弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

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映画「もういいかい ハンセン病と三つの法律」

b0206085_7384987.jpgオーディトリウム渋谷で 「もういいかい ハンセン病と三つの法律 」が9月14日まで上映されています(モーニングショー,10;00).

三つの法律とは,「癩予防ニ関スル件」(明治40年),旧「癩予防法」(昭和6年), 「(新)らい予防法」(昭和28年)のことです.

2012年/143分/デジタル/スタンダード
製作 鵜久森典妙
脚本 川島信治 高橋一郎
撮影 原ひろし
語り 鈴木瑞穂
監督 高橋一郎

証言者(登場順、敬称略)
宇佐美治,畑野研太郎,曽我野一美,神美知宏,加賀田一,竪山勲,玉城しげ,志村康,上野正子,金城幸子,キム・キヒョン,キム・ボクファ,キム・チョムネ,ク・ナムイ,カン・チャンソク,横田廣太郎,高瀬重二郎,徳田靖之,田中民市,牧野正直,谺雄二,宮良正吉

予告編はYouTube

その後の上映予定などは「もういいかいのブログ」参照


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-09 22:01 | 医療

診療科別医師喫煙率

日本医師会は,診療科別の医師喫煙率を調べています.

男性医師のベストスリーは,呼吸器科(6.7%),皮膚科(7.8%),循環器科(9.0%)でした.ワーストスリーは,泌尿器科(17.9%),精神科(17.7%),整形外科(17.0)でした.

女性医師のベストスリーは,泌尿器科,耳鼻咽喉科,消化器科でいずれも0.0%でした.ワーストスリーは,外科(10.5%),整形外科(10.0%),精神科(5.4%)でした.

それぞれの学会の取り組みも影響しているのでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-08 12:36 | タバコ

屋久島徳洲会病院,ベルト固定怠りストレッチャーから転落,手術部位確認怠り対側開頭,医師ら罰金(報道)

読売新聞「異常ない左頭部切開、患者けが…病院長らに罰金」(2012年9月4日)は,次のとおり報じています.

 「鹿児島県屋久島町の屋久島徳洲会病院で2007年、手術部位を誤るなどして入院中の男性患者(当時88歳)にけがを負わせたとして、屋久島区検が男性院長(54)と男性看護助手2人(41歳と27歳)を業務上過失傷害罪で屋久島簡裁に略式起訴していたことが分かった。

 7月13日付。簡裁は同26日付で、院長に罰金20万円、看護助手2人に罰金各10万円の略式命令を出し、3人は納付した。

 起訴状などによると、看護助手2人は07年8月7日、入浴介助後に男性患者をストレッチャーで搬送する際、ベルトで固定せず床に転落させ、右頭部に急性硬膜下血腫のけがを負わせた。

院長は同日、この患者の血腫除去手術の際、手術部位を確認せずに異常のない左頭部を切開するなどし、約1週間のけがを負わせた。

 徳洲会東京本部によると、患者は約2か月後に肺炎で死亡した。同本部は「患者さまには大変申し訳なく、このような事故のないよう再発防止対策を強化しています」とコメントした。」


患者は約2カ月後に肺炎で死亡しましたが,死亡までの責任は問わず,業務上過失傷害で略式起訴となった事案です.
入浴介助後に患者をストレッチャーで搬送する際ベルトで固定しないのは,看護助手としての「業務上必要な注意を怠り」にあたり,その結果,患者を床に転落させ急性硬膜下血腫の傷害を負わせたのですから,業務上過失傷害罪(刑法211条1項1文)にあたります.
業務上過失傷害罪は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。」と定められています.

院長が手術部位を確認せずに異常のない左頭部を切開したのは,医師としての「業務上必要な注意を怠り」にあたり,その結果,患者に約1週間のけがを負わせたのですから,業務上過失傷害罪(刑法211条1項1文)にあたります.

