弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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趣味も節電

b0206085_1017678.jpg事務局Hです.

写真は,私のギター「チューヤン」と,カホンの「かのちゃん」です.

以前,友人の結婚式二次会のライブのために練習しているという記事を書きましたが,
本番も目前に迫り,いよいよ今週末は現地でのリハーサルです.

いつもは割と勢いのある曲を演奏していたので,しっとりと大人なアコースティックライブは初めてで,
いざ演奏してみると,ギターの音がカホンにかき消され聞こえない,バラードのテンポがキープできない等,いきなり行き詰まってしまいました.
ですが,原曲をアコースティック用にアレンジしたり,皆であれこれ試行錯誤するのもまた楽しいひとときです.

普段は電力をフルに使っていた私たちのバンドですが,
今回楽器を持ち替えたのをきっかけに,今後は節電でエコなアコースティックバンドとして活動するのも悪くないな,と思いました.
何より,アコースティックギターはエレキギターより大分軽く,エフェクターという音色を変える重い器材も持たなくて良いので,腰痛持ちには移動が楽です.

谷直樹法律事務所 事務局H

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by medical-law | 2012-09-22 10:13 | 趣味

iPhone 5発売

私は,以前はauユーザーでしたが,iPhoneがでたのでSoftBankに移りました.
その後KDDIも,iPhoneを扱うようになりました.最初からiPhoneを扱ってくれたら,解約しないですんだのに,と思いました.
出張や移動が多いので,iPhoneは必需品です.
iPhone 5は,KDDIがテザリング対応するというので迷っていたのですが,SoftBankも来年1月15日からテザリングに対応する,と発表されたので安心しました.
ところで,残る1社は,iPhoneを扱わないのでしょうか?

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-21 09:02 | 日常

週刊実話,タバコ絶滅の危機!?

『週刊実話』が,「たばこ絶滅危機!? JTいまだかつてない非常事態!(1)」,「たばこ絶滅危機!? JTいまだかつてない非常事態!(2)」を掲載しています.

(1)では,シリア密輸事件のJTマネーが凶弾に化け山本美香さんを殺害したともいえる,と述べています.

「JTは、アサド大統領の親戚に当たるマフルーフ一族が経営する企業などにたばこを不正輸出し、欧州連合(EU)が定めたシリア制裁に違反した疑いを持たれている。既にEU当局は、JTの海外子会社JTインターナショナル(スイス)への調査に着手した。平たく言うならアサド政権中枢への“密輸事件”だ。」
「アサド大統領に直結するマフルーフ一族は、JT側から安く仕入れたたばこを国内や近隣諸国で販売することで「80億円以上の利益を得た可能性がある」(ウォールストリート紙)だけでなく、アサド政権がたばこを民兵集団への賃金代わりに与え、彼らがこれを売って生活の糧にしていた疑いも持たれている。つまり、汚れたJTマネーが凶弾に化け、山本さんが標的になったともいえるのだ。」


(2)では,オーストラリア最高裁判決の影響で,欧州等でも厳しい表示が求められるようになり,JTの屋台骨が揺らぐ,と述べています.

「オーストラリア連邦議会上院は昨年11月『たばこ包装簡素化法』なる法案を可決、今年12月からの導入が決まっている。ところが包装簡素化の名称とは裏腹に、各社は箱を薄緑色に統一した上、箱の正面75%と背面90%には“喫煙による健康被害のイメージ写真”や“警告文”を掲載することが義務付けられるなど「世界で最も厳しい」(関係者)ルールなのだ。これが導入されれば「真っ黒な肺の写真が大きく掲載されるのは必至。愛煙家が束になって逃げ出し、たばこ会社は自分で自分の首を絞める」(同)ことになりかねない。
 そこで将来に危機感を募らせたJTなど大手4社が、法律の無効化を訴えて最高裁に提訴したものの、同法の導入には違法性がないとして返り討ちに遭った図式である。」


タバコの害と依存性を考えると,タバコを売って儲ける企業の存在自体がおかしいわけです.
JTには,タバコ以外の事業に転換してもらいたいですね.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-21 08:23 | タバコ

神戸地裁,宝塚市の看護師の犯行に懲役1年10月の実刑判決(報道)

毎日新聞「元看護師の空き巣:患者の自宅貴金属盗んだ被告に実刑 「許されざる行為」 地裁判決 /兵庫」(2012年9月19日)は,次のとおり報じています. 
 
