弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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週刊新潮5月24日号,6月8日に子宮肉腫事件の医師尋問があります

週刊新潮2012年5月24日号「医療過誤事件の法廷に立つ宇宙飛行士「向井千秋」夫君」は,私が患者側代理人の1人となっている子宮肉腫医療過誤事件を取り上げています.

或る大学病院の婦人科の医師と病理の医師が,平成15年9月,患者の子宮頸部のポリープ(細胞密度が高く,細胞異型がみられ,核分裂数も多い)について,子宮肉腫である可能性を認めながらも,肉腫に似ていて肉腫ではないきわめて珍らしい偽肉腫を第一選択として経過観察を続けたところ,播種で転移したポリープが腹腔内に穿破し患者が平成16年12月に死亡したため,患者の両親が損害賠償を請求している事案です.

ご遺族は,週刊新潮の取材に答えて,次のとおり述べています.

「その時は“肉腫である可能性はありますが大丈夫です。黒ではないグレーというところなので経過観察します”という説明でした。結局,子宮は残し,“将来の妊娠を目指す”という話になったのです。ところがポリープの除去を何度やっても,また新しいポリープが出来る。それでも病院側は“肉腫に似ているが問題ない”という説明ばかりでした」

「開腹手術をしてみたら,肉腫が転移し,腹腔内にびっしり増殖している状態だというのです」

(説明会の場で)「●●先生は“患者さんが自分の妻だったら全摘手術をしただろう”って言うのです。この言葉を聞いて仁美を失った私たちは頭が真っ白になりました」

私のコメントは要約されて,次のとおり掲載されています.

「普通の医師なら病理検査の段階で,子宮の摘出手術を勧めるところです。なのに,●●医師と担当医は,きわめて珍しい偽肉腫である可能性にこだわり,学会に報告もしている。このため,処置が遅れたと言わざるを得ません」

病理検査で細胞密度が高く,細胞異型がみられ,核分裂数も多いことがわかった段階で,肉腫として取扱い,肉腫の転帰を説明し,子宮摘出手術の話をしていくのが普通だと思います.ところが,この件はそうならずに,学会誌に,日本で1例目となるきわめて珍しい偽肉腫の例として報告されています.
なお,その転帰については,学会への報告はありません.

6月8日午後に婦人科の医師と病理の医師の尋問があります.ご遺族のお気持ちにこたえ,事実を明らかにしたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-19 09:25 | 医療事故・医療裁判

日本肝臓学会,プロテアーゼ阻害薬テラプレビル製剤(テラビック錠)の重篤な副作用で,新治療指針

朝日新聞「C型肝炎新薬、使用は慎重に 日本肝臓学会が治療指針」(2012年5月17日)は,次のとおり報じています.
 
「重い腎機能障害が相次いでいるC型肝炎の新薬「テラプレビル」について、日本肝臓学会はC型肝炎の治療指針をまとめた。18日にホームページで公表し、注意を促す。副作用が出やすい66歳以上は原則として使わないなど、この新薬の扱いを慎重にした。

 C型肝炎感染者は150万~200万人に上る。テラプレビルは、日本人感染者の7割を占めるウイルスの型が対象で、従来の治療法で治らなかった患者にも効果がある。厚生労働省研究班が今春まとめた指針では、ウイルス量が多い患者の初回治療や従来の治療法で完治しなかった患者への治療で、この新薬を含めた治療法を第一選択肢にしている。

 一方、日本肝臓学会は、新たな指針で、65歳以下も病状が進んでいなければ、副作用の少ない次世代の薬の承認を待つことを選択肢に加えた。次世代の薬は早ければ来年には承認される見通し。

 テラプレビルは国内の臨床試験では、初回治療患者の73%、ウイルス再燃患者の88%に効果があった。一方、貧血や皮膚障害などの重い副作用が問題となっており、市販後調査で、重い腎機能障害も明らかになった。(岡崎明子)」


.田辺三菱製薬のテラビック錠は,薬害肝炎の加害企業が開発した薬です.
罪滅ぼしどころか,その重篤な副作用で,新たな薬害をつながりそうな状況でしたので,日本肝臓学会の対応は当然でしょう.

