弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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大野更紗氏,ビデオニュース・ドットコムに登場

『困ってるひと』の著者大野更紗氏がビデオニュース・ドットコムに登場しました.

『困ってるひと』を未だ読んでいない人は是非ご一読を。

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-28 21:21 | 医療

薬害イレッサ,9月6日東京高裁第1回裁判期日

b0206085_1622441.jpg肺がん治療薬イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)を服用した多くの患者が間質性肺炎を発症し,憂くなくとも819人が死亡した薬害事件です.

1審の裁判所が和解勧告を行ったのに,厚労省が下書きをして学会に和解反対の声明をやらせ,解決を引き延ばした,薬害裁判です.

谷直樹
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東京地裁判決は,アストラゼネカ社はもちろん,国が承認当時アストラゼネカ社に対し添付文書に副作用の間質性肺炎が致死的となる可能性があることを記載するよう行政指導しなかったことなどから,国にも責任を認めました.
その控訴審が9月6日にあります.

◆ 薬害イレッサ訴訟アピール行動
日時 2011年9月6日9時~10時
場所 東京地方高等裁判所前(東京地方裁判所と同じ建物です)

◆ 薬害イレッサ東京訴訟控訴審第1回裁判
日時 2011年9月6日11時~
場所 東京高等裁判所101号法廷(東京地方裁判所と同じ建物です

◆ 報告集会
日時;裁判終了後
場所:弁護士会館508会議室

◆ 連絡先
薬害イレッサ東日本訴訟原告弁護団城北法律事務所
東京都豊島区西池袋1-17-10エキニア池袋6階
電話:03-3988-4866
FAX:03-3986-9018
担当:阿部哲二/津田二郎/白鳥玲子/加藤幸


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by medical-law | 2011-08-28 15:49 | 医療事故・医療裁判

9月10日『小児病棟の子どものケアを考える』

b0206085_1152971.jpg
興味深いシンポジウムがありますので,ご紹介いたします.

9月10日に,
NPO法人病気の子ども支援ネット遊びのボランティア」活動20周年記念フォーラム
『小児病棟の子どものケアを考える』が開かれます.
子どもの高度医療に携わる医師やNPO理事長が,病気の子どもや家族へのサポートの課題などを話し合います。

日時:9月10日(土曜)13時~
会場:東京都中央区の日本橋公会堂

基調講演:大熊由紀子氏(国際医療福祉大大学院教授)
参加費:1500円。
予約:同NPO電話03・6380・3115に予約
主催:NPO法人「病気の子ども支援ネット遊びのボランティア」

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-28 11:00 | 医療

『第1回医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会』(続き)

委員は,下記のとおりです.

有賀 徹    昭和大学病院 病院長
飯田 修平  練馬総合病院 病院長
岩井 宜子  専修大学法科大学院 教授
印南 一路  慶應義塾大学総合政策学部 教授
遠藤 直幸  山形県山辺町長
岡崎 誠也  高知市長
加藤 良夫  栄法律事務所 弁護士
貝谷 伸    全国健康保険協会 理事
◎里見 進  東北大学病院 病院長
椎名 正樹  健康保険組合連合会 参与
高杉 敬久  日本医師会 常任理事
豊田 郁子  新葛飾病院 セーフティーマネージャー
松月 みどり 日本看護協会 常任理事
宮澤 潤    宮澤潤法律事務所 弁護士
山本 和彦  一橋大学大学院法学研究科 教授
吉川 和夫  東京都 副知事
(五十音順,敬称略,◎座長)

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b0206085_0142446.jpg
審議の中で,有賀徹氏,飯田修平氏は,「原因究明・再発防止」はもう十分ではないか,医療はもともと危険なものだ,という趣旨の発言をしていました.(ざっくりしたまとめで,申し訳ないですが.いずれ公開される議事録で確認してください.)

しかし,日本で,現在,医療事故が何件起きているのか,どのような事故が多いのか,など医療事故の実態は調べられていません.また,科学的な原因究明分析もできていません.
事故の原因を究明分析して医療の質を向上させる取り組みは,たしかに部分的には行われてはいますが,決して十分ではありません.
日本の医療事故は,全貌が把握されていない段階であり,いわば氷山の一角が見えている状態です.

