弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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心の自然な響き,『小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾×村上春樹』

b0206085_840437.jpg11月29日,目的の病院に早く着いたので,『小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾×村上春樹』を読みはじめました.自宅で続きを読みました.
読者として,楽しいひとときを過ごすことができました.

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村上春樹さんは,「始めに-小澤征爾さんと過ごした午後のひととき」に次のように書いています.

「一度小澤さんがうちに見えたとき、音楽を聴きながらあれこれしゃべっていて、グレン・グールドとレナード・バーンスタインがニューヨークでブラームスの1番の協奏曲を演奏したときの思い出話になり、その話がずいぶん面白かった。「こんな興味深い話をこのまま消えさせてしまうのは惜しい、誰かがテープにとって文章として残すべきだ」と僕は思った。」

ということで,小澤征爾さんと村上春樹さんの対談を村上春樹さんがテープにとって文章として残す,という夢のようなことが起きたのです.

「これは一般的な意味でのインタビューでもないし、いわゆる「有名人同士」の対談みたいなものでもない。僕がここに求めていたのは-というか、途中からはっきり求めるようになったのは-心の自然な響きのようなものである。」

「つまり僕はこれらの対話を通して、小澤さんという人間を発見しながら、それと同時に、一種の共振性の中で、僕自身の姿をも少しずつ発見していったということにもなるかもしれない。」


といっても,「二人で熱いほうじ茶を飲み,餅を食べる」「熱い紅茶を飲む」という楽しいト書きもあります.

お二人が聴いたレコード盤等は以下のとおりです.私が持っているものもありますので,聴き直したくなりました.

●ブラームス ピアノ協奏曲 第1番ニ短調作品15,グレン・グールド, レナード・バーンスタイン,ニューヨーク・フィルハーモニック

●ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37,ルドルフ・ゼルキン,レナード・バーンスタイン,ニューヨーク・フィルハーモニック

●ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37,ジョス・ファン・インマゼール,ブルーノ・ヴァイル, ターフェルムジーク・バロック管弦楽団

●ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37,ルドルフ・ゼルキン,小澤征爾,ボストン交響楽団

●ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37,内田光子,クルト・ザンデルリンク,ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

●ブラームス 交響曲第1番ハ短調作品68,小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ

●バルトーク ピアノ協奏曲第1番,ピーター・ ゼルキン,小澤征爾, シカゴ交響楽団

●ストラヴィンスキー 春の祭典,小澤征爾,シカゴ交響楽団

●ベルリオーズ 幻想交響曲作品14,小澤征爾,トロント交響楽団

●ベルリオーズ 幻想交響曲作品14,小澤征爾,ボストン 交響楽団

●ベルリオーズ 幻想交響曲作品14,小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ

●マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人」,小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ

●マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人」,小澤征爾,ボストン 交響楽団

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-30 03:11 | 趣味

市立半田病院,主治医の病理検査結果(胆のうがん)見落とし事案で和解

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◆ 事案

患者(60歳代,男性)は,2009年3月に市立半田病院で胆石と左鼠径ヘルニアの手術を受けて退院しました.
その後の病理検査で,胆のうがんと判明しました.
主治医は,患者が再び診察を受けに来た際に,検査結果を確認しませんでした.
患者は,2010年12月に左下腹部の痛みとしこりを訴えて来院し,コンピューター断層撮影(CT)検査で病変が判明しました.
治療を開始しましたが,患者は,2011年6月に胆のうがんのため死亡しました.

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◆ 対応

半田市は,2011年11月29日,患者の遺族に3000万円を支払って和解すると発表しました.
市立半田病院によれば,「検査直後からがん治療を始めていれば,最善の手当てが出来た可能性があった」とのことです.
主治医は別の病院に勤務中で,半田病院の調査に「当時のことはよく覚えていない」と答えたそうですが,市立半田病院は,事故の原因に関し,主治医の思い込みや不注意を挙げており,関係者の処分を検討する,とのことです.
市立半田病院は,医師が病理検査の結果を患者に説明後,説明内容を電子カルテに記録するなどの再発防止策を講じたそうです.

