弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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大野若菜さんのヒンデミット

b0206085_8511872.jpgヨハネス・ブラームス国際コンクールで,9月9日,ヴィオラ部門の決勝が行われ,東京芸大付属音楽高校3年の大野若菜さんが優勝したことが,ビッグニュースとして報じられていました.

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そこで,動画を探してみると,「ヒンデミット:無伴奏ヴィオラ・ソナタ 作品25-1 ~第4楽章」がアップされていました.

2011年1月10日,小樽市民センター・マリンホールで開催された「ヴィオラブーケ・コンサート~若き音楽家たちが奏でる色とりどりの小品集」からの動画だそうです.

退廃音楽としてナチスの弾圧を受けたヒンデミットですが,もともとヴィオラ奏者でもあり,そのヴィオラソナタ3曲と無伴奏ヴィオラソナタ4曲は,ヴィオラの重要なレパートリーになっています.
とくに,無伴奏ヴィラソナタ作品25の1の第4楽章(Hindemith solo viola sonata op. 25, 4th movement )は有名です.

大野さんの演奏を聴いてみると,これが実にいいのです.
堂々としていて,ヴィオラの強靱さ,音楽の構築が前面にでています.
弾ききった後,どや顔をし,大きな歩幅で退場するところはご愛嬌です.

大野さんの演奏は,ブラームスも含めて,いろいろ聴いてみたいですね.

なお,全日本学生音楽コンクールで予選落ちしましたが,ヴァイオリンの岸本萌乃加さん(大野さんと同学年)も期待の星です.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-19 08:11 | 趣味

10月2日,群馬県教育会館で,ハンセン病国家賠償訴訟判決から10年の記念集会

b0206085_1927834.jpg平成23年10月2日午後2時から,群馬県教育会館で,「群馬・ハンセン病訴訟を支援し,共に生きる会」主催の記念集会が開かれます.
谺雄二さんの「人権のふるさとを創る~ハンセン病療養所の将来構想について」と題する講演があります.
入場無料,事前申し込み不要です.
お近くの方は是非ご参加を!

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東京新聞「ハンセン病国家賠償訴訟判決から10年  回復者の谺さんが講演」(平成23年9月15日)は,次のとおり報じています.

「ハンセン病差別に対する国の責任を認めた二〇〇一年の歴史的な国家賠償訴訟判決から今年で十年を迎え、記念集会が十月二日、前橋市大手町の県教育会館で開かれる。全国原告団協議会長を務める草津町の国立療養所「栗生(くりう)楽泉園」の回復者、谺(こだま)雄二さん(79)が差別と人権をテーマに講演する。

 この訴訟は回復者たちが一九九八~九九年、旧らい予防法に基づいて各地の療養所で強制隔離され、著しく人権を侵害されたとして、熊本地裁などで起こした。同地裁は二〇〇一年五月、患者の女性に強制した中絶などを「非人道的」と非難。「一九六〇年には隔離規定が人格権を定めた憲法に違反することは明白」と国の責任を認め、国に総額約十八億二千万円の支払いを命じ、確定した。

 谺さんは七歳で発病。母親と兄も発病し、東京の療養所に入所して強制労働させられた母親は終戦直前、餓死同然で亡くなった。兄もその数年後に死亡した。東京の療養所へ面会に来た父親は「ここは人間の住む所じゃない」と一時は家族を連れ戻したという。

 記念集会は県内の支援者ら約四百五十人で組織する「群馬・ハンセン病訴訟を支援し、ともに生きる会」(高崎市)などの主催。午後二時から、ハンセン病を学ぶ高崎健康福祉大(同)の学生たちがメッセージを発表するなどした後、谺さんが「人権のふるさとを創る~ハンセン病療養所の将来構想について」と題して講演する。

 同会の吉幸(よしこう)かおる事務局次長(77)は「回復者が高齢化する中、人権侵害の歴史を二度と繰り返さないように問い直したい」と来場を呼び掛けている。入場無料。事前予約は必要ない。 (菅原洋)」


谷直樹
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by medical-law | 2011-09-18 19:12 | 医療

日本口腔インプラント学会,インプラント治療を行う際に歯科医師が注意すべきチェックリスト作成へ

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NHK「インプラント 注意点リスト作成へ」(平成23年9月18日)は,次のとおり報じました.

