弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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新年会

b0206085_930206.jpg事務局Hです.

高校時代からの友人と,新年会をしました.

メンバー同士3年ぶりくらいに会う子達も居て,「おばさんになったねー!!」「いや,○○くんも老けた!」などと言い合っているのが面白くて他人事のように笑っていたのですが,
「Hは昔から老けてたよ!」と言われてがっかりしました.

高校生の時から,社会人に間違われたり,大人っぽいと言われることが多く,仲間うちでそういうキャラクターなのですが,もうすぐ20代も半ば,大人びて見られても全く嬉しくありません.
せめて実年齢より見た目年齢が老けないよう,最低限の気遣いは必要だなぁと思いました.

学生時代は,多摩川沿いでお花見をしたり,花火をしたり,家で餃子パーティー等をしていた私たちでしたが,今回は六本木のお洒落な焼肉店.

セレブっぽいね,私たちももう大人だね,などと笑いながらお肉を頬張っていましたが,
最終的にはゲームセンターに行き,プリクラを撮ったり,男の子たちがUFOキャッチャーで景品を取ってくれたり,していることは学生時代のままでした.

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by medical-law | 2012-01-27 11:39 | 休暇・休日

東京地裁平成24年1月26日判決,総合病院国保旭中央病院で気管切開への切り替えが遅れた事案で請求認容

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◆ 事案

顔のまひの治療で平成16年11月総合病院国保旭中央病院に入院していた患者(女性,当時76歳)が,平成16年12月首への麻酔注射を受けたところ血管が傷つき,血腫により気道が圧迫されて呼吸困難になりました.
担当医らは気道確保のため,鼻や口から管を挿入しようとしましたが失敗し,気管切開に切り替えましたが,患者は低酸素脳症により意識不明の状態が続き,現在も同病院に入院しています.

◆ 判決

東京地方裁判所(民事30部)は,平成24年1月26日「気道を確保するために,もう少し早くのどの切開手術を行うべきだった」「気管切開への切り替えが7,8分早ければ、後遺症を残さずに回復した」と指摘し,同病院の開設者である旭市に5800万円余りの賠償を命じました.

朝日新聞「千葉・旭市に賠償命令=医療ミスで植物状態―東京地裁」(2012年1月26日)ご参照
NHK「医療ミスで5800万円賠償」(2012年1月26日)ご参照

◆ 感想

民事の損害賠償責任が認められるためには,①注意義務違反,②相当因果関係(注意義務違反と損害との相当因果関係),③損害を立証することが必要です.
注意義務違反がいくつあっても,損害と相当因果関係のある注意義務違反だけが問題になります.
そこで,まず結果発生に近い時点の注意義務違反から検討し,それが否定された場合は順次遡って他の注意義務違反を検討することになります.

本件の場合,気管切開への切り替えが7,8分早ければ,後遺症を残さずに回復したということですから,まず,気管切開への切り替えの遅れについて,注意義務違反の有無を検討することになります.

気管切開への切り替えの遅れについては注意義務違反を肯定した判例,否定した判例があり,それぞれ事案により判断が異なります.
本件の具体的な事実が報じられていませんが,本裁判所は,もう少し早くのどの切開手術を行うべきだったと注意義務違反を認定しています.

首への麻酔注射で血管を傷つけ,血腫による気道圧迫で呼吸困難を生じ,気道挿管に失敗し,気管切開への切り替えが遅れた事案では,どこかに相当因果関係のある注意義務違反があると思われるので,普通は,裁判前に解決ができるように思います.
旭市が本件で賠償責任を認めず裁判とし判決を求めたのは,かなり強気という印象を受けました.

谷直樹
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by medical-law | 2012-01-27 08:40 | 医療事故・医療裁判

ポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社の元社長が危ない豊胸バッグで過失致死傷容疑のため身柄拘束される

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時事通信「危ない豊胸バッグ、創業者拘束=過失致死傷容疑で捜査-仏」(2012年1月26日)は,次のとおり報じています.

