弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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とくに乳幼児注意,ピボキシル基を有する抗菌薬で,重篤な低カルニチン血症に伴う低血糖症,痙攣,脳症等

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は,2012年4月25日,医薬品適正使用のお願いで,次のとおり注意喚起を促しました.

「ピボキシル基を有する抗菌薬は中耳炎などの感染症の治療に汎用されていますが、小児等に投与した際に、重篤な低カルニチン血症に伴って低血糖症、痙攣、脳症等を起こし、後遺症に至る症例も報告されています。」

「ピボキシル基を有する抗菌薬」は,フロモックス,メイクト,トミロン,オラペネム,メリシンなど,一般的によく使われている薬剤です
1歳児が38例中20例を占めていたとのことです.

「● 小児(特に乳幼児)への投与においては、血中カルニチンの低下に伴う低血糖症状(意識レベル低下、痙攣等)に注意してください。
● 長期投与に限らず、投与開始翌日に低カルニチン血症に伴う低血糖を起こした報告もあります。
● 妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められた報告もあります。」


PMDAからの医薬品適正使用のお願い」ご参照

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by medical-law | 2012-04-30 03:50 | 医療

ワーファリン,インスリン,抗血小板剤,経口血糖降下剤の過量投与による高齢者の緊急入院

薬害オンブズパースン会議は,薬の副作用が原因の高齢者入院は,ワーファリン,インスリン,抗血小板剤,経口血糖降下剤の過量投与という米国の報告を紹介しています.

薬害オンブズパースン会議「副作用が原因の高齢者入院は、その3分の2は過量投与が原因であり、原因薬の67%を抗凝固剤と糖尿病治療剤等4種類の繁用薬が占めていた」ご参照


Daniel S et.al;Emergency Hospitalizations for Adverse Drug Events in Older Americans.N Eng J Med.365,2002-2012(2011)の内容は,以下のとおりです.

米国では,65歳以上の高齢者の救急入院の1.5%が薬の副作用によるものです.
その約半数は80歳以上の高齢者でした.

約3分の2は,故意でない薬の過量服用が原因でした.
原因となった薬剤は,ワーファリン(33.3%),インスリン(13.9%),抗血小板剤(13.3%),経口血糖降下剤(10.7%)でした.
なお,高齢者に不適切とされる薬による入院は6.6%であり,その半数以上はジゴキシンによるものでした.


ワーファリン,インスリン,抗血小板剤,経口血糖降下剤は,よく使われている薬ですが,高齢者では,モニターを行い,その量をコントロールすることが緊急入院を減らすらめに重要なことが示されました.

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by medical-law | 2012-04-30 00:42 | 医療

医療問題弁護団,インプラント無料相談に電話139件,5月末まで延長

今日のインプラント無料相談に,139件の電話がありました.
これは,インプラントの被害者が多く,また深刻であることを示していると思います.

医療問題弁護団では,5月末までの平日,03ー5698ー8544で無料相談申込を受け付けます.
とのことです.

NHK「インプラント被害の電話相談」(2012年4月28日 20時1分)は,次のとおり報じています.

「あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を固定するインプラント治療を巡るトラブルについて、弁護士グループが相談を受けつける電話相談が28日東京で行われ、『痛みが消えない』など、全国から130件余りの相談が寄せられました。

この電話相談は、医療事故や薬害問題に取り組んでいる弁護士グループ、医療問題弁護団が行いました。
歯のインプラント治療はあごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を固定するもので、自分の歯に近い感覚が取り戻せるとして急速に広がっている一方で、治療後の健康被害などを巡るトラブルが多いことも明らかになっています。
電話相談は午前10時から午後5時まで行われ、痛みやしびれが取れないがどうしたらいいかといった相談や、すぐに抜けてしまったインプラントの治療費は返還されるかなどといった内容を中心に、合わせて139件の相談が寄せられました。
医療問題弁護団の高梨滋雄弁護士は「インプラント治療がうまくいかなくて悩んでいる患者がとても多いと実感した。相談内容を分析し、できるだけ多くの人の被害救済を進めていきたい」と話しています。
医療問題弁護団では、来月いっぱい、代表電話03ー5698ー8544で無料で相談を受け付けるとうことです。」


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by medical-law | 2012-04-28 21:20 | 医療事故・医療裁判

日弁連会長に山岸憲司先生

日弁連会長は,再選挙の結果,最多投票と19単位会を獲得した山岸憲司先生が選出されました.エンドレスにならず良かったです.ちなみに,山岸憲司先生は,中央大学の正法会研究室の先輩です.