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「あごの骨に金具を埋め込んで人口の歯を取り付けるインプラント治療を巡って、トラブルが後を絶たないことから、専門の歯科医師などで作る学会は、安全対策として、患者に持病がないかどうかなど治療の際に注意すべき点をまとめたチェックリストを作ることになりました。

インプラント治療は、入れ歯などよりも自分の歯に近い感覚を持てるとして、歯を失ったときの治療法に選ぶ人が増えていますが、トラブルが後を絶たず、先月には都内の歯科医師が業務上過失致死の疑いで書類送検されています。

こうした状況を受けて、専門の歯科医師などで作る「日本口腔インプラント学会」は、安全対策に取り組もうと、インプラント治療を行う際に歯科医師が注意すべき点をまとめたチェックリストを作ることになり、17日に名古屋市で開かれた学術集会で素案を示しました。
素案には、▽治療の前に、患者に糖尿病や骨粗しょう症、金属アレルギーなど、治療の障害となる持病がないかどうかを確認することや、▽患者が手術や管理の具体的方法とその経済的負担について正しく理解しているかどうかを確認すること、などが盛り込まれています。

日本口腔インプラント学会は年内をめどにチェックリストをまとめ、公表することにしています。学会の常務理事の大阪大学歯学部の前田芳信教授は「チェックリストをきっかけに、より安全で安心な体制を作っていきたい」と話しています。」


インプラント治療関連の医療事故が何件あるかは,調査公表されていませんが,インプラント治療を巡ってトラブルが後を絶たないことは間違いないでしょう.
業務上過失致死の疑いで書類送検された歯科医師の例は,特殊な1例ではなく,氷山の一角の可能性があります.

事故が起きたあとは賠償の問題になりますが,賠償は金銭的な解決にすぎません.
事故を起こさないための体制をつくることが重要です.
チェックリストはその第一歩です.
インプラント治療について,綿密な事故調査と分析を行なうと,対策が明確になってよいと思います.
より安全で安心な治療体制をつくるための,「日本口腔インプラント学会」の今後の活動に期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-18 10:15 | 医療

茨城県,早稲田大学医学部新設誘致

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◆ 報道

msn産経「早大に医学部新設打診 茨城県、医師不足解消狙う」(平成23年9月18日)は,次のとおり報じています.

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「■笠間の畜産試跡地提案

 県が早稲田大(東京都、鎌田薫総長)に対し、医学部の新設誘致に乗り出すことが関係者の話で分かった。既に県関係者が笠間市の県畜産試験場跡地を候補地として提案しており、今後、誘致活動が具体化するとみられる。県は医師確保を最重要課題としており、医学部誘致が医師不足解消につながることが期待されるが、国は約30年間、医学部新設を認可しておらず実現に向けて課題は大きい。

 関係者によると、早大医学部の新設誘致は、早大と縁があるベテラン県議がパイプ役を務め、協議を進めている。既に笠間市平町の県畜産試験場跡地を候補地とする具体的な案も示している。

 厚生労働省の調査によると、平成20年の県の医師数は人口10万人当たり153・7人と全国ワースト2位で、県内には医療過疎地域も多い。
 県は昨年、ドクターヘリを導入して救急医療体制の充実を図ったが、根本的な医師不足は解消されていないのが現状だ。
 橋本昌知事は21年の知事選で、マニフェストに大学医学部誘致を掲げた。早大医学部誘致にも積極的な姿勢を示しているとされる。

 ただ、文部科学省などは医学部新設に慎重姿勢。昭和54年以降、新設は認められていない。今後、橋本知事をはじめ県幹部が早大への働きかけを強めていくとみられる。」


◆ 感想

医師不足が言われて久しいのですが,これに対し,問題は医師不足ではなく偏在である,増やして今度は多くなりすぎたらどうするのか,などというと反対論があり,医師の増員は実現できていません.とくに医学部新設には強い反対論があります.

