弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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水戸済生会総合病院のロス手術事件,水戸地裁で和解成立(報道)

読売新聞「ロス手術訴訟和解「病院謝罪、良かった」」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「「医療ミス」は合意できなかったが、病院側は「(医師の説明に)誤解を招くような説明があった」と謝罪した――。水戸済生会総合病院(水戸市双葉台)で難度の高い心臓のロス手術を受けて死亡した鉾田市上沢の高校3年、石津圭一郎さん(当時18歳)の両親が、病院を運営する恩賜財団済生会と執刀医を相手取って計約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟。25日に和解が成立し、両親は「結果はどうあれ、病院が謝罪をしてくれて良かった」と涙をこらえた。

 圭一郎さんは2004年7月、ロス手術を受けたが、2日後に死亡。両親は「死亡したのは執刀医のミスが原因」などとして、06年に提訴した。県警は業務上過失致死容疑で執刀医を書類送検したが、09年に不起訴(嫌疑不十分)となった。

 訴訟では、手術前、原告側が執刀医から「海外で20~30例を行っている」などと説明したと主張し、済生会、執刀医は「20~30例のロス手術の術後管理を行ったことがある」と説明したと反論していた。

 双方の弁護士によると、和解条項では、済生会、執刀医ともに「誤解を招くような説明だった」と認めた。原告側が主張した医療ミスは認められなかった。済生会は原告側に謝罪し、執刀医は「遺憾の意を表明する」とした。

 和解成立を受けて、母の百美子さん(54)は「ずっと(ロス手術を選択した)自分たちが悪いと思っていたが、そうではなかったと、少し思えた」と涙ぐんだ。圭一郎さんが亡くなって8年。父の洋さん(57)は「『謝罪してもらったぞ』と報告したい」と話した。

 被告側の代理人は「手術自体にミスはないと認められた」とし、病院は「詳細な和解内容を聞いていないのでコメントは控える」とした。」


MSN産経「ロス手術」訴訟で和解 病院側が500万円支払い 高3心臓手術後に死亡」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「水戸済生会総合病院(水戸市)で2004年7月、茨城県鉾田市の高校3年、石津圭一郎さん=当時(18)=が難度の高い「ロス手術」と呼ばれる心臓手術後に死亡したのは医療ミスなどとして、両親が病院運営法人や執刀医に損害賠償を求めた訴訟は26日までに、水戸地裁(脇博人裁判長)で和解が成立した。

 双方の代理人によると、病院側は医療ミスを認めなかったが、手術前の説明に誤解を招く表現があったとして、両親に計500万円を支払うことで合意し、謝罪した。石津さんは心臓の弁が正常に閉まらない「先天性大動脈弁閉鎖不全症」と診断され、肺動脈弁を心臓に移植するロス手術を受けたが2日後に多臓器不全のため死亡した。

 訴状などによると、両親は執刀医が手術前に「自分は海外でロス手術を20~30例行っている」と説明したと主張。病院側は「20~30例は手術助手や術後管理に携わった数だ」と反論していた。」


これは,私が担当した事件ではありません.
大動脈弁置換術は,普通,人工弁を使いますが,ロス手術は,患者の肺動脈弁を使う特殊複雑な方法です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-28 05:16 | 医療事故・医療裁判

つるぎ町立半田病院の看護師,フェイスブックに認知症の疑いで入院している患者の写真を投稿(報道)

読売新聞「看護師、交流サイトに入院患者の写真投稿…徳島」(2012年9月27日)は,次のとおり報じています.

