弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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JTの主催するイベントや「社会貢献活動」はぜんぶ国際条約違反なんだって?

禁煙学会のサイトに「JTの主催するイベントや「社会貢献活動」はぜんぶ国際条約違反なんだって?」を是非ご一読お願いします.

バレーボールや将棋のスポンサー、灰皿設置、清掃活動、市民団体の援助もだめなの?

タバコ消費の促進につながるあらゆる直接的・間接的活動は日本が8年前に批准した国際条約:タバコ規制国際枠組み条約(FCTC)で禁止されています

【要点1】 日本は国内法である「たばこ事業法」よりも、国際条約であるFCTCをまず遵守しなければならない。

【要点2】 JTのホームページからアクセスできる事業・イベント・社会貢献活動はすべてFCTC第13条違反であり、政府には直ちに禁止を実行させる国際的義務がある。


谷直樹
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by medical-law | 2012-05-12 16:05 | タバコ

福岡大学病院,医師が無断で持ち出した個人情報入りUSBメモリーが盗まれる

読売新聞「患者68人の個人情報、福大病院医師が盗まれる」(2012年5月11日)は,次のとおり報じています.

「福岡大病院(福岡市城南区)は11日、呼吸器内科の男性医師(30歳代)が、患者68人の個人情報を記録したUSBメモリーを盗まれた、と発表した。

 同病院によると、医師は4月27日夜、福岡市城南区の駐車場で自家用車を駐車して、その場を離れた。しばらくして戻ると、助手席の窓ガラスが割られ、USBメモリーを入れていたバッグがなくなっていた。USBメモリーには、同科で診療を受けた患者の名前や年齢、病名、血液検査の結果などのデータが入っていた。医師は同日、福岡県警早良署に被害届を出し、同署は窃盗容疑で調べている。

 同病院は、患者の個人情報が入った媒体の持ち出しを原則禁止している。持ち出す必要がある場合は、所属長の許可をもらうよう規定しているが、今回は得ていなかった。」


福岡大学病院は,平成24年5月11日,次のとおり「個人情報を含むUSBメモリ盗難について」を発表しています.

「1 盗難の経緯
平成24年4月27日(金)午後9時ごろ、当院の医師が院外の駐車場に駐車していたところ、助手席の窓ガラスが割られ、車内においていたバックが盗難に遭いました。そのバックの中にUSBメモリが入っていました。
すぐに、当院の医師は警察に届け出を行いました。」


この医師が,所属長の許可を得ないで,USBメモリーを持ち出したことにはふれていませんが,この点は重要な事実と思います.

「4 再発防止に向けた取り組み
当院の保有する患者様の個人情報の保護につきましては、従来より取扱いの周知徹底を全職員に行っていましたが、今後この様な事態が起こらないように、あらためて全職員に対し注意喚起等を行いました。今後も再発防止に努めてまいります。
(1)5月2日に開催された全職員を対象とした医療安全教育において、本件の報告と厳重な個人情報の取扱いについて注意喚起を行いました。
(2)各所属長に対し、本件の報告と厳重な個人情報の取扱いについて文書を配布し注意喚起を行いました。
(3)引き続き、会議や職員の研修等を通じて、個人情報の適切な取扱いについて周知を図っていきます。」


注意喚起,文書配布,周知徹底では,再発防止に限界があるのではないでしょうか.
USBメモリーにコピーする際,強制的に暗号化するシステムを導入する必要があると思います.
ちなみに,報道によると,昨年6月以降,個人電磁情報の紛失事故は,以下の施設で起きています.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

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by medical-law | 2012-05-11 21:24 | 医療事故・医療裁判

東京地裁平成24年5月9日判決(国保旭中央病院のタオル残置事案)報道を読んで

時事通信「体内にタオル25年=医療ミスで賠償命令-東京地裁」(2012年5月9日)は,次のとおり報じています.