医療は危険だからこそ,安全,安心な医療が求められます.
先端的な医療技術の危険に伴う事故もありますが,医療知識不足,医療技術未熟による事故も結構多いように思います.
医療知識,医療技術は,医師によってバラツキが大きく,市民マラソンのようにはるか後方を走っている医師もいて,研鑽研修の必要を強く感じます.大病院の院長は,そのような実感を持ちにくいかもれませんが,これは,医療事故の相談を日常的に受けている弁護士の実感です.
各人の感覚では科学的ではないので,事故事例の収集と原因分析,再発防止が必要と思います.

医療版事故調の法制化が未だ実現していないので,この無過失補償の検討でも,そこが問題になるわけです.

無過失補償制度は,単に紛争化を防止し,医師,病院を守るというものであれば,その経済的負担を担うことになる人たちの合意は得られないでしょう.原因究明分析,再発防止から医療の質の向上がはかられ,患者の安全が確保されるということがあって,はじめて国民的合意がえられると思います.
今後の審議に期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-27 23:55 | 医療事故・医療裁判

夏の終わり

b0206085_15325128.jpg

事務局Hです.
先日,自宅にデパートの通販カタログが届きました.
洋服や服飾小物を見るのが大好きなので,今後の参考に・・・とパラパラと見てみたのですが,
内容は,トレンチコートやブーツ等,すっかり秋冬ものの商品だらけでした.

まだまだ世間は暑く,季節的には夏ですが,いよいよ8月も終わりに近付き,秋がやってくるのだなあと思いましたが,
思い返せば,夏らしいことは何一つしておらず,
夏祭りも浴衣も花火大会も縁日も海も水着も楽しまずに,ただ通勤時間に多少日焼けをしただけで私の夏が終わってしまいそうです.
先日立ち寄ったCDショップ前のワゴンセールで,森山直太朗さんの「夏の終わり」が流れているのを聴いて,今年の夏が終わってしまうことに少し焦りを感じてしまいました.

今日は隅田川の花火大会
仕事後に,夏の最後の思い出作りに見に行こうかとも思いましたが,
結局,帰りの総武線の混雑を思い,花火大会終了の時間を避けて仕事から帰宅しようという結論に落ち着きました.

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by medical-law | 2011-08-27 15:28 | 日常

『第1回医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会』

b0206085_1441377.jpg◆ 報道

キャリアブレイン「医師に過失ない医療事故、救済制度創設を検討 厚労省初会合」(平成23年8月26日)は,次のとおり報じています.

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「厚生労働省は26日、医師の過失がない医療事故の患者や遺族に補償金を支払う「無過失補償制度」の創設に向けた検討会の初会合を開いた。医療事故の訴訟は原因究明に時間がかかり、患者だけでなく医師側の負担も大きい。検討会は早期に被害救済し、再発防止に役立つ原因究明できる体制を目指す。

 検討会の冒頭、厚労省の岡本充功政務官は「医療でトラブルが起きた場合、行政として対応する機能が十分備えられているのかという意見がある」と指摘。「患者の救済や医療者の負担をどう軽減できるか考えてほしい」と年度内の取りまとめを求めた。

 委員からは「無過失補償制度は医療者の訴訟対策ではないかという声があるが、事故の原因を究明して再発防止に役立て、安全で質の高い医療を実現することが本来の目的だ」という意見が出た。別の委員は「訴訟では原因が分からず、損害賠償の対象にならない患者や家族が多い」として制度の創設を求めた。

 国内では出産時に新生児に重い脳性まひが起きた場合に計3000万円補償する「産科医療補償制度」がある。検討会はこうした国内外の制度を参考にしながら、補償額の水準や範囲、費用負担のあり方についても議論する。」


◆ 感想

医療裁判では,患者側が過失(注意義務違反)と因果関係と損害を立証してはじめて損害賠償を得ることができます.常識的に考えて賠償を受けるべき事案であっても,立証の壁に阻まれてしまうこともあります.
その意味で,医師に過失がなくても補償する制度は,あった方がよいと思います.

また,原因究明分析は,本来,裁判より,院内院外の事故調査の方が適していると思いますが,事故調査が法制化されると事故調査により医療事故が表面化し,短期的には賠償すべき事案が増えることになりそうなので(長期的には再発防止策により医療事故自体が減少し,賠償すべき事案も減少するでしょう.),紛争化を避けるため無過失賠償制度が必要,という側面もあるようです.