しかし,現実に,医師が不足している地域があり,過重な労働を強いられている医師がいます.医師増員に反対する人たちは,具体的な偏在解消策を提案しているわけではありません.医師増員へ向けて積極的に踏む出す必要があると思います.
早大医学部構想は,何度も浮上していますが,東京には医学部が集中していますので,もし早大が医学部をつくるとしたら,地方の既設医学部のない地域になります.茨城県は候補の1つにはなるでしょう.

ちなみに,最近,早大に,中外製薬の寄附講座「現代医療最前線への挑戦」が開設されました.
2011年秋学期(2011年9月~2012年1月)に,オープン教育センター実施科目としてオムニバス形式で実施し,受講者は全学部生150名程度とのことです.
臨床医や研究者から,日本のがん医療の現状と課題や倫理観について語って頂くほか,証券アナリスト並びに実際に業務に携わる企業の社員(研究者・MR)から、がん治療に挑む製薬企業の取り組みについて語って頂く内容とのことです.プレスリリースご参照.

医学部をつくるのはとても大変なことですが,医学医療に新しい風を吹き込むためにも,医学部新設実現に期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-18 05:46 | 医療

東京医科大学病院の中心静脈ラインのカテーテル誤挿入事件,東京高裁で和解成立

b0206085_4362380.jpg東京医科大学病院では,平成15年に,患者(女性,51歳)が中心静脈(CV)ラインのカテーテルを誤挿入され意識不明となる事故がおき,患者は平成17年に死亡しました。その事故の損害賠償を求めた裁判が,東京高裁で平成23年7月22日に和解で終了していたことが報じられています.

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◆ 報道

msn産経「東京医科大側が和解金支払い 東京高裁で和解成立 医療事故訴訟」(平成23年9月17日)は,次のとおり報じています.

「東京医科大病院(新宿区)で平成15年、当時51歳の女性患者が点滴用カテーテルを誤挿入され死亡した事故をめぐり、女性の遺族らが学校法人東京医科大に約1億円の損害賠償を求めた訴訟は、東京高裁で和解が成立していたことが16日、関係者の話で分かった。成立は7月22日付。

 関係者によると、大学側が遺族に和解金を支払うことなどが条件という。金額は明らかにしていない。

 女性は、15年7月、直腸がんの手術を受けるために入院。手術自体は成功したが、栄養剤などを点滴するために首から挿入したカテーテルが誤って血管外に入り、胸腔内に点滴液が貯留。脳に十分な酸素が供給されず意識不明となり、17年4月に死亡した。

 21年10月の1審東京地裁は、「レントゲン写真でも、カテーテルが適切な位置に挿入されているように読み取れ、確認を怠ったとはいえない」として、病院側の過失を否定し、請求を棄却。遺族側が控訴していた。

 事故をめぐっては、同病院の麻酔医ら2人が業務上過失致死容疑で書類送検され、東京地検が不起訴としたが、東京第1検察審査会が不起訴不当と議決。その後、東京地検が再び嫌疑不十分で不起訴とした。

 事故から約8年を経ての訴訟終結に、女性の夫(66)は「病院という組織に個人が挑むというのは、非常に厳しい戦いだった」と話した。東京医科大は「引き続き安全管理に関し、全学を挙げて全力で取り組んでいきます」とコメントしている。」


◆ 感想

東京地裁の判決は,患者側にとって納得できる内容ではありません.医療事件は和解による解決に適する類型の事件です.判決となれば法的に検討すべき点はありますが,裁判上の和解は,本件の解決としてきわめて適切と思います.

この平成15年の事故後,東京医科大学病院では,中心静脈ラインセンターが設置され,CVライン認定医を含めた2名以上の医師の立ち会いで挿入を行うことになりました.「安全なCVライン挿入のガイドライン」が定められ,挿入は透視下,エコー下で行うことなどが決められました.それにより中心静脈ラインの事故は飛躍的に減少しました.
合併症の中には,「避けられる合併症」と「避けられない合併症」がありますが,中心静脈ラインの事故の多くは「避けられる合併症」だったのです.

ご遺族の闘いが,事故の再発防止につながり,患者の安全と医療の向上に有用・有意義だったことは,明らかです.