「勤務先の病院の入院患者の自宅から貴金属を盗むなどしたとして、窃盗などの罪に問われた宝塚市、元看護師、××××被告(35)の判決公判が18日、神戸地裁で開かれた。小林礼子裁判官は「看護師の知識と立場を利用した許されざる行為」として懲役1年10月(求刑・懲役2年6月)を言い渡した。

 判決によると、××被告は今年5月9日、勤務先の同市内の病院で入院患者の無職女性の自宅の鍵を盗み、女性宅に侵入して指輪(約70万円相当)を盗んだ。また1月には、以前勤務していた神戸市北区の病院から盗んだ印鑑で診断書を偽造し、乳がんと偽った。

小林裁判官は診断書偽造について「仮病での欠勤を取り繕うために偽造、勤務先病院に提出した」と認定。窃盗については「患者の財産を盗んで10年にも執行猶予判決を受けながら、以降も40回以上にわたって同様の窃盗を繰り返すなど、規範意識が鈍磨している」と断じた。【渡辺暢】」


この看護師は,ドラマからヒントを得て,入院中の1人暮らしの患者の鍵を盗み,留守宅に窃盗に入ったとのことです.看護師は,入院患者がどこに貴重品を置いているかを知ることができますし,カルテを見れば1人暮らしかどうかもわかります.
弱い立場の患者が,医療者を信頼して明かした情報を使って,窃盗を行ったという点が悪質です.
看護師の倫理として,自律尊重原則,善行原則,無危害原則,正義原則,誠実の原則,忠誠の原則の6原則が言われていますが,本件はそれ以前の問題でしょう.

以前の勤務病院に侵入し,盗んだ印鑑で診断書を偽造したことも,重大な犯罪です.
酌むべき事情については報道されていませんが,実刑は相当でしょう.
更正を期待いたします.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-20 08:36 | 医療事故・医療裁判

国立精神・神経医療研究センター,人工呼吸器の電源を切った後入れ忘れで患者死亡,看護師送検報道

msn産経「人工呼吸器の電源入れ忘れで患者死亡 容疑の男性看護師を書類送検」(2012年9月18日)は,次のとおり報じています.
 
「独立行政法人「国立精神・神経医療研究センター」(東京都小平市)で6月、筋ジストロフィーを患って入院していた女性(38)の人工呼吸器が止まって死亡する事故があり、警視庁捜査1課と小平署は、同センターの男性看護師(37)が人工呼吸器の電源を切った後、入れ忘れたのが原因と断定し、男性看護師を業務上過失致死の疑いで書類送検した。捜査1課によると、男性看護師は「電源は切っていない」と容疑を否認している。

 送検容疑は6月12日、同センターに入院していた女性の気管にたまったたんを除去するため、人工呼吸器をいったん停止させた際、電源を入れ忘れ、女性を窒息死させたとしている。

 捜査関係者などによると、女性患者は6月12日午後、死亡しているのが見つかり、同センターが小平署に届け出た。

 筋ジストロフィーは全身の筋肉が衰える難病で、症状が進むと内臓の筋力も低下し、十分に空気を吸い込めなくなるため、人工呼吸器などを使用する必要がある。女性は短時間なら自分で呼吸もできる状態だったが、捜査1課などは、人工呼吸器が長時間停止したため窒息死したと断定した。」



毎日新聞「看護師書類送検:人工呼吸器止まり患者死亡 小平の病院」(2012年9月18日)は,次のとおり報じています. 
 