看護助手が10万円の罰金で,医師が罰金20万円というのは,上記事案からすると適切な量刑です.

なお,医師に刑事免責を与えるべき,との主張を聞きますが,手術部位を確認せずに異常のない左頭部を切開した医師を免責することが,医療のために本当に必要なのでしょうか.上記事案で,看護助手が罰金を支払い,医師が罰金を免れる,という扱いが公平なのでしょうか.刑事免責論には疑問を禁じ得ません.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-08 02:10 | 医療事故・医療裁判

改正薬害肝炎救済特措法が成立

NHK「改正薬害肝炎救済特措法が成立」(2012年9月7日)は,次のとおり報じています.

「「薬害肝炎訴訟」の被害者を救済するため、来年1月までとなっている被害者が給付金を請求する期限を5年間延長することなどを盛り込んだ改正法が、7日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

フィブリノゲンと第9因子製剤という血液製剤の投与で、C型肝炎ウイルスに感染した被害者に対しては、裁判所が認めた場合、症状に応じて給付金を支給する措置がとられています。
給付金を請求する期限は来年1月15日までとなっていますが、まだ給付金を請求していない被害者が多数いるとみられることから、改正法では、請求期限を5年後の平成30年1月まで延長するとしています。
また、改正法には、給付金を受け取ったあと、症状が悪化した場合に追加で受け取ることができる給付金の請求期限を10年間延長することも盛り込まれています。
この改正法は、7日の参議院本会議で、全会一致で可決・成立しました。」


ひとまず良かったです.
10年間延長とは,支給後症状が悪化した場合の追加請求の期限を,支給後10年以内から20年以内に変更する,という意味です.慢性肝炎として支給決定後,病気が肝硬変,肝がんに進行したとき,肝硬変,肝がん患者として追加請求ができるのですが,その期間制限が10年から20年になったのです.
ただ,病気が20年以上かけて進展することもありますので,延長しても未だ問題は残っています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-07 16:27 | 医療

日本医師会,厚労省の調査(所得の高い人はより良い医療を受けられるべきが約50%)に疑問表明

“「所得の高い人は、所得の低い人よりも、医療費を多く払って、より良い医療を受けられる」という考え方を正しいとする国民が、日本では49.6%と半数近くに達し、その数値は先進諸国よりも多い”

これは,厚生労働省が行った「社会保障に関する国民意識調査」の結果で,厚生労働省が,2012年の厚生労働白書に記載した内容です.

日本医師会は,9月5日の定例記者会見で,この調査結果に疑問を表明しました.
調査が民間会社に登録しているネットモニタを対象としていること,過去データと手法が異なりただちに比較できないこと等を指摘しています.

日医総研の「日本の医療に関する意識調査」では,「所得の高い低いによって、受けられる医療の中身(治療薬や治療法)が異なることはやむを得ない」という考え方に賛成の国民は1割強にとどまり,増加傾向もみられないとのことです.

以上「定例記者会見 厚労省「社会保障に関する国民意識調査」の問題点を指摘」ご参照

日本国民が医療の公共性,平等性をどのように考えているか,は調査により異なるようですが,医療の公共性,平等性を医療政策の根幹に据えることが必要と思います.所得の高い人は,所得の低い人よりも医療費を多く払ってより良い医療を受けられる,という方向に進むべきではない,と考えます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-06 23:59 | 医療

被害者の会,放射性検査薬過剰投与事件の調査委員会設置を求める1万893人の署名を甲府市に提出

山梨放送「過剰投与事件で原因究明求める署名提出」(2012年9月6日)は,次のとおり伝えています.