「手術時のミスで25年間にわたり体内にタオルを残され、脾臓(ひぞう)の摘出を強いられたとして、千葉県香取市の男性(53)が、病院を運営する同県旭市に約1億2300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(森冨義明裁判長)は9日、医療ミスを認め約1100万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は1983年、国保旭中央病院で胃の切除手術を受けた。2008年に別の病院で診察を受けた際、腹部に長さ約36センチのタオルがあることが判明。既に複数の臓器と癒着しており、脾臓を摘出せざるをえなかった。」


脾臓を摘出すると,感染防御機能力が低下したり,疲れやすくなる,ので,8級相当程度の賠償が認められます.森冨義明判事は,常識的な判決を下す判事で,本件も常識的な判決です.
それにしても,約36センチのタオルを残置するとは,驚きます。

【追記】
2006(平成18)年4月1日以降の事故からは,脾臓の摘出は13級11号となっています.本件事故は1983年なので旧基準という考え方が自然ですが,脾臓の摘出が2008年なので新基準という考え方もありえないではないです.ただ,いずれにしも,逸失利益の評価等で,裁判所は結論的にほぼ同じ常識的な金額を導くことができます.

なお,請求額をどのようにするかは原告の判断ですが,高額の請求をしますと印紙代が高くなります.
私は,ご依頼者様に160万円の一部請求を奨めています.
160万円の一部請求ですと1万3000円の印紙代ですむからです.
裁判上の和解は請求額に限定されることはありませんし,判決になるときは予想される判決にそって請求を拡張すればよいのです.時効にさえ気をつければ,一部請求は印紙代を節約でき,合理的な方法です.

【追記】

読売新聞「手術後、体内にタオル置き忘れ25年…和解成立」(2012年10月30日)は,次のとおり報じました.

「千葉県旭市の国保旭中央病院で手術を受け、約25年にわたって体内にタオルを置き忘れられた香取市の男性(53)が、病院を運営する同市を相手取り、慰謝料などを求めた訴訟は29日、東京高裁(高世三郎裁判長)で和解が成立した。

 和解内容などは明らかになっていない。病院は「取材にはお答えできない」としている。

 1審・東京地裁は今年5月、医師らの注意義務違反を認め、市側に計約1100万円の支払いを命じる判決を言い渡していた。」


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by medical-law | 2012-05-09 20:23 | 医療事故・医療裁判

ロシュ社が「JTT-705(dalcetrapib)」の全ての開発を中止

日本たばこ産業株式会社(JT)は,2012年5月7日,ロシュ社が「JTT-705(dalcetrapib)」の全ての開発を中止したことを発表しました.

脂質異常症治療薬「JTT-705(dalcetrapib)」に関する導出先の発表についてのお知らせ」は,次のとおりです.
「当社が創製した脂質異常症治療薬(CETPモジュレーター)「JTT-705(dalcetrapib)」につきましては、2004年10月にスイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社(以下ロシュ社)と導出に関するライセンス契約を締結し、日本を除く海外においては同社が開発を行っていたところですが、本日、ロシュ社が本剤の全ての開発を中止することを発表しましたのでお知らせいたします。
「JTT-705(dalcetrapib)」はHDL*1中のコレステロールをLDL*2に転送する蛋白質であるCETP*3(コレステリルエステル転送蛋白)の活性を調節することにより血中のHDLコレステロールを増加させて抗動脈硬化作用を示す薬剤で、導出に関するライセンス契約締結以降、同社が海外における臨床試験を行っており、海外において第Ⅲ相臨床試験の段階にありました。

なお、本件による当社の当年度連結業績への影響は軽微です。

*1 HDL (High Density Lipoprotein):高比重リポ蛋白。動脈壁などのコレステロールの蓄積を防ぐ動脈硬化症の防御因子。HDLコレステロールは善玉コレステロールとも言われる。
*2 LDL(Low Density Lipoprotein):低比重リポ蛋白。血中コレステロールの主な運搬体。高脂血症になるとLDLが増加し、血管壁にコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を引起す。LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも言われる。
*3 CETP:Cholesteryl Ester Transfer Proteinの略。」


JTは,タバコの製造販売で主な利益をあげていますので,たしかに影響は軽微でしょう.
JTは,中止になった理由(不都合なこと)は説明しません.JTらしい対応といえばそれまでですが.

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by medical-law | 2012-05-08 22:25 | 医療

千葉県がんセンターの不正を指摘した麻酔科医が不当な対応を受け退職を余儀なくされたとして提訴

日刊スポーツ「がん麻酔科医、千葉県をパワハラ提訴」(2012年5月7日)は次のとおり報じています.

