弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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名古屋大医学部附属病院,富士通の電子カルテシステム印刷プログラムの支障により開示カルテにミス(報道)

中日新聞「名大病院で開示カルテに記載ミス486件」(2012年9月15日)は,次のとおり報じています.

「名古屋大病院(名古屋市昭和区)は14日、患者らに開示したカルテで、取り消した情報が記載されたままになるなどのミスが486件あったと発表した。開示したカルテは裁判や医療事故調査の証拠や保険申請の資料に使われており、影響を調べている。

 誤記の多くは、医師の所見記録や投薬などの指示。患者との相談の上で取り消した後も、開示請求を受けて印刷した際に残っていた。電子化しているカルテ本体には反映されていたが、印刷プログラムに故障があった。

 7月に患者の指摘を受けて調査し、印刷プログラムを導入した2003年4月から259人分のカルテにミスが判明した。現在は復旧している。

 松尾清一院長は「カルテ開示の信頼性に関わる問題で、申し訳ない」と陳謝。病院は裁判資料に使われた件数を公表していないが、担当者は「現時点では重大な影響はないと思う」と話した。」


富士通の電子カルテシステムの印刷プログラムの支障によるものだそうですが,名大病院以外の病院では,この印刷プログラムを導入していないのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-15 08:14 | 医療事故・医療裁判

沖縄県立中部病院で,嘱託職員が患者情報の入ったパソコンをロビーの机に放置し盗まれる(報道)

時事通信「患者情報含むPC盗まれる=病院ロビーから、665人分-沖縄」(2012年9月13日)は,次のとおり報じています.

 「沖縄県は13日、県立中部病院(同県うるま市)で先月、患者と家族ら最大665人分の個人情報が入ったノートパソコン1台が盗まれたと発表した。パソコンはその日のうちに同県沖縄市内の中古品販売店に売却され、初期化した上で転売された。購入者は判明していないが、情報流出は確認されていないという。
 県などによると、パソコンは8月9日午前10時ごろ、30代の女性嘱託職員が病院1階ロビーの机に置き、トイレに行っている間に盗まれた。
 県警によると、別の窃盗事件で逮捕・送検された無職××××容疑者(38)=沖縄市安慶田=がパソコンを盗んだと自供したため、今月10日に追送検した。」


患者情報が入ったノートパソコンをロビーの机に放置し,トイレに行くことは,患者情報の取り扱いについてあるべき注意をはらっていにことになると思います.

ちなみに,報道によると,昨年6月以降,個人電磁情報の紛失事故は,以下の施設で起きています.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院

2012年9月
沖縄県立中部病院

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-13 22:58 | 医療事故・医療裁判

2012年司法試験結果と予備試験のありかた

2012年司法試験法科大学院別合格者数と合格率は,以下のとおりでした.

中大    202人(41.3%)
東大     194人(51.2%)
慶應義塾大186人(53.6%)
早稲田大  155人(32.8%) 
京大      152人(54.3%)
明治大    82人(20.4%)     
一橋大    77人(57.0%)    
大阪大    74人(41.8%)  
神戸大    60人(45.8%)  
北海道大   54人(34.0%)  
(11位以下略)

そして,予備試験合格者は58人(68.2%)でした.

司法試験受験には法科大学院修了が本則とされていますが,例外的に,予備試験に合格すれば,法科大学院を修了しなくても,司法試験受験資格が与えられます.
予備試験合格者の合格率(68.2%)は,法科大学院修了者の平均合格率(24.6%)は勿論,最も合格率の高い一橋(57.0%)より高率でした.
本来,予備試験は,法科大学院修了程度の実力を有するか判定するものですから,法務省が予備試験を過度に難しくしすぎている,と言えるでしょう.

予備試験は,経済的事情等から法科大学院に進学できない者のために設けられたのですが,実際には大学法学部在学生,法科大学院在学生も相当数受験し,合格しています.
このことを理由に,予備試験の枠を狭める方向での議論もあり得るでしょう.
しかし,法科大学院制度が現状では社会経験を積んだ多様な法曹養成のために役だっていませんし,法科大学院制度のため年月と費用をかけたくない優秀な人材が,法科大学院を敬遠する傾向がでてきていることを考えると,むしろ予備試験こそを本道,本則とすべきと思います.つまり,司法試験の受験資格と法科大学院修了を切り離せばよいのです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-13 09:28 | 司法

原発事故後1年間の飲食物で東京都に住む乳幼児10万人当たり2~3人の確率で甲状腺がんになる?