市立甲府病院で起きた放射性検査薬の過剰投与事件で、患者の家族らでつくる「被害者の会」が6日、甲府市に対し事件の原因究明するための調査委員会設置を求める署名を提出した。
 被害者の会のメンバーや弁護士は同日、宮島市長と面会し1万893人分の署名を提出した。甲府市と病院は安全管理体制を検証する「第三者委員会」を設置しているが、被害者の会は事件の原因究明が不十分だとして調査委員会の設置を求めている。
 要請に対し宮島市長は、関係資料が警察に押収されているため原因究明は難しいとし、調査委員会の設置は今後検討すると述べるに留めた。
 被害者の会は会見で「病院や市の対応も形だけなのかと思う。時間がたつと記憶も薄れてしまうからしっかり調査してもらいたい」とした。被害者の会は今後も署名活動を続け、市や病院に原因究明を訴えていくとしている。
 事件をめぐっては県警が医師法違反の疑いで自殺した技師長補佐と部下の放射線技師を書類送検している。」



甲府市は捜査結果待ちですで動こうとしませんが,事実を究明し再発を防止するのは,本来,当事者(病院開設者である甲府市)の責務です.調査委員会設置を望みます,


毎日新聞「甲府病院の放射性医薬過剰投与:被害者の会、調査委設置求める 市に署名1万人分提出 /山梨」(2012年9月7日)は,次のとおり報じています. 
 
「甲府市立甲府病院(同市増坪町)が検査用の放射性医薬品を子供に過剰投与していた問題で、患者家族で作る「過剰投与内部被曝(ひばく)被害者の会」は6日、市役所相生仮本庁舎を訪れ、宮島雅展市長と市議会に対し、第三者による事故調査委員会の設置と真相究明を求めて集めた1万893人分の署名簿を提出した。

 署名活動は7月に始め、先月29日まで行われた。全署名のうち、県内在住者は9652人分だった。

 6日に市役所を訪れたのは、同会メンバー12人と浜野泰嘉弁護士ら。浜野弁護士から宮島市長に署名簿が手渡され、その後の面談は非公開で行われた。

面談後に記者会見した浜野弁護士によると、真相究明を求める同会に対し、宮島市長は「事件に関する資料が捜査当局に押収されており、検証するのは難しい」との認識を示したという。同会側は「資料がなくてもできることから進めてほしい」と求めた。会見に出席した母親の一人は「発覚からの1年間、何も変化はない。この先何年たってもどれだけ事態が変わるのか」と市や病院への不信感をあらわにした。」


「浜野泰嘉弁護士」は,「濱野泰嘉弁護士」が正しい表記です.
市立甲府病院被害対策弁護団(放射性医薬品過剰投与問題)だけではなく,医療問題弁護団,薬害肝炎弁護団,薬害対策弁護士連絡会,ビルマ難民申請弁護団,国籍確認訴訟弁護団などでもご活躍です.

【追記】

山梨放送「検査薬過剰投与 原因究明へ第三者委設置」(2013年5月16日)は次のとおり報じました.

「おおとし市立甲府病院で起きた放射性検査薬の過剰投与問題で、甲府市と病院が16日、第三者委員会を設置した。
 この問題は市立甲府病院がRI検査と呼ばれる核医学検査で、子ども84人に対し、学会が推奨する2倍~40倍の検査薬を投与していたもの。問題発覚後、市と病院側は事故調査委員会をつくり、放射線技師の過失と、病院の管理体制の不備を認めた。第三者委員会設置には消極的だったが、被害者家族の強い要請で委員会を設置した。
 メンバーは日本核医学会医師や弁護士ら5人。委員会は今後、病院が設置した事故調査委の検証の妥当性や、過剰投与の原因をあらためて検証し、年度内をめどに報告書をまとめる。」



谷直樹

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by medical-law | 2012-09-06 23:10 | 医療事故・医療裁判

石巻赤十字病院,昨年8月心嚢に刺した針を抜き忘れ死亡させる医療事故(報道)

毎日新聞「石巻赤十字病院:刺した針を抜き忘れ 女性患者が死亡」(2012年9月4日)は,次のとおり報じています.

