弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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タバコ病をなくする裁判,東京高裁第8回口頭弁論(12月26日)で終結です 

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2011年12月26日(月)午後2時~
東京高等裁判所 8階822号法廷
※ 傍聴券の抽選がありますので午後1時に裁判所前にお集まり下さい.

タバコ病のない社会をめざして提訴した裁判も,大詰めとなり,次回で終結です.
東京高等裁判所第1民事部(裁判長福田剛久判事)が,来年どのような判決を下すか,注目です.
高裁で審理を重ねてきたわけですから,第一審(横浜地方裁判所民事5部裁判長水野邦夫判事)のような判決を下すことはないと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-24 08:27 | タバコ

狛江市議会,路上喫煙禁止条例案を否決

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狛江駅,喜多見駅,和泉多摩川駅の3駅周辺の路上喫煙に2万円以下の過料,たばこやガムをポイ捨てには2万円以下の罰金を科す内容で,来年4月の施行を予定した条例案が,12月22日,狛江市議会で否決されました.
共産党と公明党の10人が賛成し,自民党や民主党会派などの11人が反対しました.
条例の趣旨には賛同しながら,矢野裕市長が提案したから反対したということらしいのですが,党利党略で決すべき問題ではないと思います.

市民アンケートでも条例の制定に74%が,喫煙禁止区域の設置に82%が,それぞれ賛成していました.
市民の多数の意思に反し,反市長の一点で反対に回った自民党と民主党の議員は,市民の意思と,市民の生命健康を軽んじていると言わざるをえません.

読売新聞「路上喫煙禁止案を否決」(2011年12月23日)は次のコメントを紹介しています.

「日本たばこ産業(JT)によると、同様の条例は、2002年に千代田区が全国で初めて施行し、今年11月末現在で178自治体が導入。都内では狛江市と隣接する世田谷区や調布市など、33市区で施行している。

 NPO法人「日本禁煙学会」の作田学理事長は「市議会が条例そのものを否決したケースは聞いたことがない。時代に逆行しており、残念」と話している。」


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by medical-law | 2011-12-23 11:19 | タバコ

看護師が,強い睡眠薬を飲んで就寝していた入院患者にわいせつな行為をした疑いで書類送検

b0206085_1043107.jpg熊本県宇城市にある精神科病院の看護師(男性)が,2011年5月上旬、夜勤当直の際、重度のうつ病で入院中の患者(20代女性)が病室で寝ているところを起こし、トイレに連れ込んでわいせつな行為をした疑いで,同年9月に県警宇城署から書類送検されていたことが報じられています.
病院は看護師を懲戒解雇にしている,とのことです.
          
朝日新聞「看護師が入院女性に強制わいせつ容疑 熊本の精神科病院」(2011年12月22日)ご参照

刑法第176条は,「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」と定めています.これが強制わいせつ罪です.
第178条は,「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。」と定めています.これが準強制わいせつ罪です.

患者が13歳以上ですから,わいせつな行為の有無だけではなく,暴行又は脅迫を用いたか,抗拒不能に乗じたか,がポイントになります.
起訴には,患者の供述に公判を維持できるだけの十分な信用性があるのか,が検討されます.

看護師がこのようなことをする筈はないと思うのですが,患者が虚偽を述べる理由もなく,もしこれが事実とすると大変なことです.

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by medical-law | 2011-12-23 04:59 | 医療

日弁連,「法曹養成制度の全体的な見直しと給費制の維持に関する会長声明」

b0206085_10473949.jpg日弁連は,国会で継続審議となっている司法修習生の給費制について,「来年1月の通常国会で、早期に裁判所法の一部改正案についての審議を尽くし、早急に法曹養成制度の見直しを行うとともにその間は給費制を維持するとの上記修正案に沿った修正を加えたうえ成立させることを強く求める」という内容の会長声明を12月22日発表しました.

その会長声明は,次の点を指摘しています.

12月「6日の法務委員会での審議は、司法修習制度の本質や法曹養成制度が抱える問題点、司法試験の合格者の問題等、極めて重要な論点、示唆を含むものであった。

つまり、

1 現行の司法修習制度は、新憲法の人権保障の理念の下に、司法制度を担う法曹三者を対等・平等に国が養成する統一修習制度として60年以上にわたり営まれてきたものであって、給費制はこの統一修習制度と不可分の関係にあること。

2 新たな法曹養成制度には、法曹志願者が大幅な減少をしているとの大きな問題があり、その原因として司法試験の合格率の低迷、法科大学院の学費に加え司法修習貸与制導入による経済的負担、新人弁護士の就職難と経済的困難などが指摘できること。