「2010年に倒産したフランスのポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社が製造した豊胸用シリコーンバッグが体内で破れる恐れがあるとされる問題で、同社創業者のジャンクロード・マス元社長(72)が26日、南仏バール県で治安当局に拘束された。司法筋の話としてAFP通信が報じた。
 この豊胸バッグをめぐっては、健康被害を受けたなどとする利用者から2500件以上の訴えが起こされ、マルセイユ検察が昨年12月、過失致死傷容疑で捜査に着手。仏当局によれば、昨年末時点で利用者20人が乳がんなどを発症していたが、バッグとの因果関係は分かっていない。

 PIP社は医療用でなく工業用のシリコーンを使って豊胸バッグを製造していたとされ、輸出分を含め、全世界で40万人以上が使用した可能性がある。フランスやドイツの保健当局が、利用者にバッグ除去手術を受けるよう呼び掛けていた。」


いよいよ刑事事件にも発展しそうな気配です.
厚労省は,ポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社の豊胸バッグについて除去手術を受ける必要があるのか否かを調査,判断し,対応を明らかにしていただたいと思います.

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by medical-law | 2012-01-27 00:23 | 医療

2012年3月3日沢田貴志さんご講演「医療を受ける権利を守るために~外国人医療から見えてくるもの」

「医療を受ける権利を守るために~外国人医療から見えてくるもの」

講師:沢田貴志さん (医師・神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所長)

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☆ いま,医療を受ける権利は守られているのでしょうか。そして,これからは・・・・・・。

☆ 日本で暮らす外国人にとって重要な人権問題である医療に取り組まれている沢田さんの経験の中には日本のこれからを示唆することがたくさんあるように思います。

☆ 日本に住む誰でもが医療を受ける権利を守るために,<医療者と患者・市民>はどのように連携していけばいのか一緒に考えていきましょう。

☆ 港町診療所で、弱い立場にある外国人に対する医療に取り組まれている医師の沢田さんが、外国人医療から見えてくる現在の医療の問題点と人々の医療を受ける権利を守るために医療者と患者・市民がどのように連携していくべきかについてお話してくださいます。

☆ これからの日本の医療の在り方について考えたい人にとって必聴のお話です。


○日時: 2012年3月3日(土)
 患者の権利オンブズマン東京総会:13時~13時55分
      記念講演:14時~15時30分
 
○場所: 東京医科歯科大学医学部A棟地下1階臨床講堂

○主催:患者の権利オンブズマン東京 03-5363-2052 谷直樹法律事務所内
 
どなたでも参加できます 参加費無料 事前申込不要

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by medical-law | 2012-01-26 23:25

第3回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会の「次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料」

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「第3回 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会」の「次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料」の41頁以下には,最終目標を「喫煙と受動喫煙に関連した疾病、障害、死亡を減少させる。」においています.

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その理由は,次のとおりです.

「たばこは日本人の疾病と死亡の原因として、最大かつ回避可能な単一の原因であり、効果が実証された種々の介入方策が国内外で実施されている。

たばこ消費を継続的に減らすことによって、日本人の死因の第一位であるがんをはじめとした喫煙関連疾患による回避可能な超過死亡と超過医療費、経済的損失等を将来的に確実に減少させることができる。

喫煙は世界保健機関による非感染性疾患(NCD:Non-communicable diseases)対策の対象疾患であるがん、循環器疾患(脳卒中、虚血性心疾患)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病に共通した主要なリスク要因であり、たばこ規制枠組条約は非感染性疾患の予防と対策のモデルとして位置づけられている16)。

たばこ対策の推進は、非感染性疾患の発症や死亡を短期間に減少させることにつながることが諸外国での経験から明らかにされている。

以上のことから、当面ならびに将来の健康被害や経済損失を回避するために、また、たばこ規制枠組条約の締約国としての国際的責務としても、たばこ対策の着実な実行が必要である。」


次の指摘もあります.

「喫煙はがん(口腔、咽頭、喉頭、肺、食道、胃、大腸、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部、鼻腔、副鼻腔、卵巣のがん、急性骨髄性白血病)、循環器疾患(脳卒中、虚血性心疾患等)、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患等)、糖尿病、周産期の異常(早産、低出生体重児、死産、乳児死亡等)等の原因であり、受動喫煙も、虚血性心疾患、肺がんに加え、乳幼児の喘息や呼吸器感染症、乳幼児突然死症候群(SIDS)等の原因である。

たばこは、受動喫煙などの短期間の少量曝露によっても健康被害が生じる。

禁煙することによる健康改善効果についても明らかにされており、肺がんをはじめ、喫煙関連疾患のリスクが禁煙後の年数とともに確実に低下する。」



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by medical-law | 2012-01-26 23:10 | タバコ

中堅外科医とベテラン外科医,術後合併症の発生率はどちらが高い?

b0206085_1074146.jpgリヨン市民病院のAntoine Duclos氏が,甲状腺摘出術3,574件について術後48時間以内および6カ月以内に発生した2つの重大な合併症の発生率を検討した結果,経験年数5~20年の35~50歳の外科医は,それよりも年下または年上の外科医に比べ,合併症が少なかった,と報告しました.