「徳島県つるぎ町立半田病院の20歳代の女性看護師が、認知症の疑いのある男性入院患者の症状をうかがわせる写真を、インターネットの交流サイト「フェイスブック」に掲載していたことがわかった。

 同僚とともに男性を中傷するかのような書き込みもしており、病院は「人権侵害があった」として、看護師と同僚の計4人を厳重注意処分としたが、事態を重くみて、改めて処分内容を検討している。

 病院によると、看護師は23日の勤務中、ナースステーションで70歳代の男性の後ろ姿を撮影した写真を、自分のページに「ちょっと目を離した隙に」との書き込みを添えて投稿した。

 患者の特定や病院名などの記載はなかったが、同僚や友人ら約40人が閲覧できる状態だったといい、内容を見た同僚3人も一緒に楽しんでいるかのような文言を書き込んでいた。

 24日に匿名の電話で「看護師としてあるまじき行為ではないか」と病院に指摘があり、発覚。看護師は同日、内容を削除した。病院の聞き取りに「仲間うちだけでやり取りをするつもりで、軽い気持ちで投稿してしまった」と反省していたという。

 同病院は26日、大垣浩志副町長や鎌村俊博事務長らが対応策を協議。勤務中の携帯電話の取り扱いは各自に任せていたが、今後、何らかの規制をする方向で検討することにした。鎌村事務長は「職務違反であるのは明らかで申し訳ない。今後、信頼回復に努めたい」としている。また、今回の問題を受け、県は近く約1100の医療機関に対し、個人情報の適正な取り扱いを求める通知を送るという。

 一方、認知症の人と家族の会県支部の大下直樹代表世話人は「看護師が患者に無断で情報を掲載するなど、あってはならない」とし、再発防止を求める申し入れなどを検討する。

 園田寿・甲南大法科大学院教授(情報法)の話「仮に仲間内でのやりとりであっても、個人を中傷する内容を公開していれば、名誉毀損(きそん)に問われる可能性がある行為だ。近年、患者の尊厳を守る医療行為が、特に求められるようになっている。各医療機関は研修会などを通じ、改めて医療従事者に意識の徹底を促していかなければならない」(川本修司、山上高弘)」


本件は,看護師個人の責任にとどまらず,医療機関の使用者責任が発生する可能性があります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-27 12:44 | 医療事故・医療裁判

日本医療機能評価機構,医療事故情報収集等事業第30回報告書

公益財団法人日本医療機能評価機構は,平成24 年9月26日,「医療事故情報収集等事業第30回報告書( 平成24年4月~6月)」を公表しました.或る医療機関で起きたことは,他の医療機関でも起きる可能性があります,医療事故を収集し分析することは,医療事故防止に有用です.
事故防止のため,ご一読をお奨めいたします.

個別のテーマの検討状況として,次の5点を取り上げています.
【1】MRI検査に関連した医療事故
【2】自己管理薬に関連した医療事故
【3】患者持参薬が院内不採用であることに気付かず、薬剤の頭3文字検索で表示された他の薬剤を処方した事例
【4】組み立て方を誤った手動式肺人工蘇生器を使用した事例
【5】東日本大震災による影響を一因とした事例


【1】MRI検査に関連した医療事故

チェックの仕組みがあるにもかかわらず,それが機能しなかった理由について,知識不足やルールの逸脱の他に,酸素ボンベの装着位置がよく見えなかったという認識のエラーや,アラームが鳴っているのを「いつものこと」と思って確認しなかったという判断のエラーなどの理由もあった,とのことです.
さらに,医療機関から報告された改善策が整理して示されています.

【2】自己管理薬に関連した医療事故

「その他(経路、内服方法)」の事例は全てPTPシートの誤飲で,「注射薬」の事例の多くはインスリン製剤を自己管理していた事例とのことです.自己管理薬に関連した医療事故」は,医療事故に比べてヒヤリ・ハット事例が大変多い,と指摘しています

【3】患者持参薬が院内不採用であることに気付かず、薬剤の頭3文字検索で表示された他の薬剤を処方した事例

薬剤の頭3文字検索は便利ですが,名称が類似した薬剤を誤って選択する可能性があり留意が必要です.
「ノルバスク」を処方するために「ノルバ」と入力したところ,唯一表示された「ノルバデックス」を選択し処方した事例を取り上げています.
その医療機関ではノルバスクを採用していなかったことを医師は知らなかったことが新たなリスクとなったと分析しています.医療機関が行った改善策の中で,院内で周知するために作成したニューズレターも掲載しています.