日本肝臓学会編『C型肝炎治療ガイドライン』ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-18 01:59 | 医療

広島高裁松江支部平成24年5月16日判決,警報音に気づかない鳥取大医学部付属病院に約2億530万円賠償命じる

報道によりますと,急性細気管支炎で鳥取大学医学部附属病院に2002年2月入院した,当時9か月の男児に,心拍呼吸モニターとサチュレーション・モニター(血中酸素濃度に異常が出ると警報音が鳴る装置)がつけられ,ナースステーションに警報音で知らせるようになっていましたが,心拍呼吸モニターの警報音は,うるさいという理由で切られており,サチュレーション・モニターが鳴ったかが争われた事案のようです.

1審では,患者側は,サチュレーション・モニターが鳴ったことの立証に成功しませんでしたが,鳥取地裁米子支部平成21年 7月17日判決は,サチュレーション・モニターが鳴らないことも想定した監視措置を取っていなかったことを認定し,約2億510万円の支払いを命じました.つまり,サチュレーション・モニターが鳴らないことも想定し心拍呼吸モニターの警報音を切らないことを求めたのではないかと思います.

広島高裁松江支部平成24年5月16日判決は,患者側が請求した装置メーカーの調査などに基づき「鳴っていたが医師らが気付かなかった」と新たに認定し,「異変から発見まで13分を要したことは重大な落ち度」との判断から,約2億530万円の支払いを命じました.

朝日新聞「医療ミス 改めて認定」(2012年05月17日)は次のとおり報じました.

「◆鳥取大訴訟控訴審判決/2億円賠償命令◆

医療ミスにより脳性まひで寝たきりになったとして、島根県内の男児(11)と家族が鳥取大学(鳥取市)に約2億3600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、広島高裁松江支部であった。中野信也裁判長は医学部付属病院の過失を改めて認めたうえで、約2億500万円の支払いを命じた一審・鳥取地裁米子支部判決を一部変更するなどし、約20万円増額した。

 一審判決は、当時9カ月の男児が2002年2月、病院で心停止状態となった際、医師と看護師が気付くのが遅れ、低酸素脳症で重度の後遺症が残ったと過失を認定した。病院側は不服として控訴し、男児側も将来の介護費用の見直しで増額を求めていた。

 この日の判決では、男児の血中酸素濃度を測る装置の警報音が「鳴らなかった」と一審で認めた大学の主張に対し、男児側が請求した装置メーカーの調査などに基づき「鳴っていたが医師らが気付かなかった」と新たに認定。「異変から発見まで13分を要したことは重大な落ち度」と指摘した。

 男児側の弁護士は記者会見し「両親の気持ちに沿った判決。警報音を聞き逃して事故が起きたと認定された。安全に一層注意してほしい」。鳥取大は「判決を斟酌(しん・しゃく)して対応を決めたい」としている。(竹野内崇宏)」


心拍呼吸モニターの警報音を切った状態で,サチュレーション・モニターが鳴ったのに13分間気づかなかったのは,重大な過失と思います.

【追記】
朝日新聞「二審判決不服 鳥大側が上告」(2012年5月29日)は,次のとおり報じています.

「鳥取大学医学部付属病院の医療ミスで寝たきりになったとして、島根県内の男児(11)と家族が鳥取大学に損害賠償を求めた訴訟で、大学側は28日、病院の過失を認めて約2億円の賠償を命じるなどした二審・広島高裁松江支部判決を不服として最高裁に上告した。

 大学は「二審は当方の主張が認められておらず、不服と判断した。事故があったことに争いはないが、最高裁では事実に基づいて判断してもらいたい」

 男児側の高橋敬幸弁護士は「上告は早期解決に背を向けるもので大変遺憾。十分に反省して万全な医療体制となるよう努力していただきたい」と話している。」


上告の理由は,民事訴訟法312条に定められています.

「第三百十二条 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。

2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。

一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。」

本件に,どのような上告理由があるというのでしょうか?

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-18 01:28 | 医療事故・医療裁判

医療安全情報No.66,インスリン含量の誤認(第2報)

公益財団法人日本医療機能評価機構は,2012年5月15日,「医療安全情報No.66,インスリン含量の誤認(第2報)」を発表しました.