飲食物由来の放射性ヨウ素およびセシウムによる東京都民への曝露量と発がんリスクの推定」が発表されました.
東京電力福島第1原発の事故後1年間に摂取した飲食物による内部被ばくで、東京都に住む乳幼児10万人当たり2~3人の確率で甲状腺がんになる,とのことです.

「東京大学 生産技術研究所の沖大幹教授と東京大学 総括プロジェクト機構 「水の知」(サントリー)総括寄付講座の村上道夫特任講師の研究チームは、地域別・日別、飲食物グループ別の放射性物質濃度、各地域から東京への飲食物の入荷量、各飲食物の平均摂取量から、都民への飲食物由来の放射性ヨウ素および放射性セシウムの曝露量を算出した。東日本大震災に伴い、福島原子力発電所から放射性物質が放出され、飲食物由来の放射性物質の曝露に伴う健康影響が懸念されている。本研究により、東京都民への放射性物質の曝露量を飲食物の種類別に経時的に定量化することができた。その上で、出荷制限および東京都による乳児へのボトル飲料水配布といった対策による曝露量の削減効果を推定した。さらに、飲食物由来の放射性物質の摂取に伴う発がんリスク注1)の推定を行い、その他の環境汚染物質、自然由来の放射性物質の曝露に伴うリスクや事故や病気による年間死亡者数と比較することで、リスクを分かりやすく提示することができた。」ということなのですが・・・

東京都に住む乳幼児10万人当たり2~3人の確率で甲状腺がんになる,というのは,過小見積りではないでしょうか.前提となる数字のとりかたで変わってくると思いますが,専門家による議論を期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-12 09:35 | 脱原発

国立病院機構東京医療センター,北杜夫さんの遺族に謝罪

スポーツ日本「北杜夫さん遺族に病院謝罪 「腸閉塞」診断も窒息死か」(2012年9月11日)は,次のとおり報じています.
 
「作家の北杜夫さんが昨年10月に84歳で亡くなった際、搬送先の国立病院機構東京医療センター(目黒区)で死因を「腸閉塞(へいそく)」と診断されたが、嘔吐(おうと)物を喉に詰まらせた窒息死だった可能性があることが分かった。

 同センターは、説明が不適切だったために遺族が病理解剖を断る結果になったとして謝罪した。北さんは昨年10月23日、吐き気などがあったため救急車で搬送。いったんは「緊急性はない」とされたが、翌日未明に容体が急変し、死亡が確認された。当直医は「腸閉塞による敗血症性ショック」としたが、吐いた跡もあった。遺族は当直医から「解剖すると葬儀までに自宅に帰れなくなる」「胸をガッと開けることになる」と説明を受けて解剖を断念。「解剖しないよう誘導された気がした。入院時に“吐くことがあるので気を付けてください”と伝えていたのに。悔やんでも悔やみきれない」と話している。」


日本医療安全調査機構は,診療行為に関連した死亡について,死因究明及び再発防止を目的として,中立的な立場で,解剖,分析,検証を行っています.

現在10地域(北海道,宮城県,茨城県,東京都,新潟県,愛知県,大阪府,兵庫県,福岡県,佐賀県)で,このモデル事業が実施されています。

北杜夫さん(本名斎藤宗吉さん)が亡くなったのは東京都内ですから,モデル事業の事務局(東京地域事務局TEL:03-3434-3670 月~金曜日9:00~17:00)に電話すれば,死因究明及び再発防止を目的として,中立的な立場で,解剖,分析,検証が行われたのです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-12 01:34 | 医療事故・医療裁判

鹿児島地裁平成24年9月11日判決,肝属郡医師会立病院の直腸穿孔死亡事案で請求認容(報道)

鹿児島読売テレビ「医療ミス訴訟 肝属郡医師会側に賠償命令」(2012年9月11日)は,次のとおり報じています.

「2003年8月、直腸がんを患った男性(当時54)が肝属郡医師会立病院で手術を受けた際、執刀医による手術器具の操作ミスで腸を損傷し、その後、腹膜炎を起こし死亡したとして、男性の家族が、病院を運営する肝属郡医師会と執刀医に対し約5500万円の損害賠償を求めていた裁判。

11日の判決で鹿児島地裁は、「執刀医が不用意に器具を接触させて腸に穴が空いた。これに対する適切な処置を講じなかった」と執刀医の過失を認定。
執刀医の過失と男性の死亡には因果関係があるとして、医師会側に慰謝料など約3900万円の支払いを命じた。

判決を受けて男性の次女は、「11日は父の命日だったので、良い判決が出たと報告したい」と述べた。
一方、肝属郡医師会立病院の中村幸夫事務長は、「状況がまだ把握できていないので、今後、弁護士と相談したい」としている。」


私も同様の穿孔事案を担当していますので,判決が公刊されたら,よく読んでみたいと思います.