「独立行政法人「国立精神・神経医療研究センター病院」(東京都小平市)で今年6月、筋ジストロフィーで入院していた女性患者(38)の人工呼吸器が止まって死亡する事故があり、警視庁捜査1課と小平署は18日、同病院の男性看護師(37)を業務上過失致死容疑で書類送検したと明らかにした。

 送検容疑は6月12日正午過ぎ、女性のたんを吸引するため人工呼吸器の電源を停止し、その後、電源を入れ忘れたとしている。

 面会に訪れた介護士が女性の異変に気づいて職員に伝えたが、女性は同日午後3時ごろ、窒息による死亡が確認された。同日中に同病院が小平署に届け出た。

 同課などによると、看護師は当初は容疑を認めていたが、その後「電源を切っていない」と否認に転じたという。

 糸山泰人院長は記者会見し、「あってはならないことで誠に申し訳ない」と頭を下げた。病院の調査に対し、看護師は「記憶がはっきりしない」と説明しているという。同病院は外部委員も含めた事故調査委員会を設置し、月内にも改善策などを報告書にまとめる予定。【松本惇、小泉大士】」


裁判例には,人工呼吸器の電源スイッチの入れ忘れ事故で,罰金50万円に処せられた例があります.

国立松江病院の准看護師が,清拭後,人工呼吸器のメインスイッチをオンに戻さず患者を死亡させた事案で,裁判所は,「人工呼吸器のメインスイッチをオンの状態にするのはもとより,そのフロントパネルの表示を目視し,同女の胸郭を観察するなどして,清拭後も右人工呼吸器が正常に作動して同女への空気の供給が正常に為されていることを確認し,事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務」に違反したとして,その准看護師を罰金50万円に処しました(松江簡裁略式命令平成13年1月9日,飯田英男氏著『刑事医療過誤Ⅱ(増補版)』561頁)。

盛岡地裁一関支部平成15年11月28日判決は,国立岩手病院の准看護師が人工呼吸器の加温加湿装置の給水後に人工呼吸器を作動させず患者を死亡させた事案で,次の判断を示しています.
「給水作業後は,人工呼吸器を作動させ,その気道内圧計及び同人の胸郭の観察等を行い,同人への酸素の供給が正常になされていることを確認し,事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務」に違反したとして,准看護師を禁錮8月,執行猶予2年に処しました.
この判決は,仙台高裁平成16年10月14日判決が控訴棄却,さらに最高裁も上告棄却で確定しています(飯田英男氏著『刑事医療過誤Ⅱ(増補版)』594頁).

札幌地裁平成19年4月25日判決は,市立小樽病院の看護師が平成14年1月人工呼吸器の加湿器の蒸留水を交換した際,一時的に切った電源を入れ忘れ,患者が死亡した事案で,看護師の過失を認めました.その看護師は,平成17年,小樽簡裁で罰金50万円の略式命令を受けています.

人工呼吸器のアラームのスイッチ入れ忘れ事故もあります.
神戸地裁平成5年12月24日判決(判タ868・231)は,市立伊丹病院の看護師3名がアイル病の患者を入浴させた後,人工呼吸器のアラームのスイッチをオンにするのを忘れ,その後人工呼吸器の接続部がはずれて患者Aが呼吸困難の状態に陥ったがアラームが鳴らなかったために気付くのが遅れ,患者が死亡した事案です.
裁判所は,「人工呼吸器がAの体からはずれると同人の生命自体が脅かされる状況にあったのであるから,担当看護師が負っていた人工呼吸器のアラームのスイッチ入れておくべき注意義務は,きわめて重大かつ基本的義務であるとともに,わずかの注意さえ払えばこれを履行することができる初歩的な義務であるということができる。この注意義務を怠ったこと自体,重大な過失であるし,さらに,以前にも同様の事故があり,病院側も本件のような事故が生じる可能性を十分に認識し得たにもかかわらず,再び本件事故を惹起したのであるから,その責任は重大である。」と判示し,看護師の責任を認めました.
また,本件事故は治療上の過失ではなく,看護上の過失であること,その過失の内容が初歩的かつ基本的な注意義務に違反した重大なものであることから,本件事故が医療過誤事故の一類型であること自体をもって相応の減額をすべきであるということはできない,と判断されました.