ところで,産科補償制度の目的は次の3点とされています.
1 分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児およびその家族の経済的負担を速やかに補償します.
2 脳性麻痺発症の原因分析を行い、将来の脳性麻痺の発症の防止に資する情報を提供します.
3 これらにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ります.

つまり,目的は単なる補償にとどまりません.事例を集積し,事故原因を究明分析し,再発防止に役立て,紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上につなげることを目的としています.
この産科補償制度ができたことで,未だ決して十分ではありませんが,それなりの機能を果たしつつあります.この制度により,医療の質が向上し,患者の安全が図られ,医療事故が減少することが期待されています.

検討中の無過失補償制度も,産科補償制度にならい,事故原因の究明分析と再発防止を目的とし,紛争の防止・早期解決および医療の質の向上を図るべきと思います.

単に補償額の水準や範囲,費用負担のあり方を検討するだけではなく,制度の根幹をしっかり見据えた設計をしていただきたい,と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-27 01:35 | 医療事故・医療裁判

尊厳擁護分科会会合と上田里美氏の名誉回復

b0206085_10413349.jpg京都の看護助手の事件報道で,北九州の看護師の事件を想起した人も多いと思います.

これは,北九州八幡東病院の看護師上田里美氏が,平成19年に適正なフットケアを行ったのに,爪切り傷害として不当に起訴され,一審の福岡地裁小倉支部判決(田口直樹裁判長)では有罪とされましたが,福岡高裁平成22年9月16日判決(陶山博生裁判長)で無罪(確定)となったものです.
上田里美氏の名誉回復は,しっかり図られる必要があると思います.

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朝日新聞「つめ切除分科会が最終会合/市、月内判断」(平成23年8月25日)は,次のとおり報じています.

北九州市の民間病院で看護師が認知症の入院患者に施した足のつめ切り行為を、市が「虐待」と認定した経緯について検証する尊厳擁護分科会の最後の会合が24日夜、市役所で開かれた。分科会は虐待認定の是非について見解をまとめたが、「近く発表する」として内容を明らかにしなかった。市はこれを受け、月内にも認定の是非を判断する。

 約2時間半にわたる会合は非公開。会合後、分科会長の伊藤直子・西南女学院大教授は「各委員の意見を尊重して取りまとめた」と述べるにとどめた。

 市は2007年、看護師の上田里美さん(45)から意見聴取をしないまま市の第三者機関である尊厳擁護専門委員会(現分科会)の意見を受け、上田さんの行為を虐待と認定。上田さんは傷害罪に問われたが昨年、福岡高裁で無罪判決が確定し、市は分科会に再検証を求めていた。

 上田さんは代理人を通じて「北九州市が虐待ではなかったと判断して下さることを信じて待ちたい」とコメント。この日の定例会見で、北橋健治市長は「そう遠くないしかるべき時に、市の方針を表明したい」と話した。(山根久美子)


【追記】

◆ 産経「「虐待」認定を撤回 無罪確定で北九州市」(平成23年8月26日)は,次のとおり報じました.

「高齢の認知症患者のつめ切りをめぐって傷害罪に問われ、無罪が確定した看護師、上田里美さん(45)の行為を高齢者虐待防止法に基づき「虐待」と認定していた北九州市は26日、「虐待とはいえない」として認定を撤回すると発表した。

 市は平成19年、上田さんの行為を「必要性がない措置」「医師の指示を仰いでいない」と問題視、虐待と認定したが、「正当な看護ケア」とした福岡高裁の確定判決を受けて見直した。

 事件当時の認定を「やむを得なかった」とする一方で、今後は刑事裁判確定まで断定的な判断はせずに慎重に対応する-としている。北橋健治市長は記者会見で「上田さんは長い間、大変つらい思いをされたと思う。今回の教訓を忘れてはならない」と述べた。」

◆ 西日本新聞「爪切り「虐待」を撤回 北九州市 上田さん名誉回復」(平成23年8月26日)は,次のとおり報じました.