平成24年度同25年度日本弁護士連合会会長選挙(再選挙)仮集計結果

1票差で山岸先生が,仙台弁護士会,釧路弁護士会,愛媛弁護士会.
2票差で山岸先生が,鳥取県弁護士会.
3票差で山岸先生が,宮崎県弁護士会,沖縄弁護士会.

同数が大分県弁護士会.

2票差で宇都宮先生が,岡山弁護士会,函館弁護士会,旭川弁護士会.
3票差で宇都宮先生が,滋賀弁護士会.

激しい戦いであったことがわかります.

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by medical-law | 2012-04-27 18:35 | 弁護士会

新型インフル特措法,可決成立

新型インフル特措法は,4月27日,参院本会議で可決成立しました.
付帯決議ではなく,法案本文を修正すべきだったのですが.

毎日新聞「新型インフル法:参院で可決・成立 発生時に集会など制限」(2012年4月27日)は次のとおり報じています.

「新型インフルエンザの感染防止を目的に、発生時に集会の制限などを可能にした特別措置法が27日午前の参院本会議で民主、公明などの賛成多数で可決、成立した。共産、社民は反対し、自民は2大臣問責後の審議拒否中に、法案が内閣委員会で採決されたことを理由に欠席した。内閣委では、人権が過度に制約されないよう求める付帯決議がされていた。

 特措法は、危機管理法制である災害対策基本法や国民保護法がモデル。新型などが発生し、首相が国民生活に大きな影響があると判断した場合、緊急事態(最長3年)を宣言。都道府県知事は▽多数の人が利用する施設使用・催し物の制限の指示▽医師への医療の指示▽臨時医療施設開設のための土地等の強制使用▽医薬品や食品を確保するための保管命令−−が可能になる。保管命令に業者などが従わなかった場合は罰則を設けている。

 また、知事は交通機関やNHKを含む指定公共機関に対し、緊急事態宣言の発令時に「総合調整」という権限に基づく「必要な指示」ができることになっている。」


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by medical-law | 2012-04-27 18:24 | 医療

医療問題弁護団,インプラント治療トラブル無料電話相談,4月28日午前10時~午後5時

インプラント治療トラブル無料電話相談
4月28日午前10時~午後5時
専用電話(03 6869 0428,03 6869 9028)


主催;医療問題弁護団

◆ 医療問題弁護団のサイトより転載

歯科インプラントホットラインのご案内

~歯科インプラントの無料電話法律相談を実施します~
歯科インプラント治療の普及に伴って、紛争が増加しています。
2011年12月22日には(独)国民生活センターより報告書「歯科インプラント治療に係る問題~身体的トラブルを中心に~」が発表され、被害実態の一部が明らかになりました。
当弁護団への相談でも、インプラント治療の紛争事例が増加しています。
そこで、このたび、当弁護団では歯科インプラントホットライン(無料電話法律相談)を実施することに致しました。

歯科インプラントホットライン
■日時:
平成24年4月28日(土)午前10時から午後5時

■電話番号:
03-6869-0428
03-6869-9028
通話料はかかりません。

■電話での法律相談は無料です。
  継続相談となる場合も、初回面談時の弁護士相談料は無料です。

■問い合わせ先:
医療問題弁護団事務局 03-5698-8544



◆ 朝日新聞「インプラント治療トラブル 28日に無料電話相談」(2012年4月26日)は,次のとおり報じています.

「歯科のインプラント治療でトラブルが相次いでいるとして、医療問題弁護団は28日に無料の電話相談を実施する。インプラント治療は、人工歯根を埋め込み義歯をつくる。国民生活センターによると、痛みや腫れなどが出たという相談が2006年度からの約5年間で343件あった。弁護団は「実態を調べて救済につなげたい」としている。相談は午前10時~午後5時、専用電話(03・6869・0428、9028)へ。」

◆ 共同通信「インプラントで無料相談 28日、医療問題弁護団」(2012年4月27日)は,次のとおり報じています.
 