「千葉県がんセンター(千葉市)で麻酔科医として勤務していた同市の志村福子さん(40)が7日、違法な医療行為の改善を上司に求めたことでパワハラを受けたなどとして、県に200万円の損害賠償を求めて千葉地裁に提訴した。

 訴状によると、志村さんは2010年夏ごろ、同センターで歯科医が資格のない麻酔をしているとしてセンター長に改善を求めた。しかし事態は変わらず、上司の手術管理部長(47)から仕事を減らされるなどの不当な対応を受け、同年9月に退職を余儀なくされたとしている。

 志村さんは同日、市内で記者会見し「不正を訴えたのに仕事を奪われ、憤っている」と訴えた。

 千葉県警は11年7月、歯科医が外科手術の際に資格のない麻酔をしたとして、医師法違反(無資格医業)の疑いで手術管理部長と歯科医(38)を書類送検。千葉地検は今年3月に起訴猶予処分とした。

 県の担当者は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。(共同)」


これが事実なら,間違いなくパワハラです.

msn産経「不正指摘の医師、パワハラ受難 千葉県がんセンターを提訴」(2012年5月7日)は,次のとおり報じています.

「上司らによる医療行為中の不正を見つけ是正を求めたところ、嫌がらせを受けて退職を余儀なくされたとして、千葉県がんセンター(千葉市)に勤務していた医師、志村福子さん(40)が同センターを経営する県を相手取り、慰謝料200万円の損害賠償を求める訴訟を7日、千葉地裁に起こした。

 訴状によると、志村さんは平成22年4月から同センター手術管理部麻酔科に勤務して以降、同部長らが歯科研修医に全身麻酔を行わせたり、研修医による医療事故を隠蔽したりしたことなど不正を指摘し、センター長に改善を求めた。その後に全ての職務から外され、昨年9月に辞職を余儀なくされたとしている。

 同部長らは、歯科研修医に全身麻酔を行わせたとして、昨年7月に医師法違反容疑で書類送検され、今年3月に起訴猶予の不起訴処分となっている。

 同センターは「訴状を見てから対応を考える」とし、訴状で指摘された医療事故3件については「1件は責任を認め、示談が成立している。ほか2件は問題はなかった」としている。」


医療事故隠ぺいについても争点になるようです.
過失・因果関係・損害の3要件が揃った医療過誤ではなくても(過失がない単なる医療事故であっても),医療事故を問題ないとして隠ぺいしたら,それ自体が問題でしょう,

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by medical-law | 2012-05-07 20:04 | 医療事故・医療裁判

2012年5月6日,NPO法人水俣フォーラム第12回水俣病記念講演会~人間存在の極限に~

毎日新聞は,太っ腹です.
毎日新聞「水俣病:教訓を当事者らが語る 有楽町で6日 /東京」(2012年5月2日)は,次のとおり伝えました.

「水俣病事件の教訓を語り継ぐ「水俣病記念講演会」(水俣フォーラム主催)が6日午後1時から、千代田区の有楽町マリオン朝日ホールで開催される。」ことを伝えました.

 テーマは「人間存在の極限に」。当事者の側から杉本雄さん(72)が発言する。妻栄子さん(故人)も発症し、夫婦で患者救済運動に力を注いできた。

 他に作家の高橋源一郎さん、法政大教授の田中優子さんが、東京電力福島第1原発事故など現在の状況に触れながら水俣病について語る。長年、患者を診てきた医師の原田正純さんも参加予定。」


主催が「水俣フォーラム・朝日新聞社」のイベントでも,朝日新聞の名前をださなければOKなわけで,記事にしています.

日時
2012年5月6日(日)、午後1時~4時30分(12時30分開場)

会場
有楽町マリオン朝日ホール

講師
杉本雄(漁師・水俣病患者) 「私と家族の水俣病」
原田正純(医師) 「核時代のなかで」
高橋源一郎(作家・明治学院大学教授) 「3.11と水俣」
田中優子(日本近世文化・法政大学教授) 「水俣病にまなぶ旅」

主催
水俣フォーラム・朝日新聞社

後援
東京都教育委員会・NHK・TBS・フジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京・共同通信社・時事通信社・西日本新聞社・熊本日日新聞社

協賛
東京都生活協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会、パルシステム神奈川ゆめコープ、生活クラブ生活協同組合・東京、自治労東京都本部、創価学会平和委員会、日本キリスト教協議会、ジーピーエス、グリーン・サーマル、ノーリン、九州ウッドマテリアル、環境構想研究所

入場料
一般=当日2200円、前売1600円/学生=当日1500円、前売1000円/全席自由
一般4枚つづり前売券=5000円

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by medical-law | 2012-05-06 07:13 | 医療

大阪弁護士会,ゲームで裁判員!