健康美容EXPO‎「中堅外科医での術後合併症発生率が最も低い 」(2012年1月25日)ご参照

経験の浅い外科医の手術のほうがリスクが高いのは分かりますが,経験年数20年を超える外科医の術後合併症の発生率のほうが中堅外科医の術後合併症の発生率より高い,というのは意外でした.

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by medical-law | 2012-01-26 01:25 | 医療

瀬尾記念病院,病室以外の患者入院を常態的に行っていたとして静岡県から指導を受ける

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静岡新聞「病室以外に患者入院で改善指導 沼津の整形外科病院」(2012年1月25日)は次のとおり報じています.

医療法人社団慶信会が運営する沼津市上土町の瀬尾記念病院が、病室以外の患者入院を常態的に行っていたとして、県から医療法に基づく指導を受けていたことが、24日までの取材で分かった。同法人によると、許可を受けた60床以上のベッドを置いていたとして、診療報酬上の問題で厚労省東海北陸厚生局の指導も受けたという。
 県や同法人によると、同病院は病室ではない個室の処置室など計7部屋12床に患者を繰り返し入院させていた。同法人理事長は「手術予定の患者のベッド確保や救急患者、緊急入院の受け入れなどで目的外で使用してきた」と認め、「診療報酬の返還にも適切に対処したい」としている。
 病室外の患者入院は、県東部保健所による昨年11月末の立ち入り検査で発覚した。県医務課は病院関係者からの情報提供などを元に調べたとして、「普段は書類上のチェックが中心。ベッドを隠すなどの病院側の隠ぺいなどもあって見抜けなかった」などと説明する。今月19日までに改善状況を確認したという。
 理事長は、同病院の今後の運営について、4月から病院体制を変更して無床の診療所とする方針を示した。2次救急医療など同病院の機能は、同法人が沼津市下香貫で運営する瀬尾記念慶友病院(66床)に統合する考え。
 同法人のホームページによると、瀬尾記念病院はリハビリ科を併設した整形外科の専門病院。昭和30年代に開院した医院を前身に、1996年に現地に移転新築した。常勤医師は5人。入院基本料を算定する看護師比率は13対1を掲げる。」


医療法施行規則(昭和二十三年十一月五日厚生省令第五十号)第十条は,次のとおり定めています.

「病院、診療所又は助産所の管理者は、患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させるに当たり、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。ただし、第一号から第三号までに掲げる事項については、臨時応急のため入院させ、又は入所させるときは、この限りでない。
一  病室又は妊婦、産婦若しくはじよく婦を入所させる室(以下「入所室」という。)には定員を超えて患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
二  病室又は入所室でない場所に患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。 (以下略)」

したがって,許可を受けた60床以上のベッドがあっても,それが臨時応急のためであれば例外的に許されるのですが,処置室など計7部屋12床に患者を繰り返し入院させていたとすると,医療法施行規則第十条に反することになります.

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by medical-law | 2012-01-25 19:56 | 医療

今クールは火曜21時「ストロベリーナイト」に決めました

b0206085_22384640.jpg事務局Hです.

前クールが,「家政婦のミタ」「謎解きはディナーのあとで」等,話題作揃いでしたので,
今クールはめぼしいドラマがないと思ったのですが,
竹内結子さん主演の「ストロベリーナイト」に西島秀俊さんも出演ということで,迷わず見ることを決めました.

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「ストロベリーナイト」は警察ドラマで,事件の解明に向かうのはもちろん,内部の警察同士の対立関係までもえげつなく描かれていて,コメディ要素がないシリアスなドラマです.
本当は,暴力や血の影像が苦手なので,サスペンスなどはほとんど見ないのですが,やはり好きな俳優さんが出演となると,暴力シーンは目を逸らしながらも見てしまいます.
西島さんは,竹内さんを尊敬しつつ,寡黙に見守っている年上の部下という設定です.
スーツが似合う西島さんはやはり素敵で,目の保養です.