本件看護師は,電源を切ったことを否認しているとのことですので,慎重厳正な捜査により,事実が解明されることを期待いたします.
また,人工呼吸器は患者の命綱ですから,事故調査により,事故原因解明と実効的な再発防止策ができることを願います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-19 04:13 | 医療事故・医療裁判

週刊朝日,喫煙とチャンピックスと自殺

週刊朝日2012年9月28日号は,チャンピックス服用者が自殺していたことを伝えています.
私も,短いコメントをしています.
「服用から自殺までの時間が近接していることを考えると,関連性を否定することはできないでしょう。チャンピックスは,死にたいと思い『自殺念慮』や『攻撃的行動』など,多くの副作用の疑いがあり,それはファイザーから医療機関に渡される『添付文書』に記載されています。米国でも副作用は問題視されていて,チャンティックス(米国での商品名)が自殺念慮,うつ,心疾患などを引き起こしたとして,患者1200人が昨年,米ファイザーを相手に集団訴訟を起こし,係争中です。」

自殺した30代男性は1人暮らしなので,母親との電話でしか,自殺にいたる精神状態がわかりません.この情報だけでは,薬との因果関係は否定できませんが,もちろんタバコの離脱症状である可能性もあり薬との因果関係を肯定することもできません.

タバコは,脳に働きかけ快楽を生じさせ,チャンピックスはその快楽を打ち消す,という,「火付け」と「火消し」のような関係にあります.
タバコの依存性を脱するには,チャンピックスは,ニコチン製剤以上に有用な薬です.

しかし,それだけにリスクも伴います.
チャンピックスの警告欄には,赤字で,「禁煙は治療の有無を問わず様々な症状を伴うことが報告されており、基礎疾患として有している精神疾患の悪化を伴うことがある。本剤との因果関係は明らかではないが、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動又は思考の変化、精神障害、気分変動、攻撃的行動、敵意、自殺念慮及び自殺が報告されているため、本剤を投与する際には患者の状態を十分に観察すること[「重要な基本的注意」の項参照]。」 と記載されています.

基礎疾患として精神疾患を有している人には,要注意の薬です.抑うつ傾向がある人,精神的に不安定な状態の人も気をつける必要があるでしょう.

上記の週刊朝日の例も,少ない情報のなかでも,飲酒の程度が大きなこと,母親への電話の頻度などを考えると,何か不安定な要素があったのかもしれません.

ニコチン製剤も選択範囲に含めた治療を行うには,回数制限を撤廃する必要があるでしょう.

禁煙治療を後退させることは絶対にできませんから,チャンピックスの副作用の発現を最小限にくいとめてチャンピックスを活用いただきたく思います,患者の精神状態を医師が完全に把握することはできませんので,患者へのリスク情報の提供が,現実的な自殺防止策と思います.

また,そもそもタバコを吸わなければ,チャンピックスを服用することもなかったわけで,すべての根源はタバコにあるとも言えます.

【追記】

週刊朝日9月28日号の記事に対する日本禁煙学会の緊急声明
--------------------------------------------------------------------------------

「NPO法人日本禁煙学会
理事長 作田 学


週刊朝日のスキャンダラスな記事で多くの人が戸惑っている
この記事は医学的に誤っている
週刊朝日はただちに訂正の記事を載せるべきである



 週刊朝日9月28日号を見て、大変驚いた人は多かったであろう。表紙に、「120 万人処方、服用者が自殺していた、有名禁煙薬で意識障害」とある。記事はトップで、タイトルは「意識障害を起こす有名禁煙薬、服用者が自殺していた」であった。
この記事は一方的に不安をあおるタイトルと、医学的でない内容であり、問題があると考える。具体的には以下の通り。