また,この事故から東京医科大学病院の問題が浮かび上がり,さらに心臓外科手術問題も明るみにでました.その教訓から,東京医科大学病院では,平成17年から全手術症例のビデオ保存・全死亡症例のレビュー・医療安全の院内巡視が行われるようになりました.
大学病院を変えるには,患者側からの厳しい声が必要だったと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-17 04:08 | 医療事故・医療裁判

スモークフリーキャラバン,9月17日横浜を出発,神戸へ向かいます

b0206085_22424893.jpg以前は,「喫煙自由」,「タバコ無料」などと誤解されることもあったようです.
最近は,この言葉もだいぶ浸透してきました.
「スモークフリー」は,「タバコの煙からの解放」を意味します.

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スモークフリーキャラバン隊は,明日9月17日神奈川(横浜)を出発し,9月23日兵庫(神戸)集会に向かいます.
キャラバン隊長は,渡辺文学さん(タバコ問題情報センター代表理事)です,

途中,各地で,関係団体との交流を持ち「兵庫県受動喫煙防止条例の制定」を訴え,また各府県の知事・議長宛に「受動喫煙防止条例の早期制定を求める要望書」を提出します.
スモークフリーキャラバンの日程は,以下のとおりです.

◆ 9/17(土)

16:30 スモークフリーキャラバン出発・激励の会 県民活動サポートセンター
禁煙、分煙活動を推進する神奈川会議

◆ 9/18(日)

12:00 スモークフリーキャラバン歓迎会とパレード JR静岡駅北口
タバコの無い社会をめざす会

◆ 9/19(月・祝)

13:00 意見交換会 藤田保健衛生大学
禁煙医療グループ

16:00 受動喫煙防止条例を考える集い 愛知産業労働センター(ウインクあいち)
子どもをタバコから守る会・愛知

◆ 9/20(火)

10:00 スモークフリーキャラバン意見交換会in岐阜 岐阜県総合医療センター情報交換棟3階大会議室
岐阜県岐阜県総合医療センター 岐阜県医師会 岐阜県歯科医師会 岐阜県薬剤師会 岐阜県教育委員会 岐阜市 多治見市 17学会禁煙推進学術ネット

13:00 受動喫煙防止条例が私たちの未来を救う~神奈川・兵庫・京都、そして滋賀・近江八幡~ 近江八幡市立総合医療センター(よしぶえホール)
近江八幡市立医療センター 近江八幡市蒲生郡医師会 八幡薬剤師会 近江八幡・竜王少年センター 滋賀禁煙推進研究会 びわこ成蹊スポーツ大学 済生会滋賀県病院 大津市民病院 長浜赤十字病院 滋賀県医師会

午後 知事・議長宛要請 滋賀県庁

午後 知事・議長宛要請 京都府庁

18:00 受動喫煙防止条例制定に向けた京都集会 京都ガーデンホテル
京都禁煙推進研究会

◆ 9/21(水)

午前 知事・議長宛要請 奈良県庁

13:00 市長・議長宛要請 橿原市役所

13:30 スモークフリーキャラバンとのエール交換会 橿原市役所 本庁3階第2会議室
健康かしはら応援隊 橿原市 橿原市成人保健推進協議会

16:00 意見交換会 奈良県医師会館
奈良県医師会

18:30 KK奈良勉強会 奈良市保健所
KK奈良 日本禁煙科学会 禁煙マラソン

◆ 9/22(木)

9:30 知事・議長宛要請 和歌山県庁

10:00 スモークフリーキャラバンの会との意見交換会 ホテルアバローム紀の国
タバコ問題を考える会・和歌山

午後 知事・議長宛要請 大阪府庁

18:30 兵庫県受動喫煙防止条例制定に向けて―大阪からのエール― 大阪府立健康科学センター8階会議室
子どもに無煙環境を推進協議会

◆ 9/23(金・祝)

13:30
【第1部】「わが国の受動喫煙防止対策について」―研究発表―
【第2部】同上―シンポジュウム―
【第3部】スモークフリーキャラバンの会との交流会 兵庫県医師会館
同実行委員会財団法人循環器病研究振興財団 兵庫県

詳細は,スモークフリーキャラバンの会のサイトご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-16 22:32 | タバコ

高松高裁平成23年9月15日判決(呼吸困難で低酸素脳症となった事案,患者側逆転敗訴)

b0206085_1346819.jpg愛媛新聞「両親側、逆転敗訴 県立中央病院手術遅れ訴訟」(平成23年9月16日)は,次のとおり報じました.