2話までの感想は,竹内さんはクールな強い女を演じるイメージがあまりなかったせいか,見ているとなんとなく肩が凝るような感じがしました.
竹内さん演じる主人公を始めとする登場人物たちがそれぞれ心の闇を抱えていて,それがだんだん明らかになりつつ,最後は恋愛要素も絡みつつ・・・という展開なのだろうなぁと予想はつきますが,
小出恵介さん,生瀬勝久さん,宇梶剛士さん,武田鉄矢さん,高嶋政宏さん,渡辺いっけいさん等,キャストが豪華ですので,毎週見ようと思います.

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by medical-law | 2012-01-25 10:06 | 日常

第32回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会資料,「たばこに関する目標設定の考え方について」

b0206085_1927528.jpg「第32回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」の資料から,「たばこに関する目標設定の考え方について」をご紹介いたします.

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成人の喫煙率の低下

◆ 目標値設定の必要性

○ 喫煙は、がん、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病、周産期の異常など様々な疾病の原因となることが科学的知見として確立されており、その健康影響は明らかである。

JTは,疾病の要因ではあるが,原因ではない,科学的知見が確立していない,などと述べていますが,タバコがこれらの疾患の原因であることは科学的にはすでに解決済みの議論です。

○ たばこ消費量は近年減少傾向にあるが、過去のたばこ消費による長期的な健康影響と急速な高齢化により、たばこ関連疾患による死亡数は年々増加しており、わが国の年間死亡者数(参考:平成22年119万人)のうち、喫煙者本人の喫煙による年間の超過死亡数は12~13万人と推計されている。

119万人のうち,12~13万人が直接喫煙で亡くなっているのです.日本人の9人に1人がタバコで亡くなっているのです.嗜好品として許されるようなものではありません.

○ また、日本も批准し平成17年に発効した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の目的に「たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを減少させる」とあり、国際的にも、その責務が求められている。

タバコ規制は,条約上の義務です.

「○ したがって、次期国民健康づくり運動において、成人の喫煙率低下に関する目標を設定し、必要な対策を推進することにより、現在及び将来の健康被害を回避することが必要である。

◆ 目標値の考え方

○ 厚生労働省が策定した「健康日本21」においては、たばこに関し、「喫煙をやめたい人がやめる」ことを方針として掲げ、健康づくり運動を推進している。

○ また、平成19年に策定された「がん対策推進基本計画」では、個別目標として、「喫煙をやめたい人に対する禁煙支援を行っていくことを目標とする」ことが閣議決定されており、厚生労働省のみならず、政府全体として、喫煙をやめたい人が禁煙する環境を整備することが求められているところ。

○ このような状況を踏まえ、目標値については、現在の成人の喫煙率から、禁煙希望者が禁煙した場合の割合を減じたものを設定する。
」」

タバコには依存性があります.やめたいと思わない,というのは依存性による認知の歪みです.認知の歪みを正すことも支援の一つでしょう.

ただ,少なくとも,やめたいと思っている人がやめるための支援を行うのは,閣議決定もあり,既定の政策です.
そこで,やめたいと思っている人が約4割ですから,約4割減という目標値が設定されるのです.

未成年者の喫煙をなくす

未成年期からの喫煙は健康影響が大きく,かつ成人期を通した喫煙継続につながりやすく, 既に「健康日本21」で「未成年者の喫煙をなくす」が目標値となっているので 0%が目標値です.

受動喫煙の防止

◆ 目標設定の必要性

(国際的な動向)
○ たばこは、受動喫煙などの短期間の少量暴露によっても健康被害が生じ、虚血性心疾患、肺がん、乳幼児期の喘息、乳幼児突然死症候群などの健康被害の原因となる。
○ このため、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の第8条において、「たばこの煙にさらされることからの保護」のための効果的な措置を講じることが規定された。○ さらに、平成19年の「たばこ規制枠組条約第8条履行のためのガイドライン」においては、法的拘束力はないものの、「すべての屋内の職場、屋内の公共の場及び公共交通機関は禁煙とすべきである」ことが明記され、諸外国でも受動喫煙に関する規制強化が進んでいる。

(国内の取組)
○ 平成15年に施行された健康増進法において、多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙防止のための措置を講じることを努力義務として規定したほか、平成22年に発出した健康局長通知では、「今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間は、原則として全面禁煙であるべき」ことを示した。
○ また、職場については、平成22年に閣議決定した「新成長戦略」において、2020年までに「受動喫煙の無い職場の実現」が掲げられた。


