弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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新潟県立新発田病院,ガーゼ17年間遺残事故を発表

b0206085_17592097.jpg◆ 報道

新潟日報「体内にガーゼ17年間、手術時に残す 県立新発田病院」(平成23年9月30日)は次のとおり報じています.

「県立新発田病院(矢沢良光院長)は30日、下越地方在住の70代男性患者の体内に、手術で使ったガーゼが約17年間にわたって残るミスがあったと発表した。

 同病院などによると、患者は1994年1月に同病院で肝臓部分の切除手術を受けた。ことし7月、CT検査で肝腫瘍があることが分かり、9月上旬に手術をした際、ガーゼが残っていたことが発覚した。男性はすでに退院している。」


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◆ 感想

日本医療機能評価機構は,平成23年8月30日,「医療事故情報収集等事業 平成22年年報」を公表しました.
昨年1年間で報告された再発・類似事例は,「体内にガーゼが残存した事例」が30件で最も多かった,とのことです.
ガーゼ遺残事故を減らすように徹底する必要がありますし,事故が発生した場合には適正な補償が必要と思います.

少し古いですが,雑誌『患者のための医療』の「医療事故情報」(高田宗明・藤田康幸編)に掲載されていたガーゼ関連の事故は,以下のとおりです.
判決は35万円の鹿児島地裁判決から約470万円の東京地裁判決まで,示談は10万円の名古屋市立城西病院から700万円の枚方市民病院まで,様々です.

■判決:東京地裁 2001-11-27
(事故:東京/聖路加国際病院 1996-01)
 帝王切開でガーゼ置き忘れ。認容額約470万円

▲事故:新潟/県立新発田病院 2002-03
  ◇産婦人科の開腹手術、ガーゼの置き忘れで再手術。

▲事故:福井/福井医科大学病院 2000-08
 鼻の手術でガーゼを置き忘れ、1年間も患者の訴えを無視

■判決:鹿児島地裁H14.5.8
(事故:鹿児島/鹿児島市立病院 1999-08-01)
 緊急帝王切開手術を受けた際にガーゼを置き忘れ。慰謝料請求。請求認容(35万円)

▲事故:広島/広島大学病院 2001-05-24
 右頬部の髄膜腫摘出術でガーゼを置き忘れ、再手術

▲事故:岡山/岡山大学病院 2000年、2001年
 局所麻酔薬誤注射と体内ガーゼ置き忘れの2件の医療ミスが判明

●示談:2002(事故:兵庫/市立伊丹病院 1985)
 17年前の手術でガーゼを置き忘れ。慰謝料支払(約130万円)

●示談:2002(事故:大阪/泉大津市立病院 1999-03、1999-08)
 2人の患者の体内にガーゼを残すミス。示談成立(計500万円)

●示談:(事故:愛知県/名古屋市:市立城西病院 2002-03-15)
 子宮筋腫摘出術で腹腔内にガーゼを置き忘れ。処分。示談成立(示談金10万円)。

●示談:2002-08-02
(事故:神奈川県/横浜市:横浜市立大学病院 1996)
 心臓手術時にガーゼを遺残。示談成立(示談金約160万円)。

▲提訴:大分地裁 2002-08-17
(事故:大分県/大分市:大分赤十字病院 1998-09)
 手術でガーゼを腹腔内に遺残、病院を提訴。

▲提訴:東京地裁 2002-10-09
(事故:東京都/渋谷区・日本赤十字社医療センター(当時・日赤中央病院)1949-04)
 52年前の手術で体内にガーゼ2枚を置き忘れ。損害賠償を求めて提訴。