【追記】
毎日新聞「医療ミス:肝属郡医師会に3870万円支払い命令??地裁判決 /鹿児島」(2012年9月12日)は,次のとおり報じています.

「肝属郡医師会立病院(錦江町)で手術を受けた男性(当時53歳)が死亡したのは、医師が適切な処置を怠ったのが原因として、遺族が同医師会などを相手に損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁は11日、医師会側の過失を認め計約3870万円と年5%の遅延損害金の支払いを命じた。

 判決によると、同病院の医師(54)は03年8月27日、男性の直腸がん手術をした際、手術器具で腸管を傷付けて穴を開けたにもかかわらず、穴を縫合するなど適切な処置を行わなかったため、腹膜炎を発症させ死亡させた。

 久保田浩史裁判長は「合併症を起こす可能性は予見できた」と判断。病院側の「腸管の穴は手術中にできたものではない」との主張を退けた。【垂水友里香】」


毎日新聞「錦江の医療損賠訴訟:医師会側が控訴 手術後に死亡、遺族が訴訟」(2012年09月26日)は,次のとおり報じています.

「錦江町の肝属郡医師会立病院で03年、手術を受けた男性患者(当時53歳)が死亡したのは、医師の過失が原因として遺族が医師会などを相手に損害賠償を求めた訴訟で、医師会側は25日、医師の過失を認めた鹿児島地裁判決を不服として、福岡高裁宮崎支部に控訴した。

 1審判決は、03年8月、同病院で直腸がんの手術を受けた男性患者が死亡したのは「医師20+件(54)が手術器具で男性患者の腸管を傷つけ、腹膜炎を発症させたことが原因」と過失を認め、医師会側に計約3870万円の支払いを命じた。」


 高裁の判断がどうなるか,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-12 00:54 | 医療事故・医療裁判

骨病変治療薬「ランマーク」投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について

本日,厚労省のサイトに「骨病変治療薬「ランマーク」投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について」が掲載されました.

「○ 「ランマーク」(別添1参照)は、多発性骨髄腫による骨病変及び骨転移を有する固形癌の骨病変の進展を抑える薬剤で、破骨細胞の活性化を抑制することで、骨からカルシウムが溶け出すことを抑制する作用があり、低カルシウム血症を起こすおそれがあることが知られている。
○ 7月10日に、「使用上の注意」を改訂し、重篤な低カルシウム血症が発現することについて注意喚起を行ってきたが、その後、関連性の否定できない低カルシウム血症による死亡例が2例、厚生労働省に報告されている。
○ 患者の安全確保のため、
 1. 投与前及び投与後頻回に血清カルシウムを測定すること。
 2. 充分量のカルシウム及びビタミンDを合わせて服用すること。
 3. 重度の腎機能障害者では、低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、本剤を慎重に投与すること。
 4. 低カルシウム血症が認められた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。
が重要である。
○ また、本剤投与中の患者にあっては、高カルシウム血症の場合を除き、医師の指示に従ってカルシウム及びビタミンDを合わせて服用し、手足のふるえ、しびれ等の症状がある場合には直ちに医師に連絡することが重要である。
○ このため、別添2のとおり、「使用上の注意」の改訂を行うとともに、医薬関係者等に対して、別添3により、速やかに情報提供するよう、製造販売業者に対して指示した。」


デノスマブ(商品名ランマーク皮下注120mg)は,今年4月の発売後,重い副作用が32人にみられ,2人が死亡した薬剤です.


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-11 20:55 | 医療

福岡県医師会,診療所などに死因調査を支援するチームを派遣

西日本新聞「患者の死因究明に調査班 福岡県医師会「遺族の疑問に対応」(2012年9月11日)は,次のとおり報じています.

「手術やお産など医療を受けている過程で亡くなった人の死因を究明するために、福岡県医師会は診療所(医院)などを対象に、院内における死因調査を支援するチームの派遣に乗り出した。福岡県では2007年から死因を究明する第三者機関が活動しているが、診療所単独での利用はなかった。診療所は医師が少なく院内調査が十分できないなどの事情があるとみられ、県医師会は「死因に疑問を持つ家族に誠実に応え、もしミスがあった場合は再発防止につなげたい」という。

 医療現場での患者の死は、病気や体調の急変によるものか、医師のミスによるものなのか判断が難しいことがあり、いつまでも気持ちの整理がつかない遺族もいる。

 第三者による死因究明は厚生労働省の補助事業として05年に始まり、現在は日本法医学会など19学会でつくる日本医療安全調査機構が全国10地域で行っている。九州では福岡県で07年、佐賀県で11年9月に始まった。