タイトルからは、この薬剤により相当数の自殺者が判明したように読めるが、内容はある一人の男性の自殺についての断片的情報。

担当医師への調査はなく、また医学会への相談、医療従事者の意見さえも聞いていない。

内容はこの症例に関する情報に、これまでに発表されている事項をつなぎ合わせたもので、何ら新たな事項はない。

添付文書と患者への注意喚起に差があると問題にしているが、添付文書にある表記をそのまま患者に伝えている薬剤は多くない。それどころか、メーカーが作成した患者に直接配布できる印刷物がない薬剤がほとんどであり、一方的な中傷にも思える。

副作用の数を出しているが、その数の多寡の判断は読者には困難であり、一方的に不安をあおっている。

 懸念するのは、こういった扇動的記事によって一般読者、特に禁煙中または禁煙に興味がある人たちが禁煙を敬遠することである。また、医療従事者の中にも、記事の中の断片的情報で混乱する人もいるかもしれない。メディアは確かな情報に基づいた発信をすべきであり、読者は集客を目的とした記事に惑わされないことが大切である。

 すでに広く知られている事実として、ニコチン依存症患者の自殺はそうでない人よりも多いということがある。喫煙者はうつ病が2 倍多く、自殺もそれに従って多くなるという数字もある( Anda らJAMA, ’90)。そもそも一人の患者の状態を判断するには、その両親、生い立ち、生活歴、病歴、直近の生活の変化を聞き、さらに症状を聞き、所見を見いだし、その上でなければ正確な診断は下せない。これはすべての医師が大なり小なり日常おこなっている事である。しかし、この記事ではまったくもってそのような情報に欠けたまま、憶測が並んでいる。
 水曜日の朝9 時まで酒を飲んでいたこと、午前0 時40 分の明るい調子で話す様子から午前1 時2 分の滅裂状態に至る経過で、酒は絡んでいなかったか、うつ病あるいはうつの症状はなかったか、他の疾病たとえばアルコール中毒はなかったかなどの必要な記載が何もない。

 対照群のある試験によると、バレニクリン(チャンピクスの一般名)は対照にくらべ自殺企図を増やさず(Gunnell ら2009 年)、うつ病などの精神疾患も悪化させない(Tonstad ら、2010 年)という結果がある。

Gunnell D et al: Varenicline and suicidal behaviour: a cohort study based on data from the General Practice Research Database. British Medical Journal, 2009
 BMJ 2009;339:b3805 doi:10.1136/bmj.b3805
Tonstad S et al: Psychiatric Adverse Events in Randomized, Double-Blind,Placebo-Controlled Clinical Trials of Varenicline. A Pooled Analysis. Drug Saf 2010; 33 (4): 289-301
PDF版
(312KB、4ページ)

 今回の報道によると自殺念慮が18件、自殺既遂2件など自殺に係る事例は計28件とある。
 念慮とは、自殺を考えたことがある、という意味である。警察庁の自殺統計によれば平成23年の我が国の自殺者数は3万651人で、人口10万人あたり33.7人である。チャンピックスの累計服用者数は120万人と書かれていることから考えると、想定される自殺者数は404人。ただ、チャンピックスの服薬期間は12週間(3か月)であることから、想定自殺者数は101人。実際には12週間服薬しない患者もおり、また服薬患者の自殺が全例企業に報告されていない可能性を考慮しても、現在把握されている自殺既遂件数は十分小さく、一般国民の自殺率に比べて、チャンピックス服用により自殺が増えるとは言えない。

*******

 さらに60 代のタクシードライバーがチャンピックスを飲んでいて、全身が震え、意識が飛び、車が道路の側溝に落ちた報告があると書かれている。これもそのドライバーが長年のスモーカーで、いろいろの危険因子があったかどうかなどは一切書かれていない。禁煙をすればひどく眠くなることは、一度禁煙を試みた人だったらおわかりだろう。車を溝に落とす事についても眠気のせいであったか、一過性脳虚血発作のような症状であったのかあるいは不整脈が関係していたのかなど判別不可能である。