▲事故:富山県/高岡市・済生会高岡病院 2001-09
 肩の手術でガーゼの置き忘れ。謝罪、補償へ。

▲事故:新潟県/長岡市・長岡赤十字病院 1991-01
 腹腔内膿瘍手術でガーゼ発見。11年前の直腸手術時に遺残。

●和解:大阪地裁(2003-02-25まで)
(事故:大阪府/枚方市民病院 1995-05)
 ガーゼ置き忘れ、700万円で和解。

●示談:(2003-02-05まで)(事故:宮崎県/延岡市・県立延岡病院 1998-10)
 腹部手術で13年間ガーゼ遺残。335万円で示談。

●示談:(2003-02-21まで)(事故:兵庫県/城崎郡・公立香住総合病院 1993-05)
 手術でガーゼ置き忘れ、9年後に判明。約200万円で示談。

●示談:(2003-02-25まで)(事故:岐阜県/大垣市民病院 1987-05)
 14年間置き忘れたガーゼを放置。謝罪、200万円で示談。

●示談:(2003-02-28まで)(岐阜県/県立岐阜病院 1994、1998、2001)
 4件の腹腔内ガーゼ遺残事故。謝罪。示談。

▲事故:鳥取県/鳥取大学病院 1991
 開腹手術でガーゼの置き忘れ。

▲事故:秋田県/北秋田郡比内町・町立扇田病院 2001-01-23
 手術でガーゼを置き忘れ。謝罪。

▲事故:山梨県/山梨厚生病院 2003-04-21
 胆のう摘出術でガーゼ遺残、翌日再手術。

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-30 17:04 | 医療事故・医療裁判

土岐市立病院,腹腔鏡手術で総胆管を切断し,仮性動脈瘤が破裂して死亡した医療事故で和解

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岐阜新聞「医療事故800万円賠償 土岐市、市立病院で術後に死亡」(平成23年9月30日)と報じています.

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「土岐市は29日、市立総合病院で今年2月6日に瑞浪市の70代の女性に腹腔鏡手術をした際、誤って総胆管を切断、その後死亡する医療事故があった、と発表した。遺族と損害賠償金800万円を払うことで和解することになった。

 同病院によると、女性は胆石胆のう炎と診断され、胆のう摘出手術を受けた。その際、誤って総胆管を切断、開腹手術に切り替えてつなぎ合わせたという。2月下旬に肝動脈付近に血液がたまる仮性動脈瘤(りゅう)が見付かり、せんをしてふさぐ手術をしたものの、3月1日に同動脈瘤が破裂し、女性は大量出血のため翌日死亡した。

 同病院は「誤って総胆管を切断したこと、さらにその後の手術が動脈瘤の形成につながったことを否定できない」としている。

 29日の市議会で、損害賠償金を支払うための議案を可決した。」


死亡事故で800万円ですが,遺族が求めるものは賠償金とは限りませんので,当事者が納得して解決できたことの方が大事だと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-30 15:40 | 医療事故・医療裁判

芥川龍之介氏『煙草と惡魔』

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「煙草は、本來、日本になかつた植物である。では、何時頃、舶載されたかと云ふと、記錄によつて、年代が一致しない。」

芥川龍之介氏の短編『煙草と惡魔』の冒頭です.

「煙草は、惡魔がどこからか持つて来たのださうである。・・・よし又それが嘘にしても、その嘘は又、或意味で、存外、ほんとうに近い事があるかも知れない。―自分は、かう云ふ考へで、煙草の渡來に關する傳說を、ここへ書いて見る事にした。」

として,煙草渡來に關する傳說を書き記すわけですが,
「煙草は、惡魔がどこからか持つて来た」 
これは説得力がありますね.

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by medical-law | 2011-09-30 04:59 | タバコ

神戸地裁平成23年9月27日判決(ベリタス病院看護師のアラームへの対応の遅れ)

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◆ 事案

患者(24歳,男性)は脳などに障害があり,平成19年5月に肺炎治療のため晋真会が運営するベリタス病院に入院しました.
同年7月14日早朝,患者の気道を確保する装置がずれてアラームが鳴りましたが,夜勤の看護師3人は他の業務に従事しており、すぐに対応しませんでした.患者は呼吸が停止して意識がなくなり,翌年5月に死亡しました.

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◆ 判決

晋真会側は「看護師の業務は多様で複合的。アラームへの対応の遅れが過失ということにはならない」などと主張しましたが,判決は,アラームへの対応が人命に関わる場合があると指摘してその主張を退け,アラームの対応を優先すべきだった,と過失を認め、同会に2250万円の賠償金支払いを命じました.

毎日新聞「損賠訴訟:川西の医療法人に2250万円賠償命令 過失を認定--神戸地裁 /兵庫」(平成23年9月28日)ご参照

◆ 感想

アラーム音にすみやかに対応しないと,アラームの意味がありません.
看護師には,命にかかわる場合があるアラーム音発生にすみやかに対応するという注意義務があります,
他の業務があることもわかりますが,少なくともなぜアラームがなったかの確認を行わないと,他の業務の方を優先すべきであると判断することはできないはずです.
アラームが鳴った原因を調べるという程度の対応は,最小限必要です.
本件の看護師は,業務の優先順位の判断を誤ったものと考えられます.