【4】組み立て方を誤った手動式肺人工蘇生器を使用した事例

組み立て方を誤って死亡した例2例が報告されていますが,このような事故を防止するには,組み立てた後の点検が重要と指摘しています.報告された改善策が紹介されています.

【5】東日本大震災による影響を一因とした事例

地震発生時と地震発生後に分け,具体的な内容を整理した表が掲載されています.
地震の最中に患者が転倒した事例や,地震後の計画停電や混乱の中で熱傷や画像診断報告書の確認忘れ,薬剤の重複投与,不穏状態の発生などの事例が報告されています.医療機関からの改善策も整理して示されています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-27 08:18 | 医療事故・医療裁判

肺がん検診79人のデータが消失し,医師の画像診断が行われないまま「異常なし」と判断(報道)

読売新聞「肺がん検診79人分データ消失…群馬」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「県健康づくり財団は25日、群馬県板倉町で昨年6、7月に実施した肺がん検診を受けた40~90歳(当時)の男女79人分のレントゲン画像データについて、財団のサーバーに記録する際に消失させていたことが判明したと発表した。

 原因は特定できていないが、操作ミスの可能性が濃厚という。79人は医師の画像診断が行われないまま、「異常なし」と判断されており、うち16人は今年度の検診を受けていない。同財団によると、昨年度の検診は、40歳以上の同町民3435人が受診。肺がん検診の画像データは、DVDに保存のうえ、財団のサーバーに移すことになっていた。

 この際、79人分がエラーを起こし、サーバーに記録できていなかったが、同財団では確認をしていなかった。DVDはその後、再利用したため、元データは残っていないという。

 画像診断で医師は、サーバーに登録した全データを判定し、異常所見があるケースだけ結果を入力していた。ただ、受診人数を確認する必要はなかったため、79人は全員異常がないことになってしまったという。

 79人のうち、63人は今年度も受診。いずれも肺がんの疑いはなかった。未受診者16人のうち、1人はこの間に死亡したが、死因はがんではなかったという。残る15人には謝罪のうえ、本人の希望により、再度、レントゲン撮影や診断を行う。

 先月になり、昨年度分と今年度分の検診データを比較しようとした際に、一部データがないことに気付き、発覚した。同財団では板倉町に経緯を説明し、栗原実町長に謝罪した。同財団は「2度とこのようなことがないよう、点検態勢を取りたい」としている。」


サーバーに一部が記録されないなどとは普通思わないでしょうが,何事も確認が必要です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-26 20:52 | 医療事故・医療裁判

川崎市立川崎病院,未破裂脳動脈瘤のクリップ術で動脈ごと挟み脳梗塞(報道)

東京新聞「60代女性が半身まひに 川崎病院で医療ミス」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「川崎市立川崎病院(川崎区)で五月、脳動脈瘤(りゅう)の手術を受けた女性患者が、動脈を医療器具に挟まれるミスで脳梗塞を起こし、左半身にまひが残ったことが分かった。二十五日の市議会決算審査特別委員会で宮原春夫氏(共産)の質問に市はミスを認め、謝罪した。 (栗原淳)

 市病院局によると、患者は川崎区に住む六十代の女性。脳の血管の複数箇所が瘤(こぶ)のように膨らむ「多発性未破裂動脈瘤」と診断され、脳神経外科の専門医が五月十日、二カ所の瘤の根元を小さなクリップで挟んで血流を遮断し、破裂を防ぐ手術をした。

 術後二時間半を過ぎても目を開けなかったため、再び開頭したところ、二つのクリップの一つが動脈ごと挟んでいた。血液の流れが止まった女性は脳梗塞を発症。左半身のまひで六月中旬に東京都内のリハビリ専門の病院に転院し、現在も療養中という。