「認知症患者への爪切りケアで傷害罪に問われ、福岡高裁で逆転無罪が確定した北九州100+ 件八幡東病院(北九州市)の元看護課長上田里美さん(45)の行為を同市が2007年に「虐待」と認定していた問題で、同市の垣迫裕俊保健福祉局長は26日記者会見し、認定を取り消すと発表した。上田さんの無罪確定後も、認定が撤回されない状態が10カ月以上続いていたが、行政判断の上でも4年ぶりに上田さんの名誉回復が実現した。

 上田さんが逮捕されたのは07年7月2日。市の第三者機関「尊厳擁護分科会」(当時は尊厳擁護専門委員会)は同17日、上田さんの行為について高齢者虐待防止法に基づき、(1)必要性がない措置だった(2)医師の指示を仰がなかった-など7つの理由で「虐待」と確認。市も同23日、これに準じて虐待と認定した。

 これに対し、刑事事件で無罪が確定した上田さんが10年11月、「個人への人権侵害に当たるうえ、介護現場を萎縮させる」として、認定取り消しを求める陳情書を市に提出。今年4月には、全国の医療関係者から集めた7650人分の賛同署名を市に提出。8月8日には分科会で意見陳述し、「患者が嫌がるようなことはしていない」とケアの正当性を主張していた。

 北橋健治市長は24日の定例会見で虐待認定の見直しについて「大変重要な案件だと認識している。市として主体的な責任で判断したい」と述べていた。」

◆ 読売「元看護課長の爪処置、虐待とはいえない…北九州」(平成23年8月26日)は次のとおり報じました.

「入院患者の爪の処置を巡って傷害罪に問われ、福岡高裁で無罪が確定した北九州八幡東病院(北九州市)の元看護課長、上田里美さん(45)について、北九州市は26日、記者会見を開き、上田さんの行為について、「虐待」とした判断を見直し、「虐待とはいえない」と改めた。

 市は2007年7月、市の第三者機関・尊厳擁護分科会の審議を基に、上田さんの行為を高齢者虐待防止法に規定された「虐待」と認定したが、無罪確定後の10年10月、北橋健治市長が認定に至る経緯を検証すると表明、翌11月に上田さんも市に見直しを申し入れた。

 上田さんは「虐待ではなかったと明確に述べていただいてうれしく思う」とのコメントを出した。」


◆ 毎日「つめ切り事件:「虐待」認定撤回…北九州市」(平成23年8月26日)は,次のとおり報じました.

「北九州八幡東病院で07年に起きた「つめ切り事件」で、北九州市は26日、傷害罪に問われ福岡高裁で無罪が確定した元看護課長、上田里美さん(45)が高齢の認知症患者にしたつめ切り行為を「虐待とはいえないと判断した」と発表。07年当時の「虐待」認定を撤回した。判断は無罪判決を踏まえた一方、当時の虐待認定を有識者の判断を踏まえたことなどを理由に「やむを得なかった」とした。

 昨年10月の無罪判決確定を受け、市は07年の虐待認定の見直し作業を決断。上田さんも市に認定取り消しを求めた。これを受け、第三者機関「尊厳擁護専門委員会(現・分科会)」が昨年末から当時の認定根拠などを再検証していた。

 分科会は24日まで検討。「裁判中に病院関係者の証言が『(上田さんの行為は)ケアの範ちゅう』と変化した」「控訴審の判断を尊重しなければならない」などの意見があったという。最終的に委員8人全員が「虐待ではない」との見解で一致したという。

 上田さんは代理人の弁護士を通じ「市から『虐待ではなかった』と明確に述べていただきうれしい。看護や介護の現場が萎縮することなく取り組めるとほっとした」とコメントした。【河津啓介、仙石恭】」



◆ 感想

このようにして,ようやく,上田氏の名誉回復が図られました.
ほっとする反面,聴取手続きを践まず,一方的に虐待を決めつけた,当時の認定方法の問題は重大だと思います.事件当時の認定を「やむを得なかった」とするのは疑問で,もっときちんと謝るべきだと思います.
 
また,本件は,法律家の役割について示唆するところがあるように思います.

不当な起訴を行ったのは法律家(検察官)ですが,それと戦い正義と人権を守ったのも法律家(弁護人弁護士)です.
不当な判決を下したのは法律家(裁判官)ですが,曇りのない目でそれを覆し無罪判決を下したのも法律家(裁判官)です.