読売新聞「がん検査結果、主治医見逃す…遺族に3千万賠償」(2011年11月29日)ご参照
中日新聞「がん結果を患者に教えず 市立半田病院」(2011年11月29日)ご参照

◆ 感想

主治医は,自らオーダーした病理検査結果を適時に見るべきだと思いますが,現実には患者が来院するまで病理検査結果を見ない主治医も少なくないでしょうから,病理医のほうでも,病理検査結果で「がん」と判明した時点でただちに主治医に連絡するシステムに改めたほうがよいと思います.

本件は,患者が次回来院した時点でも,主治医は病理検査結果を見落としてしまったのですから,注意義務違反が認められます.

私も,病理検査結果を主治医が見落とした事案の依頼を受け,示談解決したことがあります.
病理検査の結果が診療に活かされなかったため,治療が遅れたという事態は,本当に無念です.

【追記】

毎日新聞「市立半田病院の医療ミス:病院長ら3人を処分 /愛知」(2011年12月28日)は,次のとおり報じています.

「半田市立半田病院で09年、病理検査で胆のうがんが判明した60代の男性患者に検査結果を知らせず、適切な治療ができなかった医療ミスで、市は27日、監督責任者の病院長と副院長を文書訓告、外科統括部長を口頭注意の処分とした。

 主治医は09年3月末に退職し、別の病院に移ったため処分の対象にしなかった。【新井敦】」


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by medical-law | 2011-11-29 22:04 | 医療事故・医療裁判

医師法第17条違反で院長ら逮捕

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医師法第17条は,「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と定めています.
その医師法違反の疑いで,北海道石狩市の「はまなす医院」の院長らが,11月27日,逮捕されました.

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毎日新聞「医師法違反:技士が血管拡張手術 院長ら3容疑者逮捕--北海道・石狩」(2011年11月28日)は,次のとおり報じています.

「医師しかできない血管拡張手術を臨床工学技士らがしていたとして、北海道警は27日、北海道石狩市の診療所「はまなす医院」院長、××××(65)▽臨床工学技士、××××(60)▽准看護師、××××(47)の3容疑者を医師法(非医師の医業禁止)違反容疑で逮捕した。××容疑者は09年以降約150件の拡張手術に関与したといい、道警は違法な医療行為が常態化していた可能性があるとみて追及する。

 容疑は09年4月 ̄今年4月、医師ではない××、××両容疑者が人工透析患者3人に対して血管にカテーテルを挿入し、風船を膨らませて血管を拡張する「シャントPTA手術」を行ったとしている。道警は××容疑者の指示で××容疑者が手術を担当し、××容疑者が補助したとみている。××、××両容疑者は否認し、××容疑者は大筋で容疑を認めているという。

 この手術は人工透析の効率を上げるために行われ、臨床工学技士には最初に留め置き用の針を挿入する補助行為しか認められていない。血管破裂など重大事故を引き起こす危険もあるため、道警は悪質性が高いとして強制捜査に踏み切った。

 同医院は94年設立。入院病床19床のほか人工透析用のベッドが26床あり、透析患者が大半を占めていたという。常勤医は院長の××容疑者のみで、道警は透析患者が増加傾向にある中で、××容疑者が日常的に××容疑者に血管拡張手術を任せていた可能性があるとみて調べている。

 3年前から通院しているという近所の男性(75)は「院長は気さくで頼りになる先生。先生がいないと医院が開くのか心配だ」と不安そうな様子だった。【伊藤直孝、小川祐希】」


「技師,看護師に許される行為」と「医療行為」の境界には,曖昧な部分があります.
しかし,血管にカテーテルを挿入しバルーンを膨らませ血管を拡張していたとすれば,さすがにこれを医療行為(医業)ではない,とは言えないでしょう.
 院長が,技師に,血管にカテーテルを挿入しバルーンを膨らませ血管を拡張するよう指示することは,いくら医師不足であったとしても,患者を危険にさらすことになるので,常識的に考えられないことです.

「道警は悪質性が高いとして強制捜査に踏み切った」と報道されていますが,通常逮捕の要件は,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」であって,悪質性は問題になりません.
「逮捕の理由」とは「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」,すなわち「嫌疑の相当性」をいいます.「逮捕の必要性」とは「逃亡・罪証隠滅のおそれ」をいいます.