 委員会の答弁で、三浦政良病院局長は「心身ともに大きな負担を負わせることとなり、たいへん申し訳ない」と謝罪。宮原氏は「転院した患者に何の支援もしていない。市が経済的負担を軽減するのは当然だ」とただすと、三浦局長は「賠償額の確定を待たずに一部の支払いを速やかに行う」と対応の不備を認めた。

 川崎病院では同様の手術を年間十件以上行っている。執刀医は病院の医療安全委員会で「自分の注意不足」を原因に挙げたという。病院は再発防止策として、クリップ位置の確認を徹底し、術前に複数の医師が医療事故のリスクについて検討する場を設けることなどを挙げている。

 今回の医療ミスを公表しなかったことについて、病院局は「患者が治療中で、賠償額が確定しておらず、本人や家族の同意も得られなかったため」と説明している。」


神奈川新聞「川崎病院の動脈瘤手術中事故、川崎市が責任認め賠償へ」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「川崎市立川崎病院で今年5月、未破裂動脈瘤(りゅう)手術の際に医療事故が起きていたことが25日、明らかになった。市側は責任を認め、速やかに賠償金の一時払いを行うとしている。同日の市議会決算特別委員会で宮原春夫氏(共産)の質問に、三浦政良病院局長、秋月哲史病院事業管理者が答えた。

 同局の説明によると、同病院の医師が、60代の女性患者の頭部に発症した動脈瘤の根元をクリップで止める手術を行った際、分岐する血管を閉塞(へいそく)させたため梗塞となった。患者はまひなどの症状が生じ、現在はリハビリテーション専門病院で治療中という。

 三浦病院局長は「本市の責任は明らかであり、医療費について、賠償の一時払いを速やかに行っていく」と答弁。再発防止策として、今回のケースを医療安全管理上の重要事例として他の診療科の医師らにも報告。併せて、外科手術用顕微鏡システムの導入など、設備の改善を図っていくとした。

 また、秋月病院事業管理者は患者、家族に謝罪した上で、「今後、医療の質の向上と患者への心配りができる医療従事者の勤務環境づくりに向けて、幅広い視野に立ち、対応を検討していきたい」と述べた。」


毎日新聞「医療ミス:市立川崎病院、脳外科手術で障害残る 「症状定まらず」ミス未公表」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「市立川崎病院(川崎区)で今年5月、脳外科手術のミスにより女性患者(64)がまひや視野が狭くなるなど重い障害を負っていたことが25日、市議会決算審査特別委員会で明らかになった。市病院局は「障害の程度が定まらず、公表基準の重篤な障害に当たるか不明」として、これまで事故を公表していなかった。宮原春夫議員(共産)の質問に対し、同局が認めた。

 同局によると、女性は脳動脈瘤(りゅう)と診断され、5月10日に同病院で開頭手術を受けた。その際、血流を遮るために動脈瘤の部分をクリップで留めたが、誤って別の動脈も留めてしまった。手術後、女性が左足のしびれなどを訴えたため、再開頭をしたところミスが発覚した。執刀医による単純ミスという。

 女性は右脳の脳梗塞(こうそく)を発症し、左半身まひや視野が狭くなるなどの障害が出て、6月から東京都内のリハビリ専門病院に入院している。同局は再手術直後に女性の家族に謝罪した。だが、症状が定まっていないとして現在も金銭的な補償がされておらず、女性は7、8月の入院費用約42万円を自己負担している。」


医師には,未破裂脳動脈瘤の根元をクリップで挟むつもりで動脈ごと挟んでしまわないよう注意する義務があります.過去にも同種の事故が他院で起きています.例えば,京都地方裁判所平成12年9月8日判決(判例タイムズ1106号196頁),名古屋地方裁判所平成14年2月18日判決(判例時報1808号85頁),福岡地方裁判所大牟田支部平成14年4月9日判決(判例タイムズ1138号220頁)などもクリップ術の手技ミスを認定しています。執刀医の研鑽と外科手術用顕微鏡システムの導入など設備の改善に期待します.

