弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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福岡市立こども病院, 筋弛緩剤紛失

朝日新聞「筋弛緩剤紛失、致死量新生児13人分 福岡、こども病院」(2012年7月10日)は次のとおり報じています.

「福岡市立こども病院・感染症センターは10日、薬事法で毒薬とされる麻酔用筋弛緩(しかん)剤4ミリグラムが入った瓶1本をなくしたと発表した。新生児(体重3キロ)13人分の致死量にあたるという。過って捨てた可能性が高いという。

 病院によると、4日午前10時ごろ、集中治療室の金庫で保管していた筋弛緩剤の瓶1本がないことに同治療室の看護師長(56)が気づいた。金庫の鍵は看護師長や勤務帯ごとの責任者が携帯して管理している。

 病院が調べたところ、2日午後2時ごろ、この看護師長が金庫を開け、筋弛緩剤10本が入った箱を開き、外箱と添付文書を捨てた。瓶には管理用のシールが貼られており、シールが外箱か添付文書について瓶も一緒に廃棄された可能性が高いという。外箱を捨てた際、中に10本あるかどうかは目で見ただけで、1日1回すべき薬品の在庫チェックも、翌3日はしなかった。

 会見した福重淳一郎院長は「深夜でも8人の看護師がいる場所であり、盗難は困難。薬品の在庫の確認は2人でするなど、再発防止に取り組みたい」と話した。」


地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターが今回紛失した筋弛緩剤は「マスキュレート静注用」(ベクロニウム)です.効果発現時間がエスラックス(ロクロニウム)より少しかかりますが,同じく薬事法上の毒薬です.

なお,全国各地の病院で,筋弛緩剤エスラックスの紛失が報道されています.

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-11 01:44 | 医療

市立甲府病院の放射性医薬品過剰投与問題で第三者調査委員会設置

読売新聞「市側、再発防止策を説明 放射性医薬品過剰投与」(2012年7月10日)は,次のとおり報じています.

「市立甲府病院(甲府市)で、腎臓疾患などの子どもに放射性物質を含む薬剤が過剰投与された問題で、甲府市と同病院は8日、被害者家族を対象にした合同説明会を市内で開き、出席した約50家族80人に対し、宮島雅展市長らが改めて謝罪した。

 合同説明会は、昨年10月に続き2回目。今回の説明会での市側の説明によると、同病院では医師が放射性医薬品の投与量を指示せず、3月に自殺した男性技師(当時54歳)が独自に投与量などに関するマニュアルを作成していた。投与の正式な記録やチェックも行っていなかった。

 宮島市長は「心からおわび申し上げる。ご意見や要望は誠意を持って検討し、少しでも心配が取り除けるようにする」と述べた。市側は、再発防止策などを検討する第三者調査委員会を設置し、7月17日に初会合を開くことを明らかにした。

 一方、過剰投与を受けた子どもの家族らがつくった「被害者の会」は、説明会後に記者会見。独立した事故調査委員会で真相究明が行われるよう求めるため、署名集めを始めたことを明かした。」


「過剰投与内部被曝被害者の会」とその弁護士3名(東京の弁護士福地直樹氏,弁護士濱野泰嘉氏ら)は,2011年12月15日,真相究明と被害救済のための事故調査委員会の設置などを求める要請書を宮島雅展市長に手渡しましたが,その要請がようやく実を結び,事故調査委員会が設置される運びになったわけです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-10 18:00 | 医療事故・医療裁判

干物女

事務局Hです.
ここ最近ずっと忙しくしていたのですが,
ようやく怒濤の日々が一段落し,早めに帰宅できるようになりました.

初めは,ようやく時間ができた,と嬉しかったのですが,
いざ久しぶりに自分の時間ができてみると,何をしたら良いのか分からず,
出掛けたくなるような天気でもないし,テレビを点けてバラエティ番組を見ても面白いと思わなくなっているし,
好きな料理も,小食になってしまっため何品も作っても食べきれないし,
結局は本を読んだり,ごろごろしてみたり,こっそりギターを抱えて懐メロを弾き語ってみたりと,
燃え尽き症候群なのか,休日はまるで干物のようなを生活を送っています.

しばし干物のような生活を送ってみて,
独身一人暮らしの女性の干物生活は想像以上に悲惨だということと,干物でも許されるのは綾瀬はるかさんぐらいだということがよく分かりました.

ですが,あと数日したらまた怒濤の日々が始まるので,束の間の干物生活を楽しもうと思います.

谷直樹法律事務所 事務局H
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by medical-law | 2012-07-10 17:38 | 日常

ビューティフルレイン~すべてを忘れてしまう、その前に。

フジテレビのドラマ「ビューティフルレイン」は,若年性アルツハイマー病の父と小学2年生の娘の物語です.