 医療界には,医療者の逮捕に反対する声が強いようですが,逮捕の要件を吟味して正しく適用すべきことは,医療者に限りません.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-29 02:54 | 医療

医薬品安全性情報Vol.9 No.24は注目

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国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 が2011年11月24日に発表した医薬品安全性情報Vol.9 No.24(2011年11月24日)は注目です.

このブログでも,おりにふれて取り上げてきた,
禁煙補助薬Vareniclineバレニクリン[Chantixチャンピックス]についてのFDAの報告,
血管新生阻害剤Bevacizumabベバシズマブ[Avastinアバスチン]のFDA長官による乳癌適応取り消しの決定,
トロンビン阻害剤Dabigatranダビガトラン(Pradaxaプラダキサ)についての豪TGAの報告
などが掲載されています.

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以下のとおりです。

【米FDA(U. S. Food and Drug Administration)】

Linezolid [Zyvox]:セロトニン作動性向精神薬との薬物相互作用に関する更新情報

Methylene blue:セロトニン作動性向精神薬との薬物相互作用に関する更新情報

Varenicline[Chantix]:精神神経系有害事象のリスク

Bevacizumab[Avastin]:FDA長官による乳癌適応取り消しの決定

FDA/CDERによる安全性に関する表示改訂の概要(2011年9月)

【米 CDC(Centers for Disease Control and Prevention)】

米国の診療所での14歳以下の患者への抗生物質処方率 ― 1993~1994年から2007~2008年

【EU EMA(European Medicines Agency)】

アンジオテンシンII受容体拮抗薬:ベネフィットがリスクを上回るとEMAが結論

2007年以前に完了した小児での臨床研究のデータベースをEMAが公開

【豪TGA(Therapeutic Goods Administration)】

Dabigatran[Pradaxa]:出血のリスク

オーストラリアにおける2010年の医薬品有害反応報告の統計


詳細はコチラへ

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by medical-law | 2011-11-28 21:14 | 医療

うつ病になる12の原因

b0206085_91166.jpg 12 Surprising Causes of Depression

Health.Com「12 Surprising Causes of Depression」に,うつ病になる12の原因が以下のとおり書かれています.

Summer weather 夏(季節要因)
Smoking  喫煙
Thyroid disease  甲状腺疾患
Poor sleep  睡眠不足
habitsFacebook overload  フェイスブックのしすぎ
End of a TV show or movie  テレビ番組,映画の終了
Where you live 住んでいるところ
Too many choices  多すぎる選択
Lack of fish in the diet  魚不足の食事
Poor sibling relationships 疎遠な兄弟関係
Birth control pills  避妊薬
Rx medications 処方箋薬

◆ タバコ喫煙とうつ病

「nicotine is known to affect neurotransmitter activity in the brain, resulting in higher levels of dopamine and serotonin (which is also the mechanism of action for antidepressant drugs).
This may explain the addictive nature of the drug, and the mood swings that come with withdrawal, as well as why depression is associated with smoking cessation. Avoiding cigarettes—and staying smoke free—could help balance your brain chemicals.」

つまり,タバコを吸うと,ニコチンによって高レベルのドーパミンとセロトニンが増え,ニコチンが切れるとドーパミンとセロトニンが急激に低下します.
喫煙者は,ドーパミンとセロトニンが急激に増えたり,減ったりするので,情緒不安定になるわけです.

喫煙者が禁煙に成功しタバコから解放されると精神的に安定するのは,このドーパミンとセロトニンの乱高下がなくなるからでしょう.

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by medical-law | 2011-11-28 09:50 | タバコ

日本禁煙学会,JT international(JTI) による密輸事件についての調査要請

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日本禁煙学会は,平成23年11月24日,外務大臣と財務大臣に対し,以下のとおり,JTIの密輸事件についての調査を要請しました.