◆ 受動喫煙の目標設定

○ このような受動喫煙を取り巻く国際的、国内的状況を踏まえ、受動喫煙の防止を一層推進するため、受動喫煙の防止に関する目標を設定することが必要である。


◆ 目標値の考え方

①行政機関・医療機関について
平成22年の健康局長通知において、「少なくとも官公庁や医療施設においては、全面禁煙とすることが望ましい。」とされているとおり、これらの施設については、住民の健康を守るための公的責任を果たす要請が特に強い。したがって、住民の健康被害を防止する観点から、行政機関・医療機関については、「受動喫煙の機会を有する者をなくす」ことを目標に掲げることが適当である。

②職場について
職場については、労働安全衛生法に基づき、快適な職場環境を形成することが事業主の努力義務として規定されている。「新成長戦略」の記述と整合性を図り、「受動喫煙の無い職場の実現」を目標に掲げることが適当である。

③家庭・飲食店について
・国民の健康被害を防止する観点からは、家庭・飲食店においても、行政機関等と同様、受動喫煙を完全になくす目標を設定することが望ましいこと、

・一方、20歳以上の者に喫煙が認められている中、プライベートな空間である家庭において完全な受動喫煙防止を求めることは、現時点では困難であること、

・飲食店の場合は、平成21年3月に取りまとめられた「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書」でも、「中小規模の事業所が多数を占める飲食店や旅館等では、自発的な受動喫煙防止措置と営業を両立させることが困難な場合があることに加え、利用者に公共的な空間という意識が薄いため、受動喫煙防止対策の実効性が確保しがたい状況にある。」とあり、顧客に対して禁煙等とすることを一律に事業者に求めることは、現時点では困難であること、

を踏まえ、受動喫煙の機会を有する者を半減することを目標とする。なお、喫煙率そのものが低下すれば、受動喫煙の割合も自然に低下することとなるので、半減させる基準となる値は、現在、家庭、飲食店で受動喫煙の機会を有する者の割合に、禁煙希望者が禁煙した場合の割合を減じた割合とする。
ただし、特に育児期間中においては、乳幼児の健康の観点から、両親が家庭で喫煙することのないよう周知・広報を徹底するとともに、将来的には家庭・飲食店においても全面的に受動喫煙がなくなるよう、国民のコンセンサスを得ながら、社会全体としての取組を計画的に進めていくことが必要である。


ということで,半減目標となっています.

JTやタバコ族議員らの圧力に屈せず,この目標数値を計画に入れることを期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2012-01-25 01:49 | タバコ

国立病院機構金沢医療センター,ひだり腎臓摘出内視鏡手術で,みぎの血管を切断する

b0206085_11321294.jpg◆ 事案

国立病院機構金沢医療センターの医師(40代,泌尿器科医長)は,2010年3月29日,腎臓がんのため左の腎臓を摘出する内視鏡手術の際,誤って患者(50代,男性)の右の腎臓につながる血管を2本切断しました.
別の医師が血管を縫合し,左腎臓を摘出しましたが,右腎臓の機能が回復しないため,9日後に右腎臓も摘出しました.
患者は,同年11月末に退院しましたが,両方の腎臓を摘出したため,人工透析が必要となり,別の病院に通院しています.

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◆ 対応

金沢医療センターは,手術直後,院内で委員会を開き,経緯調査や対応を検討したほか,機構本部などには事故報告を行いました.
金沢医療センターは,2011年7月,男性や家族に謝罪し,医療費や賠償金を支払うことで,示談が成立しました.
医長は処分されませんでしたが,その後同センターでは内視鏡手術を行っていないとのことです.
これまで事故を公表しなかったのは「患者が公表を求めなかったため、積極的に公表する必要がないと判断した」とのことです.

時事通信「健康な腎臓摘出=手術で血管取り違え-金沢」(2012年1月24日)ご参照

◆ 感想

手術部位の左右取り違え事故は,実は結構あります。
たとえば,小山市民病院で,2010年2月10日に,泌尿器科長(48歳)が手術個所のマーキングを忘れ、さらに別の泌尿器科の医師(40歳)もCT写真を裏表間違えて掲示し,患者の健康な左の腎臓を摘出するという医療ミスが起きています.それは,ちょうど2010年3月29日に報道されています.

マサチューセッツ総合病院内分泌部門,ハーバード大学助教授李啓充先生は,米国の部位取り違え手術(Wrong-site Surgery)の例を紹介し,次のとおり述べています.