「ビューティフルレイン」の第2話で,豊川悦司さん演じる木下圭介が,タバコを吸おうとして止めるシーンがありました.
豊川悦司さんは,JT最後のTVCM「さよなら」に出演していましたので,時代は変わったという印象を強く受けました.

喫煙は,アルツハイマー型認知症の発症リスクを1.79倍高めます.
受動喫煙も,アルツハイマー型認知症のリスク因子です.

かつてニコチンがアルツハイマー型認知症の発症を減少させるという研究報告があり,広く流布されましたが,その後,この研究報告は科学的に誤りで,この研究者たちはタバコ会社から資金援助を受けていたことが明らかになりました.

ドラマには,医師が,「アルツハイマー病を治す薬はまだ開発されてません,ですが病気の進行を遅らせる薬はあります,新薬もどんどん開発されています」と述べるシーンもありました.

進行を遅らせる薬とは,アリセプト,メマリーなどのことでしょう.
ファイザーは,臨床第3相試験で有意な結果が得られなかったことから,ディメボン(ラトレピルジン)を2012年1月に開発中止としましたが,アルツハイマー型認知症の根治薬開発を進めており,2012年7月中旬に学会発表があると言われています.

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by medical-law | 2012-07-10 05:54 | 趣味

映画『グスコーブドリの伝記』

b0206085_9233874.jpg元ボスの弁護士山口紀洋から,「吉勝法律事務所・へぐり行政書士事務所」の挨拶と一緒に映画のチラシが送られてきました。
「東日本大震災や福島原発メルトダウン事故に対する,我々の再建の意志を,賢治が予言・激励するような作品で,映像が美しく心に染み渡るアニメーションです。」とのことです。

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-09 09:23 | 趣味

医事関係訴訟に関する統計,平成23年速報値

最高裁判所のサイトに,「医事関係訴訟に関する統計」が掲載されていますが,平成23年速報値をいれてアップデートされました.

1.医事関係訴訟事件の処理状況及び平均審理期間

平成23年の,医事関係訴訟事件の新受任件数は767件,終了事件数は801件でした.
平均審理期間は25.1月でした.

平成16年以降,医事関係訴訟は減少し続けています.
医事関係訴訟の減少から医事紛争自体が減少している,という推測もあるかもしれませんが,現実の医療事故の報告数はむしろ増加していますし,私は医療事故が減少しているという感覚はもてません.
平成16年以降審理期間は短くなり医事関係訴訟提訴のハードルが低くなっているはずですが,同時に,患者側勝利率が減少の傾向にあることから,医事関係訴訟が減少していると考えます.
患者側の裁判所への期待,信頼が減少していることを示唆する数字と受け止めるべきと考えます.

2.医事関係訴訟事件の終局区分別既済件数及びその割合

判決36.7%,和解50.7%,請求の放棄0.6%,訴えの取下げ3.9%,その他8.1%です.
平成22年と比べると和解がわずかに減少し,その分判決がわずかに増えました.
請求の放棄,訴えの取り下げは,おそらくは本人訴訟などででしょうが,無理して提訴しても医事関係訴訟は維持できないことを示唆しています.

3.地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率

平成22年の認容率(患者側勝訴率)は,20.2%でしたが,平成23年の認容率(患者側勝訴率)は,25.4.%まで回復しました.平成21年の25.3%とほぼ同じです.
なお,認容率(患者側勝訴率)は,判決の中での割合です.和解で終わるものが半数以上で,その和解のなかには,患者側の実質勝訴的な内容の和解もかなり含まれていますので,この数字が一人歩きして患者側の泣き寝入りを誘発することのないよう願います.
また,医事関係訴訟の認容率の低さからただちに裁判所のスタンスが一方に偏っているなどと申し上げることはできませんが,少なくとも判決の場合,裁判所が患者側に求める立証のハードルは高く,そのような高いハードルを課せられている患者側としては相応の覚悟が必要な状況が続いている,と思います.提訴前に立証の見込みを慎重に調べる「調査」が重要です.

4.医事関係訴訟事件の診療科目別既済件数

内科,外科,精神科(神経科),産婦人科,歯科が上位5位で,この3年順位も変わっていません.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-07 09:44 | 医療事故・医療裁判

「聖☆おにいさん」

事務局Hです.
たまには漫画のお話でも・・・
普段漫画はあまり読まないのですが,「聖☆おにいさん」だけは新刊を楽しみにしている漫画です.

イエスとブッダが立川で有給休暇を過ごす,というシュールな設定のギャグ漫画で,頁をめくる都度面白いコマが来るようになっているので,うっかり電車の中などでは読めない漫画です.
例えばイエスは水が嫌いで,プールに顔をつけようとして聖痕が開いてしまったり,モーゼのように水を割ってしまったり,
ブッダはカラオケで般若心経を入れようとしてみたりと,それぞれのキャラが立っていてとても面白いです.