司法が医療に介入したことが悪い,というのではなく,誤った判断がなされたことが問題だと思います.
医療者も含めて医療にかかわるすべての人の人権が保障されることが,患者の人権を守るために必要なことです.人権を守る法律家の職務の重大性と責任を改めて示す事件だと思います.


谷直樹
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by medical-law | 2011-08-26 10:15 | 医療

毛利病院,看護助手が傷害で逮捕される(患者虐待?)

b0206085_10382350.jpg◆ 報道

京都新聞「患者爪剝がし 容疑の看護助手「職場関係ストレス」」(平成23年8月23日)は,以下のとおり報じています.

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京都市中京区の「毛利病院」に入院している認知症の女性患者(80)の左足親指の爪が剝がされたとされる事件で、傷害容疑で逮捕された看護助手×××××容疑者(37)=西京区川島六ノ坪町=は「上司との人間関係にストレスを感じていた。ほかに看護師らがいないおむつ交換の時に爪を剝がした」と供述していることが25日、五条署への取材で分かった。また、ほかに剝がされた可能性のある入院患者3人の爪も、すべて親指だったことも同病院への取材で分かった。

 捜査関係者によると、病院側は「7月まではなかったが、8月に入ってから同じフロアの患者の爪が剝がれる出来事が数件発生している」と五条署に説明している。××容疑者は8月6日に採用されており、同署が関連を調べている。

 病院によると、被害者以外に爪が剝がされた可能性があるのはいずれも80歳前後の男性1人、女性2人。うち1人は両足の親指の爪を、ほかの2人はそれぞれ片足の親指の爪が剝がされていた。

 病院の説明では、爪が相次いで剝がされる事案を把握したのは今月18日以降といい、「水虫などで爪が剝がされやすくなり、シーツなどにひっかかったアクシデントと認識していた」としている。

 捜査関係者によると、佐藤容疑者は2004年に南区の病院で患者6人の爪を剥がした傷害罪で実刑判決を受けて服役し08年4月10日に仮出所した。その後の職歴などは不明、という。」


◆ 感想

「看護助手」は,国家資格である「看護師」とは全く違います.
看護助手は,シーツやオムツの交換その他を行います.

前の十条病院の事件のときは,心神耗弱が主張されましたが,精神鑑定請求は認められていません.
院内調査で自分がやったと認めているとのことですが,自白偏重に陥ることなく十分慎重に捜査していただきたいと思います.また,被疑事実がそのとおりだと認定できるのであれば,精神鑑定が必要ではないでしょうか.

【追記】

読売新聞「また爪剥がし 病院、チェック不十分と陳謝」(平成23年8月26日)は,次のとおり報じています.
看護助手の心のケアしていなかったと,この病院を責めるのは酷と思いますが,患者虐待を行うのは虐待されていた人が多いとすれば,刑罰よりもむしろ加害者の心の闇を照らし,治療することが必要でしょう.

「事件は防げなかったのか――。毛利病院(京都府中京区)に入院している女性患者(80)の足の爪を剥がしたとして25日、五条署に傷害容疑で逮捕された看護助手・×××××容疑者(37)は、7年前にも別の病院で患者の爪を剥がして逮捕されていた。

 毛利病院は同日午後、緊急の記者会見を開き、前の事件が未把握だったとしたうえで、「チェックが不十分と言われても仕方がない」と陳謝。医療関係者が入院患者にけがを負わせる事件は近年、相次いでおり、識者らは対策の必要性を訴えている。

 ■記者会見

 「当院で重大な不祥事を起こし、誠に申し訳ない」

 午後2時から顧問弁護士らと会見した毛利病院の下野広俊院長(56)は頭を下げ、終始厳しい表情を見せた。

 ××容疑者が今月6日に勤務を始めるに際して行われた採用面接でのやり取りや履歴書の内容については「コメントを差し控える」としたうえで、過去の事件に報道陣から質問が及ぶと、顧問弁護士は「全く知らなかった。病院としては非常に驚いた。ただ、チェックが不十分という指摘はあると考えているし、その点は病院として重く受け止めないといけない」と話した。

 同署によると、××容疑者は「仕事のストレスがたまっていた」などと供述。この点に関し、病院側は「ストレスを抱えている職員はいるかもしれないが、ケアはしていなかった。今後の課題にしたい」とした。