【追記】

神奈川新聞「市立川崎病院の手術事故:市議会委で市が陳謝」(2012年11月8日)は,次のとおり報じました.

「川崎市立川崎病院で今年5月、未破裂動脈瘤(りゅう)手術の際に医療10+ 件事故が起きた問題で、市病院局は7日の市議会健康福祉委員会で、転院後の入院医療10+ 件費が一時的に患者の家族負担になっていたことや、同委員会への報告が遅れたことなどについて陳謝した。

 同局によると、60代の女性患者は6月下旬に都内のリハビリテーション病院に転院したが、8月分までの入院医療費計50万円は家族が負担。市は10月に入院医療10+ 件費について賠償金の一時払いを実施していた。今後、患者の状態が安定した段階で、後遺障害などを考慮して全体的な賠償額を算定し、話し合いを進めるとしている。

 患者は5月、頭部に発症した動脈瘤の根元をクリップで留める手術の際、分岐する動脈も併せてクリップで留めてしまったため脳梗塞を発症。左半身まひなどの後遺障害が残ったという。再発防止策として、近く外科手術用顕微鏡システムを導入する。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-26 08:28 | 医療事故・医療裁判

兵庫県立尼崎病院,1700万円相当の機器を誤廃棄

神戸新聞「1700万円相当の機器を誤廃棄 県立尼崎病院」(2012年9月25日)は,次のとおり報じています.  
 
「兵庫県立尼崎病院で昨年10月、医療機器を更新した際、誤って必要な別の高額機器(約1700万円相当)も廃棄処分していたことが24日、県監査委員が公開した監査報告で分かった。作業手続きに不備があったとして、県は今春、職員2人を厳重注意とし、各県立病院に管理の徹底を通知した。

 監査報告書や県病院局によると、同病院で昨年10月、血管造影装置一式を更新した際、指示などのミスで、回収業者が同じ部屋にあった不整脈の治療機器を一緒に廃棄。処分から5日後に発覚した。同機器は購入から1年も経過していなかった。

 本来、病院の担当職員らが処分に立ち会い、作業の完了を確認する必要があるが、立ち会っていなかった。このため現在、2台あった同機器のうち1台をリースで対処しており、誤処分による損失は事業費などで賄うという。(井関 徹)」


薬剤の誤廃棄はありますが,医療機器の誤廃棄ははじめて聞きました.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-25 23:21 | 医療

国立大学法人東京医科歯科大学,倫理審査委員会の承認前に362人から研究目的で採血,指導教授ら処分へ

国立大学法人東京医科歯科大学は,平成24年9月21日,「研究倫理違反について」以下のとおり発表しました.
 
「本学の教員及び大学院生が、国の定める「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に違反し、学内の倫理審査委員会の承認を得る前に、研究する目的で患者さんに同意を得た上で、採血を開始した事実が判明しましたので、別紙のとおりご報告します。
 本学は、医の倫理の基本的理念に基づき、国の定める倫理指針の趣旨に沿った「国立大学法人東京医科歯科大学倫理審査規則」を策定したほか、「国立大学法人東京医科歯科大学における研究者の行動規範」を定め、研究者に対する研究倫理の意識向上を図ってきました。
しかし、このようなことが起こってしまったことは誠に遺憾であります。
このたび、臨床研究にご協力いただいた皆様のご厚意や信頼を損なう事態を招きましたことを深くお詫び申し上げます。
 今回の事態を真摯に受け止め、今後の研究者倫理のより一層の徹底を図り、再発の防止と公正な研究活動の確保に努めていく所存です。