 けいれんの報告がある禁煙治療薬は、チャンピクスだけではない。たとえば、
Beyens N-M, et al: Serious adverse reactions of Bupropion for smoking cessation.
Analysis of the French Pharmacovigilance Database from 2001 to 2004. Drug Safety. 2008; 31, 1017-1026 によれば、ブプロピオンの投与 698,000 例により、75例のけいれんが起きたとしている。このうち95%は全身けいれんであった。発生率は 0.01%である。 分析の結果、投与量に比例した結果が得られている(p=0.0004). このけいれん発作はとくにけいれんの既往、アルコール中毒、けいれんを生じる薬剤の投与とくに抗うつ薬の危険因子などが50%に認められたという。
 その結果、ブプロピオン はアメリカの添付文書では、痙攣の既往歴がある人や痙攣を起こす閾値が低い患者の場合には、「非常な注意をもって」使用すると言うことになっている。
 そして、てんかんは禁忌に指定されている。
CONTRAINDICATIONS :ZYBAN is contraindicated in patients with a seizure
disorder.
 ブプロピオン の痙攣誘発作用は、dose dependent と書いてあるように薬剤に起因するか、あるいは禁煙治療にともなう痙攣閾値の低下作用によるかは不明な点もあるが、ともかく痙攣を防ぐため、てんかんが禁忌となっていることは事実である。

 さらに、禁煙治療の他の薬剤との関係では、次のようなデータがある。
http://www.ehealthme.com/cs/smoking+cessation+therapy/grand+mal+convulsion


 2002年から2007年はニコチン製剤(ニコチンガムやニコチンパッチ),その後はブプロピオンとニコチン製剤、最近はバレニクリンとブプロピオンとニコチン製剤が関係していると思われる。これでみるように、けいれんはチャンピクスによるものだけではない。 ニコチン製剤やブプロピオンでも同様に起きている。

 痙攣はむしろ、禁煙治療にともなう不眠症、アルコール多飲などが関与し、痙攣の閾値が低下することによって、それまで症状が治まっていたてんかん患者に多発している と考えることが相当である。実際に ニコチン製剤(ニコチネル TTS)の添付文書には、慎重投与として、(8)てんかん又はその既往のある患者(痙攣を引き起こすおそれがある)となっている。タバコやニコチン製剤に含まれているニコチンには、痙攣誘発作用はありえない。もしニコチンに痙攣誘発作用があれば、ヘビースモーカーは次々に痙攣を起こしているはずである。そうではなく、禁煙治療にともなう不眠・アルコール等の痙攣閾値が低下することこそが痙攣誘発の本態なのである。

 このような記事で、世間を惑わすということは、マスメディアとして絶対にあってはならないことである。ぜひ訂正記事を出していただきたい。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-18 10:28 | タバコ

アメリカ合衆国憲法制定記念日

独立記念日ほどには知られていませんが,今日9月17日は,アメリカ合衆国憲法が制定された日です.

アメリカ合衆国憲法は,1787年(モーツアルト死去の年)9月17日,フィラデルフィアのステート・ハウスで制定されました.制定当時は統治に関する規定のみでしたが,ジョージ・メイソンは権利章典を要求し,権利章典の追加が予定されるという理解で制定されました.そして,1791年に権利章典(修正10か条)が追加されました.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-17 08:29 | 司法

死刑執行から50年の藤本事件(菊池事件),検察官による再審請求を求める動き

熊本日々新聞「再審へ活動本格化 ハンセン病元患者の死刑事件」(2012年9月16日)は,次のとおり報じています.