「個別症例の分析だけで誤りの原因を同定し予防策を講じようとしても,誤りの「パターン」を見出すことは不可能で,有効な予防策を講じることも著しく困難である。つまり,医療過誤について,過誤が発生した医療機関が個別に原因を分析し予防策を講じるというだけでは,再発防止の努力がどんなに真摯なものであったとしても,その努力が実を結ぶ保証は何もないのである。
 医療過誤防止に本気で取り組もうとするならば,国レベルで過誤の情報を収集・分析するという体制を作ることが最も効率がよいのである。」(アメリカ医療の光と影(17)

米国では,医療施設評価合同委員会(JCAHO)が,医療過誤の情報収集と原因分析を行ない,98年8月に部位取り違え手術の防止策を勧告しています.

日本では,財団法人日本医療機能評価機構は,医療安全情報No.8(2007年7月),医療安全情報No.50(2011年1月)で,手術部位の左右の取り違えについて,
①マーキングを適切にしなかった.
②マーキングはしたが,執刀直前に手術部位の確認をしなかった.
という例を,情報提供しています.

手術の際のタイムアウトは,①執刀直前に,②チーム全員で,③いったん手を止めて,④チェックリストに従って,⑤患者・部位・手技等を確認することを意味します.
マーキングとタイムアウトは通常行われるはずなのですが,本件では,マーキングとタイムアウトがどのように行われていたのかは,報じられていません.気になるところです.

【追記】

日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の
事例ID;AA29F56186C840C3F」は,50代男性の左腎細胞癌で左腎摘出のために行われた内視鏡手術の際に誤って右腎臓につながる2本の血管を切断した事例で,本件と酷似します.

事例概要は,以下のとおりです.

「【実施した医療行為の目的】
左腎細胞癌のため、腹腔鏡下左腎摘出術を実施した。

【事故の内容】
患者は検診にて左腎腫瘍を指摘され、手術目的にて入院し、腹腔鏡下にて左腎摘出術の予定となった。

腹腔鏡下による手術操作にあたって、左腎静脈の剥離後、その頭側に平行に走る動脈を左腎動脈と認識し(後に右腎動脈と判明)切断した。切断後、左腎静脈の血行遮断を行ったところ、同静脈の鬱血を認めたため、もう1本腎動脈がある可能性を考え、先に切断した動脈のさらに頭側に位置する動脈を剥離し切断した(後に上腸間膜動脈と判明)。

その後、左腎全体の剥離を進めたところ、本来の左腎動脈の存在に気づき、その動脈周囲からの出血をも認めるに至り開腹術に移行し、左腎摘出術を施行した。

誤って遮断・切断した右腎動脈と上腸間膜動脈は、血管吻合にて再建し、吻合後には血流再開を確認している。

術後経過において播種性血管内凝固(DIC)の病態を併発、右腎臓の存在がDICをさらに悪化させる原因であると判断し、右腎臓の機能不全を確認して摘出術を実施した。

その1週間後に腹腔内出血を認め、緊急手術を施行したが明らかな出血源は特定できなかった。

その約10日後再び腹腔内出血を認めたため、造影CTにより出血部位の検索を行った。

その結果、上腸間膜動脈吻合部近傍の仮性動脈瘤からの出血が疑われた。出血部位及び患者の一般状態から保存的加療を選択した。

その後、呼吸不全、腎不全、肝機能障害、感染症などの合併症を併発しているが、人工呼吸器による呼吸管理、透析、経管栄養、抗菌剤投与などにより、対応・治療している。

【事故の背景要因の概要】
腹部大動脈左側の剥離操作の際に左後腹膜腔内臓器を残さないように剥離面を意識しすぎた。そのため大動静脈間まで剥離手術を行ったことを術中認識できていなかったため、誤った動脈を遮断し切断した。

【改善策】
1.背筋群を直視下に確認し、背側に位置する動脈であるという確認操作を最初に行うべきであった。

2.泌尿器科における腹腔鏡下手術は事故後直ちに中止するとともに、その他の診療科における腹腔鏡下手術においても十分な注意を払い実施するよう指示した。」


本件が,「事例ID:AA29F56186C840C3F」であるとすれば,左腎臓につながる血管を切断しようとして,血管同定のミスのため,右腎臓につながる血管を切断した事例ということになります.

以上,堀康司先生の医療安全備忘録を参考にさせていただきました.ありがとうございます.

谷直樹
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by medical-law | 2012-01-24 20:55 | 医療事故・医療裁判