パソコンゲーム作りが趣味の飯田幸子先生が言いだし,大阪弁護士会法教育委員会が企画・製作した裁判員裁判を疑似体験できるゲーム「スイートホーム炎上事件」が,5月中旬から,大阪弁護士会のホームページ上で無料公開される,とのことです.
真犯人探しに傾きがちな市販品とはちがって,裁判手続きをリアルに再現した,というものですので,学習効果が期待できそうです.

デモムービーがyou tubeで公開されています.

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by medical-law | 2012-05-06 06:37 | 弁護士会

タバコ会社の禁煙CMに喫煙をうながす効果あり

タバコ会社がスポンサーとなっている禁煙CMには,喫煙をうながす効果があることが報告されました.
一見禁煙をよびかけながら,喫煙をうながすCMができるとは! 
FCTC(WHO Framework Convention on Tobacco Control,タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約)13条とガイドラインは,タバコの広告・販売促進・スポンサーシップの制限・禁止しています.
そこであみだされた手法なのでしょうが,巧妙です.
そういえば,JTのマナー広告も,喫煙をうながす効果があるでしょう.

HealthDay「Anti-Smoking TV Ads From Tobacco Industry Don't Help」 
However, study found media campaigns from other sponsors were effective

THURSDAY, April 26 (HealthDay News) -- While anti-tobacco TV ads help reduce adult smoking, some ads work better than others, a new study says.

Researchers compared adults' smoking behaviors and their exposure to anti-tobacco TV ads in the top 75 U.S. media markets from 1999 to 2007. The ads were sponsored by states, private foundations, drug companies that were marketing smoking-cessation products and the tobacco industry.

The results showed that smoking rates were lower and more smokers said they intended to quit in markets where there was higher exposure to state-sponsored anti-tobacco ads, said study lead author Sherry Emery, a senior scientist at the Institute for Health Research and Policy of the University of Illinois at Chicago.

Higher exposure to state-sponsored, private-foundation and drug-company ads was associated with less smoking. Higher exposure to tobacco-industry ads was associated with more smoking.

"On the surface, the tobacco-industry ads were mostly anti-smoking and a little corporate promotion, but they weren't promoting the act of smoking," Emery said in a university news release. "But the effect of the ads is that they are associated with more smoking."

Emery and her colleagues were surprised by the finding that smokers in areas with more ads for smoking-cessation products were less likely to make an attempt to quit.

"Since we looked at the total amount of exposure to anti-smoking campaigns -- and the campaigns are very different -- our data suggests that it may not matter what you say to people, just that you're saying it a lot," Emery said.

The study was published in the April issue of the American Journal of Public Health.

More information

The American Cancer Society offers a guide to quitting smoking.

-- Robert Preidt

SOURCE: University of Illinois at Chicago, news release, April 19, 2012


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by medical-law | 2012-05-05 00:32 | タバコ

長崎大学病院,今度は医師が個人情報が入った外付けハードディスク紛失

長崎大学病院は,2年前に看護師が個人情報が入ったUSBメモリを紛失していますが,今度は,医師が入院患者103人の個人情報が入った外付けハードディスクを昨年12月に紛失した,とのことです.

長崎新聞「入院患者の個人情報入りのHD紛失」(2012年5月3日)は,次のとおり報じています.

「長崎大学病院(河野茂病院長)は2日、入院患者103人分の個人情報が入ったパソコンの外付けハードディスク(HD)を40代の女性医師が紛失した、と発表した。今のところ、情報漏えいや不正使用の事実は確認されていないという。

 同病院によると、紛失したハードディスクは縦約12センチ、横約8センチ、厚さ約2センチ。2006年4月~10年9月に入院していた患者の氏名や性別、病名などを記録していた。

 女性医師は昨年12月7日、病院改修工事に伴う医局の移動の際に紛失したという。医師は上司に報告した後、探したが見つからず、病院に報告したのは3月5日になってからだった。4月23日、河野病院長が直接、口頭で厳重注意した。

 同病院は、既に死亡した患者を除く50人に対して、5月1日付で経過説明と謝罪文を掲載した文書を郵送した。

 この紛失事案を受け、同病院が院内を調査したところ▽個人情報が入ったハードディスク紛失(後日発見)▽個人情報を含まないパソコン紛失-の2件が新たに判明した。

 同病院は、再発防止に向けて、持ち出し可能な媒体の使用を原則禁止するなどの対策を講じるという。」



看護師が平成22年7月18日個人情報入りのUSBメモリ(原則院外持ち出し禁止)を自宅に持ち帰り,紛失した事故のとき,長崎大学病院は,平成22年8月4日「患者の個人情報の紛失について」を発表し,次のとおり再発防止策を示しました.