モニターのアラーム関連事故は,結構,報告されています.
日本看護協会の2009年11月27日のセミナーによると,事故報告書が2件,新聞記事(1997年-2007年)が17件あったとのことです.
心電図,人工呼吸器等のアラームが頻繁に鳴ることで,関心が薄れ,ときには確認を怠ることもあります.このような看護の実態は,注意義務違反を免責するものではありません.
本件にような結果が生じると,注意義務違反の責任を問われます.
日本看護協会は,平成22年に「一般病棟における心電図モニタの安全使用確認ガイド」を発表しています.その中には,「アラーム鳴動時の適切な対応体制」も記載されています.
モニター番を設けている病院もありますし,臨床工学士によるモニターアラームコントロールチームを設け,本当に必要なアラームを逃さないようにしている病院もあります.
判決を機に,再発防止を御願いしたいと思います.

「看護業務をめぐる法律相談」(新日本法規社)の拙稿「適切なモニター監視を怠ったことによる事故の責任は」612頁ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-29 09:35 | 医療事故・医療裁判

東京地裁平成23年.9月28日判決(銀座眼科レーシック感染事件,業務上過失傷害罪で禁固2年)

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◆ 事案

銀座眼科元院長医師溝口朝雄さんは,平成20年9月から21年1月,医療器具の滅菌など基本的な注意義務を怠たり,レーシック手術を行い,患者7人に細菌性角膜炎を発症させました.患者には不正乱視などの後遺症が残りました.

◆ 判決

近藤宏子裁判官は,「単に面倒くさいといった理由から手術前の手洗いを怠ったり、経費を惜しんで取り換え式の刃を使い回したりした」「被害者は失明の恐怖にさいなまれ、人生を狂わされた。刑事責任は誠に重い」として,溝口朝雄さんに禁錮2年(求刑禁錮3年)の実刑判決を言い渡しました.

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◆ 報道

msn産経「レーシック手術集団感染 銀座眼科元院長に禁錮2年判決 東京地裁」(平成23年9月28日)はつぎのとおり報じました.

近視矯正のレーシック手術で患者7人に感染症を発症させたとして、業務上過失傷害罪に問われた銀座眼科(閉鎖、東京都中央区)元院長で医師、溝口朝雄被告(49)の判決公判が28日、東京地裁で開かれた。近藤宏子裁判官は「被害者は失明の恐怖にさいなまれ、人生を狂わされた。刑事責任は誠に重い」として、溝口被告に禁錮2年(求刑禁錮3年)を言い渡した。

 近藤裁判官は溝口被告が手術の際、刃の交換や手袋の装着を行わなかったことについて、「多額の負債を抱える中で経済的利益を優先させ、時間のかかる丁寧な洗浄や滅菌を怠るようになった」と指摘。「発症者が出た後も対策を講じず、約3カ月半にわたり被害を拡大させた」と非難した。

 判決によると、溝口被告は平成20年9月から21年1月、衛生管理を徹底せずにレーシック手術を行い、東京都内に住む男性ら20~50代の7人に細菌性角膜炎を発症させた。

 被害者弁護団によると、起訴内容に含まれなかった被害者は100人を超えるとされ、うち55人が溝口被告に計4億円以上の損害賠償を求め、東京地裁に提訴している。

 溝口被告は公判で「医師として社会復帰し、被害者への賠償に努めたい」と話していた。

 元患者らは判決後、厚生労働省に溝口被告の医師免許取り消しを求める要望書を提出。東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた会見で、元患者の加藤清香さん(30)は「手術時に手を洗うこともできない人に、医師が務まるのか」と怒りをあらわにしていた。


◆ 感想

医療過誤で実刑判決が確定したのは,造影剤誤投与事件の静岡地裁昭和39年11月11日判決,東京高裁昭和40年6月3日判決,塩化カリウム液ワンショット投与事件(宇治川病院事件)の京都地裁平成17年3月14日判決,京都地裁平成17年6月13日判決,大阪高裁平成18年2月2日判決くらいです.

本件は,基本的な注意義務を継続的に怠り,重大な結果を広汎に発生させたことなどを考えると,適正な判決と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-29 06:12 | 医療事故・医療裁判

国立がん研究センター東病院,臨床検査部が試薬の誤使用を医師らに伝えず

b0206085_10522055.jpgmsn産経 「ずさん!腫瘍マーカー誤検査 がんセンター東病院で627件 厚労省聴取」(平成23年9月28日)は,次のとおり報じています.
 