別紙
1.概 要
本学難治疾患研究所の実施している臨床研究において、6月下旬に国の定める「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の違反が発覚したことに伴い、7月より調査委員会にて調査を進めてまいりました。調査委員会で調査をした結果、難治疾患研究所の教員と大学院生の2名が、医学部附属病院の教授の協力のもと、倫理審査委員会の承認を得る前に採血を行っていたことが判明いたしました。倫理審査委員会には、2月28日に申請が行われておりましたが、承認がなされるまえに、教員と大学院生は、4月から6月にかけてインフォームドコンセントを行い、同意書をいただいた上で、362人の方から採血を実施していた。
なお、採血のみが行われただけで、その後の実験はなされていなかった。

2.患者さんへの対応について
今回の臨床研究にご協力いただいた患者さんに対しては、文書により謝罪し、採取したサンプル及び同意書については、廃棄させていただく旨の説明を行いました。

3.本学における再発防止のための対策について
(1) 研究倫理に関する再発防止についての教員研修会を、研究担当理事が各部局を対象に個々に実施します。
(2) ヒト由来試料を用いる研究を行う際は、教職員・学生などの研究者は定期的に開催される研究倫理講習会への参加を必須条件として、研究安全管理室において受講票を発行し、その受講票を倫理審査委員会への申請書に添付することを義務付けます。
(3) 学内の臨床研究における情報共有体制の不備を防ぐためには、インフォームドコンセントを患者から得る場合に、研究安全管理室の指導のもと、その説明書に研究課題名、研究代表者名、倫理審査委員会承認番号、承認日を記載することを義務付けます。
(4) 現在、大学院の博士論文の審査に関しては、研究倫理審査の承認番号、承認日を提出することを博士論文審査の前提条件としていますが、今後は、研究安全管理室の指導のもと、博士論文に限らず、倫理審査を受けて承認されている場合は論文中に承認番号を記載させます。
(5) 研究倫理指針に対する違反者に対しては、厳正に懲戒処分を行います。


4.関係者の処分について
 現在、懲戒委員会を設けており、関係者につきましては、厳正に処分を行います。」


またですか.
困ったものです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-24 00:46 | 医療事故・医療裁判

豊中市の病院で認知症患者死亡,司法解剖へ

日本テレビ「病院で男性患者死亡、事件の可能性 大阪」(2012年9月23日)は,次のとおり報じています.

「大阪・豊中市の病院で22日夜、入院中の男性が頭に布団をかぶった状態で死亡しているのが見つかった。警察は事件の可能性もあるとみて捜査している。  
22日午後11時頃、豊中市城山町の「医療法人北斗会さわ病院」で、認知症(痴呆)で入院していた田江利一郎さん(79)が頭に布団をかぶった状態で死亡しているのを、巡回中の看護師が発見した。
田江さんに目立った外傷などはなかったが、手足が不自由だったということで、警察は事件の可能性もあるとみて、24日に司法解剖を行い、詳しく調べる方針。」

外表検査で死因が明らかにしできない場合なので,解剖が必要とされます.

続報 医療法人北斗会さわ病院,看護師が認知症患者を布団で頭を巻き込む,死亡との因果関係調査(報道)


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-24 00:26 | 医療

海王星の日

今日9月23日は,♆海王星Neptuneの日です.

1846年 9月23日は,フランスのアラゴArago氏の勧めでルヴェリエLe Verrier氏が計算し,その計算に基づき,ベルリン天文台のガレGalle氏が海王星を発見した日です.

なお,同じ頃イギリスのアダムズAdams氏も同様の計算を行いましたが,報告をうけたケンブリッジ天文台のチャリス Challis氏は,熱心に観測しなかったため,海王星を見ていながら気づきませんでした.

1989年のボイジャー2号の観測により,海王星のリング(環)とアーク(弧)の謎が解けました.
海王星の5つの環には,ガレGalle,ルヴェリエLe Verrier,ラッセルLassell,アラゴArago,アダムスAdamsの名がついています.
ラッセルは,海王星最大の衛星トリトンの発見者ラッセル氏にちなむものです.チャリス 氏は,海王星には名を残せなかったのです.