「本院としては,全ての個人情報の適切な取扱いについて,機会あるごとに全職員に注意喚起を行ってきたところでありますが,今回の事態を厳粛に受け止め,今後さらに,院内の個人情報の取扱いについてデータ管理の在り方の見直し(ファイルサーバー上での情報収集への移行,やむを得ずUSBメモリを利用する場合はデータ暗号化の必須化等)を進め,個人情報保護の強化を行うとともに,全職員に対する個人情報保護に関する教育(研修会の開催,e-ラーニングの実施等)の徹底及び啓発を行い,再発防止に向け対策を講じてまいります。」

たしかに,USBメモリの紛失事故はなくなりましたが,外付けハードディスクの紛失事故がおきてしまったわけです.
外付けハードディスクを利用する場合についても,データ暗号化の必須化等の対策を講じるべきだったのではないでしょうか.

ちなみに,報道によると,昨年6月以降,個人電磁情報の紛失事故は,以下の施設で起きています.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院

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by medical-law | 2012-05-04 02:27 | 医療事故・医療裁判

髄液検査で血腫が神経を圧迫し両足麻痺,松山城東病院提訴の報道を読んで

日刊スポーツ「「検査ミスで両脚まひ」松山市の病院提訴」(2012年5月2日)は,次のとおり報じています.

 「松山市の松山城東病院で医師が誤った検査をした結果、両脚がまひするなどの症状が残ったとして、松山市の男性(51)が2日までに、同病院を運営する医療法人社団慈生会に、介護費や慰謝料など計約2億2700万円の損害賠償を求め、松山地裁に提訴した。

 訴状によると、髄膜炎などで治療中だった男性は出血しやすい体質で、腰から針を刺して髄液を抜き取る検査をすると血腫ができる危険性があった。それにもかかわらず、医師は2007年7月、2回にわたって男性に検査を実施。

 男性は直後から背中や腰の痛み、脚のしびれを訴えたが、適切な治療を受けられず、両脚がまひするなどの症状が出た。

 男性はその後、別の病院へ転院し、脊髄に針を刺したことによりできた血腫が胸から腰にかけて広がり、神経を圧迫していることが判明。男性は介護が必要な状態になったとしている。

 男性は「医師が誤診し、適切な検査と手術をしなかった結果、血腫を拡大させ後遺症を負った」と主張。慈生会は「弁護士に任せており、こちらから申し上げることはない」としている。(共同)」


愛媛新聞「「検査ミスで脊髄損傷」医療法人を損賠提訴 松山」(2012年5月2日)は,次のとおり報じています.

「脊髄に腰から針を刺して髄液を抜き取る髄液検査で、医師のミスにより脊髄が損傷し、その後の不適切な対応で両足や右腕に回復不可能な重度の後遺症が残って寝たきりになったとして、松山市の男性(51)が1日までに、病院を開設する同市の医療法人に対し、介護費や慰謝料など計約2億2708万円の損害賠償を求め松山地裁に提訴した。

 訴状によると、出血傾向がある人には血腫の危険性があるため用いてはならないとされているのに、医師は必要性を説明せず、2007年7月11日午前、出血傾向のある男性から「腰椎穿刺(ようついせんし)」の検査で2回にわたり少量の髄液を採取。男性は背中の痛みや足のしびれなどを繰り返し訴え、12日午後には足の知覚を失ったが、医師は適切な治療や検査をしなかった。14日昼に磁気共鳴画像装置(MRI)とコンピューター断層撮影(CT)の両検査で血腫が判明。その後、09年12月末まで二つの別の病院に入院したが、両足の機能を失うなど寝たきりで介護が必要な状態になったとしている。」


易出血傾向が認められる患者では脊髄硬膜外血腫のリスクが高まります.検査前の説明が紛争課を避けるためにも重要と思います.
易出血傾向が認められる患者が,検査後,背中の痛みや足のしびれなどを繰り返し訴えたときは,普通,血腫を疑い,画像検査を実施すると思います.
私は,現在,カテーテルによる血腫の事故を取り扱っていますので,興味深く読ませていただきました.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-03 03:50 | 医療事故・医療裁判