「国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の臨床検査部で、平成21年までの4年間にわたり、がんの発生を確認する「腫瘍マーカー検査」に使う「試薬」に、本来使うべきものとは異なるものを使用、少なくとも627件の検査が行われていたことが27日、関係者への取材や内部資料から分かった。誤った検査結果は、そのまま医師に伝えられており、その後の患者に不必要な検査などを強いた可能性がある。厚生労働省は同病院から事情を聴き始めた。病院が立地し、調査権限を持つ柏市も立ち入り検査を検討している。

 関係者によると、臨床検査部内では試薬の誤使用を19年の時点で把握していたにもかかわらず、事態を公表することなく、さらに2年間同じ試薬を使用し続けていた。他にも、検査結果が正常か異常かを判断するための「基準値」が、複数にわたり誤って設定されて運用されていたことも判明。がん治療の拠点病院がずさんな検査をしていたことで、原因究明などが求められそうだ。

 腫瘍マーカーは、がん発生の有無を調べる検査の一つ。試薬は、がんの疑いのある人から採取した血液成分を検査する際に使う。

 今回の誤使用は、がん発生時に体内で増加する「βHCG」と呼ばれる成分を検出する腫瘍マーカー検査の過程で起きた。臨床検査部では、βHCGを単独検出する目的で行う検査にもかかわらず、βHCG以外の成分まで検出する試薬を使用。がんではない人にも「がんの疑いがある」とする検査結果が伝えられていた可能性があるという。

 19年に院内の他部から、他の検査の結果の不正確さの指摘があり、臨床検査部で調査した結果、試薬の誤使用を把握。17年から19年の時点までに計627件の誤使用が判明した。試薬名が似ていたことが誤使用の原因となったようだ。

 しかし、同部では問題発覚後も、医師らに誤使用の事実を伝えなかった。当時の関係者は「発覚によって騒ぎが大きくなるのを恐れた」と話している。誤使用は、病院が腫瘍マーカー検査を外部委託する21年まで継続していたという。

 臨床検査部ではこれ以外にも、一般的な血液検査をめぐり17~19年にかけて「基準値」の設定を誤って運用するなど、ずさんな検査を実施していた。

 がんセンターは「過去に東病院で問題があったことは聞いているが、具体的な内容は不明なので調査したい。現在は適正な検査態勢にある」と話している。」


臨床検査部がミス続きなのも問題ですが,それ以上に,臨床検査部が医師らに誤使用の事実を伝えなかったことは,大きな問題でしょう.騒ぎが大きくなるのを回避したいという感覚では,いつまでたっても改善しないでしょう.
今後の調査に期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-28 10:46 | 医療事故・医療裁判

効かなかった薬の費用は誰が負担するのか~イタリアの例

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薬が効くか効かないかは,実際に患者に使ってみなければ分からない,そのような薬があります.
日本では,薬が効かなかった症例でも,普通に健康保険が使われています.

欧州では,保険適用(保険償還)の段階で,費用対効果の評価を行うのが普通になっています.とくに,イタリアは,効かなかった薬の費用リスクを製薬企業に共有させることに積極的です.

イタリアでは,たとえば,アストラゼネカの非小細胞肺がん治療剤ゲフィチニブ(イレッサ)やノバルティスAGの腎がん治療剤エベロリムス(アフィニトール)などは,効かなかった症例では全額企業負担となる(保険償還しない)という契約が結ばれています.
効いたか効かなかったは関係者の重大な関心事となり,必然的に,注意深い患者のモニタリングとフォローアップが求められることになります.

効かなかった薬の費用は誰が負担すべきか,日本でも考えてみたい問題です.

薬害オンブズパースン会議の注目情報「イタリアが欧州の条件付きの保険償還への急進な動きをリードしている」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-28 09:06 | 医療

JA秋田厚生連山本組合総合病院の医師,患者への強制わいせつ容疑で逮捕される

b0206085_941267.jpgJA秋田厚生連山本組合総合病院の医師が,医師の立場を利用して13歳未満の被害者3人(小学生1人と未就学児2人)を裸にし,ビデオカメラ内蔵の腕時計で聴診器を当てる際に盗撮していた,とのことで.強制わいせつ容疑で逮捕されました.

この医師は,温泉施設で入浴中の8歳の女児を盗撮し起訴されています.
温泉施設での盗撮も犯罪ですが,医師の立場を利用したわけではありません.
しかし,診察室で,医師の立場を利用した上記の行為は,「強制わいせつ」にあたり,「6ヶ月以上10年以下の懲役」という重い罪になります.

医師の指示で衣服を脱いだ幼い被害者患者の心の傷を考えると暗澹たる気持ちになります.本当に何かの間違いであってほしいと願います.

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◆ 毎日新聞強制わいせつ容疑:女児の裸を盗撮 医師を再逮捕 秋田」(平成23年9月27日)は,次のとおり報じています.