アダムズ環の5つのアーク(明るい部分)は,リベルテ(自由),エガリテ(平等)1,エガリテ(平等)2,フラテルニテ(博愛),クラージュ(勇気)と名付けられています.
1989年がフランス革命200周年であったことに由来する命名です.
良い命名です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-23 10:08 | 日常

東京医大茨城医療センター,保険医療機関指定取消し

MSN産経「保険指定取り消しへ 診療報酬不正請求で東京医大茨城医療センター」(2012年9月21日) は,次のとおり,報じました.
 
「診療報酬約8284万円を不正に請求したとして、厚生労働省関東信越厚生局は21日、東京医大茨城医療センター(茨城県阿見町)の保険医療機関の指定を12月1日付で取り消すと発表した。厚労省によると、少なくとも平成10年度以降で大学病院が保険医療機関の指定を取り消されたことはなく、今回は極めて異例。」

「厚生局によると、診療報酬の不適切な請求は平成21年7月に病院側が公表して発覚。厚生局の監査の結果、20年4月から21年5月にかけ、退院した患者の数を水増しして診療報酬の加算分を請求するなど、3万242件、約8284万円の不正請求が判明した。

 厚生局は「入院患者の転院や地域医療を考慮して(取り消しを)12月1日とした」と説明。指定取り消しの期間は原則として5年間だが、地域への影響を考慮して期間が短縮されることもあるという。」


読売新聞「東京医大茨城医療センター、保険指定取り消し」(2012年9月22日)によると,「2008年4月~09年5月、必要な基準を満たさずに入院や手術に伴う診療報酬の加算分を算定したり、実際に働いていない事務作業員を配置しているように偽ったりして、診療報酬を不正に請求した。」とのことです.


健康保険法第80条は,次のとおり保険医療機関又は保険薬局の指定取り消しを定めています.

「厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医療機関又は保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を取り消すことができる。

一  保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師が、第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき(当該違反を防止するため、当該保険医療機関又は保険薬局が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
二  前号のほか、保険医療機関又は保険薬局が、第七十条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
三  療養の給付に関する費用の請求又は第八十五条第五項(第八十五条の二第五項及び第八十六条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第百十条第四項(これらの規定を第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による支払に関する請求について不正があったとき。
四  保険医療機関又は保険薬局が、第七十八条第一項(第八十五条第九項、第八十五条の二第五項、第八十六条第四項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定により報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
五  保険医療機関又は保険薬局の開設者又は従業者が、第七十八条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該保険医療機関又は保険薬局の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該保険医療機関又は保険薬局が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。
六  この法律以外の医療保険各法 による療養の給付若しくは被保険者若しくは被扶養者の療養又は高齢者の医療の確保に関する法律 による療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養若しくは保険外併用療養費に係る療養に関し、前各号のいずれかに相当する事由があったとき。
七  保険医療機関又は保険薬局の開設者又は管理者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
八  保険医療機関又は保険薬局の開設者又は管理者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
九  前各号に掲げる場合のほか、保険医療機関又は保険薬局の開設者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。 」

これからすると,3万242件約8284万円の不正請求を故意に行った東京医大茨城医療センターの保険医療機関指定取り消しは,当然です.
東京医大茨城医療センターが,保険医療機関取り消しで,患者が来なくなり,苦境に陥りるのは自業自得ですが,なにより一番困るのは地域の患者です.

本件に限ったことではなく,保険医療機関指定取り消しで患者が行き場を失い困った事態になるのは,大きな医療機関の保険医療機関指定取り消しでは,起きています.
このような事態が生じないよう監督を強化するのは勿論ですが,例えば懲罰的な課金などにより代替し,保険医療機関指定取り消しを回避できるよう法改正を検討してもよいように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-23 03:10 | 医療