「顎の骨に人工歯根を埋め込み、歯を復元するインプラント治療をめぐるトラブルが増えているとして、医療問題弁護団(代表・鈴木利広弁護士)は今月28日に「歯科インプラントホットライン」を設置、無料相談を実施する。

 国民生活センターによると、インプラント治療で腫れや痛みが残るなどしたとの相談は、2006年度以降、343件寄せられた。弁護団の高梨滋雄弁護士は「被害実態を把握し、回復につなげたい」としている。

 受付は28日午前10時~午後5時。電話03(6869)0428、または03(6869)9028。」



◆ NHK「インプラント治療被害 電話相談」(2012年4月28日)

「あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を固定する「インプラント治療」について、治療が急速に広がる一方で健康被害の相談も増えているとして、弁護士グループが28日、無料で電話相談を受け付けます。
電話相談は、28日午前10時から午後5時までで、電話番号は、03-6869-0428と03-6869-9028です。

この電話相談は、医療事故や薬害問題に取り組んでいる弁護士グループ「医療問題弁護団」が初めて行います。
歯のインプラント治療は、あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を固定するもので、入れ歯などよりも自分の歯に近い感覚が取り戻せるとして、急速に広がっていますが、去年、国民生活センターが行った全国調査で、「治療で痛みや傷が残った」など健康被害を訴える相談が5年で340件余りに上るなど、トラブルが多いことも明らかになりました。
医療問題弁護団にも相談が寄せられるようになり、その中で「どこに相談していいか分からず1人で悩んでいた」という声があったため、一斉に相談を受け付けることにしたということです。」


医療問題弁護団は,若手を中心に,インプラント問題について研修を重ね,多数の電話にも対応できるよう万全の準備を整えています.インプラント治療のトラブルにお悩みの方は,是非,この機会に専用電話(03・6869・0428&03・6869・9028)へお電話ください.

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by medical-law | 2012-04-27 04:19 | 医療事故・医療裁判

神奈川県立足柄上病院,今年もまた,消毒0分の内視鏡を使用する事故

兵庫県立柏原病院で,2012年4月4日,3台ある洗浄機のうち1台で,消毒液につける設定が0分になっていて,消毒が行われていないことはわかったこと(発表は4月20日)について,ブログ記事を書きましたが,今度は,神奈川県立足柄上病院で,2012年4月25日,同様の事故がおきました.

神奈川新聞「消毒不十分の内視鏡を10人に使用、県立足柄上病院で/神奈川」(2012年4月26日)は次のとおり報じています.

「県立病院機構は26日、県立足柄上病院(松田町)の耳鼻咽喉科外来で、消毒が不十分な内視鏡を使用する医療事故が判明したと発表した。25日に同科を受診した生後4カ月から77歳までの男女10人に使用しており、全員の感染症検査を進める。同病院件では昨年6月にも同様の事故が判明している。

 同病院によると、使用後の内視鏡(2本)を洗浄・消毒する際、本来は5分に設定する自動洗浄器のタイマーが0分となっていた。前回(23日)の診察後に洗浄器を洗った看護師が設定を変更したまま元に戻さず、25日朝も別の看護師がチェックを怠ったという。

 25日の外来終了後に洗浄器を片付けた看護師が設定が違うことに気付き事故が発覚。未消毒の内視鏡を使用した患者10人に謝罪するとともに、肝炎など感染症検査を実施し経過を観察する。現時点で感染症の有無は確認されていない。

 同病院では昨年6月、手術室で使用していた気管支内視鏡の消毒が不十分で、31人に感染リスクが生じていたことが判明。病院側は事故を受け、内視鏡を一括管理して消毒する再発防止策を講じていたが、耳鼻咽喉科については「回転が要求されるため一元化の例外としていた」と説明している。」


昨年の事故の教訓が活かされていません.
しかも,診察日の朝と診察終了後の2回,確認するルールなのに,チェックリストを整備しておらず,23日の設定忘れと25日朝の確認懈怠の二重のミスがあります.
このようなことでは,患者の信頼は得られないでしょう.
本気で再発防止に取り組んでいただきたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-27 04:04 | 医療事故・医療裁判

東京高裁平成24年4月26日判決,改正薬事法の解釈を誤り,省令へのネット販売規制委任を否定

東京高裁平成24年4月26日判決は,2009年6月に施行された改正薬事法にネット販売規制の根拠となる委任の規定がない,規制を定めた厚生労働省令の部分は国家行政組織法12条3項に違反する,などとし,一般用医薬品をインターネット販売できる権利(地位)の確認を認めました.
判決は,改正薬事法の趣旨を誤って解釈していると思います

谷直樹
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キャリアブレイン「医薬品ネット販売2社が逆転勝訴- ネット販売規制の規定は国家行政組織法違反」(2012年4月26日)は,次のとおり報じています.