医療安全情報No.1(2006年12月)発表後も,インスリンの単位を誤認し、過量投与に伴い低血糖をきたした類似事例が8件報告されたため,「インスリン含量の誤認(第2報)」を発表することになったものです.

インスリンは100単位/mLに濃度が統一されており,「1バイアル1000単位(10mL)」です.名称も「○○100単位/mL」となっています.

このことはほとんどの人が知っているはずですが,全員に周知徹底されていなかったようです.
集計期間2006年10月30日~2012年3月31日の8件のうち3件は,経験年数1年未満の医師や看護師によるものとのことです.

紹介された事案は,「看護師A(1年目)は、持続インスリン投与をしていた患者のノボリンRの調製を初めて行った。指示簿には、『ノボリンR注100単位/mL(10mL)40単位+生食40mL』と書かれていた。看護師は、指示簿を見て、ノボリンR注は10mLが100単位だと誤認し、40単位の指示に対して4mL(400単位)を生食と調製し、総量40mLにした。4時間後、患者は声をかけても覚醒せず、低血糖(BS17mg/dL)になっていた。」というものです.

「ノボリンR注100単位/mL」は薬剤の名称で,濃度が100単位/mLであることを示していて,「(10mL)」は1バイアル(1瓶)10mLということで,普通はそれ以外に読みようがないように思います.
しかし,実際に上記のような誤解をした8件もあったわけです.新人が加わる医療現場では,薬剤の知識,薬剤の表記,指示の意味という基本的なことについて,確かに周知徹底をはかる必要があるようです.

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by medical-law | 2012-05-17 09:29 | 医療事故・医療裁判

兵庫県立こども病院,手術中の圧迫による神経障害・運動障害で和解成立の報道を読んで

神戸新聞「医療過誤で賠償金支払い 兵庫県立こども病院」(2012年5月16日)は,次のとおり報じています.
 
兵庫県は16日、県立こども病院(神戸市須磨区)で2年前、手術中に神戸市の男児(6)の脚が固定具からずれ、歩行障害などの後遺症が出たのは医療ミスが原因だったとして、家族側に賠償金約3268万円を支払うことで和解が成立した、と発表した。


 県病院局によると、男児は2010年1月、同病院で11時間に及ぶ腸の手術を受けた際、左脚が固定具からずれ、長時間圧迫されたことで脚に感覚まひや歩行障害などが残った。家族側は11年7月、同病院に損害賠償を求め、代理人の弁護士を通じて協議していた。

 これに対し県は、固定していた脚の確認を怠り、障害を負わせたことを認めた。今月中にも賠償金を支払うという。

 県病院局は「早期円満解決のために和解することにした。今後、より一層安全対策を充実し、再発防止に努める」とコメントした。(井関 徹)」


外科の本には,手術中の圧迫による神経障害・運動障害の予防について書かれていますし,実際,外科医は,手術中の圧迫による神経障害・運動障害が生じないように常に注意をはらっていると思います.
ところが,ときどき,手術自体に集中するあまり,圧迫に気づかないことがあるようで,私の事務所にも,手術中の圧迫による神経障害と思われる事案についての相談が時々ありますので,事故としては結構多いのかもしれません.
ほとんどが裁判前に示談で解決しますが,神経障害・運動障害は患者にとっては大変なことです.対策を徹底していただきたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-17 01:11 | 医療事故・医療裁判

最高裁,弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告を認め,原決定を取り消す

最高裁判所第三小法廷(裁判長裁判官大橋正春,裁判官田原睦夫, 裁判官岡部喜代子, 裁判官大谷剛彦, 裁判官寺田逸郎)は,平成24年5月10日,弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告を認め,「原決定を取り消す。本件を高松高等裁判所に差し戻す。」との決定を下しました.  
理由は,以下のとおりです.