3 さらに、5年間3回の受験制限が法曹志望者に大きな委縮効果をきたしており、その改善が必要であること。

4 現在年間2000名程度まで増員された司法試験合格者のうち、少なくない者が法曹として活躍できない事態が生じており、合格者の減少を図り、法曹人口増加のスピードを低減する必要があるのではないか、などである。

この国会審議は、当連合会の問題意識とも共通するものである。当連合会は、本年10月28日付け会長声明でも、「修習資金の取扱を含む法曹養成制度全体について、制度的な裏付けを持った見直し作業を直ちに開始し、地域適正配置に配慮しつつ法科大学院の統廃合と大幅な定数削減、受験回数制限の緩和、修習開始時における集合的な修習などを柱とする根本的な改革を進めるべきであると考える」と提案している。また、司法試験合格者数についても、本年3月27日の法曹人口政策に関する緊急提言において「当面の緊急対策として、司法試験合格者数を現状よりさらに相当数減員することを求める」との見解をまとめている。」


一括登録日時時点の弁護士未登録者は,60期32名,61期89名,62期133名,63期214名,64期400名と年々増しています.
登録者は,60期839名,61期1494名,62期1693名,63期1571名,64期1423名と,この3年減少しています.
この数字は,司法試験合格者数大幅削減,法科大学院の統廃合と大幅な定数削減が必要な情勢になっていることを示唆します.

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by medical-law | 2011-12-23 04:04 | 司法

第4回医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会

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12月22日の第4回医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会で,厚労省は,検討会の下に「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」を設置することを提案し,検討会は了承しました.

検討部会では,医療事故調査の仕組みと医療事故の再発を防止するための仕組みを検討します.
検討会は,無過失補償の仕組みを検討します.

医療事故調査,医療事故の再発防止,無過失補償の3点は元来セットとなるものですので,討議の場が別でも,全体として整合的なシステム設計を期待いたします.

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by medical-law | 2011-12-22 20:08 | 医療

オセルタミビル(タミフル)の害に関する新知見

b0206085_9204658.jpg浜六郎氏,マーク・ジョーンズ氏らの「オセルタミビルと突然型死亡:2009A/H1N1インフルエンザの相対死亡率研究」は,タミフルと突然型死亡との関連を指摘したはじめての疫学研究です.
この報告は、タミフル使用が、特に使用12 時間以内の突然型死亡を誘発しうる、と結論づけました.突然型死亡の危険度(オッズ比)は5.9です.

「処方患者数は、タミフルとリレンザで約10対7(1000万人対700万人と推定)でしたが、タミフル処方後に死亡した人が119人いました。そのうちの38人は12時間以内に急変した後死亡しました(うち28人は6時間以内の急変)。
リレンザ処方後の死亡は15人でした。突然型死亡(12時間以内急変後死亡)はいませんでした。」


浜六郎氏らによると「薬にたよることなく、暖かくしてゆっくりと休養し、睡眠をとることが、最善の方法であるということを、あらためて強調しておきたいと思います」とのことです.

「『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No151」(2011年12月21日)
ご参照

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by medical-law | 2011-12-22 01:46 | 医療

14693分の8733

b0206085_9363722.jpgこれまでにフィブリノゲン製剤投与が判明した患者数は1万4693名ですが,そのうち医療機関が投与の事実をお知らせした患者数は8733名にすぎません.
            
⇒ 厚労省「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」ご参照

残りの患者を探し出し,フィブリノゲン製剤投与の事実をお知らせし,C型肝炎ウイルスに感染しているかの検査をお奨めする必要があります.

もし,C型肝炎ウイルスに感染していれば,治療が必要な場合も多いです.
「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(平成二十年一月十六日法律第二号)」の対象になります.この特別処置法は5年の時限立法です.延長の声もでていますが,急いだほうがよいでしょう.

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by medical-law | 2011-12-21 18:33 | 医療

弘前大学医学部付属病院の診療拒否訴訟,患者側控訴の方針

b0206085_405382.jpg毎日新聞「弘前大の診療拒否:損賠訴訟 簡裁、夫婦の訴え棄却 原告、控訴の方針 /青森」(2011年12月17日)は,次のとおり報じています. 