「コマースサイトを運営するケンコーコム株式会社と有限会社ウェルネットが国を相手取り、一般用医薬品をインターネット販売できる権利の確認などを求めた裁判の控訴審で、東京高裁(三輪和雄裁判長)は26日、原告の訴えを退けた一審東京地裁判決の一部を取り消し、両社がネット販売できる権利を認める判決を下した。ネット販売を規制した厚生労働省令の無効確認と、取り消しについては一審判決を維持し、控訴を棄却した。

 一般用医薬品のネット販売は、2009年6月に施行された改正薬事法の関連省令で、副作用のリスクが最も低い第三類医薬品を除き、原則禁止されている。
 判決では、改正薬事法が第一類、第二類医薬品のネットなどによる販売を一律に禁止することを厚労省令に委任したとは認められないと指摘。その上で、ネット販売を規制する規定は「国民の権利を制限する省令の規定であり、国家行政組織法12条3項に違反する」と結論付けた。

 10年3月の一審判決では、一般用医薬品のネット販売と対面販売を比較した場合、ネット販売は「副作用の危険の相対的に高い医薬品の販売に当たり、有資格者の対面による販売と同等の所要の水準の安全性を確保し得るものとは認められない」とし、ネット販売の規制について「必要性と合理性を認めることができる」としていた。
 一方、控訴審では両者の比較ではなく、ネット販売を規制する合理的な理由があったかどうかについて双方に主張することを求めていた。」


国家行政組織法12条3項は,「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。」と定めています.

東京高裁判決は,「控訴人らの店舗販売業者が第一類・第二類医薬品を郵便等販売により販売することを規制する本件規制の部分は,新薬事法の各規定の文言,法の趣旨・目的,その立法経緯に照らすと,被控訴人がその根拠規定として主張する新薬事法36条の5が第一類・第二類医薬品等についての販売方法を厚生労働省令に委任していることを前提としても,同条が店舗販売業者が行う第一類・第二類医薬品の郵便販売を一律に禁止することまでを委任したものと認めることはできず,また,同条のほかに,同法の36条の6その他被控訴人が主張する根拠規定を総合して検討しても,本件規制の根拠となる委任の規定を新薬法の条項中に見出すことができない。」と認定しました.

検討会の報告書,国会の質疑,審議の過程には,医薬品販売業は、「店舗販売業」・「配置販売業」の販売形態のみでネット販売は認めないという趣旨がうかがわれるのですが,改正薬事法の条文にその趣旨が明記されていないことから,このような判決になったものと思われます.

しかし,一般用医薬品に本来必要であった薬剤師の配置が徹底されなかった現状を踏まえ,登録販売者という新資格を設け,消費者に対する情報提供を適切,実効的なものにしようという改正の趣旨からすれば,改正薬事法は当然にネット販売規制を前提としていたと解釈すべきでしょう.

(この種の委任の解釈問題は最高裁で3対2に分かれたこともありますが)本件について最高裁で適正な判決が下されることを期待いたします.

なお,このような疑義が生じないように,医薬品のネット販売規制を,省令ではなく法自体に織り込むことも検討に値すると思います.同時に,ネットでないと医薬品購入が著しく不便という人に対する具体的な手当もお願いしたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-27 03:27 | 司法

小沢一郎氏無罪

小沢一郎氏に無罪判決が下されました.
あの大善文男判事をもってしても,本件について有罪判決は書けなかったわけです.
ストーリー自体無理スジで,証拠がないのですから,無罪は当然です.
本件は,最高裁事務総局の関与が言われ,検察審査会を使った起訴でしたが,さすがに判決をねじまげることまではできなかったわけです.
ちなみに,主任弁護人の弘中惇一郎先生は,私の元ボス弁(山口紀洋)とクロロキン薬害事件を担当していたことがありますので,間接的に若い頃の弘中先生のエピソードを聞いてはいましたが,やはり流石です.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-26 12:12 | 司法

和歌山地裁平成24年4月25日判決(介護12時間から21時間に義務付け)報道を読んで

日本では,家族に介護を押しつけ,社会が障がい者をみない,責任をもたない,という傾向があるように思います.良風美俗ではないと思います.

和歌山地裁は,24時間介護が必要なALS患者について,足の不自由な妻(74歳)が介護できるのは3時間と認定し,介護保険分3.5時間とあわせて公的な介護サービス時間を12時間から21時間に引き上げる義務付け判決を下しました.

判決内容は当然ですが,今までこのような判決がありませんでした.
この判決は確定してほしいですし,他の自治体も判決をうけ,介護サービス時間を少しでも長くしてほしいです.

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読売新聞「ALS介護支給、1日21時間以上を市に命じる」(2012年4月25日)は,以下のとおり報じています.