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「私たちはタバコの害を無くすために働いている医師、弁護士など3000名からなる学会です。
日本たばこ株式会社(JT)の子会社であるJT international(JTI) の報道されている密輸事件につき、ぜひご調査をお願い申し上げます。
 世界がこの事件を注目している中、2012年3月30日〜4月5日に予定していますINB5の前に解決しなければなりません。財務省たばこ塩事業室長とその代理がINB3とINB4に出席していらっしゃいました。 日本は違法な貿易に関する議定書を草案する非公式作業グループ の一員であります。(この非公式作業グループはジュネーブで今年の7月4〜8日と9月19〜23日に集まりました。)

 これはcorporate governanceの問題でありますが、事実であるとすると日本政府が50%以上の株式を有していることから、日本政府の責任問題にもなりかねません。

最近、JTIの密輸事件をOCCRP (組織犯罪汚職摘発プロジェクト)が11月4日に明らかにし、ロイター通信も11月4日に報道しました。
http://www.reportingproject.net/
 ちなみにこのOCCRPは優れた調査報道を行った団体・個人に贈られるDaniel Pearl Global Investigative Journalism Awardを受賞しています。
 
 これが事実であるとすれば、国際社会を裏切る大変なことであります。
 この報道に対してロイター通信では日本たばこのスポークスマンはこの問題は解決済みであるとしています。「これらの問題はすべてJTIにおいて密輸問題に対する我々のスタンスで適切に扱われている。JTIに関する限りすべて解決済みである。」と東京の日本たばこのスポークスマンである山本秀行は話した。彼によるとOCCRPレポートに含まれている情報は過去2年間にJTIに解雇されたと信じられる人々によって流布されていた。OCCRPレポートによるとジュネーブに本部のあるJTIの担当者は個別の質問に答えることを拒否し、以前の職員がウソの情報を流していると言った、としています。

 しかし、この後さらにAdditional Documentsで24の資料とくに6つのALLEGATIONS OF OBSTRUCTION(JTIの妨害)も公開されました。これを読むと、RJレイノルズ社あるいはギャラハー社を買収した際に、密輸に手を染めていた連中もまたそのままJTの傘下に入ったと信ずる証拠があるように思います。
 JTIの代理店が10以上の国々で手広く紙巻タバコの密輸を行っている事を応援していた事が、JTIの書類、電子メール、密輸調査員の秘密録音記録そして数人の退職社員への面接調査から明らかにされました。
 JTIの密輸対策ユニットが密輸ルートを摘発し、密輸にかかわったと思われる代理業者への尋問を行おうとした時に、JTIは対策チームのコンピュータをハッキングし、リーダーを解雇し、密輸事案を知っている10人近くの契約社員をつぎつぎに会社から排除したことが、退職社員の証言から明らかになっているように思います。
 これらが本当とすると、タバコ会社は相変わらず昔と同じこと(密輸)を続けている事を示しています。さらにJTI、フィリップモリス・インターナショナル、BAT、インペリアル・タバコは、欧州連合との法的拘束力のある協約を締結し、世界のいかなる場所でも密輸をさせないと誓ったはずなのです。もしJTIが密輸をほう助したり教唆(きょうさ)してきたとすれば、欧州連合が交渉によって推進してきた地域協定は不十分だったということになります。密輸は、公衆の健康を損ない、犯罪を誘い、毎年数億円もの税収を納税者あるいは各国政府から盗み取ることにつながる意味で重罪です。
 これらのことから、日本国政府のしかるべき機関で調査をぜひお願い申し上げます。」


 企業ぐるみの犯罪となると,ことは重大です.

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by medical-law | 2011-11-27 13:34 | タバコ

大阪第3検察審査会不起訴不当,虫垂炎見逃し患者死亡事件

b0206085_9221835.jpg読売新聞「虫垂炎症状見逃し患者死亡 医師の不起訴「不当」…検察審議決」(2011年11月26日)は,次のとおり報じています.