「本件抗告の趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
所論に鑑み,職権で判断する。

本件は,会社の代表取締役である申立人が,共犯者らと共謀の上,同社の業務に関し,法人税合計3600万円余りを免れたとされる被疑事実について,刑訴規則27条に基づき,弁護人の数を3人を超えて6人とすることの許可を求める旨の請求がされたところ,原々審がこれを却下する決定をし,申立人の抗告申立てに対し,原審が抗告棄却決定をしたので,特別抗告がされた事案である。

刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情については,被疑者弁護の意義を踏まえると,事案が複雑で,頻繁な接見の必要性が認められるなど,広範な弁護活動が求められ,3人を超える数の弁護人を選任する必要があり,かつ,それに伴う支障が想定されない場合には,これがあるものと解されるところ,本件においては,税務申告書に架空の減価償却費用を計上するなどして多額の所得を秘匿したという事件につき,犯意,共謀等を争っている複雑な事案であること,申立人は被疑事件につき接見禁止中であり,弁護人による頻繁な接見の必要性があること,会社の従業員,税理士事務所職員ら多数の関係者が存在し,これらの者と弁護人が接触するなどの弁護活動も必要とされることなどの事情が認められ,上記のような支障も想定されないから,刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるものというべきである。

そうすると,原決定は,特別の事情があるとは認められないとして上記請求を却下した原々決定を是認したものであるから,刑訴規則27条1項ただし書の解釈適用を誤った違法があると言わざるを得ない。そして,3人を超えて何人の弁護人を許可するのが相当であるか改めて検討する必要がある。

よって,刑訴法411条1号,434条,426条2項により,原決定を取り消した上,本件を原裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。」


刑訴規則27条1項は,「被疑者の弁護人の数は、各被疑者について三人を超えることができない。但し、当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員の所属の官公署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所が特別の事情があるものと認めて許可をした場合は、この限りでない。」と定めています.
本決定は,この「特別の事情」について,最高裁の判断を示したものです.

私は,刑事事件はもう長いこと担当していませんが,至極適切な決定と思います.

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by medical-law | 2012-05-16 02:01 | 司法

日本医師会会長横倉義武氏,民主党に苦言

日本経済新聞「横倉・日医会長、民主に苦言 「経済・政治が不安定」」(2012年5月15日)は,次のとおり報じています.

「日本医師会は15日、横倉義武会長の就任披露会を開き、横倉氏は「今、日本の経済、政治の状況は不安定に見える」と民主党の政権運営に苦言を呈した。民主党寄りとされる原中勝征前会長も「民主党はガタガタしている。国民から見放される」と指摘。出席した民主党の樽床伸二幹事長代行は「これまで同様、厳しく優しくご指導願いたい」と述べた。

 4月の会長選で原中氏を破った横倉氏は「野党にもしっかり対応していく」との立場。医師会の民主離れが進むとの見方もあることから披露会には民主党から小宮山洋子厚生労働相や仙谷由人政調会長代行が出席した。自民党は石原伸晃幹事長らが姿を見せた。」

横倉氏は,現職の原中氏を破って日本医師会の会長に当選しました.(山岸氏が現職の宇都宮氏を破って日本弁護士連合会の会長に当選したのと似ています.)横倉氏は,原中氏と異なり,自民党議員の後援会会長を務めるなど民主党と距離があると言われています.横倉氏でなくても,だれしも,約束を勝手に反古にする,今の民主党政権の政局運営には不満を感じるのではないでしょうか.

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by medical-law | 2012-05-16 01:35 | 医療

公立置賜総合病院,レベル3bの医療事故2件公表

山形新聞「公立置賜病院、医療事故を公表 「予定外治療」相当、11年度2件」(2012年5月15日)は,次のとおり報じています.

 「公立置賜総合病院(川西町、新沢陽英院長)は14日、過失によって予定外の治療が必要となる「レベル3b」相当の医療事故が2011年度に2件あったと公表した。

 同病院によると、昨年5月、新たに導入した人工透析の装置を女性患者(62)に使用した際、透析回路の一部を開放したまま透析を開始したため、血液の一部が回路から流出し血圧が急激に低下。装置を停止させ、輸血などの処置を行い、患者の容態は回復した。

 ことし3月には、膵炎(すいえん)などの治療に使用する溶液を男性患者(67)が左手甲から点滴していた際、溶液の一部が皮下に漏れだした。約1週間後、その部位が直径約2センチにわたり炎症し潰瘍化。現在は同病院の外来で治療を受けている。

 これを受け、▽本年度から人工透析専門の臨床工学技士を配置▽新たに装置を導入した際のチェック法の周知徹底▽皮膚障害を引き起こす薬剤の適正な投与方法や、漏出した場合の迅速なケアの注意喚起-といった改善策を講じた。同病院は医療事故公表基準に基づき、レベル3bに相当する医療事故について単年度分を一括公表している。」


この2件の医療事故は,よくありそうな事故です.
このように医療事故の原因を解明し,再発防止策を講じることが大事です.