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「青森市に住んでいた40代夫婦(現在は山形市在住)が、不妊治療を受けられなかったのは診療拒否に当たるとして、弘前大と医学部付属病院の産科教授を相手取り140万円の損害賠償を求めた訴訟で、弘前簡裁(齋藤健一裁判官)は「病院が実質的に診療を拒絶したと解釈できるが、拒絶には正当な理由がある」として原告の訴えを棄却した。原告代理人は青森地裁に控訴する方針。

 判決などによると、夫婦は08年から同病院で不妊治療を受診。培養器のトラブルで同年10月に人工受精卵5個が成育不能となったのは病院の過失だとして10年8月、同大に慰謝料など1830万円の支払いを求める訴訟を地裁弘前支部に起こした。病院側は翌9月、妻に転院と診療延期を求める文書を通知したため、夫婦は「医師法19条(応招義務)違反の診療拒絶に当たる」として11年4月、弘前簡裁に別の訴えを起こした。

 齋藤裁判官は「不妊治療は予約なしにできず、実質的に診療を拒絶したと解することができる」とした上で、「先行する訴訟で信頼関係が失われ、患者の治療に緊急性がなく、不妊治療を行う別の病院もあることから、病院には診療拒絶できる正当な事由がある」と述べた。先行する訴訟は審理が続いている。【松山彦蔵】」


弘前簡裁は,訴訟を理由に診療を拒否できるか,という問題について,緊急性がなく,他院で治療できる場合には,診療拒否できると判断しました.

しかし,病院が医療過誤を起こし,患者がその賠償を求めても病院は賠償に応じず,患者がやむなく提訴したら病院が信頼関係喪失を理由に診療拒否ができる,というのは,疑問です.
このような裁判例が定着すると,診療拒否されたら困る状況でば,患者は医療過誤に遭っても損害賠償請求すらできず,泣き寝入りしかない,ということになります.

東京電力を訴える人には,信頼関係が壊れたから,他に自家発電があるから,電力供給を止めてもよい,というのと同じです.
正当な権利行使に対し診療拒否が許されるのは,いかにもおかしいと思います.
控訴審に注目しましょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-21 02:36 | 医療事故・医療裁判

札幌簡裁平成23年12月16日略式命令と静岡地裁沼津支部平成23年12月19日判決,医師法17条違反

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◆ 医師法17条違反

医師法の規定は,次のとおりです.

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

第三十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 
一  第十七条の規定に違反した者 
二  虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者 
2  前項第一号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 

◆ 札幌簡易裁判所平成23年12月19日略式命令

臨床工学技士が,人工透析患者5人に対し,血管にカテーテルを挿入する「シャントPTA手術」を行った事案は,略式起訴で罰金100万円となりました,
幇助犯の准看護師は,従属的立場として不起訴になっています.

院長が臨床工学技士にシャントPTA手術を指示し,臨床工学技士がそれを行うとは,私は,信じられないのですが,残念ながら事実のようです.

毎日新聞「無資格手術:院長と技士に罰金100万円 札幌簡裁命令」(2011年12月16日)は,次のとおり報じています.

「北海道石狩市の「はまなす医院」の臨床工学技士が無資格で血管拡張手術をしたとされる事件で、札幌区検は16日、院長の××××(65)、臨床工学技士の××××(60)の2容疑者を医師法違反で略式起訴した。札幌簡裁は同日、それぞれに罰金100万円の略式命令を出した。同容疑で逮捕された准看護師の女(47)は、ほう助の罪に当たるとされたが、従属的だったとして起訴猶予とした。

 起訴状によると、2人は09年2月~11年4月、人工透析患者5人に対し、医師免許がない××技士の執刀で血管にカテーテルを挿入する「シャントPTA手術」を行ったとしている。誤った処置をすれば血管破裂などの重大事故につながる恐れもあったが、いずれも健康被害はなかったという。【金子淳】」


◆ 静岡地方裁判所沼津支部平成23年12月19日判決

「心療内科医」をかたって,53回にわたり,診療所で患者2人に問診するなど医療行為を行った事案では,懲役1年6月、執行猶予4年となりました.

静岡第一テレビによれば「医師の免許がないのに医療行為をしたとして医師法違反に問われた女に地裁沼津支部は19日、執行猶予つきの有罪判決を言い渡した。判決を受けたのは、伊豆の国市四日町の無職、×××××被告(44)。判決によると××被告は、医師の免許がないのに、おととしから今年にかけて、2人の患者に53回にわたり診察などの医療行為を行ったもの。19日の判決公判で、地裁沼津支部の岡田龍太郎裁判官は、「被害者は、しかるべき治療を受ける機会を失い、より深刻な状態に陥る危険があったが健康被害が生じた証拠はない」として、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。」とのことです.

正常な医療を受ける機会を失わしめる虞があることを理由に処罰するという考えは,最高裁判所昭和35年1月27日判決の少数意見の立場です.正常な医療を受ける機会を失わしめる虞がある行為まで含むとすると,処罰の範囲は広がります.