「県立中央病院(松山市春日町、梶原真人院長)で手術を受けた男児(10)に重い障害が残ったのは医師が適切な処置をしなかったからだとして、松山市の両親と男児が県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、高松高裁であった。杉本正樹裁判長は病院側の過失を認め県に約2980万円の支払いを命じた一審松山地裁判決を取り消し、両親側の請求を棄却した。
 杉本裁判長は「最終手段とされる気管切開以外の方法で気道確保ができない状況にあったとまではいえず、早い段階で気管切開を行うべき義務があったとすることは困難」とし、「県側に過失や債務不履行があったとは認められない」とした。
 判決によると、2002年1月、当時1歳の男児は入院中に容体が急変し呼吸困難となり、医師が気管に管を挿し気道確保を再三試みたが失敗。約2時間半後に気管切開に切り替えたが手術後に低酸素脳症と診断され、障害が残った。」


松山地裁平成21年3月10日判決も,かろうじての一部認容判決だったのですが,高裁判決は患者側完全敗訴となりました.
高裁判決は,気管切開以外の方法で気道確保ができないとはいえない状況と認定しています.ところが,この医師は気道確保ができなかったわけですので,この医師の具体的な気道確保の手技について注意義務違反がないか,が問題になるように思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-16 09:36 | 医療事故・医療裁判

徳島県立三好病院,胆道の一部をしこりやむくみと勘違いして切断し,約1315万円で示談

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◆ 事案

平成18年6月,60代の女性患者は,胆石による急性すい炎と腹膜炎のために,徳島県立三好病院で,胆のうの摘出手術を受けました.
胆のう周辺の炎症が激しく,医師は,胆道の一部をしこりやむくみと勘違いして切断しました.
医師は,手術中に,この勘違いに気付いて,処置し,患者は退院後に別の病院で患部を安定させる手術を受けました.
患者には,胆道が狭くなる後遺症が残りました.生活に大きな支障はありません.

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◆ 解決

外部委員による「県立病院医療安全対策委員会」は,平成19年,「軽・中度の後遺症が残る医療事故」として県の責任を認めました.
県は女性と損害賠償について協議し,約1315万円を支払うことで,平成23年7月に合意しました.

毎日新聞「手術ミス:県立三好病院,胆道切断女性と和解 /徳島」ご参照

◆ 感想

胆のう周辺の炎症が激しいため,担当医師が誤認したのでしょう.
ただ,医師は,炎症が激しいと誤認しやすいという知見をもっているはずで,ただちに,誤認しやすいから責任がない,ということにはなりません.

「誤認」には,一般に,「注意義務を尽くせば回避可能な誤認」と「注意義務を尽くしても回避不可能な誤認」があります.後者については責任は生じませんが,前者については回避のための注意義務を尽くしたかが問題になり,具体的事案に即して注意義務を尽くしていないと認定され,注意義務違反と結果との相当因果関係も認められると,責任を負うことになります.

「県立病院医療安全対策委員会」が県の責任を認めたことは,具体的事案に即し検討した結果注意義務を尽くしていないと認定された,ということを意味します.

一般に,「損害の金銭評価」は専門的な計算を必要としますが,示談は双方当事者の合意に基づくものですので,胆道が狭くなる後遺症についての損害評価も双方当事者の合意で自由にできます.

本件は,示談により適切に解決することができてよかったと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-16 00:10 | 医療事故・医療裁判

神戸の佐野伊川谷病院,元看護師,ナースステーションから劇薬,向精神薬を盗んだ疑いで書類送検へ

b0206085_95648.jpg毎日新聞「 窃盗:勤務先病院で劇薬など盗む 元看護師、容疑で書類送検へ--神戸西署 /兵庫」(平成23年9月15日)は,次のとおり報じました.