「宮城県石巻市の石巻赤十字病院は4日、昨年8月に救急搬送された50代女性の救命措置の際、刺した針を抜き忘れたため死亡させる医療過誤があった、と発表した。病院側は女性の遺族に謝罪し、慰謝料などについて話し合いを進めている。

 病院によると、女性は末期がんの患者で昨年8月13日午前8時半ごろ、呼吸困難を訴えて救命救急センターに搬送され、20代の男性医師が心臓を覆う心嚢(しんのう)にたまった液体を抜き取ろうと長さ7〜8センチの針を刺した。女性は翌14日午前5時ごろに呼吸が停止し、約90分後に死亡が確認された。

 別の医師が心嚢に残された針を見つけたが、死亡報告書では死因をがんと記載した。その後、病院側が依頼した東北大病院による病理解剖の結果、男性医師が抜き忘れた針が心臓に刺さったため死亡したことが判明。これを受け病院側は同17日、女性が医療行為で死亡したと県警石巻署に報告した。

 記者会見した金田巌院長は「医療事故がなければもっと生きられる人の命を奪ってしまい、大変申し訳ない」と謝罪した。男性医師は今年8月末で依願退職した。【須藤唯哉】」



読売新聞「抜き忘れた針、心臓に刺さり女性患者死亡…石巻」(2012年9月4日)は,次のとおりじています.

「宮城県石巻市の石巻赤十字病院は4日、昨年8月に救急搬送された同県美里町の女性(当時53歳)の救命処置で、20歳代の男性医師が心臓を包む心嚢(しんのう)に刺した針を抜き忘れ、死亡させる医療事故が起きたと発表した。

 病院側は遺族に謝罪し、石巻署に女性の死亡を届け出ている。同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。

 同病院の発表によると、昨年8月13日、末期がんだった女性が救急搬送され、間もなく心肺停止状態となったが、蘇生措置で心臓は再び動き出した。その後、担当医師が心嚢に長さ約7~8センチの針を刺し、たまった液体を抜き取る処置をしたが、翌14日午前5時頃、呼吸が停止し、死亡が確認された。

 遺体を検案した別の医師が心嚢に針が残っていたことを発見。担当医師が院長らに報告し、依頼を受けた東北大病院が病理解剖した結果、抜き忘れた針が心臓に刺さったのが死因と判明したという。担当医師は「なぜ抜き忘れたか覚えていない」と説明。今年8月に退職したという。

 通常の処置では、ビニール製の筒に入れた状態で針を刺した後、針を抜き、筒から液体を出すという。」


河北日報「石巻赤十字病院医療ミス 昨年8月、針抜き忘れ女性死亡」(2012年9月4日)は,次のとおり報じています.
 
「宮城県石巻市の石巻赤十字病院救命救急センターで昨年8月、宮城県美里町の女性=当時(53)=の救命処置で、担当医師が心臓を覆う心嚢(のう)に刺した針を抜き忘れ、死亡させる医療ミスを起こしていたことが3日、病院への取材で分かった。病院側はミスを認めた上で「あってはならないこと。遺族の方には大変申し訳ない」と話している。
 石巻署などは業務上過失致死の疑いもあるとみて、医師や看護師らから事情を聴き、捜査している。
 病院によると、女性は末期がんを患い、昨年8月13日午前8時半ごろ、救急搬送された。間もなく心肺停止状態となり、蘇生処置でいったんは心臓が動きだした。
 循環器科の20代男性医師が心嚢に針を刺し、たまった液体を抜き取る処置をしたが、翌14日午前5時ごろ、呼吸が停止し、その後、死亡が確認された。
 遺体を検案した別の医師は心嚢に残された針を発見したが、検案書に死因はがんと記載した。針の件は担当の男性医師が院長らに報告した。
 病院側は東北大病院に病理解剖を依頼。解剖の結果、残された針が心臓に刺さったために死亡したことが分かったという。
 病院側の説明では、針は長さ約7~8センチ。本来はビニール製の筒に入れた状態で心嚢に刺した後、針を抜き取り、筒を通して液体を取り出す。男性医師は「なぜ抜き忘れたか覚えていない」と話しているという。
 病院側は遺族に謝罪するとともに、石巻署に医療行為によって女性が死亡したと届けた。
 金田巖院長(65)は「東日本大震災の影響で救急患者が倍増し、医師や職員が疲弊していた時期だったが、大変申し訳ないことをした。今後は処置後にエックス線写真を撮るなどして再発防止に努めたい」と話した。
 女性の遺族は「もっと長生きさせたかった。病院側に誠意が見られず、きちんと責任を取ってほしい」と訴えている。」