「県内のハンセン病元患者の男性が殺人罪に問われ、無実を訴えながら死刑になった「藤本事件」。死刑執行から50年を迎え、15日、合志市の国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園で男性の追悼集会が開かれた。

 集会は、ハンセン病患者への差別が生んだ冤罪[えんざい]との指摘がある同事件を再検証し、再審請求につなげようと入所者らが1年かけ展開した企画の最終回。今後、再審請求に向けた活動が本格化する。

 集会で、入所者の長州次郎さん(85)は、同園内などの特別法廷であった男性の裁判について「周囲に幕が張られ、中の声も聞こえない。来る人を追い払うかのようだった」と証言。「公開裁判を受ける権利がありながら、人権を顧みない裁判が行われた」と怒りをにじませた。

 男性の教誨[きょうかい]師だった坂本克明さん(80)は別のハンセン病患者の裁判を傍聴したことがあるという。「被告本人の発言もほとんどない。患者であるがゆえに、ずさんな裁判が行われた」と指摘した。

 再審弁護団は、男性の裁判を「憲法違反」と問題視。再審請求に慎重な遺族の代わりに検察官による再審請求を求める方針だ。11月上旬にも熊本地検に要請書を提出。全国で署名活動も展開する。

 徳田靖之弁護団長は「検察庁が本気で再審請求を考えるような運動を全力でやり抜きたい」と決意を語った。(楠本佳奈子)」


刑事訴訟法第四百三十九条1項は「再審の請求は、左の者がこれをすることができる。」とし, 「一 検察官」と規定しています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-17 07:10 | 人権

厚生労働省, たばこの全成分を銘柄ごとに分析

読売新聞「たばこの害、全成分を分析…添加物含め詳細に」(2012年9月16日)は,次のとおり報じています.

 
「厚生労働省は、たばこの成分を銘柄ごとに全て分析し、たばこ製造業者に対する規制強化や受動喫煙対策を検討する有識者会議を年内にも発足させることを決めた。

 タールやニコチン以外にも、たばこには香料などの添加物が多く含まれており、全ての成分や、燃焼時の化学変化の結果を調べることで、より正確に健康への影響を把握し、今後の対策に反映させる狙いだ。

 同省が2000年度に成分調査を行った際は、あらかじめ決めた約30種の有害物質に絞った含有量の測定にとどまっていた。今回は成分の全てを分析し、明確でなかった発がん性物質などの含有率データも公表する方向だ。具体的には、日本で消費量の多い10銘柄程度を選び、外部の研究機関にたばこ及びその煙の成分の分析を依頼する。その結果に基づき、有識者会議が検討を行う。」


タバコ煙には多くの有害な添加物が含まれていますし,海外のタバコ会社が添加物によりニコチン依存を効果的にコントロールしてきたことは良く知られています.
調査結果に期待します.
タバコ会社の利益を代弁する者は,公正な意思形成のための有識者会議から排除すべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-17 06:47 | タバコ

公立陶生病院,体調不良の84歳患者が薬を定量投与された後脳内出血で死亡(報道)

MSN産経「男性患者、投薬後に死亡 愛知県瀬戸市の病院」(2012年9月14日)は,次のとおり報じました.
 
「愛知県瀬戸市の公立陶生病院で昨年5月、入院していた男性患者=当時(84)=が投薬を受けて脳内出血を起こし死亡していたことが14日、分かった。

 同病院によると、担当医は定められた適切な量の薬を投与していたが、男性は体調不良だったといい、投薬の何らかの影響があったとみられる。

 男性は昨年4月下旬から、手足のしびれを訴えて入院していた。

 病院側は医療ミスだったとして、男性の家族に謝罪。賠償金を支払う方針で、示談交渉を進めているという。」



メ~テレニュース「陶生病院で医療ミスが原因で男性死亡 愛知・瀬戸市」(2012年9月14日)は,次のとおり報じました.