「民事再生手続き中の総合病院「医療法人社団白眉会佐野伊川谷病院」(神戸市西区)で劇薬や向精神薬を含む注射液15本がなくなった事件で、神戸西署は、同病院に当時勤めていた同区に住む元看護師の女性(46)を窃盗容疑で近く書類送検する方針を固めた。

 同署によると、今年2月14~15日にかけて、同病院のナースステーションにあった引き出しから、劇薬の抗けいれん剤や向精神薬の注射液15本を盗んだ疑い。同14日夜、元看護師が向精神薬「セルシン」を盗んで注射していたところを同僚に発見されたため、ごまかすために他の種類の薬も盗んだという。「盗んだ薬は病院のトイレに捨てた」などと供述しているという。【渡辺暢】」

薬剤や現金が,内部の職員により盗まれるという事件はときどきありますが.元看護師が向精神薬「セルシン」を盗んで注射していたところを同僚に発見されごまかすため,という動機が不可解です.

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by medical-law | 2011-09-15 21:32 | 医療

藤本事件,50年後の再検証と再審請求を探る動き

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藤本事件(地名から菊池事件ともいいます)をご存じですか?
ハンセン病元患者の男性が無実を訴えながら1962年9月14日に死刑が執行されましたが,疑わしい証拠が多く冤罪であった可能性が高い事件です.そもそも,裁判としての手続き保障も実質的になく(完全否認事件なのに国選弁護人は証拠をすべて同意!),司法の名を借りたリンチにちかいものでした.
藤本事件関連年表はこちら

9月17日午後2時から,菊池恵楓園で,講演会があるそうです.

熊本日日新聞「「藤本事件」再審探る 菊池恵楓園「考える会」」(平成23年年9月15日)は,次のとおり報じています.

「ハンセン病元患者の男性が、無実を訴えながら死刑執行された「藤本事件」。ハンセン病患者への差別が生んだ冤[えん]罪事件との指摘もある同事件を、男性の50回忌を機に再検証し、再審請求を目指す活動が14日、合志市の国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園で始まった。

 活動の中心は、菊池恵楓園の入所者や支援者でつくる「菊池恵楓園の将来を考える会」。同会は、全国ハンセン病療養所入所者協議会や市民団体に呼び掛けて、11月に実行委員会を結成。死刑執行から丸50年となる来年9月14日に向け、事件の学習会やシンポジウムを重ね、再審への道筋を探る考えだ。

 14日、菊池恵楓園で入所者自治会が主催して男性の50回忌を兼ねた「偲[しの]ぶ会」が開かれた。入所者や弁護士、市民ら約30人が、男性への思いや事実上非公開で行われた裁判への疑問を語り、「事件の解決なくしてハンセン病問題の解決はない」などと述べた。

 再審請求を目指してきた徳田靖之弁護士(67)=大分市=は、凶器と傷痕に矛盾がある点などを指摘。「疑わしい証拠が多いまま下された死刑判決をこのままにしては、日本の司法の在り方が問われる」と語った。

 17日午後2時からは菊池恵楓園で事件の記念講演会も計画。入所者自治会の志村康副会長と、ハンセン病国賠西日本訴訟弁護団の八尋光秀代表が講演する。無料。問い合わせは入所者自治会TEL096(248)5342。(楠本佳奈子)

 ◇藤本事件 1951年、県内の村の元職員方にダイナマイトが投げ込まれ、ハンセン病療養所への入所勧告を受けていた近くの男性が逮捕された。元職員が、男性をハンセン病患者として県に報告したことを恨んでの犯行とされた。男性は翌年、菊池恵楓園(合志市)にあった拘置所を逃走。3週間後、元職員の他殺体が見つかり、男性が殺人容疑などで逮捕された。裁判は菊池恵楓園内などの特別法廷で、事実上非公開で行われた。男性は無実を訴えたが、57年に死刑判決が確定。62年、3度目の再審請求が棄却された翌日に死刑が執行された。 」


谷直樹
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by medical-law | 2011-09-15 09:06 | 司法