.jpg

最高裁のホームページに,平成22年のデータが掲載されました.
平成22年の患者側勝訴率は20.6%(速報値)です.
ピークの平成15年44.3%に比べると隔世の感があります.

通常事件の原告側勝訴率がほとんど変わらない(平成22年は87.6%)のに対し,医事関係事件だけは平成15年をピークに原告側(患者側)勝訴率が減少傾向にあります.
患者側の勝訴率は,44.3%(平成15年),39.5%(平成16年),37.6%(平成17年),35.1%(平成18年),37.8%(平成19年),26.7%(平成20年),25.3%(平成21年),20.6%(平成22年)と年々低下しています.

通常事件は90%にちかい勝訴率なのに,医療関係事件だけは今やほぼ20%の勝訴率というのは,近時の判決が医療側に著しく偏った内容になっていることを示すものと言えるでしょう.

患者側弁護士には,このような医療裁判の変化に適切に対応することが求められていると思います.

当法律事務所は,医療ADRなど裁判前・裁判外の解決制度を活用しi迅速適正な解決をめざしています.提訴する場合は,迅速性を多少犠牲にしても,「過失」「因果関係」「損害額」についての充分な立証を準備した上で,提訴するようにしています.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-24 22:37 | 医療事故・医療裁判

品川美容外科捜査資料漏洩事件

b0206085_1995687.jpg

◆ 経緯

平成21年12月,品川美容外科池袋院で脂肪吸引手術を受けた女性(当時70歳)が2日後に内臓損傷で急死しました.
警視庁捜査1課が業務上過失致死容疑で捜査を始めました.

平成22年3月,複数の警視庁OBが品川美容外科には再就職しました.
そのうちの1人が、捜査が行われている間、事件担当の捜査員と携帯電話などで頻繁に連絡を取り合っていました.
捜査1課内では,積極的に逮捕,捜査,送検をめざす意見とそれに反対する意見が対立していました.

捜査1課が,平成23年3月に品川美容外科池袋院の関係先を家宅捜索したところ,警視庁捜査1課の内部捜査資料のコピーが見つかりました.

平成23年4月に執刀医が逮捕される直前,品川美容外科に再就職していた警視庁OBの一部は退職しました.
(以上毎日新聞等ご参照)

◆ 感想

この流れをみると,品川美容外科が組織防衛のため捜査資料を入手し警視庁OBを通じて捜査に圧力をかけていたのではないか,と疑われてもやむをえないように思います.
医療機関は,近年,警察官OBを採用するようになってきています.院内暴力,モンペ対策と称して,それを推奨する弁護士もいるようです.

しかし,医療過誤は過失ですが,捜査情報収集,捜査潰しは故意によるものですので悪質です,

品川美容外科捜査資料漏洩事件の徹底的な解明を望みます.

なお,美容外科の医事紛争も多く,私は,先月別の美容外科の証拠保全を行いましたが,今月もまた別の美容外科の証拠保全を行います.

警察官OBを採用して,警察に働きかけ,捜査を有利に終らせている医療機関は他にもある可能性があります.
品川美容外科捜査資料漏洩事件は,氷山の一角のような気がします.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-24 19:10 | 医療

名古屋大学医学部付属病院小児外科で,平成22年7月の医療事故死(出血性ショック)公表

b0206085_0222963.jpg


◆ 名古屋大学医学部付属病院

名古屋大学医学部付属病院は,「医療の質・安全について」次のとおり宣言しています.

「「人は誰でも誤る(ミスを犯す)」「事故は起こるものである」ということを常に認識し、絶対の安全確保は不可能であるとしても、絶対の安心を提供するべく、日々努力します。誰が誤ったか(ミスを犯したか)ではなく、何が原因であったかという視点に立ち、個人の問題ではなく、組織の問題として、医療の安全性の向上を考えています。」

「2002年に発生した医療事故を原点にして、不幸にして、医療事故が発生してしまった場合には、「いかに患者様とご家族を守り、影響を最小限にするか」を最優先させ、力を尽くして治療に当たるとともに、隠さない(信用の保持)、ごまかさない(正確な情報)、逃げない(誠実な対応)の3原則を踏まえて、患者さんとご家族に対応しています。」


同病院は,このような考えに基づき,外部委員をいれた医療事故調査委員会を設置し,事故の原因を究明し,再発防止の役立てようとしています.
そこで,平成22年7月の小児外科の事故調査の結果を受けて,平成23年5月17日,病院長の記者会見が行われ,医療事故調査の結果が公表されました.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

◆ 事案

40代の小児外科医が,血管を傷つけた場合に出血を抑えるための器具を準備しないまま,6歳の患者の腫瘍の一部を切り取る検査を担当しましたが,剥離が難しかったことから,或いは再び開腹することなどの負担を考え,途中で主治医と相談することなく独断で全摘出手術に方針を転換し,大動脈を傷つけ,出血性ショックで死亡させた事案です.