「全身の筋肉が弱る筋萎縮性側索硬化症(ALS)で24時間介護が必要なのに、和歌山市がサービスを1日8時間としたのは障害者自立支援法に反するなどとして、同市内の男性(75)が、介護保険分のサービス時間(1日3・5時間)と合わせて24時間介護となる1日21時間のサービス提供と、慰謝料100万円を求めた訴訟の判決が25日、和歌山地裁であった。

 高橋善久裁判長は「市の決定は障害程度や介護者の状況を適切に考慮していない」として、サービス提供時間を1日17・5時間に引き上げるよう命じた。慰謝料請求は認めなかった。

 ALS患者への介護サービス時間増を命じる判決は全国で初めて。男性の介護サービスを受ける時間は、介護保険分(1日3・5時間)と合わせて1日12時間から21時間に増える。1日のうち、残る3時間程度は妻が介護できると判断した。

 訴状などでは、男性は足の不自由な妻(74)と2人暮らし。頻繁なたんの吸引や人工呼吸器の管理が必要で、24時間介護を求めていた。

 同市は、介護保険分を除いて独自に1日8時間の介護サービスを提供しており、「家族による介護が原則で、介護保険分のサービスだけを受ける市民もおり、8時間以上の提供は不公平になる」と主張していた。

 高橋裁判長は、妻の健康状態などから1日21時間のサービスがないと男性の生命に危険があると判断。「市の決定は裁量権を逸脱、乱用しており違法」とした。

 同市の大橋建一市長は「判決文を確認して対応を検討する」とのコメントを出した。

 男性は、判決が出る前の「仮の義務付け」を申し立て、同地裁は昨年9月、サービスを1日16・5時間とするよう市に命じた。しかし、市が抗告。大阪高裁は「緊急性が明らかでない」として取り消し、最高裁も今年2月に男性の特別抗告を棄却した。」



毎日新聞「 <ALS>介護時間「延長を」市の対応批判…和歌山地裁判決」(2012年4月25日)は,次のとおり報じています.

「難病の筋萎縮(きんいしゅく)性側索硬化症(ALS)の70代の男性患者=和歌山市=が、市に1日24時間の介護サービスの提供を求めた訴訟で、和歌山地裁(高橋善久裁判長)は25日、現行の1日あたり約12時間から、21時間以上に延長するよう命じる判決を言い渡した。原告弁護団によると、ALS患者を巡り公的介護サービスの時間延長を認めた司法判断は初めて。

 判決によると、06年6月にALSと診断された男性は寝たきり状態で、70代の妻と2人暮らし。左足小指など体の一部しか動かず、人工呼吸器を付けている。公的介護に加え、妻とヘルパーのボランティアにより24時間態勢で介護をしている。

 男性は、障害者自立支援法と介護保険による24時間の介護サービスを求めてきたが、市側は「24時間の介護は必要ない」として、約12時間のサービスしか認定してこなかった。

 判決はまず、男性について「ほぼ常時、介護者がそばにいる必要がある」と認めた。そのうえで、(1)妻は高齢で健康に不安がある(2)男性の人工呼吸器が正常に動作しているか頻繁な確認が必要(3)流動食の提供に細心の注意が必要--などと指摘。「少なくとも1日21時間はプロの介護がなければ、生命に重大な危険が生じる可能性が高い」と結論付けた。

 1日約12時間という市側の決定に関しては「妻が起床中は、一人で全ての介護をすべきだという前提で、裁量権の逸脱だ」と厳しく批判した。【岡村崇】

 ◇解説…自治体で運用に差

 ALS患者への介護時間の延長を命じた今回の判決は、公的介護が不十分なために生命が危険にさらされないよう、行政側に柔軟な対応を求めたものといえる。日本ALS協会の金沢公明事務局長も「ALS患者には、24時間の介護が必要不可欠だ」と一定の評価をしている。

 重い障害を抱える人に公費で介護を提供する「重度訪問介護」は、障害者自立支援法に基づくもので、具体的な介護の時間は市町村の裁量に任されている。

 しかし、自治体間で運用に差があるうえ、財政支出を抑えるために上限を厳しくしている自治体もあるとの批判が、障害者団体などから出ていた。

 判決を踏まえ、全国の自治体は、重い障害がある人に必要な介護サービスを提供しているか、改めて検証する必要があるだろう。」


【追記】
和歌山市は,4月27日午後,控訴を断念する,と発表しました.これで本判決は確定します.


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by medical-law | 2012-04-26 03:45 | 福祉