たしかに実際疲弊していたと思いますが,ガーゼ残置の点検も厳しく行われている時代に,針を抜き忘れていることに誰も気づかないものなのでしょうか.

【追記】
NHK「針抜き忘れた医師書類送検へ 石巻」(2012年9月20日)は次のとおり報じています.

「去年8月、宮城県石巻市の石巻赤十字病院で、呼吸困難に陥った女性の治療に当たった元医師が胸に刺した針を抜き忘れて女性が死亡した事故で、警察は、針が残っていないかどうかを確認する義務を怠ったなどとして、20日、元医師を業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。

去年8月、石巻赤十字病院で当時循環器科に勤めていた20代の男の元医師が、呼吸困難に陥った宮城県美里町の当時53歳の女性に対して救命措置をした際、胸に刺した針を抜き忘れ、女性はその後、死亡しました。
病院では当初、死因を「乳がん」としていましたが、その後、抜き忘れた針が心臓を傷つけていた可能性が高いことが分かり、警察が業務上過失致死の疑いで捜査を進めてきました。
その結果、心臓を覆う「心のう」と呼ばれる膜の中に針を刺したまま抜き忘れたことが女性の死亡につながったとして、警察は、20日、元医師を業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。
また、女性が医療事故で死亡した可能性が高いことが分かったあとの警察への届け出が遅れたとして、担当の別の医師を医師法違反の疑いで書類送検することにしています。」


【再追記】

河北新報「石巻赤十字病院針抜き忘れ女性死亡 当時の医師2人不起訴」(2013年1月26日)は,次のとおり報じました.
 
「宮城県石巻市の石巻赤十字病院救命救急センターで2011年8月、宮城県美里町の無職女性=当時(53)=が救命処置後に医療ミスで死亡した事故で、仙台地検は25日までに、業務上過失致死(医療過誤)の疑いで書類送検された当時医師の男性(31)ら2人を不起訴処分とした。
 ほかに不起訴処分としたのは、医師法(異状死の届け出義務)違反容疑で書類送検された当時医師の女性(28)。
 地検は「処分の理由は明らかにできない」としている。
 送検容疑は、男性医師は11年8月13日午前9時5分ごろ、女性の心臓を覆う心嚢(のう)に針を刺し、心嚢液を抜き取る処置をした際に内針を抜き忘れ、14日早朝に心臓からの出血による心タンポナーデと急性循環不全で死亡させた疑い。
 女性医師は14日早朝、遺体を検案した際、抜かれているはずの内針が残っているのを見つけ、医療過誤の疑いがあると認識しながら、警察に届け出なかった疑い。
 病院によると、末期がんだった女性は13日午前8時半ごろ、救急搬送された。多量の心嚢液がたまっていたことから、男性医師は心嚢に針を刺して液を抜き取ったが、14日午前5時に呼吸停止となり、その後、死亡が確認された。」



【再々追記】

河北新報「「医療ミスで死亡」遺族が提訴 石巻」(2013年7月5日)は,次のとおり報じました.