 患者の死について疑問があれば、医療機関が遺族の同意を得て機構に調査を依頼。法医学者や専門医が立ち会って解剖し、死因についての報告書をまとめて遺族と医療機関に説明している。医療ミスと判断されれば医師法に基づき警察に通報するなどの措置を取る。

 機構によると、今年8月末までの調査依頼は全国で180件。ほとんどが病院からで、診療所からは5件。福岡県では全9件のうち診療所からの依頼はなかった。

 診療所からの依頼が少ない背景には、機構に頼むにはまず院内に調査委員会をつくり、その結果を添付しなければならないことがある。

 診療所とは、無床または19床以下の小規模な医療機関をいう。医師が1人だけの所も多く、人的な余裕がない上に「自分で自分の調査をすることは客観性に無理がある」(福岡県医師会)というわけだ。

 こんな実情を念頭に県医師会は、基幹病院の医師や看護師など7~8人の支援チームをつくり、診療所などに派遣することにした。聞き取りや資料収集のほか遺族対応もサポートし、機構への調査依頼を促す。

 まずは、医師不足が指摘され訴訟も多い産科の支援を急ぐ方針。県内の産科医院には会報などで周知し、制度を活用するための研修会を開く。上野道雄常任理事は「事故の再発や紛争の長期化を防ぎ、医療者側も患者側も納得できる仕組みを目指したい」と話す。

 死因を調査してほしい遺族は、原則として診療所や病院を通して申し込む。」


福岡県医師会の取り組みは評価できます.他県の医師会にも検討いただきたいですね.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-11 19:21 | 医療事故・医療裁判

医薬品行政を監視評価する第三者組織が必要です

政府が約束した「医薬品行政を監視評価する第三者組織」は,約束反故により,今国会に,政府提出の法案が提出されず,代わりに(?)後退した民主党案が提出されましたが実質審議に入ることなく継続審議となりました.
薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子氏は,国会会期末,熊本日々新聞に「医薬品行政を監視評価する第三者組織の創設を求めて」を投稿しました.古賀克重先生のブログから転載させていただきます.
                         
 「今や、政党が機能しない国会へと突入した。9月8日までの貴重な会期を残して、早くも国会は、政策を放り出し党利党略がうず巻いている。国民の生活に影響を与える多くの法案がたなざらしにされたままでは、国民にとっては何の益もなく、不幸なことである。

 薬害肝炎原告団に加わってこの10年、私は国会の党利党略を幾度も目撃し、政治に翻弄されながらも国会に足を運び続けた。そして、「保身より国民の命・生活を!政局より政策を!」と、面談したあらゆる議員に言ってきた。

 2008年1月、私たちは国との基本合意を締結した。薬害肝炎訴訟和解後も「未来に生きる子ども達を薬害の被害者や加害者にするわけにはいかない」と、ずっと声をあげ続けている。『薬害根絶』は薬害肝炎訴訟の目的であり、「命の尊さを再認識し、薬害ないし医薬品による健康被害の再発防止に最善、最大の努力を行うことを改めて確約する」と誓った国との基本合意をないがしろにさせるわけにはいかないからだ。また、基本合意に基づく「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」において、2年間(23回)の審議を経て、最終提言がまとめられた。その中で、薬害再発防止のために活動する独立性・専門性・機動性を備えた医薬品行政を監視評価する第三者組織の創設が必要であると示されている。

 歴代の厚労相は、国と私たちとの基本合意に基づく大臣協議において、今国会に第三者組織を創設するための法案を提出すると約束してきた。2010年の長妻大臣は「平成24年の通常国会法案を提出できるように制度設計などについて詰めていきたい」と、2011年の細川大臣は「来年の通常国会への改正法案提出を行い、正式な第三者組織の設置を確実に進めていく」と。そして、小宮山大臣は、昨年10月の私たちとの面談の場で「歴代大臣がこれまでみなさんと約束してきた点について、守っていきたい」と弁明した。ところが、今年の通常国会中に「大臣としては提出できない」と、安易に私たちとの約束を反故にしたのである。

 8月3日の大臣協議では、国民の生活と健康を守る厚生労働相の大臣自らが閣法として、薬事法改正法案を提出することに意義があることを訴えたが、小宮山大臣は「このような政局だから議員立法しかない」と、官僚の意向をそのままに流暢な説明で終始した。