「診察中に患者の女児の裸を盗撮したとして、秋田県警生活安全企画課と能代署は27日、同県能代市落合の医師、××××被告(26)=県迷惑防止条例違反罪で起訴=を強制わいせつ容疑で再逮捕した。

 逮捕容疑は4~7月に3回、JA秋田厚生連山本組合総合病院(同県能代市)の診察室で、来院した13歳未満の女児3人(小学生1人と未就学児2人)の裸を、動画撮影機能付き腕時計で撮影したとしている。付き添いの親や看護師も室内にいたが気づかなかった。「小さい女の子の体に興味があった」と容疑を認めているという。

 ××容疑者は10年4月から、研修医として同病院に勤務。先月21日に温泉施設で女児の裸を撮影する動作をしたとして逮捕、起訴された。押収した鈴木容疑者のパソコンから、女児の裸が映った動画が多数見つかり、同課などが余罪を追及していた。【加藤沙波】」



◆ 読売新聞診察室でも女児の裸盗撮…26歳医師を再逮捕」(平成23年9月27日)は,次のとおり報じています.

「秋田県警能代署は27日、山本組合総合病院(秋田県能代市)の医師・××××被告(26)(県迷惑防止条例違反で起訴)を強制わいせつの疑いで再逮捕した。

 発表によると、××被告は今年4~7月、同病院の診察室で、診察した13歳未満の女児3人の裸をビデオカメラ内蔵の腕時計で盗撮した疑い。

 ××被告が、医師の立場を利用して、13歳未満の被害者を裸にしていたことから、同署は強制わいせつ容疑で逮捕した。××被告は「小さな女の子の裸に興味があった」と供述しているという。

 ××被告は、県内の温泉施設の男湯で父親と入浴中の女児(当時8歳)を盗撮したとして県条例違反の疑いで8月に逮捕され、起訴されていた。捜査過程で××被告のパソコンから上半身裸の女児ら十数人の動画が見つかり、3人の身元が特定できた。腕時計をした手で胸に聴診器を当てる際に盗撮していたという。」


谷直樹
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by medical-law | 2011-09-28 00:52 | 医療事故・医療裁判

タバコ増税,日本たばこ産業の本音と建前

b0206085_9253013.jpg日本たばこ産業(JT)の志水雅一副社長は,9月27日,「たばこを増税しても安定財源になり得ない。昨年、大幅増税したばかりで総需要低下が加速する」と述べ、改めて反対を表明しました.自民党の「たばこ特別委員会・農林部会合同会議」に出席し増税反対を表明しました.

msn産経 「「たばこ増税しても安定財源にならず」 JT副社長が反対訴え」ご参照

しかし,このJTのタバコ増税反対は,建前であって,本心ではないでしょう.
タバコの販売本数は,値上げしなくても,毎年漸減しています.
JTは,タバコ増税に便乗してタバコの価額を値上げし,本数減少以上に販売収益を増やしてきました.
ですから,JTの本音は,タバコ増税賛成なのです.

JTは,便乗値上げを認めてもらうための布石として,タバコ増税反対のポーズをとっているだけなのだと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-28 00:03 | タバコ

静岡地裁平成23年9月27日判決(遠州総合病院,生検術についての説明義務違反)

b0206085_9344712.jpg◆ 事案

遠州総合病院(現JA静岡厚生連遠州病院)で,頭部に腫瘍があると診断された患者(26歳,男性)が,同院で,2006年5月に鼻から内視鏡を入れて腫瘍組織を採取する「生検術」を受けた際,内頸動脈損傷によりクモ膜下出血を起こしました.
四肢機能を完全に失い,発語することはあるがコミュニケーションをとれず,生涯にわたり介護が必要な状態になりました.

◆ 判決

判決は,腫瘍を揺り動かしたことで,間接的に内頸動脈を損傷し,でクモ膜下出血を起こしたと認定しました.
判決は,生検術自体の過失や具体的な予見可能性は認めせんでした.
術者の注意で内頸動脈損傷を避ける方法がない上,担当医も危険性を認識するなど抽象的な予見可能性はあったと判断し,危険が現実化した場合の結果の重大性にかんがみ,その危険について説明すべきだったとし,説明義務違反を認定し,220万円の賠償金の支払いを命じました.

中日新聞「医療過誤、遠州病院に賠償命令 「説明義務違反」で220万円」(平成23年9月27日)ご参照

◆ 感想

検査の適応はありますし,具体的な手技にミスがなければ,注意義務違反に基づく責任は否定されます.ただ,注意義務違反が否定されても,このように説明義務違反が認定されることがあります.
重大な結果が生じ得る可能性がある場合は,患者には検査を受けか受けないかの選択権(自己決定権)がありますので,患者に危険性を説明することが必要です.
このような事案を救済するためにも,無過失補償制度を早く立ち上げてほしいですね.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-27 19:56 | 医療事故・医療裁判