「宮城県石巻市の石巻赤十字病院で2011年8月、宮城県美里町の無職の女性=当時(53)=が医療ミスで死亡した事故で、女性の長女が5日、「担当医が針で心臓を刺した過失で死亡した」として、日本赤十字社(東京)と担当医に計3300万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。

 訴えによると、女性は呼吸困難となり、11年8月13日朝、病院に救急搬送された。担当医は心膜内にたまった液を出すため、心臓を覆う心嚢(しんのう)に針を突き刺す施術をし、女性は翌14日朝、死亡した。
 長女らの要請で同16日、東北大病院が病理解剖をした結果、心臓の右心室に針が貫通し、出血があったことが判明。死因は心臓の周囲に血液がたまって圧迫される「心タンポナーデ」とされた。
 石巻赤十字病院の14日付の死体検案書は死因が「乳がん」と記されたが、16日付で「心タンポナーデ」に訂正されたという。
 遺族側は「担当医は画像で確認するなどして慎重に針を刺して液を出すべき注意義務を怠り、外傷性の心タンポナーデで死亡させた。亡くなった原因を医学的、科学的な根拠に基づいて検証したい」と主張している。石巻赤十字病院は「訴状が届き次第、対応を検討する」との談話を出した。
 女性の死亡をめぐっては、石巻赤十字病院が昨年9月に記者会見した。病院は当時、担当医が針で心嚢から液を抜き取った後、針を取り出さなかったことから女性が死亡し、遺体を検案した別の医師が心嚢に残された針を確認した-などと説明した。
 宮城県警は昨年9月、業務上過失致死の疑いで、担当医を書類送検。仙台地検が今年1月、不起訴処分としている。担当医は昨年8月、依願退職している。」



毎日新聞「石巻の医療過誤:死亡女性遺族、3300万円賠償提訴 日赤と担当医」(2013年7月6日)は,次のとおり報じました.

「石巻市の石巻赤十字病院で2011年8月、女性(当時53歳)の体内に治療で置き忘れた針が心臓に刺さって死亡したとされる医療過誤問題で、女性の長女が5日、同病院を運営する日本赤十字社と当時の男性担当医を相手取り、3300万円の損害賠償を求め、仙台地裁に提訴した。

 訴状によると、女性は11年8月13日、同病院で、心臓を覆う心嚢(しんのう)にたまった液体を針で排出する治療を受けたが、翌日に死亡した。同月16日に東北大病院で病理解剖され、針が心嚢を突き抜け心室まで貫通していたことが判明した、としている。

 石巻赤十字病院は昨年9月、この医療過誤問題を公表。「抜き忘れた針が心臓に刺さったため死亡させた」と説明していたが、長女側代理人の弁護士は「抜き忘れた針が刺さったのではなく、施術で針を心室まで貫通させたためだ」と主張している。

 同病院は「訴状が届いておらず訴えの内容はわからないが、真摯(しんし)に対応したい」としている。

 県警は、当時の男性担当医師を業務上過失致死容疑で、死亡診断書を作成した女性医師を医師法違反容疑で書類送検したが、仙台地検はいずれも不起訴処分としていた。【竹田直人】」


過失の内容に争いがあるようです.

【再々々追記】

共同通信「医療ミス、880万円支払い命令 死亡原因と認定、仙台地裁」(2014年12月18日)は,次のとおり報じました.

「宮城県の石巻赤十字病院で、県内の女性=当時(53)=が死亡したのは、救命措置の際の医療ミスが原因だとして、長女が病院側に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は18日、880万円の支払いを命じた。

 市川多美子裁判長は判決理由で、心臓を覆う2層の膜の間にたまった体液を抜く救命措置のため、医師が注射針を刺したが置き忘れ、それが心臓に約1ミリの穴をあけて死亡につながったと認定。「初歩的で極めて危険な過誤だ。残された貴重な時間を突然奪われた女性の苦しみは重大」と指摘した。」


産経新聞「心臓に注射針を置き忘れ… 石巻赤十字病院の医療過誤を認定 「初歩的で極めて危険」と仙台地裁」(2014年12月18日)は,次のとおり報じました.