しかし,一般には,医師法第17条の趣旨は,人体に危害を及ぼす虞があることに求められています.
抽象的危険犯であって,人体に危害を及ぼす危険が具体的にあることまでは求められていませんから,診療内科医の治療行為としてのカウンセリングのようなことを行っていたとすれば病状を悪化させる抽象的危険が認められ本件が有罪であることにはおそらく違いは生じないでしょうが,医師法第17条の解釈が,前記最高裁判所判決の多数意見とは異なる立場をとったとすれば,気になります.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-20 07:02 | 医療事故・医療裁判

日弁連の法曹人口政策会議,司法試験合格者数1500人提言へ

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毎日新聞「司法試験:「合格者1500人に減員を」日弁連、初の具体案提言へ」(2011年12月19日)は,次のとおり報じています.

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「日本弁護士連合会の「法曹人口政策会議」が17日の会合で、司法試験の年間合格者数について、現状の約2000人を1500人に減員するよう求める提言案をまとめたことが関係者の話で分かった。3000人への増員を目指す政府方針に反する初の具体的な削減案。日弁連は今後、地方の各弁護士会からの意見を踏まえ、来年3月の提言を目指す。

 提言案は「法曹人口増員のペースが急激すぎ、司法の現場に深刻な問題を引き起こしている」と指摘。その上で「合格者をまず1500人程度にまで減員し、さらなる減員は法曹養成制度の成熟度などを検証しつつ対処すべきだ」とした。

 新しい司法制度のあり方を議論した政府の司法制度改革審議会は01年、「国民の期待に応える司法制度」のためとして人的整備の必要性を掲げ、「10年ごろには、司法試験の合格者を年間3000人とすることを目指すべきだ」とする意見書を作成した。政府は02年、意見書に沿った増員計画を閣議決定した。

 以後合格者数は増加し、10年には政府方針には届いていないものの、約2000人に到達。今年も同じ規模を維持した。しかし、それに応じた法的需要の拡大が進まず、新人弁護士の就職難が深刻化している。日弁連は今年3月、「司法試験の年間合格者数を現状より相当数減員すべきだ」とする緊急提言を発表していた。【伊藤一郎】」


2000人はもちろんですが,1500人でも多いと思います。
需要からすれば,1000人でやっと何とかよいくらいです.
もともと3000人という目標の算定根拠が間違っています.
当然,法科大学院も見直しが必要でしょう.

今年法曹資格を得た約2000人のうち200人弱が裁判官,検察官になり,1800人強が弁護士になるはずが,弁護士会への未登録者が約400人います.弁護士会に登録しなければ,弁護士としての仕事はできません.この約400人は,法律事務所に就職できなかったから,弁護士会に登録しないのです.就職できなかったのは,個人的資質の問題ではなく,法律事務所の側に新規採用の需要がなかったからなのです.

弁護士には,先輩弁護士の指導を受け,力をつけていく期間が必要です.
法律事務所に就職すれば,事務所の仕事を先輩弁護士の指導を受け,実際の事件を解決していく過程で,力をつけていくことができます.

法律事務所の側からすると,所属弁護士の人数は仕事に応じた適切な人数に抑えないと,経営上好ましくない事態になります.ですから,弁護士の新規採用人数は仕事量により,制約されます.

回転寿司経営にのりだした法律事務所が,約400人を半年のノキ弁として採用してもよい,と呼びかけていますが,法律関係の仕事が頭打ちで他業種に進出しようとしているのですから,約400人分の法律関係の仕事はありません.ですから,ノキ弁(法律事務所の軒先を借り,主に自分で仕事を探す弁護士)なのでしょう.

ソクドク(即独立開業)・ノキ弁もいれると,約2000人のうち500人くらいは,法律事務所への就職ができなかったものと思われます.そこで,1500人という数字になるのでしょうが,この数年,各法律事務所は拡張方向で精一杯の努力をして採用を増やしてきました.その採用が継続するものではありません.そのような事情も考慮し,需要と供給のバランスを判断すると,1000人という数字が一定の合理性をもつように思います.

もともと競争原理により,弁護士の質を向上し,市民の弁護士へのアクセスを容易にし,法的サービスを向上させるために,増員をしてきたのですが,需要のないところに過剰な供給をすると弊害が生じる可能性があります.

ソクドク・ノキ弁がでてきた時点で,法律事務所内で育成可能な適正な数以上の弁護士が輩出されたことが示唆されました.そもそも数が増えれば質が低下するのはどの世界でもみられる現象です.質が低下し,先輩による育成システムの限界を超えた状態では,マクロでみれば,弁護士の市民への法的サービスは低下します.

TPPにより,医療に過度の市場競争原理がもちこまれ,医療が悪化すると予測されているのと同じです.
市民への法的サービスの質を担保するには,弁護士の数は適正でなければなりません.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-19 20:17 | 司法