「患者の虫垂炎の症状を見逃して死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴(嫌疑不十分)とした40歳代の男性医師について、大阪第3検察審査会が「漫然と診察し、血液検査など最低限の検査を怠った」として、不起訴不当を議決したことがわかった。

 10月26日付の議決などによると、医師は2006年11月、大阪府内の病院で当時43歳の男性患者を診察。風邪と診断したが、患者は翌日死亡した。解剖の結果、死因は虫垂炎による敗血症ショックで、診察時にすでに虫垂炎を発症していたとみられることがわかった。

 遺族は「診察時に腹痛を申告していた」と主張したが、地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし、遺族が同審査会に申し立てていた。」


おそらく,医師の感覚は,虫垂炎の見逃しで起訴されるのはかなわない(すぐにわからないときもあるから),というものでしょう.
これに対し,一般市民の感覚は,虫垂炎の見逃しで死亡しているのに不起訴は納得できない,せめて検査くらいはしてほしい,というものでしょう.
さらに,法律家は,立証の問題を重視しますから,どうしても慎重になります.

医療界には,医師の刑事免責を広く認めさせたい,という声もありますが,本件にみるように,一般市民の感覚はそれをうけいれるものではないように思います.

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by medical-law | 2011-11-26 23:45 | 医療事故・医療裁判

横浜市立大学附属市民総合医療センター,持出し禁止の患者個人情報を持出し紛失

b0206085_8525739.jpg神奈川新聞「横浜市立大で患者49人の個人情報を紛失/神奈川」(2011年11月26日)は,次のとおり報じています.

「横浜市立大学は26日、同大学付属市民総合医療センターに入院した49人分の個人情報が記載されている書類を紛失したと発表した。医療ソーシャルワーカーの対応状況を記載した書類で、患者の氏名や年齢が記されていた。

 同大学によると、同センター医事課の30代女性職員は24日、自宅で資料を作成しようと書類を持ち帰った。翌25日朝にタクシーで出勤した後、車内に書類を置き忘れたことに気付いたという。

 市内や近郊のタクシー会社に拾得物について照会したほか、南署に遺失物届を提出したが、見つかっていない。個人情報を含む書類の院外への持ち出しは原則禁じられているという。」


医療ソーシャルワーカーは,社会福祉の立場から患者家族の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決,調整を援助し,社会復帰の促進を図る仕事を行っています.
秘密遵守は信頼関係の基礎ですから,記録の取扱に十分配慮しなければなりません.
時間内に資料を作成できなかったのでしょうが,持ち出し禁止の資料を持ち出すというルール違反は絶対にいけません.

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by medical-law | 2011-11-26 23:10 | 医療

声をあげよう!医療事故 第11回医療事故全国一斉相談受付

b0206085_855976.jpg医療事故情報センターは,「第11回医療事故全国一斉相談受付」を,11月26日(土)午前10時から午後3時まで,各都道府県で実施します.

 →各地受付電話番号
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by medical-law | 2011-11-26 01:07 | 医療事故・医療裁判

11月25日を含む週が,医療安全推進週間です.

b0206085_916243.jpg
11月25日(いい医療に向かってGO)を含む週が,医療安全推進週間です.

厚労省のサイトには,
「平成13年に開始された「患者の安全を守るための共同行動(PSA)」の一環として、医療機関や医療関係団体等における取組みの推進を図り、また、これらの取組みについて国民の理解や認識を深めていただくことを目的として、「医療安全推進週間」が設けられています。
 行政機関、医療関係団体、医療機関、製造団体等においては、この週間を中心として、医療安全向上のため、シンポジウムの開催、研修の実施など様々な取組みを進めています。」
と書かれているのですが・・・

「患者の安全を守るための共同行動」の「安全な医療を提供するための10の要点」(平成13年9月11日)は次のとおりでした.

(1) 根づかせよう安全文化 みんなの努力と活かすシステム
(2) 安全高める患者の参加 対話が深める互いの理解
(3) 共有しよう 私の経験 活用しよう あなたの教訓
(4) 規則と手順 決めて 守って 見直して
(5) 部門の壁を乗り越えて 意見かわせる 職場をつくろう
(6) 先の危険を考えて 要点おさえて しっかり確認
(7) 自分自身の健康管理 医療人の第一歩
(8) 事故予防 技術と工夫も取り入れて
(9) 患者と薬を再確認 用法・用量 気をつけて
(10) 整えよう療養環境 つくりあげよう作業環境

医療版事故調,患者参加,事故報告と分析・再発防止など実現すべき課題があります.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-25 11:43 | 医療