「宮城県石巻市の石巻赤十字病院で、県内の女性=当時(53)=が死亡したのは、救命措置の際の医療ミスが原因だとして、長女が病院側に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は18日、880万円の支払いを命じた。

 市川多美子裁判長は判決理由で、心臓を覆う2層の膜の間にたまった体液を抜く救命措置のため、医師が注射針を刺したが置き忘れ、それが心臓に約1ミリの穴をあけて死亡につながったと認定。「初歩的で極めて危険な過誤だ。残された貴重な時間を突然奪われた女性の苦しみは重大」と指摘した。一方、女性が末期がんで余命が限られていたため「慰謝料の算定は、長期間の生存が可能な患者の場合と同様にはできない」とした。」


心臓に注射針を置き忘れ… 石巻赤十字病院の医療過誤を認定 「初歩的で極めて危険」と仙台地裁

 宮城県石巻市の石巻赤十字病院で、県内の女性=当時(53)=が死亡したのは、救命措置の際の医療ミスが原因だとして、長女が病院側に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は18日、880万円の支払いを命じた。

 市川多美子裁判長は判決理由で、心臓を覆う2層の膜の間にたまった体液を抜く救命措置のため、医師が注射針を刺したが置き忘れ、それが心臓に約1ミリの穴をあけて死亡につながったと認定。「初歩的で極めて危険な過誤だ。残された貴重な時間を突然奪われた女性の苦しみは重大」と指摘した。一方、女性が末期がんで余命が限られていたため「慰謝料の算定は、長期間の生存が可能な患者の場合と同様にはできない」とした。」

 判決によると、平成23年8月、女性は呼吸困難になり、病院に搬送された。救命措置を受けたが、翌日死亡した。


 判決によると、平成23年8月、女性は呼吸困難になり、病院に搬送された。救命措置を受けたが、翌日死亡した。さすがにこの事案では,病院側が責任を逃れることはできなかったのでしょう.
賠償額の認定では余命の点をかなり考慮した減額になっている点は一考の余地があるように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-05 04:19 | 医療事故・医療裁判

岡倉天心没後100年記念 近代から現代へ 日本画の巨匠たち -名作でたどる日本美術院のあゆみ-

9月2日(日曜日)に,福岡市美術館に行き,「近代から現代へ 日本画の巨匠たち」を見ました.

安田靫彦「項羽」は,虞美人が自害する前,項羽の胸にすがる姿を簡潔な線で優雅に描いています。
小林古径「唐蜀黍」,太田聴雨「星をみる女性」,同「種痘」,北野恒富「夜桜」と大作が並んでいるのをみて,それぞれの日本画家の野心を感じました.
「唐蜀黍」は,線がとてもきれいです。
「星をみる女性」は天体望遠鏡の斜めの線が白っぽい着物の女性を引き立てていました.
「夜桜」は,主役は着物の女性で,夜桜は脇役です.そのため夜桜のほとんどが右側にある大胆な構図です.

展示期間は,9月23日までです.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-04 03:29 | 趣味

前橋地裁平成24年8月31日判決,アスピリン喘息の可能性ある患者のロキソニン服用後死亡事案で請求棄却報道

毎日新聞「桐生歯科医療過誤損賠訴訟:歯科医師会への請求を地裁棄却 アスピリン喘息死、医療過誤認めず /群馬」(2012年9月1日)は,次のとおり報じました.