 ■同種事件

 事件が明らかになったこの日午前、診察で毛利病院を訪れた中京区の無職女性(78)は「体の弱いお年寄りに、そんな痛々しいことをするなんてひどい」と驚きを隠せない様子だった。

 だが、医療や介護の現場では、患者や高齢者ら社会的弱者が医療従事者に虐げられる事件が続いている。

 京都では、京大病院(左京区)で2009年11月、看護師の女が入院中の女性に治療上必要のないインスリンを投与する事件があり、懲役1年6月の実刑判決が今年4月に確定。女は、仕事のストレスを募らせ、患者の容体を悪化させて発散しようと考えたという。

 また、兵庫県佐用町の病院でも08~09年、看護師の女が寝たきりの患者6人の胸を圧迫し、肋骨(ろっこつ)を折ったり、別の患者の目をペン先で突いたりする事件が発生。動機は、上司らに仕事ぶりを評価されず、いらだちを募らせたことだったとされる。

 東海学院大の長谷川博一教授(犯罪心理学)は「職場のストレスは犯行のきっかけに過ぎない。弱者ばかりを狙うのは、過去の虐待などで心理的、肉体的に苦しみを背負っているケースが多い。成育歴を調べて動機を徹底解明し、刑務所内では、精神的に問題がある人の更生プログラムを取り入れるなどの対策が急務」と話している。(横田加奈、上田真央)」


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by medical-law | 2011-08-26 10:10 | 医療

反社会的勢力の力を借りてもめごとを解決すると・・・

b0206085_0474024.jpg最初にお断りしておきますが,以下に述べることは,或る芸能人のことではありません.

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反社会的勢力の力を借りてもめごとを解決しようと考える人がたまにいますが,それは結局その人のためにならない,と思います.
反社会的勢力は,そのもめごとを解決することで売った恩を,いずれ返してもらおうとするでしょう.ただでさえ恩義がある人からの頼みは断りにくいのに,相手が反社会的勢力となれば尚一層断りにくいでしょう.反社会的勢力といったん関係をもってしまうと,それが弱みになって,警察に通報するなどの普通の対応がとりにくいということもあるでしょう.
ということで,反社会的勢力の力を借りてもめごとを解決すると,後にそれ以上の不利益を被ることになりかねません.

また,反社会的勢力を味方につけたことで,自分が強くなったと錯覚を起こし(虎の威を借る狐状態),また規範意識が知らず知らずのうちに歪んでくることもあります.
それも,人間として大変な損失です.

法的な解決手段は,反社会的な勢力の力を借りての解決に比べ,安全,安心です.
法の力で紛争を解決することは,大きな価値があることだと私は思います.

司法は医療に介入すべきではない,などという主張をきくことがあります.
しかし,法の支配が医療に及ばないとすれば,医療は「泣き寝入り」と「仇討ち」に二極化された無法地帯になります.人権が侵害されても救済されないことになります.
患者にとっても医療者にとっても,法による解決は,利益であり,必要なことだと思います.

弁護士は,反社会的勢力を利用することはありませんし,また利用されることも望みません,
ただ,弁護士は,反社会的勢力に属する者でも,被害者として人権が侵害されている者であれば,そして法的手続きによる解決を希望するのであれば,法的手続きで解決するために力を惜しむことはありません.それが法による解決だからで,それが弁護士の職務だからです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-26 00:38 | 司法

第12回薬害根絶デー,薬被連が文部科学大臣に対し要望書提出

b0206085_19303952.jpg全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)は,平成23年8月24日,厚生労働大臣だけではなく,文部科学大臣にも,次の内容の要望書を提出しました.

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公教育(小・中・高)に関して,さまざまな医療情報開示請求の権利があること,患者や被害者を救済する制度があることを公教育の中で伝える,「公害」と併記する形で「薬害」を記載すること等を要望しています.

専門教育に関して,薬害被害者の声を直接聞く授業の推進,医学・薬学教育等の問題を議論する文部科学省の審議会や検討会に薬害被害者らが委員として参加すること等を要望しています.
さらに,国立大学に勤務する医師らによりインターネット上で薬害被害者や医療被害者に対し事実と異なる偏見や誹謗中傷が頻繁に書き込まれることを防止するための具体的な対策,昨年度の5点の要望の結果と今後の対応について,明らかにするよう要望しています.