あまりに面白いので,新刊が出てもすぐには買わず,気持ちがどん底まで落ち込むまで待ってから買うようにしています.

イエスとブッダをギャグ漫画の主人公にするという,敬虔な信者が多い国では明らかに不謹慎とみなされるであろう設定が許されている(のでしょうか?)のは,初詣もクリスマスもそれぞれ満喫する日本だからなのかな,と思いました.

もっと宗教を知っていたら細かいところも面白く感じられるのだろうなと思うので,
時間ができたら,次は,手塚治虫の「ブッダ」を読もうと思います.

谷直樹法律事務所 事務局H
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by medical-law | 2012-07-06 17:53 | 趣味

治験医師がGCPを十分に理解せず,イグラチモドの臨床試験の一部でGCP不適合

エーザイ株式会社と富山化学工業株式会社が共同開発を進めてきたイグラチモド(開発品コード:T-614)は,2012年6月29日,関節リウマチの効能効果で製造販売承認を取得しました.
標準治療薬であるメトトレキサートへの上乗せ試験で有効性が示された,とのことです.
プレスリリースによると,次のとおりです.

「本剤は、関節リウマチ患者様を対象とした単剤投与の臨床試験において、プラセボに対する優越性と既存DMARD(サラゾスルファピリジン)に対する非劣性を示しました。また、標準治療薬であるメトトレキサート(以下、MTX)で効果不十分な関節リウマチ患者様を対象としたMTX併用試験では、イグラチモドとMTXとの併用群は、良好な忍容性を示すとともに、主要評価項目である24週時のACR20反応率において、プラセボ投与群(MTX単独群)と比較して有意な改善を示しました。現在日本で承認されている経口抗リウマチ薬の中で、本剤は初めて国内の治験でMTX効果不十分の患者様に対してMTXへの上乗せ使用時の有効性を示しました。」

治験責任医師は新GCPに規定される事項を理解し,かつ当該治験のプロトコールを十分に理解していることが必要とされていますが,日刊薬業(2012年7月4日)によると,臨床試験の一部で治験医師がGCPを十分に理解せずGCP不適合があったとのことです.

「6月29日に承認された富山化学工業とエーザイの抗リウマチ薬イグラチモド(一般名、製品名「コルベット/ケアラム」)の臨床試験の一部で、治験医師がGCPを十分に理解せず、必要な記録や原資料が保存されていなかったことなどを理由にGCP不適合が指摘されていたことが、厚生労働省が公表した審査報告書から分かった。不適合症例を承認申請資料から削除するなどの措置が取られ、承認審査に支障はないと判断された。」

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-06 03:05 | 医療

BORN ON THE FOURTH OF JULY

『7月4日に生まれて』(1989) は,独立記念日生まれのベトナム帰還兵の物語です.主演のトム・クルーズは,ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しました.
ベトナム戦争も遠い昔になり,この映画も忘れ去られてしまったようですが,是非,みていただきたい映画です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-05 09:36 | 趣味

グラクソ・スミスクライン,パキシルなどの不正な販売,アバンディアのデータ隠蔽で30億ドル

グラクソ・スミスクラインは, 抗うつ薬パキシルPaxilとウェルブトリンWellbutrinをFDAが承認していない未成年への使用などを宣伝していました。
グラクソ・スミスクラインは,かつて一世を風靡した糖尿病治療薬アバンディアAvandia(現在は販売中止)について,一部のデータをFDAに報告せず,安全性や効能に関して実証されていない内容を宣伝していました.
そこで,罰金など30億ドルを支払うことになりました.

CNN「英グラクソ、医薬品の不正販売巡り30億ドルの支払いへ」(2012年7月4日)は,次のとおり報じています.

 
「英製薬大手グラクソ・スミスクラインが医薬品を不正に販売したなどとされる問題で、米司法省は2日、同社が計30億ドル(約2400億円)の罰金などを支払うことで合意したと発表した。

製薬会社が支払う金額では過去最大となる。内訳は刑事上の罰金が10億ドル、民事関連の支払いが20億ドル。

司法省は、同社が成人用の抗うつ剤「パキシル」を子ども向けに、抗うつ剤の「ウェルバトリン」を減量の補助薬として販売したと主張。2001~07年に糖尿病治療薬「アバンディア」の安全性に関するデータも米食品医薬品局(FDA)に提出していなかったと指摘していた。

同社は罰金などの支払いに加え、米保健省との間で5年間のコンプライアンス(法令順守)に関する合意を結んだ。同省によると、経営陣は本人や部下に重大な違法行為があった場合ボーナスを失い、販売担当者の給与は売り上げ目標でなくサービスの質を基礎に決定することなどが内容となっている。

アンドリュー・ウィッティ最高経営責任者(CEO)は声明で、「われわれは失敗から教訓を得た」と強調した。」 


谷直樹

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by medical-law | 2012-07-04 02:20 | コンプライアンス