 「桐生市歯科医師会の休日診療所で歯の治療を受けた後、10年1月に死亡した男性(当時53歳)の遺族が同医師会を相手取り計約6870万円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(西口元裁判長)は31日、原告の訴えを棄却した。

 判決によると、男性は非ステロイド性抗炎症薬の投与によって誘発される気管支喘息(ぜんそく)「アスピリン喘息」を患っている可能性があった。患者への解熱鎮痛薬ロキソニンの投与は禁じられているが、同診療所で治療後、処方されたロキソニンなどを服用。間もなく心肺停止状態になり21日後に死亡した。

 判決で西口裁判長は、(1)男性はそれまでアスピリン喘息と診断されたことがない(2)以前、非ステロイド性抗炎症薬を処方され服用したと思われるが異常はなかったことから、ロキソニン投与によって重い発作を引き起こすことは予見できなかったとして、担当医師の過失を認めず、男性の死亡との因果関係も認められないと判断した。【塩田彩】」


その患者の喘息がアスピリン喘息ではないと確定的に診断できない以上ロキソニンを投与してはならない注意義務があるとした,福岡地裁平成6年12月26日判決(判時1552号99頁,判タ890号214頁)との関係は,どのように考えるべきなのでしょうか.

また,カルテに「薬による喘息発作の既往歴なし」との記載があったことから,アスピリン喘息の疑いは払拭されたと判断した医師の過失が認められた,広島高裁平成4年3月26日判決(判例タイムズ786号221頁)との関係は,どのように考えるべきなのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-04 01:02 | 医療事故・医療裁判

日弁連,学校内傷害事件に関する人権救済申立事件で勧告

日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年8月28日学校内傷害事件に関する人権救済申立事件(2010年度第25号人権救済申立事件)につき,以下のとおり,中学校に対し勧告しました.

「貴校は,2009年(平成21年)5月13日,野球部の部活動中,申立人が3年生部員から暴行を受け傷害を負ったこと(以下この傷害事件のことを「本件傷害事件」という)について,同月17日に申立人側から報告を受け,遅くと。も同月20日にはその細部を確認しており,把握した当該事件の実態から,その実質が単なる傷害事件ではなく,3年生部員の2年生部員に対する「いじめ」であったことを容易に認識し得たはずであった。

以上からすれば,貴校は,学校管理者として,当該事件を速やかに調査し,その実態がいじめであるとの認識を早期に確立するとともに,いじめが許されない行為であることを当該加害生徒を含む全生徒に対して適切に教育することなどを通じて,申立人が3年生部員からの報復等を受ける心配がなく,安心して登校できるための校内教育環境を整備すべき義務を負っていたものであるが,これらの義務を怠り,その結果,申立人は,2009年(平成21年)5月末頃から徐々に登校ができなくなっていき,同年12月から翌年3月までは完全な不登校となり,それ以降においても断続的な不登校状態から脱却できない状況に陥った。

貴校がかかる義務違反により申立人を不登校状態に陥らせたことは,同人の学習権,教育を受ける権利を侵害したものであり(以下この人権侵害行為を「本件人権侵害」という。),しかも,その不登校状態が長期に及んだことからすれば,その人権侵害性は重大というべきである。

よって,貴校に対して,以下のとおり勧告する。

1 本件傷害事件が「いじめ」であったことを認識し,部活動等の学校生活における上級生の下級生に対する助言・指導の実態とその問題点を明らかにするとともに,本件人権侵害に至った原因を調査・研究し,それらの改善策を策定すること。

2 貴校において今後いじめが再発することがないよう,以下の措置を講ずること。

(1) いじめが不登校や,最悪の場合は自殺などを引き起こす重大な人権侵害であることを認識し,その認識をあらゆる機会を通じて徹底させ,学校全体で共有すること。

(2) いじめの実態を早期に把握するとともに,いじめを学校全体の問題として受け止め,いじめに対する全校内の理解を深めることにより教育環境を整備する必要があり,そのために,いじめの早期発見と対応策やいじめ克服を有効に進めるための教育等に関するプログラムを策定しこれを実践すること。
また,その実践状況を定期的に点検・検証するための制度を確立すること。

(3) 生徒代表,保護者代表及び教師代表等の構成によるいわゆる「いじめ対策会議」など,いじめ問題を検討すべき組織の結成を促進し,本件からの教訓を共有化し,再発の防止に備えること。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-01 02:46 | 弁護士会