国立大学法人付属病院に関して,薬害被害者や医療被害者の声を直接聞く職員研修を行うこと,高額の手数料などカルテ開示の障害を取り除くこと等を要望しています.

要望書の内容をご紹介いたします.

<文部科学行政全般に関して>

【1】繰り返されている薬害被害の根絶には、適切かつ的確な文部科学行政が必要です。そのためには<別紙>の要請書の通り、文部科学大臣ご自身に薬害の実情を認識して頂くことが欠かせません。
2006 年より、薬害根絶デーに大臣ご自身に原則としてご出席いただき、私たち薬害被害者の声を直接聞くことで、薬害再発防止等に努めて頂きました。今年も大臣ご自身の出席をお願いいたします。

<公教育(小・中・高)に関して>

【1】平成21 年12 月公表の高等学校学習指導要領解説の公民編の「消費者に関する問題」の中で「薬害問題などを扱い、行政や企業の責任にも触れるようにする。」という記載がされましたが、医療消費者教育では、医療情報に対して、さまざまな情報開示請求の権利があることを伝えることが必要です。このことに関する教育の推進を学習指導要領の解説に明記して下さい。

【2】医薬品の副作用被害救済制度などのように患者や被害者を救済する制度があることを、中学や高等学校の保健体育の学習指導要領解説に記載するなどして、公教育の中で伝えて下さい。

【3】私たちは、中学校・高等学校の教科書に、被害者の視点に立った薬害の歴史や、消費者の視点に立った健全な医療消費者教育をすすめるための記述がされることが大切であると考え、学習指導要領の中で「公害」と併記する形で「薬害」を記載するよう要望を続けてきました。2006 年2月28 日の国会で、民主党の議員の粘り強い質問によって、当時の文部科学大臣がそのことに対して前向きな答弁を得ることができましたがいまだに実現していません。次回の改訂での実現を約束して下さい。

【4】これまでの交渉を受け、今春に「薬害って何だろう?」の教材が全国の中学3年生に配布されました。これがどのように教育現場で活用されているかを把握すると共に、この教材に対する生徒や教員の声を集め、教材の効果的な活用実践例などについても収集し現場にフィードバックして下さい。


<高等(専門)教育に関して>

【1】ここ数年間、毎年度まとめて頂いている「薬学問題に対する各大学の取り組み状況」について今年度も最新の状況を明らかにして下さい。薬害を知らない医療従事者がつくられてしまわないよう、すべての大学において、薬害被害者の声を直接聞く授業を実施して、適切な医療倫理・人権学習等がなされていくよう要望していますが、近年、実施率が伸び悩んでいます。実施した大学では、効果が高かったことが報告されていることから、この「取り組み状況」の把握を受けて、実施しない大学に対して至急対策を講じて下さい。特に、医学部、看護学部での実施率を高める方策を提示して下さい。
また、薬害は一つではないので、複数回にわたり、さまざまな被害者の声を聞く授業を実施することも推進し、被害の実情を知ることから、今後、被害を繰り返さないための高等教育を進めて下さい。

【2】厚労省やその外郭団体は薬害や医療被害者の体験や思いを生かすべく、医療に関わる審議会や検討会に被害者の委員を多く採用しています。医学・薬学教育等の問題を議論する文部科学省の審議会や検討会においても、薬害被害者らが委員として参加できるようにして下さい。特に、医学・歯学・看護学・薬学等のモデル・コア・カリキュラム改訂に関するそれぞれの委員会に、薬害や医療被害の再発防止を願い活動している薬害被害者が委員として参加できるようにして下さい。

【3】近年、医学生だけでなく、国立大学に勤務する医師らにも、インターネット上の掲示板やブログなどで、医師による薬害被害者や医療被害者に対する、事実と異なる偏見や誹謗中傷が頻繁に書き込まれることが繰り返されていることを強く危惧しています。文科省としても大変憂慮している旨の回答がなされましたが、このようなことを防止するための具体的な対策について明らかにして下さい。