 そして、29日に、民主党は単独で議員立法「医薬品等行政評価・監視委員会設置法案」を衆議院厚労委員会に唐突に提出したのだ。私たち薬害被害者の意見を聞くこともなく、薬害被害者の望まない内容の骨抜き法案であった。そこには、これまでの薬害事件に対する国の反省と再発防止の決意を表す記載がなく、政権与党としての主体的な解決意思や意欲も全く見えない。単なる選挙対策の法案提出に過ぎないからであろう。

 それでも、私たちは、最終提言に沿った第三者組織の創設を、政府提出法案により実現するよう訴えなければならない。繰り返される薬害を根絶するために、第三者組織の創設は国民にとっては無くてはならないものだということを痛感してこその使命でもある。
 私たち国民の信頼できる薬事行政に向かわせるために、超党派で尽力する僅かな議員を見つけに、党利党略がうず巻く国会に行こう(熊本日々新聞・投稿)。」



日刊薬業「衆院厚労委  第三者組織設置法案、委員長権限で継続審査に」(2012年9月9日)は,次のとおり報じています.

 「今国会が8日に閉会することに伴い、国会に設置されている各委員会は7日、提出済みの法案を次期国会で継続審査(閉会中審査)するための手続きを取った。
衆院厚生労働委員会では、民主党が単独で提出した議員立法の「医薬品等行政評価・監視委員会設置法案」について継続審査の採決があり、自民党を含む全野党が反対。賛否同数の結果を受けて、池田元久委員長(民主)が委員長権限で継続を決めた。同法案に対する野党の反対姿勢が鮮明になった。
 委員会の議事は出席委員の過半数で決まる。同法案の継続審査については22人対22人の賛否同数だった。可否同数のときは委員長判断で議事の可否を決められることが国会法50条で定められており、この規定が生きた。
 同法案は、委員10人以内で構成する第三者組織の「医薬品等行政評価・監視委員会」を厚生労働省内に置き、医薬品や医療機器の安全性確保に関係する施策の実施状況を評価・監視するなどの内容。長妻昭・厚生労働部門会議座長などが民主単独の議員立法として8月29日に衆院に提出したが、審議入りはかなわなかった。」


民主党議員の後退した「医薬品等行政評価・監視委員会設置法案」に,全野党が反対し,委員長権限でかろうじて継続審議となったということなのです.

監視される側は望まない法律かもしれませんが,薬害を繰り返さないために,医薬品行政を監視評価する第三者組織が絶対に必要です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-11 05:33 | 医療

ヨハネス・ブラームス国際コンクール,佐藤麻理さんが1位,黒田佳奈子さんが2位

スポーツニッポン「ブラームス国際コンクールピアノ部門で日本人ワンツー」(2012年9月10日)は,つぎのとおり伝えています.

「オーストリア南部の町、ペルチャッハで開催されている「第19回ヨハネス・ブラームス国際コンクール」で9日、ピアノ部門の決勝が行われ、横浜市出身の佐藤麻理さん(25)=オーストリア在住=が優勝した。2位には北海道出身の黒田佳奈子さん(30)=同=が入賞、上位2位を日本人が占める快挙となった。

 佐藤さんは5歳からピアノを始め、東京芸大を経て、2007年から世界最大規模の芸術大学、ウィーン国立音大に在学中。黒田さんは桐朋学園大を卒業後、ミュンヘン音楽大大学院で学び、現在、音楽と舞台芸術の総合芸術大学、ザルツブルクモーツァルテウム大大学院に在籍している。

 同コンクールは19世紀のドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスを記念したもの。ブラームスが避暑地として滞在し、数々の名曲を書き残したペルチャッハで毎年9月上旬に開催。欧州で最も権威あるコンクールの一つと位置づけられている。

 第17回のピアノ部門で福島市出身の結城奈央さんが日本人として初優勝。昨年の第18回では、ヴィオラ部門で東京芸術大音楽学部付属音楽高校3年の大野若菜さんが優勝。3大会連続で日本人が頂点に立っている。」


日本人だけが・・・と妬まれそうですが,ヨハネス・ブラームス国際コンクールは,各人の演奏が終わった後に審査員全員が技術点と芸術点を公表しますので,誰に何点付いたのかが分かる,最も公正な審査方法をとっています.

ションパン,チャイコフスキー,エリザベートの3コンクールは,毎年開かれるものではないので, ヨハネス・ブラームス国際コンクールより格上にみられますが,透明公正な審査となるとヨハネス・ブラームス国際コンクールです.

1位,2位独占は間違いなく実力です.

ブラームスのピアノ曲は,わびさびの日本人の感性にあっているのかもしれません.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-10 09:11 | 趣味