「愛知県瀬戸市の病院に入院していた男性患者が、投与された薬が原因とみられる脳内出血を起こして死亡していたことがメ~テレの取材でわかりました。

「死亡した男性の息子は、父の容態が急変して亡くなり驚いた、などと話しました。
男性患者が死亡したのは瀬戸市の公立陶生病院です。
遺族と病院によりますと2011年4月下旬、当時83歳の男性が手足のしびれなどを訴えて入院し、血液が固まるのを防ぐ薬が投与されました。
担当の医師は、決められた量の薬を投与しましたが男性は肺炎にかかるなど体調不良だったため薬に過剰反応し、2011年5月24日、脳内出血を起こして死亡したということです。
病院側は、「患者への注意義務を怠った」として医療ミスを認め、男性の遺族に謝罪しました。
賠償金を支払う方向で示談交渉が進んでいます。」



中日新聞「薬の投与後に脳内出血で患者死亡 瀬戸の公立陶生病院」(2012年9月14日)は,次のとおり報じました.

 「愛知県瀬戸市の公立陶生病院で昨年5月、手足のしびれを訴えて入院した80代の男性患者が、薬の投与後に脳内出血で死亡していた。関係者が認めた。

 関係者によると、男性は昨年4月に入院。病院は血液を流れやすくする薬を、処方上で決められた量投与したが、男性の体質などから薬が効きすぎて出血が起きたとみられる。病院側は、投与後の注意義務を怠ったと認めているという。

 病院は遺族と示談交渉を進めている。」



中日新聞「薬投与後に患者死亡 「医療事故との認識で対応」 院長ら会見」 (2012年9月15日)は,次のとおり報じています.

「愛知県瀬戸市の公立陶生病院で昨年5月、薬の投与後に80代の男性患者が死亡したことを受け、酒井和好院長らは14日、院内で会見し「医療事故という認識で対応している」と話した。遺族とは示談交渉中という。

 病院によると、男性は同月13日に脳梗塞の症状が見られたため、血液を固まりにくくする薬を処方。20日に薬が効きすぎたため投薬量を半減したが、その4日後に脳出血で亡くなった。病院は、血液が予想以上に流れてしまい、脳出血の程度が悪化したとみている。担当者は「患者の年齢を考慮し、減薬ではなく投薬をやめていれば、出血の程度が軽くなって救命できたかもしれない。反省すべき点があると考えた」と話した。その上で「コントロールが難しい薬。担当医によって判断が分かれる」と苦悩も見せた。」


毎日新聞「瀬戸・陶生病院:投薬管理に問題、患者遺族と示談協議 /愛知」(2012年09月15日)は,次のとおり報じています.
 
「公立陶生病院(瀬戸市)は14日、入院中に脳出血で死亡した80代の男性患者の遺族と示談に向けた協議を進めていることを明らかにした。薬剤の調整に問題があり、「医療事故に準じる」と判断したという。

 病院によると、男性は下肢のしびれなどを訴えて5月2日に入院した。多発性脳梗塞(こうそく)を過去に発症した痕跡があったことから、血栓予防のため、血液を固まりにくくする薬剤(抗凝固薬)の投与を始めた。同20日に血液が凝固する能力が著しく低下したため、抗凝固薬の投与量を半分にしたが、同24日未明に脳出血を起こし、同日夕方に死亡した。

 遺族が証拠保全を申し立てたため、病院側が当時の治療を検証した。脳出血自体は防げなかったが、高齢でリスクが高い患者であることを考慮し、抗凝固薬の投与量と血液凝固能の調整を通常よりも慎重に行っていれば、死亡するほど重篤にはならなかった可能性があると結論付けたという。【荒川基従】」


薬剤名が不明ですが,血流を改善する薬剤は微妙なコントロールが必要で,一般成人について「定められた適切な量」は,患者の年齢,状態を考慮すると,必ずしも適切な量とは限りません.
本件は,医原性の出血による死亡と考えられますので,肺炎後の状態を考慮し薬剤を減量投与すれば死亡が避けられたとすれば,非常に残念です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-15 08:31 | 医療事故・医療裁判