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by medical-law | 2012-05-16 01:11 | 医療事故・医療裁判

日弁連,ALS患者の介護支給量義務付け訴訟判決に関する会長談話

和歌山地裁平成24年4月25日判決は,ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者に介護保険と合わせて1日当たり21時間以上の介護を支給することを和歌山市に義務付けました.
日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年5月12日,「ALS患者の介護支給量義務付け訴訟判決に関する会長談話」を発表しました.

「本判決は近時の東京地方裁判所平成18年11月29日判決及び平成22年7月28日判決(第一次・第二次鈴木訴訟判決)、大阪高等裁判所平成23年12月14日判決(石田訴訟判決)等でも示された、市町村は障がいのある人や難病患者の個別事情に則した十分な介護支給量を保障すべきとの法解釈を改めて確認したが、かかる法解釈は既に法理として確立したといえる。

当連合会は、2011年10月7日、第54回人権擁護大会において、「障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意思を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議」を採択し、障がいのある人の地域での自立生活を可能とするための支援を量的にも質的にも保障することを強く求めた。更に、2012年2月15日、「障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明」を公表した。

当連合会は、改めて国に対し上記決議の実現を求めるとともに、何人も障がいの有無に関わらず地域で自立生活を営む権利を有していることを確認し、全ての人に十分な介護支給量が公的に保障される法制度の確立及び運用を国及び市町村に強く求めるものである。」


今,政治は,障害者自立支援法を若干手直しし,温存する方向で動いています.
障がい者の権利を保障する総合的な福祉法の制定にはほど遠いのが現状です.
しかし,司法は,憲法に基づく障がい者の権利保障を認めています.
自治体が,政治の逆風にのることのないよう希望いたします.

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by medical-law | 2012-05-15 02:33 | 福祉

昭和大学産婦人科の医療チーム,超音波で胎児治療

今まで,超音波検査で,胎児の臓器の形態異常から疾患を見つけることはできましたが,有効な胎内治療の方法がなかったのですが,昭和大学産婦人科の医療チームが,超音波にでTRAP症候群を治療した,とのことです.画期的なことです.

NHK「超音波で胎児の病気治療に成功」(2012年5月14日) は,次のとおり報じています.

「生まれる前の胎児の重い病気で、母親の腹部に出力の強い超音波を当て、不要な血管を塞ぐ治療に昭和大学の医療チームが世界で初めて成功しました。
子宮を傷つけずに済むことから流産などのリスクを避ける、より安全な治療技術になると注目されています。

生まれる前の胎児の治療で、昭和大学産婦人科の医療チームは、診断に広く使われている超音波に注目し、母親の腹部に当てた出力の強い超音波を子宮内で直径1ミリに集め、熱を発生させる装置を開発しました。
そして、胎児が胎盤でつながった別の組織に血液を送り出し、心不全を起こすおそれがある「TRAP症候群」という病気に応用したところ、不要な血管を塞いで血液の流れを止めることができたということです。
医療チームでは、母親の腹部に超音波を当てて胎児の治療に成功したのは世界でも初めてだとしています。
こうした胎児の治療は、これまで母親に全身麻酔をかけたうえで針を刺し、電流を流すなどして行われてきましたが、今回の方法は子宮を傷つけずに済むため、流産や感染などのリスクを避けられるということです。
また、TRAP症候群だけでなく、胎児の肺やお尻にできた腫瘍など、少なくともほかの8つの病気にも応用が可能だということで、より安全な治療技術になると注目されています。
昭和大学の岡井崇教授は「合併症のおそれがほぼなく、妊婦にも胎児にも優しい治療になる。一日も早く、通常の医療として実施していきたい」と話しています。」


谷直樹
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by medical-law | 2012-05-14 09:05 | 医療