細かい事実関係については,報道機関により微妙に異なります.

中日新聞によると

「病院では7月、開腹して腫瘍の組織を検査したところ、いったん良性と判断。だが、臨床的に悪性が疑われるため、主治医の小児科医が他の部位からの組織採取を小児外科医に依頼した。小児外科医ははく離が難しかったことから腫瘍の全摘手術に方針を転換し、腫瘍の切除を進めたが、何らかの原因で大動脈を傷つけたため出血。子どもは手術中に心停止となり、死亡した。」

時事通信によると

「児童は昨年7月、副腎にできた大きさ約20センチの腫瘍の一部を切り取る2回目の検査を受けたが、再び開腹することなどの負担を考えた小児外科医が途中で全摘出手術に方針を転換。その後、外科医が誤って膵臓(すいぞう)近くの大動脈を金属製の鉗子(かんし)で傷つけ、児童はその日のうちに出血性ショックで死亡した。」

読売新聞によると

「児童は昨年夏、背中から腹部にかけての腫瘍が見つかり、全摘手術を受けた。その際、背中側まで切除を進めたところ、何らかの原因で大動脈を損傷させたという。家族には「2、3時間で終わる」と説明していたが、児童は手術開始の約8時間後に大量出血し、その約4時間後に死亡した。」

毎日新聞によると

「児童は膵臓(すいぞう)近くに小児がんの一つ神経芽腫ができ、悪性と診断された。昨年7月、腫瘍の検査のため、小児外科医が開腹手術を執刀。腫瘍が良性という検査結果が出たことから、開腹を1回で済ませるため、腫瘍の全摘出手術に変更。しかし、大動脈を損傷させてしまい児童は死亡した。
手術には小児科医が立ち会っておらず、病院は「小児科と小児外科の十分な協議があれば、摘出が行われなかった可能性もあり死亡は回避できた。管理体制の不備だった」としている。」

NHKによると

「去年7月、当時小学1年生の6歳の子どもの腫瘍の組織検査のための手術が行われた際、執刀した40代の医師が、腫瘍を 取り除くことができると判断して、摘出手術に切り替えたところ、誤って近くの大動脈を傷つけ 、出血が多くなり死亡したということです。 病院の調査の結果、執刀した医師は、腫瘍の摘出手術に切り替えることについて、子どもの主治医の小児科医と十分な検討をしていなかった上、血管を傷つけた場合に出血を抑えるための器具を準備しないまま、手術を進めていたことがわかったということです。 」

◆ 事故調査委員会の結論

病院は昨年10月に外部識者をいれ事故調査委員会を設け,調査委員会は
「▽腫瘍の部分切除を考えてもよかった
▽家族に手術の危険性や経過を十分説明していなかった
▽検査手術について,小児科医と小児外科医との意思疎通に問題があった可能性がある-などと指摘し,
十分な準備があれば子どもの死亡を回避できた可能性がある
」と結論づけた,とのことです.

外部委員をいれた事故調査が普及すれば,医療事故の原因究明,再発防止に役立ちます,
そのためには,死亡等の重大事故については院内事故調査委員会設置を法的義務とすべきと思います.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-24 00:24 | 医療

『医療裁判から医療ADRへ』

b0206085_17352982.jpg『医療裁判から医療ADRへ』(ぎょうせい)が,ようやく出版されました.

私も,第4章1節「患者サイドから見た医療ADRへの期待と意見」を書かせていただきました.

医療裁判より,使い勝手がよい医療ADRは,全国に普及しはじめています.
医事紛争の適正迅速な解決のために有用なものとなるよう,患者側から意見を書かせていただきました.
原稿を書いてからだいぶ年月がたっていますが,私の基本的な考えは今でも変わりません.

編著者の植木哲先生は,いわゆる千葉モデルの医療ADRを中心になって推進してきた先生です.

私以外の執筆者(本書執筆順※肩書き当時)は以下のとおりです.(敬称略)

植木哲(千葉大学名誉教授,朝日大学法学部教授)
西口元(前橋地方裁判所判事)
久保真一(福岡大学医学部法医学教室)
平井愛山(千葉県立東金病院院長)
田尻泰之(流通経済大学法学部准教授)
土居良雄(土居内科医院院長)
松村有子(東京大学医科研先端医療社会連帯研究部門所属)
北山裕子(千葉大学大学院人文社会科学研究科所属)
山下洋一郎(松本・山下法律事務所,弁護士)
石田瞳(千葉大学大学院人文社会科学研究科所属)
亀田信介(亀田総合病院院長)
太田幸夫(駿河台大学法学部教授)
小沢忠彦(茨城県医師会所属・小沢病院院長)

医療ADRをめぐりそれぞれの立場から多様な意見があることがわかります.

谷直樹
下記バナーをクリックしてください.弁護士ブログ168サイト中の順位がわかります.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-05-23 17:27 | 医療事故・医療裁判