【4】昨年度、モデル・コア・カリキュラムに関して改訂に関して、『(1)薬害や医療被害の歴史と事実経過、その背景や真相などを、再発防止と強く願う被害者の視点からしっかりと伝える。(2)事実ではない情報を発信したり、そのような情報に惑わされたりしないように、薬害等の事例における偏見や差別の歴史を伝える。(3)医療情報の公開、開示、共有の歴史的経過や意義を、被害防止の観点からしっかりと伝え、情報リテラシーを高める。(4)医学を根拠に仕事をする者としての学問的良心、人間を相手にする仕事をする者としての職業的良心を大切にする価値観を育てる。(5)患者、社会的弱者、薬害・薬の副作用・医療事故被害者らを救済する制度を伝え、救済の役割を担えるようにする。』の5点について要望しました。また、具体的に、「医療における安全性確保」の「医療上の事故等への対処と予防」の項目に、『○薬の副作用と薬害の違いを説明できる。また、それぞれの薬害について、その原因と被害の実態について正しく説明できる。○薬害の被害者が差別や偏見の対象となってきた歴史を説明できる。○インターネット上で医師による被害者への誹謗中傷、デマの流布、個人情報の暴露などの事件が起こった事実と背景を説明でき、適切な情報リテラシーを身につける。○カルテ開示、レセプト開示、診療明細書の発行などの医療情報の開示が、薬害や医療事故被害者らによる被害の再発防止を願う思いから進んできた事実とその意義を説明できる。○薬の副作用被害者や薬害被害者・医療事故被害者やその遺族に、事実を隠さず情報提供すること、被害者に救済制度の活用を促すこと、被害の報告をし再発防止に努めることのそれぞれの重要性を説明し実行できる。』の5点の記載を要望しました。その結果と今後の対応について明らかにして下さい。

<生涯学習に関して>

【1】2006 年の交渉を受け、(財)人権教育啓発推進センターが発行するパンフレットに「エイズと人権」「エイズと薬害」の項目を入れていただきました。その際に、今後は新たに消費者教育の観点から、ひろく薬と薬害や医療の問題をテーマにしたパンフレットの作成に前向きな形で考えたい旨の発言がありましたが、いまだに実現していません。このことの具体案を提示して下さい。

【2】生涯教育の中で薬害問題の教育等を推進することの重要性について周知させる旨のお話しがありました。消費者教育としての薬害の構造や、人権教育としての薬害被害者への差別・偏見の歴史について、公教育で始まった薬害に関する教育と連動する形の具体案を提示して下さい。

<国立大学法人付属病院に関して>

【1】毎年、国立大学法人付属病院で、薬害被害者や医療被害者の声を直接聞く職員研修を積極的に実施するよう要望し続け、実施を働きかける旨の前向きな回答を頂いてきましたが、実際はほとんど行われていません。このような職員研修が結果として広がるための具体策を示して下さい。

【2】全国の医療機関の模範となるべき国立大学法人付属病院において、カルテ開示請求ができる旨を病院がどのように知らせているかなど、医療情報の共有に向けた取り組みの仕方について調査して下さい。また、本人及び遺族からカルテ開示請求はどれくらいあったか、さらに、非開示事例があれば、その内「診療への支障」を理由にしたものについては、請求者がそのことについて納得しているか否かについても調査して下さい。

【3】近年、大学附属病院におけるカルテ開示の請求の際に法外な手数料を請求されたり、コピー代を実費よりもかなり高く請求されたりするなどの事例があり、医療情報の開示や共有を妨げる要因となっています。各大学附属病院におけるカルテ開示請求の際の手数料やコピー代の値段について調査し、その結果を明らかにして下さい。また、その結果、カルテ開示請求を妨げるような価格を設定している大学附属病院に対しては、良識的な価格設定にするよう改善指導をして下さい。

【4】薬害肝炎事件では、カルテやレセプトの保管期間が過ぎてしまった患者の多くが投与された血液製剤の製品名を知ることができませんでした。また、知らない間に点滴の中に入れられていた陣痛促進剤による事故が繰り返されてきた歴史もあります。これらの問題を防ぐために、薬害被害者らの声によって、2010 年4 月から、DPCの中身も含め医療費の中身を詳しく記した診療明細書の全患者への無料発行が原則として義務付けられました。全国の医療機関の模範となるべき大学附属病院で、原則として全患者に診療明細書を発行しているか否かを調査し、窓口で患者に対し「診療明細書が必要か否か」を聞いたり、発行願いの申請文書を出させるなど、診療明細書の発行にハードルを設けている病院があれば、改善指導をして下さい。」


谷直樹
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by medical-law | 2011-08-25 19:06 | 医療